• 作成日 : 2024年10月29日

従業員が立て替えた経費の仕訳方法は?立替経費精算の手順や注意点も解説

企業で発生する費用は企業が負担します。しかし、一定の場合従業員が立て替えるといったことも生じます。この場合、立て替えられた経費の精算や仕訳が必要になるため、正しい経費の仕訳方法を確認しておくと安心です。この記事では、従業員が立て替えた経費の仕訳方法や立替経費精算の手順や注意点、ミスを防ぐために効率化する方法を解説します。

従業員が立て替えた経費の仕訳方法

従業員が経費を立て替えた場合は「立替経費」と言い、これらの費用は会社から後日支払います。まず、従業員が経費精算書を作成し、精算の申請を行います。続いて上長による申請の「承認」か「差し戻し」の判断が必要です。その後、承認されれば立替金の精算をして、従業員にその分を支払う流れになります。

仕訳は、経費精算を承認したタイミングと、精算を行って従業員にお金を支払ったタイミングで必要です。それぞれのタイミングでの仕訳について解説します。

立替経費を精算するときの仕訳方法

従業員が立替経費精算の申請を行い、それが承認された際に仕訳が必要です。内容に応じて旅費交通費消耗品費交際費といった勘定科目を使って借方に記入します。経費精算が承認され、仕訳を行う段階では、従業員に対して支払いがまだされていないため、貸方を未払金として記入します。具体的な処理の例は、以下のとおりです。

例)従業員が取引先を訪問する際に、タクシーを利用し代金である3,000円の立て替えを行った。立替経費精算の申請があり、タクシー利用時の領収書と経費精算書を受け取った。
借方貸方
旅費交通費3,000円未払金3,000円

精算金を支払うときの仕訳方法

従業員が立て替えていた分の経費を従業員に支払った際にも、仕訳が必要です。精算した際に未払金として処理していたため支払った際には、借方に未払金を記入します。貸方は、支払った方法によって変わり、大体の場合は「現金」や「普通預金」といった勘定科目になるでしょう。以下で、処理の具体例を紹介します。

例)従業員が立て替えたタクシー代3,000円を普通預金から支払った。
借方貸方
未払金3,000円普通預金3,000円

立替経費を精算する手順

立替経費における、一般的な精算の手順を解説します。大まかな流れは同じですが、会社によっては独自のルールがある場合もあります。

従業員が立替経費を申請する

従業員が業務を行うにあたって、必要な移動費や物品費を従業員自身のお金で立て替えて支払います。その際は、購入したものやお金の使い方を明確にするために、領収書や明細書などの支払内容がわかる証憑が必要です。

その後従業員は、経費精算書といった申請書類に必要な情報を記載して、領収書や明細書を添付し会社が決める期日までに立替軽費精算の申請を行います。

上司や管理者が立替経費を承認する

提出された経費精算書や領収書を上長が確認し、承認や差し戻しを行います。経費の内容が不適切だったり、記載に不備があったりした場合には従業員に差し戻しを行います。承認された場合は経理部門の担当者がその経費の内容に応じて仕訳作業を行います。

従業員へ精算金を支払う

従業員に精算金を支払います。その後、未払金や普通預金といった勘定科目で仕訳を適切に行うことで立替経費精算の完了です。精算のタイミングや支払方法などは、企業ごとに異なるルールに基づいて行われるため、自社のルールと照らし合わせて処理しましょう。

立替経費を精算するときの注意点

ここからは、立替経費を精算する際の注意点について解説します。

立替経費を申請できる期間を決めておく

立替経費を申請できる期間を決めておくとよいでしょう。あまりにも期間が開いてしまうと、どのような理由でその経費が掛かったのか、思い出せなくなる可能性があるためです。会社の事情によっても異なりますが、一般的には立替経費発生から1〜2ヶ月以内までに申請するようにルールを定めていることが多いです。

立替金額の上限を決めておく

立替金の上限も決めておきましょう。立替金が高額になると、従業員の負担になってしまうためです。また、立替経費があるからといって、不必要な出費をしてしまう可能性もあります。適切な立替経費の運用を行うためには、立替経費に関するルールや利用可能な経費の種類をあらかじめ明確にすることが重要です。

立替金や仮払金との違いに注意する

立替金と仮払金は、どちらも一時的にお金を支払った際に使用する勘定科目です。立替金は、本来支払うべき人に代わって支払をした際に使用される勘定科目です。仮払金は、細かく使用内容や金額が決まっていない場合に使用される勘定科目です。

また、仮払金は会社の経費となることが見込まれる費用を仮払いした際に使用され、立替金は従業員の私的な費用や取引先が負担するべき配送料を負担した際などに使用されます。

立替経費の精算方法を就業規則に記載する

立替経費の精算方法やルールについて、就業規則に記載することも大切です。就業規則に明記することで、経理上の対応がスムーズに進められるため、経費精算におけるトラブルの発生を予防できます。具体的には、経費として認められる条件や上限金額、申請期限といったルールを定めることが一般的です。

立替経費の精算を効率化する方法

ここからは立替経費の精算作業を効率化する方法を解説します。

現金ではなくクレジットカードを利用する

法人クレジットカードを用意して、経費を支払う際に利用することで効率化できます。クレジットカードを利用すると、そもそも立替を行う必要がなくなります。立替経費精算も必要なくなるため、精算にかかる時間を軽減可能です。

また、明細などを会計システムに同期することができるため、通常の経理作業も軽減できるメリットがあります。

経費精算システムを導入する

経費精算システムを導入するのも、立替経費精算の効率化に役立ちます。書類の作成から申請や承認、仕訳作業といった処理が経費精算システムで完結するため効率化につながります。またインターネットの通信環境があれば、どこでも申請や承認といった作業も行えるため、柔軟な対応が可能です。

クレジットカードや経費精算システムで効率化しよう

立替経費の精算は、非常に重要な作業です。しかし処理する件数が増えると、処理ミスが発生したり、1件あたりの精査にかけられる時間が短くなったりして、処理の精度が落ちてしまいます。法人クレジットカードや経費精算システムを活用して、精算を効率化して負担を軽減しましょう。


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