- 作成日 : 2025年2月6日
知っておきたい「消し込み」の基本
現在、多くの企業間取引で掛け売りが採用されています。掛け売り取引の場合、商品やサービスの提供側は一時的に売掛金を抱えることになりますが、この売掛金回収が経営の観点から極めて重要になります。そして、取引先からの入金を受けて、請求内容に対して正しい入金かの確認を行う業務が「消し込み(入金消込)」という業務です。
今回は、消し込みの具体的な流れと一般的な課題、効率化の方法についてお伝えします。
目次
消し込みとは
消し込みとは、実際の入出金に合わせて売掛金、買掛金の残高を消していく作業のことで、入金と照合して売掛金を消していく作業を「入金消込」、支払いと照合して買掛金を消していく作業を「支払消込」といいます。このページでは、「入金消込」についてご説明していきます。
売掛金とは、「商品やサービスを提供した対価として、金銭を請求することができる権利」です。この権利を行使し取引先に対して請求を行い、正確な金額の支払いを持って権利としての売掛金が解消され、請求業務が完了します。
消し込みを行う際の流れ
今回取り上げる入金消込に関しては、口座への入金額と帳簿上の売掛金額とを突き合わせて、双方の額が一致しているかどうかを確認し、帳簿に記載されている売掛金を消去するという流れで行われます。
例として、取引先から10万円の発注を受けた際の、請求から消し込みまでの流れを確認します。この時、会計上では
となります。この場合の売掛金は10万円となり、支払日に取引先からの入金を確認すると
となり、この時点で売掛金が消し込まれて0円になる代わりに、当座預金が10万円となります。このように、注文時に発生した売掛金を入金時に取り消す処理が「入金消込」です。
消し込み業務において注意すべきケース
消し込み業務は、取引企業・取引数が増えるに従って業務量が多くなります。手作業や目視確認が含まれる業務フロー内で行っている限り、業務量が増大するのに比例してミスが起こる可能性も高まります。その中でも、特にミスが発生しやすく注意が必要なケースを確認します。
入金予定日に入金されない
入金予定日に請求金額が入金されない場合には、請求書の紛失や入金予定日の誤りなど取引先の社内での対応漏れの場合が最も多く想定されます。この場合は催促の連絡を行うことで支払いが行われますが、稀に経営状況の悪化などで取引先に支払い能力がなくなる場合も考えられるので注意が必要です。
入金金額が請求金額と異なる
請求金額と入金金額が異なる場合には、台帳と照らし合わせて入金がどの取引に対応したものかを確認する必要があります。また、当月に合算した請求のうちの一部に対しての入金である場合も考えられるので、どの取引が入金済、あるいは未入金なのかを確認する必要があります。振込手数料の相殺の有無による金額の相違の場合も考えられます。
入金日や支払いサイトが取引先ごとに異なる
会計処理上、入金日や振込手数料などは統一したいところですが、取引先企業との契約によって自社の想定したものとは異なるサイトやルールでの支払いとなることも考えられます。その際に、入金日や支払サイトが取引先ごとに異なると、社内管理が煩雑になります。
入金方法が取引先によって異なる
入金日や支払いサイト同様、入金方法が複数になると経理担当者が確認する先が増えてしまうことになります。また、入金先ごとにデータのダウンロードや連携を行う必要がある為、業務量を増やすことになってしまいます。
ひとつの取引先と複数の取引が存在する
1社の取引先に対して複数の商品やサービスを取引している場合、複数の請求書を発行することがあります。このような場合、取引先は請求書ごとに振り込むケースと、複数の請求書をまとめて一括で振り込むケースのいずれも考えられるため、確認しておく必要があります。
請求先の名義が類似している
請求先の名義が似ていたり同名の請求先が存在していたりすると、消し込みを誤ってしまう可能性があります。また、口座振込の場合に名義はカタカナで表示されるため確認を誤ってしまう可能性もあります。
請求名義と振込名義が違う
請求名義と実際の振込名義が異なる場合も考えられます。この場合、取引段階で請求先の名義と振込元の名義を確認しておく必要があります。
未入金発生時の繰越請求
未入金がある場合に、当月に消し込みを行わず次月の請求に合算して請求することを繰越請求といいます。 この場合、前月までの未入金額(繰越残高)を合算した上で請求金額がいくらになるかを確認する作業が発生します。
消し込み業務に関わる具体的課題
入金消込は企業の資金繰りに直結する重要な業務になります。また、取引数が増えたり取引金額が大きくなるにつれて、消し込み業務の重要度や負担も大きくなります。売掛金を取り扱うという重圧の中で、取引先や取引額、支払日も異なる取引データに対して正確に消し込み業務を必要がある経理担当者には、精神的・身体的に大きく負荷が掛かります。
また、この消し込み業務は他の会計業務と同様に請求日や月次決算に合わせて月末月初に集中することが多く、時間的な業務負荷という面でもかなり重くなってしまいます。
これら一連の入金消込業務ですが、従来では多くの企業において台帳をエクセルなどの表計算ソフトで管理してきました。管理方法などを工夫することである程度の効率化はできますが、あくまでも手作業での確認作業がなくなるわけではありません。また、前項で確認した通り、台帳を管理するには取引先の過去の取引履歴や個別対応の情報などを把握しておく必要もあり、業務が属人的になるという課題も生じます。加えて、企業の資金繰りに直結する部分であるが故に、二重三重あるいはそれ以上の確認フローを設けることもあり、人的コストも大きなものになってしまいます。
入金管理の自動化
この記事では、消し込み業務の具体的流れと課題を確認しました。
自社内の資金繰りや取引先企業への信頼度に直結する入金管理業務の中でも、消し込み業務は重要性が高いことに加えて、細かい数字の確認という負担の大きい作業になります。このような作業を手作業で行っていると、往々にして人的エラーが発生してしまうものです。
ミスの発生や過剰なコストを抑制するためにも、手作業でおこなっている入金管理業務を自動化、更にはアウトソーシングにより自社内の業務負担の軽減を図ることも有効な対策です。
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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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