• 作成日 : 2021年2月12日

益金とは?益金不算入制度とは?徹底解説

益金(えききん)は、収益や収入といった用語と似通っていますが、同じ意味ではありません。

経営者や経理担当者は、益金や益金算入・不算入について理解しておかなければ、決算や税申告の際に間違った金額を計上するリスクがあります。

益金とは

益金という概念は、法人税法上で定められています。簡単に言えば、商品の売上やサービス提供に対する報酬などの収益を指します。

法人税条第22条2項では「別段の定めがあるもの」を除いて、次の5つが益金に該当すると記載されています。

  • 資産の販売
  • 有償または無償による資産の譲渡
  • 有償または無償による役務の提供
  • 無償による資産の譲受け
  • その他の取引で資本等取引以外のもの
内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。

(引用:e-Gov|法人税法)

「別段の定め」とは、後述する益金算入・損益不算入などの税務調整が該当します。

まずは5つの益金について見ていきましょう。

資産の販売による収益

資産の販売による収益とは、食品やソフトウェア、レジャー用品などの自社商品・製品の販売によって得た収益のことです。

損益計算書では「売上高」に該当します。

有償または無償による資産の譲渡の収益

有償または無償による資産の譲渡の収益とは、主に次のものが当てはまります。

  • 不動産や土地、機械などの固定資産の譲渡益
  • 債券や投資信託などの有価証券の譲渡益 
  • など

損益計算書では「有価証券売却益」「固定資産売却益」などに該当します。

有償または無償による役務の提供の収益

有償または無償による役務提供の収益とは、主に次のものが当てはまります。

  • 建物の建設やシステムやソフト制作などの請負仕事の報酬
  • 金銭や不動産の貸付による利子
  • そのほかのサービス提供にかかわる収益
  • など

損益計算書では「売上高」や「役務収益」、「貸付金利息」」などに該当します。

無償による資産の譲受けの収益

無償による資産の譲受けの収益とは、無償で受け取った製品やサービスで得た収益のことです。

主に次のものが当てはまります。

  • 債権者による債務免除
  • 販売店舗の建設時に建設会社側の負担で作成した収納スペース
  • ある製品の取引時に先方がサービスで多めにつけてくれた場合
  • など

その他の取引で資本等取引以外のものによる収益

その他の取引で資本等取引以外のものによる収益とは、前述した4つ以外の取引で得られる収益のことです。

資本等取引とは、株主からの出資額増減、自己株式の取得、処分や剰余金そのものなどの利益の分配が当てはまります。

益金と収益の違い

「益金と収益はどちらも同じ意味なのでは?」と考える方も多いのですが、厳密には微妙に意味が異なります。

税務で用いるのが「益金」であり、会計で用いるのが「収益」です。

両者の大きな違いは、同じものにかかる収支でも扱いが変わる点が挙げられます。

例えば、「税務では損金にできないものが会計では費用にできること」や「会計では収益で計上したが税務では益金にはならないこと」などです。

一般的には会計上の利益を先に算出してから、税務での扱いに合わせてさまざまな調整を行い、税務上の所得を計算します。

そのため、税務と会計の数値がズレることは珍しくありません。このズレ(差異)の原因は前述した「別段の定め」などによるものです。

一定の期間のみ発生ズレが発生する「一時差異」と、永久にズレが残り続ける「永久差異」が存在します。

益金は法人税法上の考え方

法人税上の企業の儲けは所得です。所得は「益金-損金」になります。

税務の根本的な考え方は、「脱税や不正がなく、公平に税が課せられているのか」という適正・公平な税の課税です。

事業主や経理担当者は、税務業務を通じて法人税の申告書(確定申告書)を作成します。

益金を適切に計算するためには、会計上の利益に対して、次の加算・減算による税務調整を加えます。

  • 益金算入
  • 益金不算入
  • 損金算入
  • 損金不算入

つまり、「会計上で計上するもの・しないもの」と「税務上で計上するもの・しないもの」を整理し、税務上の所得として反映するということです。

収益は会計上の考え方

会計上における企業の儲けは利益です。利益は「収益-費用や損失」になります。

会計の根本的な考え方は「財政状態や経営成績などを投資家に対して明らかにすること」です。

事業主や経理担当者は、会計業務を通じて貸借対照表や損益計算書を作成することになります。

税の申告書の提出義務がある場合も、まずは日々の帳簿付けと決算によって会計上の利益をはっきりさせてから、課税所得ならび税金を計算します。

益金算入とは

益金算入とは、会計上の収益には計上しないものを、税務状では益金として計上するものです。

前述した5つの益金を、税務上の利益に反映していきます。

なお、益金の算入タイミングは、次のとおりです。

  • 物品や固定資産の引渡し・譲受けがある取引の場合は「物品の引き渡し・譲受けがあった日」
  • 役務の提供がある取引の場合は「役務の提供が完了した日」

ただし、長期的な月額や年額での支払いなどの「長期割賦販売等」当てはまる場合や、長期大規模工事に該当する場合には特例が認められます。

益金不算入とは

益金不算入とは、会計上は収益に計上する反面、税務では益金として計上しないものです。
益金不算入の対象になるものは、大きく以下の2つに分けられます。

  • 益金の条件に当てはまらないもの
  • 益金の条件に当てはまるが、二重課税になったり不合理な益金になったりするもの

益金不算入となった益金分だけ、その期の法人税の額を減少させることが可能です。

不算入となる具体的な益金を見ていきましょう。

  • 株式の配当金などの受取配当金
  • 所得税や法人税などの税金の還付金
  • 保有する資産の評価益

「益金にすると二重課税になるもの」については、後述する「受取配当等の益金不算入制度」が定められています。

ただし、益金不算入の対象になる収入のうち、全額ではなく一部だけ不算入となるケースもあるため注意が必要です。

受取配当等の益金不算入制度

受取配当等の益金不算入制度では「条件に当てはまる受取配当等は税務上の益金として参入しない」ことを定めています。

具体的に受取配当等の益金不算入制度とは、株主の持株比率等に応じて配当金が益金に参入されず法人税が課税されない制度です。

適用する場合は「受取配当等の益金不算入に関する明細書」を利用して行います。

益金不算入制度が導入された背景

益金不算入制度は、配当を「支払う法人」と「受け取る法人」の間の二重課税を防ぐことを目的に定められました。

まず前提として、支払法人の配当の原資は利益であるため、法人税がかかっています。

このとき、もし配当金を受け取った法人がその金額を益金として参入されてしまうと、益金に対して再び税金が課せられることになります。

こうした理由から、「支払い段階で課せられる法人税」と「受取段階で課せられる法人税」を受取法人の段階で税負担を調整するために、益金不算入制度が設けられました。

平成27年度(2015年度)の受取配当等の益金不算入制度の見直しについて

受取配当等の益金不算入制度は、平成27年度(2015年度)に一度見直しがなされています。

改正の内容は次のとおりです。

  • 益金不算入の対象になる株式等の区分
  • 益金不算入の対象となる株式等の益金不算入割合
  • 配当等の額の範囲の見直し
  • 負債利子がある場合の控除計算の見直し
  • みなし配当が生ずる事由の見直し
  • 保険会社の受取配当等の益金不算入の特例の創設

上記の改正により、益金不算入となる持株比率の区分が増えたことや、有利子負債の利子がある場合の控除計算になる株式等の範囲が限定されるといった変更が行われています。

損益不算入の対象となる受取配当等

損金不算入の対象となる受取配当は、次のとおりです。

  • 剰余金の配当
  • 投資信託及び投資法人に関する法律第137条(金銭の分配)の分配額
  • 資産の流動化に関する法律第115条第1項(中間配当)に規定する金銭の分配額
  • 特定株式投資信託(外国株価指数連動型特定株式投資信託を除く)の収益の分配額

株式の配当金に関しては、法人が保有している持株比率によって不算入にできる金額が変わります。

また、もし法人税法第24条に規定された「みなし配当」に該当した場合は、剰余金の配当や分配に当てはまらなくても益金不算入制度の適用が可能です。ここで、みなし配当は会計上、剰余金の配当や分配には当たらないものの、実質的にそれらと変わらない性質を持った取引で、法人税法上の配当とみなします。

ただし、自己株式として取得することを予定して取得した株式に関しては、みなし配当として益金不算入ができないケースが存在するため注意が必要です。

益金不算入の対象にならない受取配当等

益金算入の対象にならない受取配当等は次のとおりです。

  • 外国法人や公益法人等または人格のない社団から受ける配当等
  • 保険会社の契約者配当の額
  • 協同組合等の事業分量配当等の額
  • 公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配の額
  • 特定目的会社および投資法人から受ける配当等の額

また、みなし配当に関しても、平成27年度(2015年度)の改正によって「株式の併合に反対した株主からのその併合により一株に満たないこととなる場合のその端数株式の買取請求に基づくもの」が除外されています。

受取配当等の益金不算入額の計算

受取配当等の益金不算入の額は、以下に示した持株比率によって変化します。

株式保有割合
(株式等に係る配当等の区分)
益金不算入割合
持株割合100%
(完全子法人株式等)
100%益金不算入
3分の1超~100%未満
(関連法人株式等)
100%益金不算入-負債利子控除
5%超~3分の1以下
(その他の株式等)
50%益金不算入
5%以下
(非支配目的株式等)
20%益金不算入
(保険会社の場合は40%)
証券投資信託100%益金になる

「株式等に係る配当等の区分」には、次のものがあります。

  • 完全子法人株式等:配当等の額の計算期間を通じ、完全な支配関係にあった他の内国法人の株式または出資
  • 関連法人株式等:他の内国法人の発行済株式の100分の25以上に相当する数・数量の株式や出資を有する法人の株式または出資
  • 非支配目的株式等:他の内国法人の発行済株式の100分の5以下に相当する数・数量の株式等を、配当等の額の支払いに係る基準日に有する法人の株式または出資
  • その他の株式等:上記3つのいずれにも当てはまらない株式または出資

もし上記の区分を誤って計算してしまうと、益金の金額ならびに税額が実態とかけ離れてしまいます。

間違った税額を申告すると税務署からの注意や追徴課税を受けるため、企業のブランド力低下にもつながります。

国税庁から注意喚起が出されている事実もあるので、制度適用時には注意が必要です。

益金や益金不算入制度について正しく理解する

益金は税務上の計算で用いる儲けのことで、会計上で用いる収益とは意味が異なります。

益金に関する知見は、会計を正しく処理したり税金計算を適切に行ったりする場合に必要です。

考慮せず業務を進めた結果、計上漏れや記載間違いが起こるかもしれません。

また、「会計上は収益でも税務上は益金にならない」ものは、益金不算入となる収入であることも理解しておきましょう。

「受取等の益金不算入制度」で定められているものも、経営者や経理担当者は事前に押さえておくことをおすすめします。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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