- 作成日 : 2024年11月5日
経費精算は働き方改革でどう変わる?課題や効率化の方法を解説
働き方改革によって、経費精算システムの効率化が求められています。しかしどのように効率化すべきか、悩んでいる方も多いでしょう。
経費精算の効率化には、経費精算システムの導入が有効です。今回の記事では経費精算業務の課題や、効率化する方法などについて紹介していきます。
目次
働き方改革とは
働き方改革とは、働くための環境と生産性を向上させることを目的とした国や企業の取り組みをいいます。少子高齢化で労働人口が減少する中、女性や高齢者など多様な人材の活用を目指します。具体的にはテレワークの普及や、育児・介護休業の充実など、施策はさまざまです。
目的
働き方改革の目的は、「一億総活躍社会を実現するための改革」です。少子高齢化により労働人口が減少する中でも、50年後も人口1億人を維持して誰でも活躍できる社会が「一億総活躍社会」です。
厚生労働省では働き方改革について、働く人々がそれぞれの事情にもとづいて、柔軟な働き方ができること、と定義しています。働き方改革を通じて多様な人材が、自由に働ける未来を目指します。
背景
政府が働き方改革を推進している背景は、少子高齢化による労働力の低下です。労働力の主力である15〜64歳の生産年齢人口は、総人口の減少を上回るペースで減少しています。内閣府が発表している人口推計によると、2070年には総人口は9,000万人を割り込みます。一方で生産年齢人口は国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、2060年には4,418万人の見込みです。現在のペースで人口低下が続くと、国力の低下は免れないため働き方改革が推奨されています。
参考:国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(令和5年推計)
働き方改革によって経費精算はどう変わる?
働き方によって業務の効率化や迅速化が求められますが、経費精算にどのような影響があるか見ていきましょう。
働き方改革関連法によって残業時間が制限される
働き方改革によって、残業時間が制限されます。2019年に働き方改革の⼀環として労働基準法が改正され、時間外労働の上限が法律に規定されました。
もし法定時間外を超えて残業する場合は、36協定といわれる労使協定が必要になります。36協定では月45時間、年間360時間を残業の上限としており、違反した場合は罰則があります。ただし決算業務など特別な事情がある場合は、臨時的に上限を超えることも可能です。
長時間勤務が常態化していたとされる建設業など一部の業種では、対応するまでの猶予期間が設けられていましたが、2024年3月で終了しました。このように働き方改革によって、これまで以上に業務の効率化が求められています。
経費精算業務の効率化、迅速化が必須
働き方改革によって、経費精算業務も効率化・迅速化が避けられません。政府が求める働き方改革の基準を守るためには、時間を有効に利用する必要があります。経費精算では紙ベースでの書類の提出など、煩雑な事務が多いです。
また経費精算は部署などを問わず全社員が行う業務のため、効率化による影響は大きいです。1回あたりの業務時間を10分削減できるだけで、年間数十時間の業務効率化にもつながるでしょう。
経費精算の課題
経費精算業務には、次のような課題があります。
- 不備差し戻しが多発し、会計処理に時間がかかる
- 経理担当者のチェック作業の負担が大きい
- 書類の管理コストがかかる
不備差し戻しが多発し、会計処理に時間がかかる
経費精算では不備が発生しやすく、差し戻しが発生して時間がかかってしまうことが多いです。従業員が立て替えて払った領収書やレシートなどを添付して、経費申請書を提出するという流れが一般的です。
この際に書類の添付漏れや、従業員への確認などが発生することが多く、差し戻しが多発してしまいます。このような確認業務が多くなり、経理担当者の業務負担が増加してしまうことが課題です。
経理担当者のチェック作業の負担が大きい
経費精算の課題の1つに、経理担当者の負担が大きいことがあります。経費精算では申請書の確認やExcelファイルへの入力、計算作業やミスの修正を行いますが、目視確認や手作業で行う場合が多いです。
このように膨大な業務量があるにもかかわらず、多くの会社では経理担当者は不足しています。万が一ミスが起きてしまうと再計算や修正作業に時間をとられることになり、さらに業務量が増えてしまいます。
書類の管理コストがかかる
経費精算は紙ベースで行われていることが多く、書類の管理コストがかかることも課題です。申請書類や領収などを保管するスペースも必要ですし、紙の管理では紛失してしまうかもしれません。
また以前の申請を遡ってチェックする場合でも、膨大な量の紙の中から探さなければなりません。このように経費精算では紙ベースによる作業量や保管の手間が多く、課題の1つとなっています。
経費精算を効率化する方法
経費精算を効率化するには、次のような方法があります。
- 経費精算システムを導入する
- ペーパーレス化・電子化を促進する
- テレワークなど多様な働き方を導入する
経費精算システムを導入する
経費精算を効率化する方法の1つが、経費精算システムの導入です。経費精算システムでは申請や内容の確認、承認などを行えるシステムで、次のような機能が付帯されています。
- 交通ICカードを自動入力できる
- 領収書を撮影して自動入力できる
- 交通費をルート検索して自動入力できる
- 経費申請をシステム上で承認や差し戻しできる
経費精算システムを導入することで、交通費や経費の入力を自動化できます。入力する従業員の負担を減らせるだけでなく、手作業によるミスも防げます。承認や差し戻しなどもシステム上で行えるため、作業の時間短縮も可能です。
ペーパーレス化・電子化を促進する
紙ベースの手続きを、ペーパーレス化・電子化することも効率化する方法です。ICカードとの連携機能を使えば、データを直接入力する必要がありません。入力の手間だけでなく、紙を管理するコストも省略できます。
領収書の保管なども、1998年に電子帳簿保存法が施行されてから、書類のスキャンによる保存やカメラで撮影した画像による保存が認められています。また2020年にはキャッシュレス決済についての緩和があり、利用明細のデータが領収書の代わりに使えるようになりました。電子化することで、経費精算業務を効率化できます。
テレワークなど多様な働き方を導入する
テレワークなど多様な働き方を導入することも、経費精算を効率化する方法です。経費精算をテレワークで申請できる環境を整えれば、出社する必要がありません。従来の紙ベースの申請では、わざわざ経費精算のために出社する必要があります。
経費システムなどを導入することにより、場所を選ばず経費精算ができるようになります。無駄な出社や移動時間がなくなり、経費精算が効率化できるでしょう。
経費精算システムを導入するメリット
経費精算システムを導入すると、多くの方にメリットがあります。申請者・承認者・経理担当、それぞれの立場でのメリットを見ていきましょう。
経費を申請する社員の場合
経費を申請する社員のメリットは、次の通りです。
- 書類作成の手間が省略できる
- 経費申請が時間や場所に縛られずできる
経費精算システムを使えば、申請する作業を大幅に短縮できます。領収書やカードの利用明細を自動で読み込んでくれるため、手作業で入力する必要がありません。
また紙ベースでの申請書類は不要になるため、場所を選ばず経費精算業務を行うことが可能です。テレワーク中や移動の隙間時間などに経費精算が行えるようになり、業務効率がよくなります。
経費申請を承認する社員の場合
経費を承認する社員のメリットは、次の通りです。
- 承認や否認の作業が簡単
- どこでも承認作業ができる
- 承認作業の管理が楽になる
経費精算システムでは、承認も差し戻しもボタン1つで行えます。従来の紙ベースではわざわざ本人に渡す必要があったため、管理者の負担は軽減できます。また場所を選ばないため、出張中での承認も可能です。
対応すべき申請はメールなどで通知が届くため、承認漏れを抑制し、作業の管理も楽に行えます。
経理担当者の場合
経理担当者のメリットは、次の通りです。
- 計算や確認作業が楽になる
- 仕訳作業が自動化できる
- 振込業務も効率化できる
紙ベースの経費精算では、経理担当は手作業でミスを確認する必要がありました。経費精算システムでは金額の確認なども自動で行えるため、作業負担を大幅に減らせます。
また仕訳や振込のデータも自動で作成できるため、経理業務も効率化が可能です。紙での申請だと一枚一枚目視で確認する必要がありましたが、経費精算システムでは自動で行えるためミスも防げます。
経費精算システムにより働き方改革が実現した事例
実際に経費精算システムの導入により、働き方改革が実現した事例を見てみましょう。
業種:クレジットカード業務
従業員数:501~1000名
【経費精算による効果】
- 毎月60時間もの経費精算業務を半分に短縮
- チャット機能の活用でコミュニケーションも円滑化
クレジットカードの発行を手がける同社では、社員が590名在籍し毎月120件もの経費申請が発生していました。表計算ソフトを使った紙ベースでの経費申請を、たった3名の経理担当で処理を行っています。そのため経費申請の承認から精算までの一連の作業に、毎月60時間も費やしていました。
効率化のために経費精算システムを導入したところ、従来の経費精算業務から大幅な効率化に成功しています。とくに手作業で行っていた領収書などのデータ入力が自動でできるようになり、差し戻しや再チェックといった作業がなくなったことが大きいです。
またチャット機能の活用により、社員同士のコミュ二ケーションも円滑になりました。従来の経費精算では内容確認のために電話やメールを使っていたため、時間を要することも多くありました。チャットであれば手短に要件が確認できるため、作業時間の短縮に役立っています。
経費精算システムの導入によって効率化ができたことにより、60時間かかっていた経費精算業務の時間を、半分に短縮することに成功しています。
働き方改革を実現する経費精算システムなら、マネーフォワード クラウド経費がおすすめ
マネーフォワード クラウド経費のおすすめポイント
- データの入力をカード連携やOCRで自動入力
- 経費精算のペーパーレス化が実現
- 振込・経理処理まで一気通貫で行える
マネーフォワード クラウド経費では、交通系ICカードやクレジットカードと連携ができるため、自動でデータを取り込めます。手入力に比べて時間短縮できるだけでなく、入力ミスも防げます。また領収書やレシートをスマホカメラで撮影するだけで、データを取り込むことも可能です。
申請から承認までの一連の業務をスマホで行えるため、ペーパーレス化ができます。また出社しなくても経費精算業務ができるようになるため、テレワークなどにも対応できます。チャット機能もついているため、内容確認などのコミュニケーションも円滑に行えるでしょう。
また経費精算業務から、従業員への振込までワンクリックで行えます。ビジネスカードと連携させることも可能で、従業員の立て替え払いも不要になります。精算漏れを防ぐこともできるだけでなく、早期にデータ連携できるため決算の早期化にも役立つでしょう。
経費精算システムの導入で効率化しよう
働き方改革によって残業時間の上限に規制がかかり、業務の効率化が求められています。とくに経費精算業務は全社員が行うため、効率化の効果は大きいです。しかし紙ベースで行っている場合も多く、データ入力やチェックなどの作業負担が多くあります。
経費精算を効率化させるには、経費精算システムの導入が効果的です。データは自動で入力できるため、作業が短縮できるだけでなくミスを防げます。場所を選ばず業務ができるようになるため、テレワークにも向いています。経費精算システムを導入すれば、大幅に業務を効率化できるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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