- 更新日 : 2024年8月8日
仮受金の仕訳はどうする?財務諸表での位置付けと取り扱い
仮受金は誰から支払われたのか、あるいはどうして支払われたのかが不明な入金や送金を振り分けられる勘定科目です。
ここではこの勘定科目の定義や財務諸表での位置付け、そしてどのように扱うべきかという考え方を解説します。また例を挙げて具体的な仕訳の方法についても解説します。
目次
仮受金の財務諸表での位置付け
仮受金の定義
仮受金はなぜ入金・送金されたのか、あるいは正確にいくら入金・送金されたのかが不明な場合に、一時的に会計処理を行うための勘定科目です。これに対し「仮払金」は使途や金額が不明確な支払いを処理するための勘定科目となります。
他には「前受金」といって、製品・サービスなどの引き渡しや提供前に内金や手付金を受け取った場合に使う勘定科目もあります。これは仮受金とは違い、入金・送金された理由や金額は明確です。
財務諸表での仮受金の位置付け
仮受金は財務諸表のうち、貸借対照表に表示されます。具体的には負債の部の流動資産のうち、「その他」に区分されます。この区分に含まれるのは仮受金以外に、未払金や前受金、製品保証引当金などです。
基本的には「その他」としてまとめて表示されますが、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の50条によれば仮受金の計上額が負債および純資産の合計額の5%を超える場合は、別途項目を設けて表示しなければなりません。
※未払金:1年以内に支払われる、もしくは支払う見込みの金銭債務。本来の営業取引以外の単発的取引によるものや、本来の営業取引における金銭債務のうち、買掛金以外のものを処理するための勘定科目です。
※製品保証引当金:引当金の一種。製品の販売または請負物件の引渡し後の無償保証契約や瑕疵担保責任によって、翌期以降に発生すると見込まれる保証費用に備えて計上する勘定科目です。保証期間が1年以内の場合は流動負債として計上されますが、1年超の場合には固定負債として計上されます。
仮受金として振り分ける際の注意点
通帳などを見ながら仕訳処理をしていると、具体的な取引内容がすぐにはわからない場合があります。そのような場合に毎回資料などを調べていると、その都度仕訳処理が進まなくなってしまいます。
仮受金を使えば一時的に仕訳処理ができるので、このような事態を防ぐことができます。
しかし一度仮受金として振り分けたら、できるだけ早くに精算・振替処理を行わなくてはなりません。仮受金として放置しておく期間が長くなるほど、実際の取引内容がどのようなものだったかを調べるための時間も余計にかかってしまうからです。
仮受金はあくまで「一時的な処理のための勘定科目」という認識を持っておくようにしましょう。
仮受金の仕訳例
取引先から内容不明の入金が20万円あったケース
取引先から20万円の入金があったが、何のお金かわからないという場合を考えましょう。このとき普通預金は20万円増えるため、借方科目が普通預金となり、金額は20万円となります。
普通預金が増加した理由は取引先から内容不明の20万円の入金(仮受金)があったからです。したがって借方科目が仮受金となり、金額は20万円となります。摘要欄にはこの場合「内容不明入金」「科目不明入金」などと記入します。
後日この入金について取引先に問い合わせると、売掛金の入金であることがわかったとします。これを受けて仮受金を売掛金に振替処理するときの仕訳は以下のとおりです。
出張中の従業員から普通預金口座に10万円の内容不明の入金があったケース
出張中の従業員から何の連絡もなしに普通預金口座に10万円の振り込みがあった場合はどうでしょうか。普通預金は10万円増えるため、借方科目が普通預金となり、金額は10万円となります。
普通預金の増加の理由は従業員による内容不明の10万円の入金(仮受金)です。したがって借方科目が仮受金となり、金額は10万円となります。
出張から帰ってきた従業員に問い合わせてみると、この10万円が新規顧客からの取引の手付金だということがわかったとします。これは勘定科目では「前受金」に区分されるため、仮受金を前受金に振替処理します。
仮受金として処理していた3万円の取引内容が判明しなかったケース
内容不明の入金として仮受金で処理していた3万円について決算時に調査をしてみたところ、結局実際の取引内容がわからなかった場合は、この3万円を「雑収入」として振り替えます。
まとめ
仮受金はあくまで一時的な対応策でしかありません。内容不明入金や科目不明入金などは可能な限りその場で処理し、どうしても時間がかかるような場合のみ仮受金を適用するようにしましょう。
また適用した場合も決算時や月末時と言わず、できるだけ早く適切な勘定科目に振替処理するのが基本です。
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・仮払金の仕訳はどうする?財務諸表での位置付けと取り扱い
・【前受金とは?】前払金、仮払金など類似する勘定科目との違いを解説
・仕訳帳の書き方の基礎知識
よくある質問
仮受金とは?
なぜ入金・送金されたのか、あるいは正確にいくら入金・送金されたのかが不明な場合に、一時的に会計処理を行うための勘定科目です。詳しくはこちらをご覧ください。
財務諸表での仮受金の位置付けは?
仮受金は財務諸表のうち、貸借対照表に表示され、具体的には負債の部の流動資産のうち、「その他」に区分されます。詳しくはこちらをご覧ください。
仮受金として振り分ける際の注意点は?
仮受金はあくまで「一時的な処理のための勘定科目」という認識を持つことが大切です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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