- 更新日 : 2024年8月8日
法人税申告書の別表5とは?見方や書き方、注意点まで解説
別表5は、利益積立金額の計算に関する申告書です。別表5を自社で作成する場合どのように作成していけばよいか、別表5の書き方と注意点を紹介します。
目次
法人税申告書の別表5とは
法人税申告書の別表5は、利益積立金や租税公課の納付に関する申告書です。5(1)は、利益積立金額や資本金等の額の計算を示した明細書で、株主資本等変動計算書や別表4の所得税の金額の計算の明細書を使って作成します。
別表5(1)付表は、「種類資本金額の計算に関する明細書」です。2以上の種類の株式等の発行があるときに作成します。発行済み株式が普通株式のみなど1種類のときは必要ありません。
別表5(2)は、利益積立金額の計算に必要な租税公課の発生や納付にかかわる明細書です。
5(1)と5(2)は法人の確定申告、仮決算による中間申告時に作成・提出します。様式は国税庁のサイトやe-Taxソフトからダウンロード可能です。
法人税申告全体の作成手順は以下の記事で解説しています。
法人税申告書の別表5に記載する主な項目と書き方
法人税申告書の別表5のうち、基本的に作成が必要な別表5(1)と別表5(2)の書き方を説明します。
別表5(1)「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」
別表5(1)は利益積立金や資本金に関する申告書です。
Ⅰ 利益積立金額の計算に関する明細書
出典:利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書|国税庁
別表4「所得の金額の計算に関する明細書」の加算項目・減算項目のうち、留保金額のある項目を別表4より転記していきます。
①期首現在利益積立金額
別表4から転記した項目のうち前期から留保されている金額を記載します。
②当期の増減(減)
当期中に減少した金額を記載します。
③当期の増減(増)
当期中に増加した金額を記載します。
④差引翌期首現在利益積立金額
翌期に繰り越す金額です。①の金額から②を減算し、③を加算した金額を記載します。
出典:利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書|国税庁
25.繰越損益金
①と②の額には当期首の利益剰余金の額、③と④には当期末利益剰余金の額を記載します。
26.納税充当金
納税充当金は未払法人税等の額のことです。①には当期首の納税充当金の額、②には当期の納税充当金の減少額、③には当期の納税充当金の増加額、④には当期末の納税充当金の額を記載します。
27~30.未納法人税等
未納法人税に関する項目です。①は当期首の未納額、③の中間は中間申告分です。②の当期の減少額には、基本的に①と③の中間申告分の額の合計額が入ります。③に記載するのは確定申告分の未納法人税等で、別表5(2)より転記します。
31.差引合計額
差引合計額は、①、②、③、④それぞれの縦列の合計額を記載する項目です。
Ⅱ 資本金等の額の計算に関する明細書
出典:利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書|国税庁
資本金や出資金に関する事項を記載する部分です。基本的に、株主資本等変動計算書より転記します。
32.資本金または出資金
①には当期首の資本金または出資金の額、②は当期の減少額、③は当期の増加額、④には当期末の額を記載します。
33.資本準備金
「32」の書き方と同じです。
34~35.
株主資本等変動計算書の資本金等の額がほかにあれば記載します。
36.差引合計額
①、②、③、④それぞれの縦列の合計額を記載します。
別表5(2)「租税公課の納付状況等に関する明細書」
利益積立金額の計算において控除する法人税等について、納付状況を示す申告書です。1~29の各項目は、①期首現在未納税額、②当期発生税額、③充当金取り崩しによる納付、④仮払経理による納付、⑤損金経理による納付、⑥期末現在未納税額、を記載する欄が設けられています。
1~5.法人税及び地方法人税
法人税と地方法人税に関する項目です。未納額があれば空欄に記載します。当期分の中間・確定の横列に当期発生分、納付税額、期末時点の未納額を記載します。
6~15.道府県民税・市町村民税
法人住民税にかかわる項目です。記載要領は1~5と同じです。
16~19.事業税及び特別法人事業税
基本的な書き方は、法人税や住民税の各欄と同じです。ただし、前期確定分は当期の発生額として「17」の②に記載する必要があります。
20~29.その他
損金算入または損金不算入にかかわるそのほかの税金の項目です。該当する税金があるときに記載します。記載の要領は法人税などと同じです。
特に損金不算入の、加算税や延滞税、過怠税などは重要な項目です。損金にはできない項目のため漏れなく記載するようにしましょう。
納税充当金の計算
納税充当金の計算欄は、先に記載した項目と対応する部分もあります。先に、法人税など各種税目の納付状況の記載を行ったうえで記載していきます。
30.期首納税充当金
期首納税充当金は①の期首現在未納税額(事業税等は②の当期発生税額)を合計した金額を記載します。
31~33.繰入額
繰入額は納税充当金に繰り入れられた額のことです。「31」の損金経理をした納税充当金には、⑥の期末現在未納付額の合計額を記載します。
34~40.取崩額
取崩額は当期中に取り崩した納税充当金の額です。
「34」法人税額等:③の充当金取り崩しによる納付の合計額(法人税等・道府県民税・市町村民税の合計)を記載します。
「35」事業税及び特別法人事業税:事業税等の項目から③の充当金取り崩しによる納付の額を転記します。
「36」損金算入のもの:その他の「損金算入のもの」の合計額を記載します。
「37」損金不算入のもの:その他の「損金不算入のもの」の合計額を記載します。
「39」仮払税金消却:仮払金として前期以前に納付した税金を消却したときに記載します。(納税充当金で仕訳した場合)
41.期末納税充当金
「30」の期首納税充当金の額に「33」の繰入額の合計を加算し、「40」の取崩額の合計を減算した金額を記載します。
通算法人の通算税効果額の発生状況等の明細
グループ通算制度を適用して通算税効果額の会計処理を行う場合に記載が必要な項目です。通算法人でない法人は記載する必要はありません。
法人税申告書の別表5を書く際の注意点
別表5(1)の利益積立金の差引合計額が正しいかどうか、別表4を使って試算できます。通常であれば、下記のような値になるはずです。
別表5(1)「31」④ = 別表4「51」② + 「52」② - (「27」「29」「30」の③の合計)±「28」③
一致しない場合は計算に誤りがあるか、適格合併などの特殊なケースで一致していない可能性があります。
また、別表5では「納税充当金」の項目が出てきます。会計上は、未払法人税等で表現されている項目です。貸借対照表上の未払法人税等と一致している必要があります。
別表5は基本的に作成が必要な申告書
別表5(1)は利益積立金額や資本金に関する明細書、別表5(2)は利益積立金額の計算にかかわる租税公課の計算に関する明細書です。いずれの申告書も、確定申告を行う法人、仮決算で中間申告を行う法人は作成する必要があります。作成には株主資本等変動計算書などの決算書も要するため準備しておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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