• 作成日 : 2022年9月9日

ホームページの耐用年数と減価償却費計算を解説

ホームページの耐用年数と減価償却費計算を解説

ホームページとは、企業・個人などにより設置されたWebサイトを指します。物体として存在するものではないため、会計上の資産としてどのように扱うべきか疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。この記事では、ホームページを資産として扱った際の耐用年数や、減価償却費の計算方法、仕訳についてなどをご紹介していきます。お金をかけて制作したホームページを資産として正しく管理していきましょう。

ホームページは減価償却が必要?

インターネットが広く普及した昨今、商品やサービスの宣伝、顧客とのコミュニケーションなどのためにホームページの設置は必要不可欠な要素となっています。ホームページは制作サービスを利用し、無料で作ることができる一方、デザイン性や機能性を充実させる場合には何百万円もの制作費用が必要になる場合があります。

ホームページ制作のために支払った代金は、以下全ての条件を満たすことで費用の勘定科目広告宣伝費」に計上できるようになります。

  • 会社概要や事業内容などを紹介するだけの簡易的なホームページである
  • 制作費用の効果が1年以上に及ばない、または20万円未満の制作費用である

制作費用の効果が1年以上に及ぶか否かは、以下の条件で判断されます。

  • 1年以内に大規模または全面的な更新が行われた
  • 長期間更新されなくても継続して使用可能

すなわち、制作費用の効果が1年以上に及ぶ、もしくは20万円以上の費用をかけて制作したホームページは無形固定資産とされ、減価償却の対象となります。

減価償却の詳しい説明は以下の記事をご覧ください。

ホームページがソフトウェア(固定資産)となるケース

ホームページを無形固定資産としてみなす場合、一般的にはソフトウェアの勘定科目で処理します。ソフトウェアとはコンピューター上で動くプログラムを指す言葉であり、原則として取得費用が20万円以上のプログラムをソフトウェアとして計上します。

ホームページがホームページとしてみなされる要素のひとつに「機能性」があります。イラストや写真、テキストを掲載するだけのホームページは、プログラムとしての機能性を持っていると判断されないかもしれません。しかし、通信を要する動画の再生機能や顧客の質問に自動回答するBOT機能などが盛り込まれていれば、機能性ありと判断されソフトウェアに計上できるでしょう。

また、ECサイトのようにデータベースとの通信機能、通信結果を反映させる表示機能、商品情報の更新機能、アカウント作成およびログイン機能など多彩な機能を持っているホームページは、ほとんどの場合ソフトウェアとみなされます。

さらには一度広告宣伝費として処理したホームページにログイン機能を追加した場合などは、機能性を持ったソフトウェアの開発としてみなされ、ソフトウェアとして計上する必要があるでしょう。

ホームページの耐用年数

ホームページを無形固定資産のソフトウェアとして扱う場合、税法で定められた耐用年数に応じた減価償却を行う必要があります。
国税庁では、ソフトウェアの耐用年数について以下のように定めています。
(1)「複写して販売するための原本」または「研究開発用のもの」:3年
(2)「その他のもの」:5年

参考:No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数|国税庁

一般消費者に公開し、商品の販売や会社の宣伝などに使用するホームページは(2)にあたるため、耐用年数(償却期間)は5年となります。

しかし実態として、ホームページが更新なしで機能する(制作時の価値を維持する)のは3年程度と考えられています。そのため耐用年数の5年を待たずに、なんらかの更新をしていく必要があるでしょう。

ホームページ制作費用の仕訳と減価償却計算例

ここでは、企業の宣伝広告や商品PRを目的としたホームページの制作費用の仕訳方法や、減価償却の方法について、具体例を交えて解説していきます。

費用として計上する場合

機能性がない、または制作費用が20万円未満のホームページは費用の勘定科目である広告宣伝費として計上します。

(例)
ホームページ制作を外部企業に発注し、当月中に納品を受けた。制作費の15万円は普通預金より支払っている。

借方
貸方
広告宣伝費
150,000円
普通預金
150,000円

なお、青色申告書を提出する中小企業は、取得価格30万円未満の減価償却資産に限り、他の資産と合計して300万円を限度に全額費用計上する「少額減価償却資産の特例」を適用することが認められています。

無形固定資産として計上する場合

オンラインショッピング機能や商品検索機能、会員機能など、プログラムが含まれるホームページは、無形固定資産(ソフトウェア)として計上します。

(例)
ホームページ制作を外部企業に発注した。商品購入・商品登録・商品検索・会員管理機能を盛り込み、当月中に納品を受けた。制作費の200万円は普通預金より支払っている。

借方
貸方
ソフトウェア
2,000,000円
普通預金
2,000,000円

ホームページをソフトウェアとして計上した場合、期末に減価償却を行う必要があります。ソフトウェアの耐用年数(償却期間)は5年であり、期中に取得した固定資産の減価償却は月割りで処理を行います。

(例)10月15日(会計期間:1月1日~12月31日)に2,000,000円で取得したホームページの減価償却を行う。償却方法は定額法、記帳方法は間接法とする。

借方
貸方
減価償却費
100,000円
減価償却累計額
100,000円

年間の減価償却費:2,000,000円×0.200(定額法の5年償却率)=400,000円
期中に取得したため月割り計算:400,000円×3カ月÷12カ月=100,000円
※1カ月未満の月は1カ月に繰り上げて計算

ホームページは資産区分の見極めが必要

減価償却の必要がないホームページは、ソフトウェアとみなされない簡易なホームページや、作成費用の効果が1年以上に及ばないものか、作成費用が20万円未満のホームページです。一方、ソフトウェアとみなされるホームページは、5年で減価償却をする必要があります。条件によって仕訳や会計処理が異なるため、経費になるか、資産になるかを見極めてください。

よくある質問

ホームページは減価償却が必要?

ソフトウェアとみなされない簡易なホームページや、作成費用の効果が1年以上に及ばないものか、作成費用が20万円未満のホームページは原価償却の必要がありません。詳しくはこちらをご覧ください。

ホームページの耐用年数は?

無形固定資産(ソフトウェア)とみなされるホームページの耐用年数(償却期間)は5年です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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