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  • 更新日 : 2021年6月9日

仕掛品の意味や半製品との違い 棚卸資産での計上方法や読み方まで解説

仕掛品の意味や半製品との違い 棚卸資産での計上方法や読み方まで解説

製造業における工業簿記や商的工業簿記の決算では、仕掛品の計上は非常に大きな意味を持っています。
 
この記事では、仕掛品、半製品などの棚卸資産の意味やそれぞれの違い、計上方法などを仕訳とともに解説します。もちろん、それぞれの読み方も付しながら初心者にもわかりやすく説明します。

仕掛品の意味

仕掛品(しかかりひん)とは、企業会計において、製造途中の段階で未完成の状態の製品のことであり、原材料を少しでも加工している製品のことを指します。仕掛かっている、やりかかっている品という意味です。ただ、これだけの説明だと、仕掛品についてピンとこないかと思いますので、具体例を挙げてみましょう。

たとえば、クッキーの製造販売をしている小さな会社があったとします。
 
この会社は小麦粉やバターといった材料、工員、オーブンや厨房を使ってクッキーを作り、大手菓子店に卸販売をしているという仮定で話を進めます。
 
その場合、仕入、労務費、経費、仕掛品などの勘定科目の関連は次のようになります。

仕掛品 

クッキーを製造するために必要な小麦粉やバター、卵など材料仕入や製造に携わる人に支払う労務費、消耗品費減価償却費などの経費は、すべていったん仕掛品勘定に入ります。その中から、クッキーとして完成したものが製品となり、販売すると売上原価となります。

このように、仕掛品とは「一方では材料や労力を投入し、他方では完成した製品を取り出すといった製造過程にあるもの」を指します。

仕訳においては、仕掛品の代わりに「製造」勘定を使うこともありますが、一般には仕掛品勘定が製造原価の各要素を集計するための科目という理解で問題ありません。

上の例では、決算において貸借対照表に表示される残高は次のようになります。

製品7,500
材料600
仕掛品2,500

仕掛品が棚卸資産であるということは、期末仕掛品の残高は生産性に大きく関係するということです。

上の図の仕掛品勘定において期末仕掛品が多いということは、製品となって完成したものが少ないか、材料などの投入が少ないことを意味します。

期末仕掛品が多いと、そこに投入した労務費や材料などが製品にならず、売上低下の原因となります。

また、管理すべき仕掛品が多いと、管理のための労務費が発生したり、決算における実地棚卸作業が煩雑になったりする他、完成までの期間が長くなると製品の品質にも影響します。

材料、労務費、経費などの投入量と、それから作り出される製品の産出量の比率を生産性といいますが、仕掛品のコントロールは製造業にとって非常に重要です。

半製品との違い

製造途中の製品には、仕掛品のほかに半製品(はんせいひん)となるものもあります。半製品とは、会社にとって中間的製品であり、自社製品の加工に利用もできますが、そのまま外部に販売ができる状態のものを指します。

たとえば、上の例でクッキー生地の状態で販売した場合などです。
これに対し、仕掛品はそれ自体では、外部に販売するには価値を認められませんが、自社にとっては完成前の製品として価値を持っているといえます。

一般には、棚卸資産の中では貸借対照表の表示は「現金化しやすい」順番に上から並べる方法によります。したがって、上から順に製品、材料、半製品、仕掛品という順序となります。

仕掛品の評価について

仕掛品の期末評価は、認められた方法により正しく評価し、計上する必要があります。

法人税においては、棚卸資産の価額の評価は事業の種類ごとに、かつ、次の区分ごとにそれぞれ一定の評価方法によって行わなければならないとされています。

(1) 商品又は製品(副産物及び作業くずを除く。)
(2) 半製品
(3) 仕掛品(半成工事を含む。)
(4) 主要原材料
(5) 補助原材料その他の棚卸資産

棚卸資産として計上する際の評価方法

棚卸資産の評価方法は大きく原価法と低価法に分けられ、原価法においては個別法、先入先出法などがあります。これらの評価方法のうち、どの方法を採用するかは事前に税務署に届け出ておく必要があります。

原価法における評価方法

  1. 最終仕入原価法(さいしゅうしいれげんかほう)
  2. 個別法 (こべつほう)
  3. 先入先出法(さきいれさきだしほう)
  4. 総平均法 (そうへいきんほう)
  5. 移動平均法(いどうへいきんほう)
  6. 売価還元法(ばいかかんげんほう)

実際には、棚卸方法についての届出は設立第1期の確定申告書の提出期限、変更届は事業年度開始の日の前日となっていますので、実際には法定評価方法である「最終仕入原価法」を採用するのが多いかと思います。

最終仕入原価法とは、棚卸資産の種類等の同じものについて、年度終了時から一番近い時に取得した価額をその単位あたりの評価額とする方法です。

評価方法として過去には、「後入れ先出し法」といって後に仕入れたものを先に出したと仮定して期末評価をする方法がありました。しかし、国際会計基準IFRS)においてものその採用を認めないとしたため、改正企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」により、2010年4月 1日 以降は廃止され、法人税法においても認められなくなりました

具体的な仕掛品の評価はそれぞれの評価方法によりますが、製造に投入した材料や経費が多くなればなるほど複雑になります。会計ソフトではなく、原価計算システムの導入により効率化するのもよいでしょう。

また、6の売価還元法とは、期末の売価合計額に原価率を乗じて求めた金額を期末棚卸資産の価額とするもので、売価から原価を算定する他とは異なった方法です。

低価法は、原価法による評価額と期末時価を比較し、どちらか低い方をとる評価方法です。

仕掛品の仕訳

仕掛品
ここで、仕掛品勘定をもう一度見てみましょう。
仕掛品勘定には元々前期末の仕掛品残高が期首仕掛品としてあります。
そこに製造に投入した材料費、労務費、各種製造経費が加わり、完成したものは製品勘定に振り替えます。そして残ったものが当期末仕掛品残高となります。

もっとも簡単な仕訳は次のようになります。

【仕掛品への投入】

借方
貸方
仕掛品2,100円材料費2,100円
仕掛品3,000円労務費3,000円
仕掛品2,300円消耗品費などの経費2,300円

【製品への振替え】

借方
貸方
製品4,900仕掛品4,900

しかし実際には、会計ソフトに棚卸資産として認識させておけば、期末振替については自動的に計算されるので、このような仕訳は不要です。

そして最後に棚卸評価額の振替が必要となります。期首仕掛品や期末仕掛品は製造原価報告書や損益計算書に表示されます。

借方
貸方
期末仕掛品1,500円仕掛品1,500円
仕掛品2,500円期末仕掛品2,500円

また、実際には直接費としての製造経費以外に、製造間接費も仕掛品への振替項目となります

間接費とは「直接の原価ではないが、間接的に原価となるもの」です。先に挙げたクッキーの例でいえば、別にクッキーのレシピを考える人がいれば間接労務費として、コロナ対策のための費用などは間接経費として該当部分は仕掛品に投入されることとなります。

仕掛品を正しく理解しよう!

製造業にとっていつまでも仕掛品勘定の中に入っているものは、製造のサイクルから大きく外れた不良在庫であるといえます。
しかしながら、正常なサイクルにおける仕掛品の積み上げは、次期の売上に大きく貢献するものでもあります。

製造業における仕掛品管理は、材料が製品になるまでの過程すべての管理といってもいいくらい広範囲に及びます。製造業における仕掛品の意味を正しくとらえ、その工程や製品にあった管理方法を見つけていきましょう。 

よくある質問

仕掛品とは?

企業会計において、製造途中の段階で未完成の状態の製品のことであり、原材料を少しでも加工している製品のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

半製品との違いは?

会社にとって中間的製品であり、自社製品の加工に利用もできますが、仕掛け品とは違って、そのまま外部に販売ができる状態のものです。詳しくはこちらをご覧ください。

原価法における評価方法は何を採用する?

「最終仕入原価法」を採用するのが多いかと思います。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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