• 作成日 : 2022年2月10日

人名勘定とは?仕訳やメリットの解説

人名勘定とは?仕訳やメリットの解説

本記事では人名勘定のことを知らない人のために、概要やメリット・デメリット、具体的な仕訳例を紹介しています。人名勘定はそれほど使われる機会が多い方法ではありませんが、小規模な企業においては日常的に人名勘定で対応している場合もあります。人名勘定の帳簿に出会っても適切に対応できるように、基礎知識を習得していきましょう。

人名勘定とは

人名勘定とは売掛金買掛金を計上する際に「売掛金」「買掛金」勘定を使用せずに、取引先の名前をそのまま勘定科目として使用する方法のことです。なお人名勘定は「債権債務勘定」と呼ばれることもあります。

なぜわざわざ取引先名を勘定科目にして使用するのでしょうか?その理由は「売掛金」「買掛金」勘定だけだと、複数の取引先がある場合に取引先ごとの債権債務残高が分からなくなってしまう可能性があるからです。取引先名を勘定科目として使用する人名勘定であれば、取引先別の残高を簡単に把握できます。

例えば、A商事あての売掛金であれば「売掛金」勘定ではなく「A商事」を勘定科目として使用することになります。人名勘定を使う場合は、取引先の数だけ勘定科目を作って対応するというわけです。

人名勘定はあくまで売掛金や買掛金として用いるものであり、誤って売上や仕入、受取手形支払手形の代わりに使ってしまうことがないよう注意しましょう。

なお、貸借対照表上に取引先の名前を掲載するわけにはいかないため、決算時には「売掛金」「買掛金」勘定に振り替える決算整理仕訳を行って対応します。

人名勘定を使わずに取引先別残高を確認する方法

人名勘定は取引先別の債権債務残高を把握するために用いられる方法です。しかし、取引先ごとに勘定科目を作って仕訳をすることに、違和感がある人も多いのではないでしょうか。

実は取引先別の残高は得意先元帳、仕入先元帳などの補助元帳を使って対応が可能です。ほとんどの企業が「売掛金」「買掛金」の勘定科目を使いながら、債権債務ごとに取引先情報を紐づけ登録する形で対応しているのではないでしょうか。

こうした実態から、実務で人名勘定を使っているのは補助元帳を作るまでもない小規模な企業が中心となっているようです。

人名勘定を用いた仕訳の例

人名勘定に触れたことがない人にとっては、勘定科目に取引先名を使うとどのような仕訳になるか想像もつかないのではないでしょうか。

人名勘定が使えるのは「売掛金」「買掛金」の勘定科目のみです。ここでは「商品を掛けで仕入れた」「商品を掛けで販売した」「売掛金を回収した」の3パターンを、人名勘定で仕訳した事例を紹介します。

人名勘定が関係するほとんどの事例はこのパターンで対応できるため、それほど難しい仕訳はありません。知識として知っておくと便利です。

(仕訳例1)
A商事から商品5万円を掛けで仕入れた。

借方
貸方
摘要
仕入
50,000円
A商事
50,000円
〇商品×個

買掛金の代わりに取引先名「A商事」を使います。

(仕訳例2)
B商事に商品8万円を掛けで販売した。

借方
貸方
摘要
B商事
80,000円
売上
80,000円
〇商品×個

売掛金の代わりに取引先名「B商事」を使います。

(仕訳例3)
B商事あての売掛金8万円を現金で回収した。

借方
貸方
摘要
現金
80,000円
B商事
80,000円
掛代金回収

売掛金の代わりに用いられた「B商事」を取り消す仕訳となっています。

人名勘定の仕訳がよく分からなくなったときは、まずは「売掛金」「買掛金」勘定を用いて普段通りの仕訳をしてみて、売掛金や買掛金を取引先名に置き換える方法がおすすめです。

人名勘定のメリット

あえて人名勘定を使うメリットとしては、取引先ごとの債権債務残高や取引状況を総勘定元帳で簡単に把握できることが挙げられます。取引先別の残高が簡単に把握できれば、債権債務の消し込み(債権債務と入出金を紐づけること)をしているときに間違いが起きづらくなります。

債権債務の消し込みは日常業務の中で何度も繰り返す取引です。それだけミスも起きやすくなるため、人名勘定を使えば「消し込みミスによって金額が合わない」という事態を避けやすくなります。

ただし、人名勘定にはデメリットもあります。それは、人名勘定では取引先の数だけ勘定科目を設ける必要があることです。英語表記、カタカナ表記、全角・半角の違いなどが混在しやすいだけでなく、親会社と子会社、本社と事業所のどちらで登録するかという問題も生まれます。取引先が多い企業では、かえって会計処理が複雑になってしまう可能性もあるということを認識しておきましょう。

こうしたデメリットから、実務上で人名勘定が用いられることはほとんどありません。実務上は「売掛金」「買掛金」勘定を使用し、取引先ごとの債権債務の管理には得意先元帳、仕入先元帳などの補助元帳を使って対応することが一般的です。

メリットを把握して人名勘定を使いこなそう

本記事では、人名勘定の概要や具体的な使い方について説明しました。見慣れないうちは戸惑ってしまいがちですが、使い方自体はとてもシンプルなのが人名勘定の特徴でもあります。

人名勘定を実務で使うことはほとんどありませんが、知識として知っていれば人名勘定の帳簿に出会ったとき冷静に対応できます。頭の片隅に入れておきましょう。

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よくある質問

人名勘定とは?

人名勘定とは、売掛金や買掛金を計上する際に「売掛金」「買掛金」勘定を使用せずに、取引先の名前をそのまま勘定科目として使用する方法のことです。 詳しくはこちらをご覧ください。

人名勘定を使うメリットは?

人名勘定を用いることによって、取引先ごとの債権債務残高や取引状況を総勘定元帳で簡単に把握できます。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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