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  • 作成日 : 2019年10月17日
  • 更新日 : 2020年10月12日

財務分析の方法・やり方を解説!必要指標とそれぞれの計算方法

財務分析

財務分析とは、決算書などを見ながら、企業の現状や問題点を把握することです。企業の現状や問題点を把握することで、改善点がわかり、今後の経営戦略を立てるのに役立ちます。

財務分析は、企業の成長のために欠かせない重要な指標であるため、経営者は必ず理解しておく必要があります。

そこで、ここでは財務分析の概要からそのやり方まで、財務分析の基本について詳しく解説します。

財務分析とは

財務分析とは、経営者や投資家、取引先などが、企業の現状と問題点を把握し、それに基づき意思決定をするために、財務諸表を分析、比較、解釈することを言います。財務諸表分析と呼ばれることもあります。

財務分析は以下の5つの目的によって分類されるのが一般的です。

  • 収益性分析
  • 安全性分析
  • 生産性分析
  • 効率性分析
  • 成長性分析

財務分析を行うための必要書類

財務分析の目的とは、自社の経営成績を分析し、他社との比較などを行うことです。財務分析を行うためには、決算書、つまり貸借対照表損益計算書が必要になります。
この貸借対照表と損益計算書についてまずは見ていきましょう。

貸借対照表

貸借対照表とは、企業の財政状態を明らかにするための書類であり、その時点における会社の資産・負債・純資産の金額を表示するものです。3月決算の会社であれば、3月31日時点の会社の財政状態を表示しています。

資産とは、現金・普通預金・売掛金・建物などの固定資産といった、会社が持っている財産のことです。それに対して、負債とは、買掛金借入金などの会社が第三者に対して負っている支払義務のことです。
そして、純資産とは、資産と負債の差額のことであり、企業が持っている自己資本のことです。

損益計算書

損益計算書とは、企業の経営成績を明らかにするために、一会計期間における収益と費用の金額を表示するものです。3月決算の会社であれば、期首の4月~期末の3月までの会社の経営成績を表示しています。

収益とは簡単に言えば、会社の収入を言い、費用とは会社が支出したものを言います。この収益と費用との差額が、利益になります。

決算書の読み方・見方

決算書とは決算時点の企業の財務状態や、その期の経営成績を示すための財務諸表です。現金や借入金などの資産や負債の状況が記載されている「貸借対照表」と、売上や仕入などの収益や費用の状況が記載されている「損益計算書」に分かれます。その他にも、決算書には「キャッシュフロー計算書」などの書類があります。

決算書は、主に企業の利害関係者が企業の状況を判断するためのものです。例えば、税務署に確定申告として決算書を提出します。税務署は決算書を見て、納税におかしいところがないかなどを確認します。株主も決算書を見て企業の状況を把握し、今後の出資などの参考にします。

さらに融資を受けている、または融資を受けようとしている金融機関も、決算書を見て企業の状況を判断し、今後の融資などの参考にします。

出資や融資は企業の成長には欠かせないものです。そのため、経営者は必ず決算書の正しい見方や読み方を把握しておく必要があります。

財務分析の4つの手法

では、貸借対照表と損益計算書を使って、どのように財務分析を行うのかを説明していきます。財務分析を行うための指標を財務分析指標と呼びます。
財務分析指標は、財務分析によって行う分析の性質ごとに分けることができます。その性質ごとにどのような分析を行うかは以下の通りです。

収益性分析

収益性分析とは簡単に言うと、企業の稼ぐ力がいくらかを示す指標のことです。収益分析の代表的な指標は、次の3つです。

  • 総資本経常利益
  • 総資本経常利益率 = 経常利益 ÷ 総資本 × 100%

    総資本経常利益率は、株主や銀行などで集めたすべての資本を用いて、いくらの利益を稼いだかを表す指標です。

    経常利益とは、支払利息受取利息など、営業活動以外の収益や費用も加味した利益のことです。

  • 株主資本(自己資本)経常利益率
  • 株主資本経常利益率 = 経常利益 ÷ 自己資本 × 100%

    株主資本経常利益率は、主に株主から集めた資金(自己資本)を用いて、いくらの利益を稼いだかを表す指標です。

  • 経営資本営業利益
  • 経営資本営業利益率 = 営業利益 ÷ 経営資本 × 100%

    経営資本営業利益率は、本業に特化している指標で、本来の営業活動で使っている資本からいくらの本業の利益を稼いだかを示す指標です。計算に使う利益には、本業の利益を示す「営業利益」を用います。

また、計算に使う資本には建設仮勘定や遊休資産、投資その他、繰延資産などを除いた資本を使います。

基本的にはどの指標も、利益率が高いほど効率的な経営と言えます。

この他にも、売上高に対する利益の割合を表す「売上高利益率」や損益が0円となる売上高である「損益分岐点売上高」(固定費 ÷ 限界利益率({1-(変動費 ÷ 売上高)})を収益性分析に使うこともあります。

安全性分析

安全性分析は、企業の支払能力を示す指標です。短期的な支払能力と長期的な支払能力を分析することで、企業の倒産リスクを評価します。

<短期的な財政安全性分析>
短期的な財政安全性分析を評価する指標には次の2つがあります。

  • 流動比率
  • 流動比率 =流動資産 ÷ 流動負債 × 100%

    流動比率は、企業の短期支払能力を分析する指標です。

  • 当座比率
  • 当座比率 =当座資産÷流動負債×100%

    当座比率も、企業の短期支払能力を分析する指標です。当座資産とは、換金性の高い資産のことで、今すぐには負債の支払財源として使えないものを除いたものです。例えば現金、受取手形、売掛金などが当座資産になります(貸倒引当金がある場合には、貸倒引当金を控除した額)。

<長期的な財政安全性分析>
長期的な財政安全性分析を評価する指標には次の2つがあります。

  • 負債比率
  • 負債比率 = 他人資本(負債)÷ 自己資本 × 100%

    負債比率は、資本と負債の比率を表す指標です。自己資本でどれだけ負債を支払うことができるのかを示す指標で、負債比率が低いほど安全性が高まります。

  • 固定比率
  • 固定比率 = 固定資産 ÷ 自己資本 × 100%

    固定比率は、 固定資産がどれくらい自己資本でまかなわれているかを示す指標です。100%を下回れば固定資産がすべて自己資本でまかなえており、安全なことがわかります。

生産性分析

生産性分析とは、企業が投入した経営資源に対して、いくらの付加価値を得たのかを示す指標です。付加価値とは、企業が労働や設備などの手段によって新たに付加した価値のことです。
付加価値を数値化したものが、「付加価値額」です。

付加価値を得るためには、人件費や賃貸料などの経費がかかるため、営業利益にそれらを足して価値を求めます。付加価値の計算は、一般的には次の計算式で求めます。

付加価値額 = 経常利益 + 人件費 + 金融費用 + 賃借料租税公課

生産性分析にはさまざまな指標がありますが、ここでは、労働者一人あたりが生み出した付加価値に注目した指標を見ていきます。

  • 労働分配率
  • 労働分配率 = 売上総利益 ÷ 人件費 × 100%

    労働分配率とは、会社の付加価値に対する人件費の割合を表した指標です。労働分配率が高い方が、少ない人件費で多くの付加価値を上げている会社と言えます。しかし、労働分配率が高すぎると、人件費が低すぎることを示している場合もあるので注意が必要です。

  • 付加価値労働生産性
  • 付加価値労働生産性 = 付加価値額 ÷ 平均従業員数

    付加価値労働生産性は、労働者一人あたりが生み出した付加価値を表した指標です。上述した付加価値額を使って、生産性を計算します。付加価値労働生産性が高ければ、それだけ効率の良い生産性が上げられていることになります。

効率性分析

効率性分析とは、企業が資本などを投下して、いかに効率よく売上や利益を生み出しているのかを示す指標です。代表的な効率性分析には「売上債権回転率」と「総資本回転率」の2つがあります。

  • 売上債権回転率
  • 売上債権回転率 = 売上高 ÷ 平均売上債権

    売上債権回転率とは売掛金や受取手形などの、まだ現金化されていない売上債権が現金化されるまでの期間を示す指標です。売上債権回転率が高ければ高いほど、債権の回収時間が短いことを示します。売上が発生してから現金化するまでの期間が短ければ、資金的に効率的と言えます。

  • 総資本回転率
  • 総資本回転率 = 売上高 ÷ 総資本

    総資本回転率とは、売上を得るために、資本が何回、回転したのかを示す指標です。

    会社は事業を行うために、株主や金融機関などから資金(資本)を調達し、商品や製品、設備などの固定資産を購入します。その後、商品や製品を販売し、資金を獲得します。資金を獲得したら、さらに商品や製品を購入し、販売します。このように、事業をしていると資本(資金)は回転します。

    総資本回転率は、この回転数を指標としたものです。回転率が大きいほど、少ない資本で売上を得ていることになるので、効率の良い会社と言えます。

成長性分析

成長性分析とは、企業における一定期間の成長度合いを示す指標のことです。多くの場合、1年間でどれだけ成長したのかを分析します。

成長性分析にはさまざまな指標がありますが、ここでは売上高、利益、総資本に注目して指標をご紹介します。

  • 売上高成長率
  • 売上高成長率 =(当期売上高 - 前期売上高)÷ 前期売上高 × 100

    1年間で増加した売上高を示す指標です。計算した結果がプラスであればこの1年間で売上高が増加したことを意味します。

  • 経常利益成長率
  • 経常利益成長率 =(当期経常利益 - 前期経常利益)÷ 前期経常利益 × 100

    1年間で増加した経常利益を示す指標です。計算した結果がプラスであればこの1年間で経常利益が増加したことを意味します。経常利益を営業利益に置き換えて計算すれば、営業利益成長率を計算することができます。

  • 総資本成長率
  • 総資本成長率 =(当期の総資本の金額 - 前期の総資本の金額)÷ 前期の総資本の金額 × 100

    前期と比べて1年間で増加した総資本を示す指標です。計算した結果がプラスであればこの1年間で総資本が増加したことを意味します。

    総資本は、資本と負債の合計金額で計算します。そのため、前期より負債だけが増加したとしても、総資本成長率はプラスになります。総資本の内訳も注視しましょう。

財務分析を行って経営戦略を立てよう

これまでで説明してきた財務分析指標は何%であれば良いということは一概には言えません。自社の過年度の財務分析指標との比較や同業他社との比較により、自社の現状や強みと弱みを発見することが大切です。
もちろん、財務分析は財務諸表数値を用いた手法ですので、貨幣で評価できない要素を分析することや将来予測に限界があるということも忘れてはなりません。財務分析では会計以外のデータや過年度数値の延長線上ではない思い切った将来予測などとあわせて総合的な判断をすることが大切です。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

【監修】マネーフォワード クラウド会計

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