• 作成日 : 2024年9月20日

会社法で定められた株主総会はいつ開くべき?開催手順やスケジュールを解説

会社法では、株主総会については、招集の通知などをはじめ多くのルールがあります。法に則り定時株主総会を開催するには、開催までの手順を把握し、適切にスケジュールを立てておくことが重要です。この記事では、決算後の定時株主総会の概要や開催の手順、定時株主総会のスケジュールを組む際の注意点などについて解説します。

会社法で定められている決算後の定時株主総会とは

定時株主総会とは、毎事業年度の終了後、一定の時期に開催される株主総会のことです。会社法第296条第1項で、定時株主総会の招集について以下の規定が設けられています。

定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。

引用:会社法|e-GOV

対象となる企業

株主総会については、会社法で以下の定めがあります。

会社法第295条第1項
”株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。”

引用:会社法|e-GOV

会社法の規定からもわかるように、株主総会は会社の運営について株式会社の最高意思決定機関です。株主総会を構成する株主とは、株式会社の株式と引き換えに出資を行う個人や法人のことです。つまり、定時株主総会の開催が規定されている企業は、合同会社や合名会社などを含むすべての企業ではなく、株式会社に限定されていることがわかります。

定時株主総会の内容

定時株主総会は、会社の重要な事項について決議を行うためのものです。取締役会設置会社など一部を除き、定時株主総会では決算書類と事業報告について決議を通して承認が行われます。また、状況によっては以下の事項についても定時株主総会で決議が行われます。

  • 役員の選任や解任
  • 役員報酬
  • 剰余金の配当
  • 資本金の減少(減資)
  • 定款の変更
  • 合併などの組織再編 など

定時株主総会と臨時株主総会の違い

定時株主総会は毎事業年度のある程度決まった時期に開催されますが、臨時株主総会は開催時期が決まっていません。臨時株主総会は、必要に応じていつでも招集できるものだからです。

臨時株主総会は、株主総会での決議が必要な事項がある場合に適宜開催されます。臨時株主総会の開催事由はさまざまで、役員の解任や補充役員の選任、新株発行による増資、事業譲渡、合併や株式移転などの組織再編などが議題となります。

定時株主総会を開催する手順

定時株主総会は、以下の流れで開催されます。開催するためには、いつ、どこで、どのような目的で招集するかという招集事項を決める必要があります。さらに、株主に招集事項を知らせるための通知も必要です。

  1. 計算書類や事業報告の作成・監査
  2. 株主総会の招集の決定
  3. 株主総会の招集の通知
  4. 定時株主総会の開催

定時株主総会開催後は以下の流れで議事録を作成し、決算公告を済ませます。

  1. 議事録の作成
  2. 必要に応じて登記の申請(役員に変更があった場合など)
  3. 決算公告

定時株主総会のスケジュールの決め方

定時株主総会は事業年度終了の日から、おおむね2ヶ月から3ヶ月以内に開催されるのが一般的です。

定時株主総会の招集の通知については、会社法で期限が定められています。公開会社(上場会社など)か非公開会社(すべての株式について定款により譲渡制限の定めがある会社)か、取締役会設置会社か取締役会設置会社でないかで期限が異なるため注意しましょう。

公開会社については、株主総会を開催する日の2週間前までに通知する必要があります。非公開会社も原則として2週間前までですが、書面などによる議決権行使の定めがない場合は、株主総会の日の1週間前までに通知すればよいことになっています。なお、非公開会社のうち取締役会を設置していない会社は、定款の定めにより、さらに期限を短縮することが認められます。

定時株主総会の招集の通知方法は、取締役会設置会社の場合は、原則として書面による通知が必要です。株主の承諾があるときは、電子メールなどの電磁的方法による通知も認められます。非公開会社で、かつ取締役会設置会社でない場合は、口頭や電話での通知もできます。さらに、株主全員の同意があるときは、招集手続の省略も可能です。

会社法の規定や通知のための準備、開催場所の準備などを考慮すると、会社法に規定される期限よりも早いスケジュールで召集の決定・通知を行うことが望ましいです。

決算前後のスケジュール例

以下は、3月末決算の株式会社の決算前から提示株主総会開催までのスケジュールの例です。定時株主総会までの流れやスケジュール感は、公開会社か非公開会社か、取締役会設置会社か、監査役設置会社か、会計監査人設置会社か、などで変わります。

日付手続き概要
3月10日基準日公告基準日とは、定時株主総会の議決権行使の判断基準となる日のこと。基準日の2週間前までの公告が必要です。定款であらかじめ基準日を定めることもできます。
3月31日事業年度終了日
基準日
3月末決算の企業の場合。
4月30日計算書類(決算書)などの作成
5月1日監査役に提出決算書を監査役に提出。
5月5日監査報告の作成監査役による監査報告の通知。
5月10日取締役会取締役会で監査報告を受けた計算書類などを承認。株主総会の議案の決定や招集の決定を行います。
5月15日計算書類などの備え置きの開始株主総会開始の日の2週間前から本店に備え置かなければなりません。
5月15日株主総会の招集の通知
5月30日定時株主総会の開催

定時株主総会に向けてスケジュールを立てておこう

株式会社における定時株主総会前後においては、それぞれの手続きにおいて法定期限が設けられているものが多いため、昨年度のスケジュール表などを参考にして、遅滞なく、漏れなく準備を進めなければなりません。

株主総会招集通知のように会社法で期限が定められている手続きもあるため、定時株主総会の開催に向けてしっかりとスケジュールを組んでおくことをおすすめします。

また、事業報告書の作成にあたっては、監査役の兼務状況の確認など外部への問い合わせも多くなりますので、早めに着手しましょう。


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