• 更新日 : 2024年8月29日

経費精算に領収書は必要?ない場合はどうする?

経費精算を行う際、例外的なことや不明点が発生するため、処理に迷うという経理担当者の方も多いでしょう。例えば「従業員が領収書を紛失した」「領収書が発行されないため、レシートしか持っていない」「領収書保管は何年間すればいいのか」などです。

そこで、領収書に必要な要素、そして経費精算や領収書の処理に関する疑問点について解説していきます。しっかり把握してスムーズな経費精算を行えるようにしましょう。

経費精算に領収書はなぜ必要?

経費精算に領収書が必要な理由は、領収書が商品・サービスに金銭を支払ったことを証明するための公的な書類だからです。領収書があることで、代金の二重払いや過払いを防ぐことができます。

反対に、領収書を発行する側からは、商品・サービスの対価にお金を受け取ったことが証明できる書類となります。

領収書がないと、支払いの事実を客観的に証明できません。再度、代金を請求された場合に支払わないといけなくなるおそれもあります。

また、従業員の経費精算の際は、領収書の提出を義務付けることが重要になります。その理由は経費の不正利用を防ぐためです。もし、「領収書は不要」であったとしたら、実際に使った金額よりも高い金額を請求し、差額を手に入れたいと考える従業員が出てくるかもしれません。領収書の提出を義務付けることで、支払った金額よりも多い請求をされることを防ぐことができます。

領収書に必要な要素

領収書に必要な要素は次の通りです。領収書を受け取った際は、これらがきちんと記載されているかを確認してください。

要素
気をつけたい点
  • 上部に「領収書」の記載があるかを確認してください
日付
  • 代金を支払った日付が年月日で入っているかを確認してください。

  • 和暦・西暦どちらでも構いませんが、略(令和=R、2022年=22年)は不可です。
宛名
  • 支払者の企業名・氏名を正式名称で記載しているかを確認してください。

  • なお、飲食店・小売店の場合は、具体的な氏名でなく、「上様」と省略して記載することも認められてはいます。
但し書き
  • 提供した商品・サービスの名前が記載されているか確認してください。

  • 「文具代として」「飲食代として」など具体的に書かれているかを確認してください。
金額
  • 受け取った金額が税込金額で記載されているかを確認してください。

  • 金額は3桁ごとに区切られているか、数字の頭は「金」もしくは「¥」が入っているか、末尾には「-」「也」が入っているかも確認しましょう。

  • 「内訳」欄に税抜金額、消費税額が記載されているかも要チェックです。
収入印紙
  • 支払金額が5万円以上の場合、収入印紙が必要です。決まった金額の収入印紙が貼付されているか、消印が押されているかを確認してください。

  • クレジットカード払いの場合、収入印紙は不要です。
発行者住所氏名
  • 支払先の会社名(店舗名)、住所、連絡先の記載があるかを確認してください。

領収書を紛失してしまった場合

経理担当者の立場で、経費精算時に不安なこととして挙げられるのが「従業員の領収書紛失」です。領収書がないと、金銭を支払ったことが確認できず、経費としての計上ができないことも考えられます。「領収書を失くした」と報告された場合、経費精算はどうすればいいのでしょうか。

領収書再発行を依頼

発行元の企業・店舗に領収書再発行を依頼します。紛失に気付いた時点で直ちに依頼しましょう。

ただし、領収書再発行は必ず行わないといけないものではありません。企業によっては領収書の不正利用防止のため、「いかなる場合も領収書再発行不可」と事前に案内しているところもあるほどです。

レシートで代用

領収書の原本を失くしてしまった場合でも、レシートがあれば、経費精算業務は行えます。領収書同様、レシートに以下の記載があるかを確認してください。

  • 日付
  • 金額
  • 但し書き
  • 宛名
  • 発行者

出金伝票

領収書再発行ができず、レシートもない場合は、取引を「出金伝票」に記録することで、経費として処理することができる場合があります。以下の記載を必ず行ってください。

  • 支払先の社名(店舗名)
  • 支払い日
  • 但し書き(文具代・ガソリン代など)
  • 支払った金額
  • なお、出金伝票に記載した場合でも、必ず経費として認められるわけではありません。税務調査が入った時に備え、取引の内容などを書面で残しておくようにしましょう。

    領収書が発行されない場合

    どの支払先も領収書を発行してくれるのならば、問題はありませんが、中には領収書の発行を行っていないという企業もあるかもしれません。

    その際はどうすればいいのかを確認します。

    交通費の場合

    社内規定で交通費の場合は領収書不要という企業もあるかもしれません。その際の処理方法を考えていきましょう。

    まずは「交通費精算書」のフォーマットを準備します。すぐに使えるテンプレートを用意しているので、ぜひご活用ください。

    テンプレートを自社で作成する場合、近距離移動の交通費精算書フォーマットには以下の項目を入れてください。

    • 日付
    • 訪問先
    • 利用交通機関
    • 出発
    • 到着
    • 片道/往復
    • 金額
    • 申請者名
    • 申請日

    慶弔関連費

    取引先の慶弔関連でご祝儀や香典を支払うことも考えられます。このような場合も領収書は発行されません。

    慶弔関連費の場合は先にご紹介した「出金伝票」で処理してください。ご祝儀袋のコピーもとっておいてください。また、先方から受け取った香典返しの挨拶状、パーティ等の招待状を保管しておくことも確実に支払いがあったことの証明になります。

    クレジットカードでの支払い

    クレジットカードで支払いを行った場合、領収書をもらい忘れた、ということもあるかもしれません。当然、発行してもらうべきですが、もし、発行してもらえない場合はクレジットカードの利用明細で代用することもできます。

    しかし、クレジットカードの利用明細はクレジットカード会社発行のものです。やはり、購入先から領収書をもらうことを第一に考えてください。

    領収書はレシートでも代替可能?

    先にご紹介した通り、領収書がない場合は、レシートでも代用は可能です。ただし、代用する際は、記載内容をよく確認してください。

    領収書の保管はどうしたらいい?

    従業員から受け取った領収書の保管に悩んでいる経理担当者の方も多いのではないでしょうか。特に「紛失」が心配かもしれません。

    紛失を防止するために、コピーをとりたいと考えるかもしれませんが、領収書のコピーは不正精算を疑われる原因にもなりかねませんので、避けてください。

    専用のファイルや引き出しなど、場所を決めて保管するのがいいのですが、それでも不安な場合は、スキャナ保存を検討しましょう。

    経費精算や領収書処理の効率化を目指そう!

    経理担当者の方は毎日多くの領収書の処理を行っているでしょう。時には必要事項が記載されていない領収書の提出、紛失などのトラブルも起こるかもしれません。その際に慌てないように、備えておくことが重要です。

    また、近距離移動の交通費、慶弔に関する費用など、領収書が発行されない場合もあります。その際の処理方法について把握しておくことも必要です。

    領収書の処理方法、保管についてなど、間違いが起きないように日頃から経理担当者間で確認し合うようにしましょう。また、効率的に業務を進めていける環境づくりも行ってください。

    よくある質問

    経費精算に領収書は必要?

    原則として必要です。ただし、交通費や慶弔関連の費用など、領収書がもらえない場合は出金伝票で代用もできます。詳しくはこちらをご覧ください。

    領収書に必要な要素は?

    日付、宛名、但し書き、金額、発行者住所氏名です。現金で5万円以上の場合、収入印紙も必要になります。詳しくはこちらをご覧ください。


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