• 更新日 : 2025年2月5日

決済代行とは?メリットや仕組み、選び方を解説

決済代行サービスとは、多様な決済方法を1つの契約で利用できるサービスです。導入することで、これまで対応出来ていなかった決済手段にも対応させることができるようになり、取引先にとっての利便性を向上することもできます。決済代行サービスのメリットや選び方について紹介します。

決済代行サービスとは?

決済代行サービスとは、多様な決済方法を1つの契約で利用できるサービスのことです。

例えば、クレジットカード決済銀行振込コンビニ決済などの複数の決済方法を利用している場合、それぞれ個別に支払手段を用意したり、決済事業者と契約しなくてはいけないだけでなく、それぞれに初期費用や導入工数がが発生してしまいます。また、決済方法によって入金サイクルが異なるため、決済方法ごとに入金の確認をしなくてはいけません。

しかし、決済代行サービスを導入すれば、異なる決済方法を1つの代行サービスで一元管理できるため、煩雑な決済業務が簡便化するだけでなく、取引先にとっての利便性も向上します。

決済代行サービスの仕組み

決済代行サービスは、利用者と決済業者の間を仲介するサービスです。利用者は銀行やクレジットカード会社などの決済業者とは直接契約せず、決済代行サービスとのみ契約します。

決済代行サービスと契約をすると、決済代行サービスが提携している決済業者を利用した決済が可能になるため、利用者は決済サービスごとに契約する必要はありません。つまり、1つの契約で複数の決済サービスを利用できる仕組みが「決済代行サービス」なのです。

決済代行とは?メリットや仕組み、選び方を解説

決済代行サービスで利用できる決済方法

決済代行サービスによって、対応している決済方法は異なります。主な方法としては、次のものが挙げられます。

  • クレジットカード決済
  • 口座振替
  • コンビニ決済
  • 携帯キャリア決済
  • 電子マネー決済
  • QRコード決済 など

クレジットカード決済を利用できる決済代行サービスでは、複数のクレジットカードブランドに対応していることが一般的です。また、口座振替に対応している場合も、複数の金融機関に対応していることがあります。

決済代行サービス導入時に得られるメリット

決済代行サービスを導入すると、次のメリットが得られます。

  • 決済サービスごとに契約する手間が省ける
  • 決済サービスごとに端末・システムを導入しなくて良い
  • 取引先にさまざまな決済方法を提供できる

それぞれのメリットについて見ていきましょう。

決済サービスごとに契約する手間が省ける

決済代行サービスを利用しない場合は、クレジットカード会社や金融機関などの決済サービスごとに契約する必要があります。例えば、クレジットカード決済を利用する場合であれば、1つのクレジットカード会社ではなく、ユーザーの多い複数のクレジットカード会社を選び、それぞれと契約しなくてはいけません。

また、口座振替を利用する場合も、ユーザーの多い複数の金融機関と契約しておくと、取引先の利便性を高めることができます。特定の地域に特化したサービスを提供しているなら、地方銀行や信用金庫とも契約しておくとより良いでしょう。

しかし、対応する決済サービスを増やすと、それぞれの審査を受けなくてはいけないため、手間と時間がかかるだけでなく、初期費用利用手数料も高額になってしまいます。決済代行サービスであれば、対応する決済サービスが複数でも契約は1つのみなので、導入時の手間を減らせます。手間や時間をかけずに対応する決済サービスを増やしたい方も、決済代行サービスを検討しましょう。

決済代行サービスを導入する場合自社で対応する場合
決済サービスごとに契約する手間が省ける決済サービスごとに契約する手間がかかり、手数料なども高額になる

決済サービスごとに端末・システムを導入しなくて良い

決済サービスによっては、独自の端末やシステムを導入する必要があります。例えば、QRコード決済に対応する場合であればQRコードリーダー、クレジットカード決済に対応する場合であればクレジットカードリーダーなどが必要です。

しかし、決済代行サービスを通して取引先や顧客に決済サービスを提供するときは、取引先や顧客は決済代行サービスが指定する方法で支払いを行うことになります。

たとえばQRコード決済なら、商品やサービスの提供者(決済代行サービスの利用者)の会社ではなく、決済代行サービスが指定するコンビニなどで決済します。そのため、端末・システムを導入する必要がなく、初期費用を抑えることにつながるでしょう。

決済代行サービスを導入する場合自社で対応する場合
決済サービスごとに端末・システムを導入する必要がなく、初期費用を抑えられる独自の端末やシステムを導入する必要があり、その分費用がかかる

取引先にさまざまな決済方法を提供できる

決済代行サービスを利用すると、取引先は決済代行サービスが対応している決済方法を利用できるようになります。決済代行サービスによってはさまざまな決済方法を提供しているので、選択肢が増えて利便性が高まります。

また、対応できる決済方法が多いということは、これから商品・サービスを購入する方にとっても大きな魅力です。「コンビニ決済できるのなら購入したい」「支払いが面倒なので口座振替を利用したい」というニーズに応えることができ、新規顧客の獲得にもつながります。

決済代行サービス利用時に得られるメリット

決済代行サービスは、導入時だけでなく利用時にもメリットがあります。主なメリットとしては、次の点が挙げられます。

  • 経理処理を簡便化できる
  • 売上管理も簡便化できる
  • 取引における気密性を高められる

それぞれのメリットについて見ていきましょう。

経理処理を簡便化できる

複数の決済サービスを利用している場合なら、決済サービスごとに手数料を支払う必要が生じるため経理処理も増えます。また、サービスごとに利用料を支払う時期が異なる点も、経理処理を複雑にさせるでしょう。

しかし、決済代行サービスを利用すれば、決済手数料も1箇所にまとまるので、経理処理の負担も大幅に減ります。経理業務が減るとミスも少なくなり、業務効率の向上も期待できます。

決済代行サービスを利用する場合自社で対応する場合
決済処理が1箇所にまとまるため、経理処理を簡便化できる決済サービスごとに手数料を支払う必要があり、経理処理が増える

売上管理も簡便化できる

決済代行サービスを利用すると、取引先や顧客からの入金が一本化します。取引先ごとの売上も、決済代行サービスの明細書で確認できるため、売上管理が大幅に簡便化するでしょう。

一方、決済代行サービスを利用しない場合は、決済サービスごとに入金が行われるため、売上管理に多大な手間がかかります。また、決済サービスによって手数料率が異なるため、入金された金額が正しいかチェックするだけでも膨大な時間が必要です。

クレジットカードなどの決済サービスを利用しない場合も、売上管理には多大な手間がかかります。例えば、請求書を発行して取引先に直接入金してもらう場合は、取引先の数だけ入金件数が増えるため、支払い期限までにそれぞれ入金されているのか確認しなくてはいけません。請求書と照合して間違いがないか確認したり、入金が遅れているときには督促の電話やメールを送ったりする必要もあり、手間と時間がかかります。

決済代行サービスを利用する場合自社で対応する場合
取引先や顧客からの入金が一本化し、売上管理が大幅に簡便化する決済サービスごとに入金され、売上管理に手間がかかる

取引における機密性を高められる

決済代行サービスを利用するときには、取引先や顧客の名前、電話番号、口座情報などの機密事項を共有する必要があります。そのため、セキュリティ対策に力を入れている決済代行サービスもあり、企業(決済代行サービス利用者)も取引先(決済サービス利用者)も安心して利用できるように努めています。

取引先や顧客と取引を継続するうえで、個人情報や取引における機密事項などを適切に守ることは非常に重要なポイントです。信頼関係を構築し、取引を長続きさせるためにも、強固なセキュリティ対策を実施している決済代行サービスを選びましょう。

決済代行サービスのデメリット

決済代行サービスは、導入時だけでなく利用時にも大きなメリットを享受できます。しかし、決済代行サービスを利用する必要がないときに利用したり、自社とは合わない決済代行サービスを選んだりしたときには、デメリットが生じる可能性があります。

決済代行サービスを利用するときには、特に次の2点に注意が必要です。

  • 依頼したい業務内容に対応していないことがある
  • 決済関連のコストが増えることがある

それぞれ何に注意が必要か、また、デメリットを回避するためのポイントについて説明します。

依頼したい業務内容に対応していないことがある

決済代行サービスによって対応している業務内容が異なります。例えば、決済代行サービスは次の業務範囲までは対応していることがあります。

  • 請求書の作成・発行
  • 入金確認
  • 督促

決済代行サービスを検討する際は、決済や請求関連でどのような業務を任せたいのか社内でよく話し合っておきましょう。対応して欲しい業務内容を明確にし、自社に適した決済代行サービスと契約しましょう。

対応してほしい業務範囲をカバーしていない決済代行サービスを選んでしまうと、別のサービスと兼用する必要が生じることもあります。手数料がかさむだけでなく、業務ごとに別のサービスを利用するという手間が生じ、思うように業務の簡便化を図れません。

また、決済代行サービスを利用するときには、毎月の利用手数料だけでなく、初期費用が必要になることも多いです。自社に合わないサービスと契約してしまうと、短期間で解約することにもなり、初期費用の負担だけが増えてしまうことにもなるでしょう。

決済関連のコストが増えることがある

決済代行サービスは、決済や請求関連の業務負担が軽減する便利なサービスです。しかし、サービスを利用するときには手数料が発生するので、特に取引件数が少ない場合などは決済関連のコストが増える可能性があります。

利用してから後悔することのないよう、料金体系をしっかりと確認して決済代行サービスを選ぶことが必要です。また、実際にどの程度のコストが毎月かかるのか、シミュレーションしておくと良いでしょう。決済代行サービスでは利用前に見積もりを出してもらえるので、気になるサービスがあるときは問い合わせておきましょう。

なお、決済代行サービスのコストをシミュレーションするときは、決済・請求業務を外注することで人件費や業務負担がどの程度減るのかも考慮しておきましょう。

例えば、毎月、請求時期になると残業や休日出勤などが増え、その分の人件費が増えていたとします。決済・請求業務を外注することで人件費が軽減でき、決済代行サービスに支払う手数料以上にメリットがあるかもしれません。

決済代行サービスの選び方

近年、かつてないほどに決済方法が増えてきました。QRコード決済や携帯キャリア決済、バーコード決済など、少し前にはなかった新しい決済方法も登場しています。

多様化する決済方法に対応すべく、決済代行サービスを利用する事業者も増えてきました。また、決済代行サービス自体も増えており、どの決済代行サービスを選べば良いか悩む方も多いでしょう。

どの決済代行サービスにするか迷ったときは、次のポイントに注目してみてください。

  • 利用料金は適正か
  • 実績が豊富か
  • 決済方法が豊富
  • セキュリティ対策は万全か

いずれも、自社に合う決済代行サービスを選ぶために重要なポイントとなるだけでなく、優良サービスを選ぶためにも要チェックのポイントです。具体的に説明するので、ぜひ参考にしてください。

利用料金は適正か

どれほど優れた決済代行サービスでも、初期費用や手数料が高ければ使いやすいとはいえません。業務効率化は実現できたものの利益率が下がり、事業の継続に影響を及ぼすこともあります。

まずは初期費用や手数料が適正か確認しましょう。複数の決済代行サービスを比較すると、割高かどうか見分けやすくなります。

ただし、比較するときはサービスの対応範囲も同じように比較してください。割安だと思ったら、サービスのカバー範囲が狭く、思うほど請求・決済業務を簡略化できないこともあります。

また、実際に決済代行サービスに問い合わせて見積もりを取ることも大切です。決済代行サービスのホームページでも初期費用や手数料についての情報が公開されていることがありますが、依頼する業務内容や決済件数、決済額などによって料金が変わることもあります。

実績が豊富か

決済代行サービスの実績もチェックしてみましょう。実績豊富な決済代行サービス会社なら、多くの事業者から支持されていると判断できるため、比較的安心して相談することができます。決済代行サービスのホームページでは導入事例を公開していることもあるので、チェックしてみましょう。

実績豊富な決済代行サービスなら、サービスを依頼する側のニーズも理解していると思われます。痒い所に手が届くようなきめ細かいサービスを提供していたり、オプションの幅が広く、多様な使い方ができたりすることも期待できます。

また、多くの事業者から支持されている決済代行サービスは、サポート体制が充実している傾向があります。特に使い始めは、疑問やトラブルが生じることもあるでしょう。スムーズにサポートを受けるためにも、決済代行サービスのサポート体制について調べておくことが重要です。

決済方法が豊富か

決済代行サービスで対応している決済方法についても、チェックしておきましょう。決済方法の種類が豊富であれば、取引先の拡大にも役立ちます。

なお、決済方法の種類については、各決済代行サービスのホームページで公開されていることが一般的です。種類が多いかだけでなく、取引先や顧客が希望するような決済方法に対応しているのかについても確認しておきましょう。

セキュリティ対策は万全か

決済代行サービスを利用するときには、自社だけでなく取引先や顧客の重要機密情報を共有することになります。安心して情報を共有するためにも、セキュリティ対策に注力している決済代行サービスを選ぶようにしましょう。

セキュリティ対策に注力していない決済代行サービスを選ぶと、取引先が不安を感じたり、場合によっては情報が流出して取引先や自社に多大な損害が発生したりするかもしれません。取引先から信用を得るためにも、セキュリティを重視して決済代行を選ぶことが大切です。

決済代行サービスによっては、本人認証サービス(3Dセキュア)SSL技術など、第三者による不正利用を防ぐためのセキュリティ対策を実施し、事業者と取引先の情報を守っています。どのような対策を行っているか、依頼する前に確認しておきましょう。

まとめ

決済業務は代行サービスに依頼するのがおすすめです。決済に関するさまざまな業務を簡便化できるだけでなく、取引先に豊富な決済方法を提供でき、利便性と満足度の向上が期待できます。

また、決済業務だけでなく請求業務も代行サービスの利用を検討してみましょう。請求代行サービスでは、請求書の作成から発行送付入金確認督促などの請求・決済に関わる業務をワンストップで対応していることも多く、業務負担を大幅に軽減できることがあります。

特に請求関連の業務は、月末などの特定の時期に偏りがちです。他の業務に支障が生じることもあるので、外注サービスを適切に導入し、業務負担を軽減することも求められます。

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