• 更新日 : 2024年9月6日

法的措置という表現に注意!催促・督促メールの書き方を解説

売掛債権を回収できないとき、催促・督促メールを送ります。支払遅延の初期段階に送るメールであり、言葉のニュアンスには注意が必要です。すぐに支払われる可能性もあり、「法的措置を取らせていただきます」といった強い言葉は使わないようにしましょう。

本記事では、催促・督促メールを送る目的や作成時の注意点、記載内容などを解説します。

催促・督促メールとは

売掛金などの支払いが遅れているときは、まず支払いを確認する催促・督促メールを送るのが一般的です。

ここでは、催促・督促メールの意味や送るタイミングを解説します。

債権回収の初期段階で送付する

催促・督促メールは、支払期日を経過しても支払いがない債権回収の初期段階で送るものです。

催促は督促よりもニュアンスが柔らかく、支払いを忘れていないか確認をする意味合いがあります。そのため、支払いが遅れたときはまず催促メールを送りましょう。

催促メールを送っても支払いがない場合、督促メールを送ります。督促には催促よりも強く履行を求めるニュアンスがあり、あらためて滞納が発生している事実を伝え、支払いを促します。

催促・督促メールを送るタイミング

最初の催促メールを送るタイミングは、支払期日から約3日後です。支払いが遅れていることにはさまざまな理由が考えられ、やむを得ない事情がある可能性もあります。そのため、催促メールでは支払期日が遅れていることを知らせ、確認してほしいという内容を伝えるために送ります。

督促メールは、催促メールを送ってから1週間程度経っても連絡がないときに送りましょう。催促メールをみて支払いを行う可能性があり、その支払いと行き違いにならないよう、ある程度期間に余裕をもって送ってください。

催促・督促メールを送付する目的

催促・督促メールを送付するのは、法的措置に至ることを避け、取引先との関係を継続することを目的とします。また、督促メールには、債権の消滅時効を停止する効果も期待できます。

ここでは、催促・督促メールを送付する目的をみていきましょう。

取引先との関係を良好に保つ

催促・督促メールは、相手に支払いについて確認し、法的措置をとる前に売掛金を回収して取引関係を継続させることが目的です。

取引先や顧客に催促するのは憚られることがあるかもしれませんが、入金が遅れると会社運営に支障をきたします。また、相手は支払いを忘れている可能性もあるでしょう。早期に確認をしないと相手の対応もさらに遅れることになるため、できるだけ早めに催促メールを送る必要があります。

催促メールで支払いがない場合でも、すぐに法的措置について知らせる文書を送るのではなく、督促メールで再度支払いのお願いをすることで、取引関係の良好な関係継続につながるでしょう。

時効を6ヶ月延長できる

催告・督促メールは、消滅時効の完成を猶予する効果のある「催告」にあたり、時効の完成を一時的に遅らせる効果が期待できます。

ただし、時効の完成を阻止するためには、6ヶ月以内に裁判上の提起など法的措置が必要です。

なお、催告を証拠として残すためには内容証明郵便を利用することが望ましく、時効が差し迫った時期の催告は法的措置について明記した催告書を送るのが一般的です。

催促・督促メール作成時の注意点

催告・督促メールを送る時期はあくまで支払遅延の初期段階であり、表現には注意が必要です。

ここでは、催告・督促メールを作成する際の注意点を解説します。

ソフトな表現にする

催促メールの文言はソフトな表現にすることを心がけ、強い口調にならないように注意してください。支払いが遅れていることにはさまざまな事情があり、相手に非があるとは限りません。

今後も関係が継続することを前提に、丁寧な言葉を使いましょう。

支払いを催告する言葉自体が強い印象を与えかねないため、次のようなクッション言葉を使うことをおすすめします。

  • 行き違いかもしれませんが
  • ~していただければ幸いです
  • ご不明点などございましたら〜
  • 念のためご確認させていただきました

また「お忙しいところ恐縮ですが」など、相手に配慮した一言を添えると、さらに印象が良くなるでしょう。

法的な強制力はない

催告・督促メールはソフトな催促にすぎず、法的な強制力はありません。あくまでも「支払いを忘れていませんか」という確認です。メールを送付したからといって、相手に支払いを義務づける効果はありません。

しかし、一般的に支払いが遅れていることを伝えるだけでも十分に意味はあります。「忙しくて支払いを忘れていた」「支払期日を勘違いしていた」など、さまざまな事情が考えられるでしょう。支払う意思があれば、すぐに対応してもらえるはずです。

入れ違いで入金や不在通知が届いていないか確認する

メールを読んだ相手側は支払いが遅れていることに気づき、慌てて入金しているかもしれません。タイミングが合わず行き違いが起きる可能性があるため、メールを送る際は振込や現金書留の不在通知がないかを確認しましょう。

その上で、メールにも「本メールと行き違いになっている場合は、何卒ご容赦ください」といった一文を添えてください。

午前中に送付する

催促・督促メールはできるだけ早く担当者に読んでもらえるよう、午前中に送信するようにしましょう。午後に送付すると、他のメールが多数届いて処理に時間がかかったり、業務が忙しくなって翌日の開封に回されたりする可能性があります。

始業前に届いていればすぐに開封してもらえる可能性があり、早い対応が期待できるでしょう。

催促・督促メールに記載する内容

催促・督促メールに記載するのは、次の項目です。

  • 件名
  • 宛先
  • 挨拶
  • 本文
  • 結び

それぞれ、記載する内容を詳しくみていきましょう。

件名

件名は、要件が一目でわかるよう、端的にわかりやすく書きます。ほかのメールに紛れて後回しにされないよう、支払い確認であることを明記しましょう。その際、「催促」や「督促」といった文言は強い表現になるため、避けてください。

「代金お支払いのお伺い」や「お支払いについて」など、あくまでも確認であるという内容にすることが大切です。

宛先

宛先は、会社名とともに、担当者の部署と氏名を記載します。普段やり取りしている担当者の氏名にするのが一般的です。

記載例

株式会社〇〇

〇〇支店 経理部 〇〇〇〇様

催促メールのあとに再度の支払いを求めて送る督促メールの場合は、担当者の上司にあたる方のメールアドレスをCCに入れ、部署と氏名も入れる方法もあります。支払いを促す強い意向を伝えられるでしょう。

挨拶

本題へ入る前に、挨拶の一文を入れます。挨拶のフレーズは、相手先や状況により異なり、取引の長い相手であれば「いつもお世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です」といった表現にするのが一般的です。

何度目かのメールであれば、「度々のご連絡失礼いたします」といった表現にするなど、状況により変更してください。

本文

本文では、支払いが完了していないことを知ってもらうため、次の内容を記載します。

  • 請求書の送付日
  • 請求書の内容
  • 支払期日
  • 入金状況

どの請求に対する催促なのかすぐに確認できるよう、請求書の送付日や請求内容などを明記することが大切です。

本文では「支払いがない」というストレートな表現をするのではなく、「支払われた事実が確認できない」といったソフトな表現を使いましょう。

結び

結びでは、入金対応を促す文言を記載します。「入金してください」という直接的な表現ではなく、あくまでも念のために確認するという意味合いを込めて、「入金のご確認をお願いします」という表現にとどめましょう。

入れ違いに入金している可能性があるため、「本メールと行き違いでご送金いただいておりましたら、何卒ご容赦ください」といった文言を必ず添えてください。

催促・督促メールの例文

ここでは、催促・督促メールの例文を紹介します。

作成の際の参考にしてください。

催告メール

株式会社△△

経理部 xx様

平素より大変お世話になっております。

〇〇株式会社の△△です。

〇月〇日にお送りした、〇月分の請求書についてご確認させていただきたく、メールいたしました。

先月末、△月△日がお支払い期限となっておりましたが、本日8時現在、〇〇株式会社様の入金確認がとれておりません。

<請求内容>

請求番号〇〇
ご利用日:令和〇年△月△日
請求代金:〇〇円

<振り込み先>
〇〇銀行△△支店 普通 xxxx 〇〇株式会社

もしお手元に請求書が届いていないようでしたら再送しますので、ご確認をお願いいたします。

お忙しいところ恐れ入りますが、△月△日までにご対応いただければ幸いです。

なお、ご送金が行き違いになっておりましたら、悪しからずご容赦願います。

督促メール

株式会社△△

経理部 xx様

度々のご連絡失礼いたします。

〇〇株式会社の△△です。

先日のメールにて、△月△日付の請求書についてご入金のお願いをいたしましたが、△月△日時点でまだ入金の確認ができておりません。

ご多忙のところ、大変恐縮ではございますが、至急ご確認のうえ、本日中に△△までご連絡くださいますようお願い申し上げます。

なお、既にお手続きを行っていただいていた場合は、お詫び申し上げます。

催促・督促メールの送付後も支払いがない場合

催促・督促メールを送っても支払いがない場合は、法的措置を視野に入れた対応を行います。

ここでは、支払いがない場合の手順を解説します。

督促状で法的措置をとる可能性を示唆する

督促メールを送っても支払いがないときは、督促メールよりも文言を強めた内容の督促状を作成して郵送します。

督促状には、これまで支払いが行われなかった事実を伝え、新たな支払期日を設定するとともに、支払いを強く促すために「支払われなければ法的手段をとる可能性がある」という文言を記載しましょう。

支払いがない場合、取引を停止する可能性や、裁判上の請求などの法的手段へ向けた手続きに進む可能性があることを伝えます。

内容証明郵便で催告書を送る

督促状を送っても支払いがない場合は、内容証明郵便で催告書を送ります。支払いがなければ法的措置に進むことを伝える最終通告です。

内容証明で送るのは送付した証拠を残すためであり、内容証明郵便で送ること自体が相手に向けた圧力になります。

催告書には支払期限を明記し、期限内に債務を履行しない場合は法的措置をとることを記載します。

催促・督促メールは表現に注意しよう

取引先から支払期限内に支払いがない場合、まずは催促・督促メールを送ります。あくまで支払いの確認であり、相手に配慮した表現が必要です。

催促・督促メールには法的な強制力はありませんが、相手に支払いについて気づいてもらい、早めの入金を促すという点で送る意味があります。

メールを送る前は、入れ違いに入金がないか確認しましょう。請求書を送り忘れていないか、請求内容が間違っていなかったかなど、自社にミスがないかも確認してください。

初期段階であるため、文言には十分注意して催促・督促メールを送りましょう。


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