• 更新日 : 2023年7月28日

中小企業が電子帳簿保存法に対応するには?

中小企業が電子帳簿保存法に対応するには?

電子帳簿保存法は毎年のように改正が行われており、改正により少しずつ利用しやすい方向へ向かっています。電子帳簿保存方法は事業規模に関わらず、すべての企業・個人事業主が対象なので、中小企業も対応の必要があります。

電子帳簿保存における保存方法には「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つの区分が存在します。すべての保存義務者について最も注意が必要なのは、電子取引にかかるデータ保存の義務化です。

今回は電子帳簿保存法の改正点や、中小企業の具体的な対応策を解説します。

中小企業は電子帳簿保存法に対応する必要がある?

電子帳簿保存法は中小企業でも対応の必要があります。電子帳簿保存法は、保存義務が設けられている国税関係帳簿書類を電子データとして保存するルールを定めた法律です。

電子帳簿保存法は、情報社会の進展・ペーパーレス化の普及に伴い、会計処理上でもコンピュータによる書類作成が一般的になってきたことから、1998年に創設されました。

国税関係帳簿書類を紙ではなく電子上でデータを保存することによって、保存場所が少なくなったり検索が容易になったりする効果があります。ただし電子データの保存には、いくつか満たすべき条件があることに注意が必要です。

参考:国税庁 電子帳簿保存法関係

電子帳簿保存法の3つの区分

電子帳簿保存法は近年の改正によって大幅に保存方法の緩和が見られたとはいえ、電子データでの保存にはルールがあり、それを守らなければいけません。

電子保存には3つの区分が存在しますが、電子データでの保存が義務付けられたのは電子取引のみで他の2つは会社の任意であることに注意しましょう。

電子帳簿等保存

電子帳簿等保存とは、保存が求められる国税関係帳簿書類について書面ではなく、電子データで保存することです。対象となる書類の具体例は次のとおりです。

  1. 自ら会計ソフト等で作成した書類(国税関係帳簿)
  2. 自らが一貫してコンピュータで作成した契約書や領収書等の控え(国税関係書類)

自分が作成した書類であることがポイントで、相手方からメールで受け取ったものは電子帳簿等保存の区分では対象外です。手書きの仕訳帳総勘定元帳、手書きの補助簿や請求書の写し、取引先から受領した請求書などは電子帳簿等保存の対象にはなりません。

スキャナ保存

スキャナ保存は紙でやり取りした書類をスキャナで読み込み、データとして保存する方法です。対象は、自分が紙として作成した契約書や領収書(主として控え)に加えて、相手方から受領した書類も含まれます。基本的には相手方から受領した書類をスキャナ保存するケースが多いでしょう。

電子データの状態で保存義務の履行が完了するため、原本については確認後に廃棄可能です。

電子取引

電子取引とは請求書や領収書などをオンライン上でやり取りした際に、そのデータをそのまま保存するというものです。他の2つの方法と異なるのは、データ保存が義務化されており、紙での保存は認められないことです。

要件に則った保存が必要で、原本の電子データを単に電子フォルダに入れるだけでは、義務を履行したとはいえません。

保存時に満たすべき要件は4つあります。

1つめの「システム概要についての書類の備え付け」は、システムの概要書や仕様書、操作説明書などの書類を備え付け、誰でも閲覧できるようにします。

2つめの「見読可能装置の設置」とは、データの確認ができる機器を指し、ディスプレイやアプリなどが該当します。見読可能装置は意識しなくてもすでに備えている事業者がほとんどでしょう。なぜなら見読可能装置を備え付けていないと税務職員はおろか、社内の担当者も書類の確認ができないためです。

3つめの「検索機能の確保」とは、日付や金額、取引先といった情報から検索をかけられる検索機能を必須にして電子データを管理します。

ここまでの3つは、「データの可視性の確保する措置」となります。

そして4つめの「データの真実性を担保する措置」とは、例えばタイムスタンプを押されたデータを受領する、もしくは自社でタイムスタンプを押すことです。他にはデータの訂正・削除を記録できる、もしくは禁止されたシステムの利用や、不当な訂正削除の防止にかかる事務処理上のルールの整備・運用が挙げられます。

しかしながら、2023年度の改正により検索機能の見直しや新たな措置が整備されたりしていますので、次項で見ていきましょう。

中小企業が電子帳簿保存法に対応するにはどうすればいい?

電子帳簿保存法の改正対応には猶予期間が設けられており、2023年12月までに行われた電子取引では従来どおり、紙での保存が認められていました。
しかしながら、2024年1月以降は新たな猶予措置が設けられました。

次の2点を満たす場合には電子データの保存は必須ですが、紙(書面)での運用も継続できます。

  1. 電子取引の要件に沿って電子データを格納する準備ができなかったことについて、税務署長が「相当の理由がある」と認める場合
  2. 税務調査などの際に、書面の提出及び電子データについてダウンロードの求めに応じることができる場合

いずれにしても電子帳簿等保存及びスキャナ保存の実施義務はありませんが、電子取引データ保存は対応が義務付けられていますので要注意です。

システム概要に関する書類と見読可能装置の備え付けは、企業自身がデータを確認する際に必要な当然のことです。したがってポイントとなるのは、検索機能の確保及びデータの真実性を担保する措置の実施の2点でしょう。

まず、検索機能を確保する具体的な方法とは、ファイル名に日付や取引先の名称を記載し、容易に検索できる状態にしておくことです。しかし、2024年1月からは検索機能のすべてを不要とする措置の対象者の売上高が「5,000万円以下」になったことで検索要件への配慮も少し楽に考えられるかと思います。

また、データの真実性を担保する措置には、タイムスタンプを付与するシステムの導入が効果的です。
もし間に合わない場合には、上記の「相当の理由」があることを認めてもらうという手もあります。

参考:パンフレット(過去の主な改正を含む)|国税庁、電子帳簿保存法の内容が改正されました

会計ソフトや請求書ソフトには検索機能を備えたものもあります。例えば、マネーフォワード クラウドは電子帳簿保存法に対応しています。

中小企業は2024年1月から電子取引のデータ保存が義務化

中小企業は電子帳簿保存法に対応する必要があるため、今後の電子帳簿等保存に関する改正の内容にも注視しておかねばなりません。

オンラインでやり取りした請求書や領収書などの保存が義務化されます。電子取引における電子データ保存の義務化がはじまるのは2024年1月からです。早めに準備を進めておくことを推奨します。

電子帳簿保存法対応の会計ソフトを導入すれば、スムーズに電子取引データ保存の対応がとれるでしょう。

参考:電子帳簿保存法の概要|国税庁

よくある質問

中小企業は電子帳簿保存法に対応する必要がある?

事業規模に関わらず、すべての企業・個人事業主が対象なので、中小企業も対応の必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。

中小企業が電子帳簿保存法に対応するにはどうすればいい?

電子データで保存する際は「1.システム概要に関する書類の備え付け」 「2.見読可能装置の備え付け」「3.検索機能の確保」「4.データの真実性を担保する措置」の4つの要件をすべてを満たす必要があります。 詳しくはこちらをご覧ください。


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