- 更新日 : 2024年9月19日
話題の販売促進費用補助制度を徹底解説!
目次
販売促進費用補助制度とは?
スタートアップ経営者、起業家の方で、新規ユーザーや新規顧客の獲得、または自社サービスの認知拡大に頭を悩ませている方は少なくないでしょう。その際、広告を打つか、展示会に出展するのか、ダイレクトメールを送るのか、その手段は数多く存在します。しかし、どの手段を利用するにしてもネックになるのが、その費用です。起業して間もない、キャッシュを生み出せてない中で、宣伝や販売促進に費用をかけるのは大変ではないでしょうか。
また、さらに事業を拡大させるための人員増強や新商品開発などを行いたいものの、現状のキャッシュフローを考えると二の足を踏んでしまうという方もいるのではないでしょうか。
そのような事業を後押ししてくれる制度が販売促進費用補助制度です。正式名を「小規模事業者持続化補助金」といい、商工会議所を活用しながら、その地域の経済を支える事業者の活性化を図るために設けられた制度となります。
対象となる企業は?
1.小規模事業者であること
主に従業員数が20名以下の法人や個人事業主、士業などの小規模事業者を対象としている補助金です。具体的に、どのような事業者を対象としているのかについて紹介したいと思います。以下の図をご覧ください。
※ただし、以下の事業者は対象外となっております。
事業協同組合、有限責任事業組合、NPO法人、学校法人、農事組合法人、宗教法人、医療法人、任意団体など
*詳しくはこちらをご覧ください。
2.下記10項に該当する経費であること
費用・経費が全て認められる訳ではなく、下記の10種類の経費が補助の対象です。
下記の10種類の経費が補助の対象です。
機械装置等費 | 販路開拓等の取り組みに必要な機械装置などの取得費 |
---|---|
広報費 | 販路開拓のためのチラシ作成費や看板設置費など |
ウェブサイト関連費 | ECサイトやウェブサイトの開発や運用などにかかる費用 |
展示会等出展費 | 展示会や商談会の出展にかかる費用 |
旅費 | 展示会場への移動など販路開拓に必要な旅費 |
新商品開発費 | 新商品開発のための費用 |
資料購入費 | 販路開拓に必要な資料や書籍の購入費など |
借料 | 設備のリースやレンタルにかかる費用 |
設備処分費 | 補助事業を遂行するために必要な設備の処分費など |
委託・外注費 | 改装など他社に業務を委託した場合の費用 |
出典:小規模事業者持続化補助金
なお、上記に該当する経費であっても、公募ごとに対象範囲が変更されることがあります。申請前に、申請を希望する公募要項に記載された対象経費を再確認しておきましょう。
3.販路開拓に取り組むための事業であること
本補助金は幅広い事業を対象としていることから、どのような事業で応募しても採択される可能性はありますが、重要なことは事業が「販路開拓に寄与するか否か」ということです。
つまり、既存の顧客のリピート率を増やすためや、現状の事業や売り上げを単純に拡大するための内容ではなく、新規顧客の獲得につながる事業でであろうことが採択されやすいということです。
事業でかかった経費の3分の2を補助金として支給
最大50万円の支給額
今回の制度は小規模事業者を対象としていることから、数百万、数千万といった規模の補助ではなく、最大50万円の補助となります。上限の50万円を超えない範囲で、販路開拓にかかった経費の原則として3分の2を補助する制度です。
例えば、新商品開発費に90万円かかった場合、その3分の2である60万円が補助されるのではなく、あくまで上限の50万円が補助される形になります。別の例ですと、宣伝広告費に45万円かかった場合は、その3分の2である30万円が補助されるといった具合になります。
また、公募によって上限額が変動することもあるため確認しておきましょう。例えば、第14回の公募では、インボイス特例の要件を満たすときは、通常の上限50万円に加え、さらに上限50万円の補助が加算されます。
50万円を超える類型も
小規模事業者持続化補助金は、通常枠のほかにも、特別枠として複数の類型が設けられています。特別枠は、特定の要件を満たす場合に申請できる類型です。例えば、第13回の公募では、通常枠のほかにも、以下の特別枠の申請を選択できます。特別枠は、通常枠と比べて上限が高く設定されているのが特徴です。
類型 | 補助額(上限) | 補助率 |
---|---|---|
賃金引上げ枠 | 200万円 | 3分の2 ※赤字事業者は4分の3 |
卒業枠 | 3分の2 | |
後継者支援枠 | ||
創業枠 |
※第14回の公募では、上記に加え、インボイス特例の適用を受けることで、さらに上限50万円を加算して補助を受けることが可能です。
小規模事業者持続化補助金の申請
小規模事業者持続化補助金の申請は、以下の手順で行います。
- 公募要領や参考資料の確認
- 申請に必要な書類の準備・作成
- 申請と応募書類の提出(電子申請システムで受け付け)
申請受付後に審査が行われ、後日採択の結果が通知されます。
なお、小規模事業者持続化補助金は補助金制度のため、提出書類に不備がない場合でも、予算などの関係上採択されないこともあります。採択後に補助金の対象になる費用を支出したときは、申請者が請求を行うことで、対象経費について上限額以内の補助金が支給されます。
申請期間
申請の受付期間は公募ごとに異なります。以下は、第12回公募以降の申請受付締切日を示した表です。小規模事業者持続化補助金を利用するには公募の申請可能期間までに申請をする必要があるため、スケジュールに余裕をもって準備を進めるようにしましょう。
申請受付締切日 | |
---|---|
第12回 | 2023年6月1日 |
第13回 | 2023年9月7日 |
第14回 | 2023年12月12日 |
第15回 | 2024年3月14日 |
第16回 | 2024年5月27日 |
応募書類
小規模事業者持続化補助金を申請するすべての事業者は、以下の応募書類の提出が必要です。
- 小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書※
- 経営計画書補助事業計画①(様式2)※
- 補助事業計画②(様式3)※
- 補助金交付申請書(様式5)※
- 宣誓・同意書(様式6)※
- 事業支援計画書
※は、書類を添付して提出するのではなく、電子申請システム上に情報を直接入力して提出します。上記のほか、NPO以外の法人は直近の貸借対照表と損益計算書、個人事業主は直近の確定申告書の提出が必要です。
また、通常枠以外の申請をする場合、インボイス特例を申請する場合、採択にプラスになる加点要素を申請する場合などは、上記以外にも書類の提出が求められます。
応募可能回数
応募件数は同一事業者から1件、また1度採択を受けた事業者は年度内には採択されないため、申請することができません。ただし、第1次公募で不採択となった事業者は第2次公募へ応募することが可能なため、申請内容を練り直して再度応募するとよいでしょう。
小規模事業者持続化補助金(販売促進費用補助制度)を活用しよう
販売促進費用補助制度は主に従業員数が20名以下の法人や個人事業主を対象とした制度です。販売促進費用に加え、販路開拓につながるのであれば、システム開発・新商品開発費や店舗改装費にも活用できるユニークな制度となっています。
本制度は幅広い用途での活用が可能で、申請書の種類も多くありません。起業を考えている方や、既存事業の拡大を考えている方はぜひ制度を活用してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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