- 更新日 : 2026年7月24日
共益費の勘定科目・仕訳例は?管理費や家賃との違いついても解説!
共益費は支払時と受取時で勘定科目が変わります。
- 支払う側は地代家賃でまとめて計上することが多い
- 受け取る側は売上または受取家賃に振り分ける
- 契約や課税方式で家賃と区分するかが決まる
居住用と事業用で消費税の扱いが異なるため、物件用途を確認してから仕訳をしましょう。
オフィスや事務所を借りると、家賃とは別に共益費を支払うケースがあります。共益費は共用部分の維持管理にかかる費用で、家賃や管理費とは性格が異なるため、仕訳のときにどの勘定科目を使うか迷う方も少なくありません。この記事では、共益費の概要から管理費・家賃との違い、支払時と受取時の勘定科目、仕訳例、消費税の扱いまでをわかりやすく解説します。
目次
共益費とは?家賃・管理費との違い
賃貸オフィスなどの契約をする際、家賃とは別に、共益費が毎月発生することがあります。共益費は、オフィスビルなどの入居者が、共同で利益を受け、かつ共同で責務を負う共用の部分にかかる費用のことです。共益費に該当する具体的な費用として挙げられるのは、以下のようなものです。
- エントランスや通路、階段などの清掃費や電気代、空調費
- エレベーターの点検費用
- 共同の給湯室の水道光熱費や衛生費
- トイレの清掃費や照明交換費用
- 駐車場の維持管理費
- 共用部分の防災対策やセキュリティ対策などに関する費用 など
共益費と家賃の違い
共益費は共用部分の維持管理費、家賃は専有部分の賃貸料です。
共益費と家賃は、どちらも賃貸借契約で毎月発生する費用ですが、対象や扱いに違いがあります。主な違いは下表のとおりです。
| 比較項目 | 共益費 | 家賃 |
|---|---|---|
| 対象範囲 | 共用部分(廊下・階段・エントランスなど)の維持管理 | 専有部分(借りている部屋や事務所そのもの) |
| 主な費用例 | 光熱費・上下水道使用料・清掃費など | 部屋や事務所の賃貸料 |
| 料金改定 | 法律上の制限なし(変動費を含むため。ただし、契約内容、維持費の変動、当事者間の合意等を確認することを推奨) | 借地借家法による制約あり |
なお、賃貸借契約によっては共益費がないケースもあり、共益費分が家賃に組み込まれている形になります。共用部分の維持費は共益費がなくても発生するため、契約前に確認しておきましょう。
共益費と管理費の違い
管理費は建物全体の管理にかかる費用で、共益費より広い範囲を指す傾向があります。
共益費と管理費は実務で区別なく使われることもありますが、本来の意味では範囲に違いはありますが、法的な扱いが明確に分かれているわけではありません。
整理すると下表のとおりです。
| 比較項目 | 共益費 | 管理費 |
|---|---|---|
| 主な範囲 | 共用部分の維持管理にかかる実費が中心 | 共用部分の維持管理に加え、ビル管理会社の委託費・管理組合運営費・外壁修繕費などを含むことがある |
| 実務での扱い | 管理費と同義で使われることもある | 共益費と同義で使われることもある |
共益費と管理費は、実務上、同じ意味で使用されることがあります。一般には、共益費を共用部分の維持管理費、管理費を建物管理全般に関する費用として使い分ける例もありますが、法令上、一律の区分が定められているわけではありません。
そのため、名称だけで会計処理を決めず、契約書や請求書で詳細な内容を確認することをおすすめします。
賃貸借契約書での共益費の確認方法
共益費の金額や内訳は、賃貸借契約書の頭書欄に記載されているのが一般的です。
国土交通省が公開している賃貸住宅標準契約書では、賃料・共益費・敷金などを頭書欄で個別に記載するひな型となっています。専有部分の電気・ガス・水道などを貸主が一括して立て替える場合は、その他の欄に内容と金額を記入する形です。
仕訳の際にどの勘定科目を使うべきか判断するため、契約書では次のポイントを確認しましょう。
- 共益費の項目が独立して記載されているか
- 月額がいくらに設定されているか
- 内訳に水道光熱費が含まれているか
- 専有部分の光熱費は「その他」欄で別計上されているか
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共益費の勘定科目は、支払時と受取時で異なる
共益費の勘定科目は、支払う側と受け取る側で使い分けます。支払時は地代家賃でまとめて処理するのが一般的で、受取時は不動産賃貸が本業かどうかで売上または受取家賃に分けます。さらに外形標準課税の対象法人は、家賃と共益費を区分して仕訳することがあります。
支払時の勘定科目は地代家賃
事業用に借りた物件の共益費は、家賃と合わせて地代家賃で処理するのが一般的です。
共益費は家賃に付随して毎月発生する費用のため、家賃と区別せず地代家賃で計上できます。地代家賃は、建物や土地の賃借料に加えて、共益費や月極駐車場代なども含む勘定科目です。
ただし、共益費の中に水道光熱費が明細として区分されているときは、その部分を水道光熱費に振り替えることが適切な場合もあります。明細がわかる場合とわからない場合で処理が変わるため、毎月の請求書を確認しておきましょう。
受取時の勘定科目は売上または受取家賃
共益費を受け取る側は、不動産賃貸が本業か否かで売上と受取家賃を使い分けます。
不動産賃貸を本業とする会社の場合、共益費を含む家賃収入はすべて事業収益にあたるため、売上で計上します。不動産賃貸が本業でない会社が副次的に建物を貸して共益費を受け取る場合は、受取家賃で処理するのが一般的です。
個人やサラリーマンが副業として家賃収入を得たケースでは、賃貸料で処理することもあります。受取側の主な事業内容によって勘定科目が変わる点を押さえておきましょう。
共益費を家賃と区分するケース(外形標準課税)
外形標準課税の対象法人は、共益費と家賃を別の勘定科目で区分するケースがあります。
資本金または出資金の額が1億円を超える法人を中心に、法人事業税の外形標準課税が適用されます。なお、令和7年4月以後に開始する事業年度からは、減資した法人など、追加で対象となるケースがあるため確認が必要です。
外形標準課税では、付加価値割の計算に支払賃借料が含まれますが、賃貸借契約や請求書で共益費が賃借料と明確に区分されている場合、その共益費は支払賃借料から除外できます。
そのため、外形標準課税の対象法人は節税の観点から、家賃と共益費を地代家賃と共益費のように勘定科目で分けて記帳することがあります。一般の中小法人や個人事業主の場合は、家賃と共益費を地代家賃でまとめて処理して問題ありません。
【パターン別】共益費の仕訳例
実務でよくある共益費の仕訳を、支払う側と受け取る側に分けて確認しましょう。各パターンとも家賃と共益費をまとめて計上する場合の処理を中心に解説します。
法人がオフィスを賃借し共益費を支払った場合
事業用に賃借したオフィスの共益費は、家賃と一緒に地代家賃で処理します。
例:A社はオフィスを賃借しており、本日、毎月の家賃50万円とともに共益費5万円を当座預金から支払った。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 地代家賃 | 550,000円 | 当座預金 | 550,000円 |
共益費に水道光熱費が含まれ明細がわかる場合
共益費に水道光熱費が明細として記載されているときは、その分を水道光熱費で別計上します。
例:B社はオフィスを賃借しており、家賃50万円とともに共益費5万円を当座預金から支払った。共益費のうち1万円は水道代として明細に記載されている。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 地代家賃 | 540,000円 | 当座預金 | 550,000円 |
| 水道光熱費 | 10,000円 |
明細が分かれていない場合は、全額を地代家賃で処理して差し支えありません。請求書を確認したうえで判断するのが基本です。
不動産会社が共益費を受け取った場合
不動産賃貸を本業とする会社では、家賃と共益費の合計を売上に計上します。
例:自社所有のオフィスビルを賃貸している不動産会社のC社は、テナントD社にオフィスビルの一角を貸している。本日、家賃50万円と共益費5万円を当座預金で受け取った。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 550,000円 | 売上 | 550,000円 |
なお、家賃部分を翌月分として前受けする場合は、前受金で処理します。
不動産業を本業としない法人が共益費を受け取った場合
不動産賃貸が本業でない会社が共益費を受け取ったときは、受取家賃で処理します。
例:E社は、社宅として所有するアパートのうち、入居予定がない一部住戸を第三者に貸し出している。毎月の家賃10万円と共益費1万円を当座預金で受け取った。E社は不動産賃貸を主な事業として行っていない。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 110,000円 | 受取家賃 | 110,000円 |
個人事業主が共益費を仕訳するときの考え方
個人事業主が共益費を経費にする場合、事業用と私用の比率に応じて家事按分する必要があります。事業用部分は地代家賃、私用部分は事業主貸で処理するのが基本の流れです。
自宅兼事務所は家事按分が必要
自宅の一部を事業に使っている個人事業主は、共益費も家賃と同じく家事按分の対象になります。
個人事業主が自宅兼事務所として賃貸物件を使っているケースでは、家賃と共益費のうち事業に使っている割合だけを経費に計上します。事業割合は、床面積比や使用時間などの合理的な基準で算出します。
たとえば、自宅全体のうち事業用スペースが30%を占める場合、家賃と共益費の30%を地代家賃、残り70%を事業主貸で記帳する形です。家事按分の根拠は帳簿や図面で残しておくと、税務調査の際にも説明しやすくなります。
家事按分した共益費の仕訳例
家事按分する場合、事業用部分は地代家賃、私用部分は事業主貸で分けて処理します。
例:個人事業主のF氏は、自宅兼事務所として賃借しているマンションの家賃14万円と共益費1万円を普通預金から支払った。事業使用割合は20%とする。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 地代家賃 | 30,000円 | 普通預金 | 150,000円 |
| 事業主貸 | 120,000円 |
按分割合は毎年見直し、実態と帳簿が一致するよう管理しておきましょう。
共益費に消費税はかかる?住宅用と事業用で異なる
共益費の消費税は、対象物件が居住用か事業用かで取り扱いが変わります。住宅用は非課税、事業用は課税が原則です。専有部分の光熱費を実費で集金するケースなど、共益費の名目でも別の科目で処理する例外もあるため、契約形態を確認しましょう。
住宅用物件の共益費は非課税
マンションやアパート、社宅など居住目的の物件の共益費は、家賃と同様に消費税が非課税です。
国税庁の取扱いでは、住宅の貸付けにかかる家賃は非課税とされ、入居者が応分に負担する共益費(共用部分の光熱費や維持費など)も家賃に含めて非課税扱いになります。管理費という名目で受け取った場合でも、内容が居住者の共同使用部分に関する費用であれば同様に非課税です。
事業用物件の共益費は課税
オフィスや店舗など事業用に貸す物件の共益費は、消費税の課税対象になります。
事業用物件の家賃は消費税の課税取引にあたるため、付随する共益費にも消費税が課されます。仕訳の際は、家賃と共益費を地代家賃で合算する場合でも、税区分は課税仕入として処理する形です。
不動産会社などが共益費の名目で清掃費や水道光熱費などを毎月一定額徴収し、それぞれの経費の支払いに充てるケースでは、徴収分を課税売上として計上できます。
テナント別メーターで実費徴収する場合は預り金
専有部分の光熱費を実費で集金するときは、一定の要件を満たす場合、共益費ではなく預り金で処理します。
テナントごとに設置されたメーターをもとに、実際にかかった水道光熱費を集金する場合は、共益費と水道光熱費を明確に区分できます。このとき、貸主は水道光熱費を代わりに支払っているだけのため、共益費ではなく預り金で処理するのが正しい考え方です。
預り金は課税売上に計上せず、消費税の課税対象にもなりません。家賃とは別に専有部分の光熱費を徴収する形をとっている場合は、非課税となる家賃には含めない点に注意しましょう。
参照:集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定|国税庁
共益費の処理を効率化するポイント
共益費の仕訳は、支払う側か受け取る側か、物件用途が居住用か事業用かによって判断が分かれます。判定ルールを社内で統一しておくと、毎月の処理がスムーズになります。
判定ルールを整理しておく
自社が支払うのか受け取るのか、課税か非課税かを最初に整理しておくと迷いません。
共益費ひとつをとっても、立場と物件用途によって会計処理が変わります。勘定科目や税区分の判定で工数がかかると感じる経理担当者は少なくないため、判定フローを社内マニュアルにまとめておくと業務の安定につながります。
会計ソフトの自動仕訳を活用する
請求書や入出金明細から自動で仕訳を作る機能を使うと、共益費のような毎月発生する取引を効率化できます。
共益費は毎月同じパターンで発生する取引が多いため、定型仕訳の登録や自動学習機能を備えた会計ソフトを活用すると入力の手間を減らせます。明細データを連携しておけば、家賃と共益費の按分や水道光熱費の振り分けも自動化しやすくなります。
経理担当者を悩ませる「勘定科目」の判定
賃貸オフィスの共益費をはじめ、日々の取引においてどの勘定科目を使えばよいか迷う担当者は少なくありません。
マネーフォワード クラウドで実施した調査において、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている(ボトルネックとなっている)作業を尋ねたところ、最も多かったのは「適切な勘定科目や消費税区分(課税・非課税等)の判定」で、36.8%でした。
勘定科目の判断が業務のハードルに
共益費ひとつをとっても、自社が支払うのか受け取るのか、また消費税の課税対象になるかどうかによって適切な会計処理は変わります。アンケート結果からも、勘定科目や税区分の判定は実務担当者にとって大きなハードルとなっており、日々の判断作業が経理業務全体のボトルネックになっていることが読み取れます。勘定科目に迷った際は、本記事の仕訳例などを参考にしながら処理を進めることが大切です。
出典:マネーフォワード クラウド、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業【勘定科目に関する調査データ】(回答者:アンケート回答者707名、集計期間:2026年3月実施)
共益費の勘定科目を正しく押さえて仕訳をスムーズに
共益費の勘定科目は、支払う側であれば地代家賃、受け取る側であれば売上または受取家賃を使うのが基本です。共益費と家賃は対象が異なりますが、会計処理上はまとめて処理して問題ありません。ただし、外形標準課税の対象法人や個人事業主の家事按分が必要なケースでは、家賃と区別して仕訳する場面もあります。消費税の扱いも住宅用と事業用で異なるため、物件用途と契約内容を確認したうえで仕訳をしましょう。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
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よくある質問
共益費とは?
例えば、賃貸オフィスなどの入居者が共同で利用する、共用部分にかかる維持管理費用、防災対策費用、セキュリティ対策費用などをいいます。詳しくはこちらをご覧ください。
共益費の勘定科目は?
共益費を支払ったときは「地代家賃(支払家賃)」、共益費を受け取ったときは「売上」や「受取家賃」の勘定科目を使います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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