- 更新日 : 2026年5月8日
共益費の勘定科目・仕訳例は?管理費や家賃との違いついても解説!
賃貸オフィスなどを契約する際、家賃とは別に、共益費がかかることがあります。なぜ、契約によって共益費が発生するのでしょうか。この記事では、共益費の概要と管理費や家賃との違い、共益費を支払ったときの勘定科目と仕訳、共益費を受け取ったときの勘定科目と仕訳について解説していきます。
目次
共益費とは
賃貸オフィスなどの契約をする際、家賃とは別に、共益費が毎月発生することがあります。共益費は、オフィスビルなどの入居者が、共同で利益を受け、かつ共同で責務を負う共用の部分にかかる費用のことです。英語では「Monthly fee for common areas of an apartment building」といい、「Common charges」や「Maintenance fee」と表現されることもあります。
共益費に該当する具体的な費用として挙げられるのは、以下のようなものです。
- エントランスや通路、階段などの清掃費や電気代、空調費
- エレベーターの点検費用
- 共同の給湯室の水道光熱費や衛生費
- トイレの清掃費や照明交換費用
- 駐車場の維持管理費
- 共用部分の防災対策やセキュリティ対策などに関する費用 など
共益費と管理費の違い
賃貸オフィス契約の際、共益費とは別に管理費が請求されることがあります。管理費は、ビル全体の管理にかかる費用のことです。
共益費と同じように共用部分の管理にかかる費用をいうこともありますが、ビル管理会社の費用や管理組合の費用、ビル外壁の修繕費なども含まれる点が共益費とは異なります。
また、先取特権の有無にも違いがあります。先取特権とは、優先的に債務の弁済を受けられる権利のことです。実質が共益の費用であれば先取特権がありますが、共用の費用でない費用には先取特権がありません。
共益費と家賃の違い
共益費と家賃は、どちらも賃貸オフィス契約などで毎月発生するものになります。大きな違いは、その内容です。共益費は共用部分の維持管理費ですが、家賃は専有部分の賃貸料です。
また、料金の改定がしやすいかどうかも異なります。共益費は水道光熱費などの変動費が含まれているため、改定に法的な制限はありませんが、家賃は借地借家法による制限があります。
なお、賃貸契約によっては、共益費がないケースもあります。これは、共益費分がすでに家賃に組み込まれているためです。共用部分の維持費は共益費がなくても発生しますので、共益費がない分、家賃が上がるのが通常です。家賃が上がれば、家賃をベースに計算する仲介手数料や敷金などの初期費用も増えてしまいます。
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共益費の勘定科目
オフィスの賃貸契約を結んで共益費を支払った場合、共益費は家賃に含めて、「地代家賃(支払家賃)」の勘定科目で処理することが多いです。共益費は単独で発生するものではなく、賃貸契約に付随して発生するものだからです。
一方、「共益費」などとして、家賃と共益費を区分して仕訳を行うこともあります。これは、地方自治体が法人に課する法人事業税において、外形標準課税の計算上、契約書などで明確に区分があるときは、共益費を支払賃借料に含めないためです。資本金や出資金の額が1億円を超える外形標準課税の対象になる法人は、節税のため、家賃と共益費を勘定科目で区分することがあります。
共益費を受け取った場合については、仕訳例でも後述するように、事業に合わせて「売上」や「受取家賃」などの勘定科目を使用して仕訳します。
共益費の仕訳例
共益費に関する仕訳について、不動産会社が共益費を受け取ったとき、不動産会社以外が共益費を得て受取家賃としたとき、法人が賃貸事務所を契約して共益費を支払ったときの3つのケースに分けて仕訳を解説します。
共益費の収入時の仕訳
共益費の収入があった場合の仕訳について、不動産会社の場合と不動産会社以外の場合に分けて説明します。
不動産会社の場合
(例)自社所有のオフィスビルの貸し出しを事業として行っている不動産会社のA社は、C社にオフィスビルの一角を貸し出している。本日、毎月の家賃50万円とともに、共益費5万円を当座預金に入金を受けた。
(※家賃部分は次月分を前受けするケースも多く、前受けの場合は前受金で処理します)
A社のように、オフィスビルの貸し出しをメイン事業として行っている不動産会社の場合、事業収入として、共益費含む家賃は、売上に計上します。
不動産会社以外の場合
(例)B社は、社宅として所有するアパートのうち、長期間、社員の入居が見込まれないアパートについて、第三者に貸し出しを行っている。第三者に貸し出している分について、毎月の家賃10万円とともに共益費1万円を受け取り、ただちに当座預金とした。なお、B社は不動産の貸し出しを主な事業として行っている会社ではない。
不動産の賃貸事業をメインで行っている不動産会社ではなく、副収入として共益費含む家賃収入を得たときは、「受取家賃」などの勘定科目を使って仕訳をします。
共益費の支払時の仕訳
家賃とともに共益費を支払ったときは、以下のような仕訳を行います。
(例)D社は、オフィスを賃借している。本日、毎月の家賃50万円とともに、共益費5万円を当座預金から支払った。
共益費に消費税はかかるの?
共益費に消費税が課税されるかどうかについては、対象の物件が住宅であるか、住宅でないかで変わってきます。
まず、賃貸オフィスなど住むことを目的にしていない物件の共益費は、消費税の課税対象です。一方、アパートやマンション、社宅など、住むことを目的とした物件の共益費は非課税になります。住宅であれば、管理費の名目であってもその内容が、居住者が共同に使用する部分の費用であれば非課税です。
次に、不動産会社などが共益費を受け取る場合について考えます。共益費の名目で、清掃費や水道光熱費などを毎月一定額徴収し、それぞれの経費の支払いに充てるケースでは、共益費としての徴収分を課税対象にして問題ありません。
一方、テナントごとに設置されたメーターをもとに、実際にかかった費用を共益費として集金する場合は、水道光熱費は共益費と明確に区分できますので、共益費ではなく水道光熱費として扱うのが正しいです。また、共益費を受け取った会社は、水道光熱費を代わりに支払ったに過ぎないため、共益費ではなく、預り金として処理します。預り金なので、課税売上には計上せず、消費税の課税対象にもなりません。
経理担当者を悩ませる「勘定科目」の判定
賃貸オフィスの共益費をはじめ、日々の取引においてどの勘定科目を使えばよいか迷う担当者は少なくありません。
マネーフォワード クラウドで実施した調査において、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている(ボトルネックとなっている)作業を尋ねたところ、最も多かったのは「適切な勘定科目や消費税区分(課税・非課税等)の判定」で、36.8%でした。
勘定科目の判断が業務のハードルに
共益費ひとつをとっても、自社が支払うのか受け取るのか、また消費税の課税対象になるかどうかによって適切な会計処理は変わります。アンケート結果からも、勘定科目や税区分の判定は実務担当者にとって大きなハードルとなっており、日々の判断作業が経理業務全体のボトルネックになっていることが読み取れます。勘定科目に迷った際は、本記事の仕訳例などを参考にしながら処理を進めることが大切です。
出典:マネーフォワード クラウド、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業【勘定科目に関する調査データ】(回答者:アンケート回答者707名、集計期間:2026年3月実施)
共益費について理解できましたか?
共益費は共有部分の維持管理などにかかる費用をいいます。オフィスビルなど、賃貸物件の契約を行ったとき、毎月の費用として家賃とともに請求されることが多いです。法律上は、家賃と共益費とではいくつか違いがありますが、会計処理上は同一のものとして扱っても問題はありません。共益費を支払ったときは家賃と合わせて「地代家賃」、共益費を受け取ったときは家賃と合わせて「売上」や「受取家賃」に計上します。なお、消費税については、住宅用か住宅用でないかで違いがありますので、よく確認しておきましょう。
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よくある質問
共益費とは?
例えば、賃貸オフィスなどの入居者が共同で利用する、共用部分にかかる維持管理費用、防災対策費用、セキュリティ対策費用などをいいます。詳しくはこちらをご覧ください。
共益費の勘定科目は?
共益費を支払ったときは「地代家賃(支払家賃)」、共益費を受け取ったときは「売上」や「受取家賃」の勘定科目を使います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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