• 更新日 : 2024年8月8日

貸借対照表の書き方を簡単に解説!エクセル作成も対応

会社は決算の際に「貸借対照表」を税務署に提出します。

この「貸借対照表」には決算日の会社の財政状態が表されており、記載事項には会社の純資産(資本)、そして、それを導き出すための資産や負債があります。書き方が分からない人には煩雑に思えますが、エクセルテンプレートや会計ソフトを使えば、実際にはそれほど難しくありません。

ここでは、貸借対照表の書き方について説明します。

貸借対照表とは

貸借対照表(バランスシート)とは?

「貸借対照表」とは、会社の財政状態を表す報告書です。大まかに言うと、決算時点での各勘定科目の残高を集計した表です。勘定科目とは、「現金」や「当座預金」など、お金の動きを明白にするために記載する経理上の項目のことで、単に「勘定」と呼ばれることもあります。

貸借対照表においては、簿記などに記載している勘定科目を「資産」と「負債」「純資産(資本)」に分類します。

書き方の基本として、まず、左側に「資産」に分類される科目がまとめられています。右側には「負債」、そして返済の必要のない資本である「純資産(資本)」がきます。純資産(資本)は資産の合計から負債を差し引いた金額で、最終的に資産の合計と負債・純資産(資本)の合計が一致しなければなりません。

なお、サンプルに記載されている勘定科目は、会社の業種や状況によって異なります。

貸借対照表のテンプレート(エクセル)

貸借対照表のテンプレート集(無料)

画像:シンプルな貸借対照表(色つき、横書き)テンプレート

「マネーフォワード クラウド会計」では、貸借対照表のテンプレート(ひな形)をエクセル形式にて無料で提供しています。以下のリンクからダウンロードが可能です。

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ほかにも、以下のリンクからダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

貸借対照表のエクセルでの書き方

エクセルテンプレートを用いて貸借対照表を作成する場合には、エクセル上の「資産の部」や「負債の部」「純資産の部」ごとに用意された各勘定科目について、白抜きとなっている金額欄のセルに数字を入力してください。

各勘定科目の金額を入力することにより、「流動資産」や「固定資産」「流動負債」などの黄色のセルが自動計算されます。

決算整理仕訳を計上したあとの試算表の金額をひと通り入力し終わったら、フォーマット最下部にある「資産合計」と「負債・純資産合計」の金額をチェックし、貸借がきちんと一致していることを確認しましょう。

貸借対照表の書き方

貸借対照表の書き方を学ぶ前に、複式簿記を記帳する流れを説明します。

記帳等の流れ

参照:青色申告者のための貸借対照表作成の手引き|国税庁

①仕訳帳の記載

仕訳帳のイメージ

画像:マネーフォワード クラウド会計で自動出力できる仕訳帳のイメージ

仕訳とは、ある取引を「勘定科目」を使って「借方(左側)」と「貸方(右側)」に分けることです。借方と貸方は、それぞれ同じ残高にする決まりとなっています。

ある取引が発生すると、取引の発生順に取引の年月日や、適切な勘定科目、金額等を仕訳帳に記載します。

その際、単なるお金の動きを記録するだけでなく、その取引を「借方」と「貸方」の両面から記帳する必要があります。

仕訳の自動化

なお、マネーフォワード クラウド会計の場合、日々の取引の入力など面倒な作業は自動化できるので、仕訳作業もラクにできます。

仕訳帳は、会計ソフトで自動作成するのがカンタンかつ作業もラクでおすすめです。

②総勘定元帳の記載

総勘定元帳

画像:マネーフォワード クラウド会計で自動出力できる総勘定元帳のイメージ

総勘定元帳とは、すべての取引を勘定科目ごとに記録していく帳簿です。いっぽう、仕訳帳はすべての取引を日付順に記録する帳簿です。

「仕訳帳」の内容を「総勘定元帳」に転記し、勘定科目ごとに(例えば「現金」や「売上」など)に取引内容を整理します。

  1. 取引が発生する
  2. 日付ごとに「仕訳帳」に記入
  3. 勘定科目ごとに勘定口座を作る
  4. 仕訳帳に記載されている仕訳を転記 →「総勘定元帳

総勘定元帳

\仕訳帳・総勘定元帳も自動でカンタン作成できます!/

③試算表の作成

残高試算表

画像:マネーフォワード クラウド会計で自動出力できる残高試算表のイメージ

決算を迎えると、貸借の金額が一致しているかどうか確認するために、総勘定元帳に記載されている各勘定科目から残高を抽出し、「試算表」を作成します。

④貸借対照表・損益計算書の作成

この試算表に対し、さらに決算整理仕訳(※後述)を加えて作成するものが、貸借対照表となります。

損益計算書の例

一方で、収益、費用から作られるのが「損益計算書」で、こちらも確定申告のときには必要な書類です。

試算表から損益計算書や貸借対照表を作るまでに、決算整理仕訳による修正の過程を一覧にした「精算表」を作る書き方もあります。「精算表」を用いて貸借対照表を作成することも可能です。

損益計算書と貸借対照表を考える際に重要な発生主義については「現金主義と発生主義の違いを理解しよう」にてご確認いただけます。

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決算整理仕訳とは何か

決算整理仕訳とは、そのときまで未処理であった取引の整理をまとめて行うことです。具体的には、以下のような点に注意しましょう。

貸借対照表の書き方で注意するべきこと

実際に試算表や精算表から貸借対照表を書くときは、いくつか注意するべき点があります。

  • 総勘定元帳での「繰越商品」は、貸借対照表では「商品」と記入する。
  • 総勘定元帳での「当座借越」は、貸借対照表では「短期借入金」と記入する。
  • 「貸倒引当金」「減価償却累計額」は、資産に記載して、しかるべき控除を行う。

以下の図をご覧ください。
貸借対照表_注意点

例えば、「貸倒引当金」-10万円は「売掛金」40万円の次の行に記載します。売掛金40万円-貸倒引当金10万円=30万円が、将来の貸倒リスクも加味した債権残高となります。

また、「減価償却累計額」-3万円も同様に「建物」30万円の次の行に記載し、建物30万円-減価償却累計額3万円=27万円が、建物の期末時点での価値となります。書き方には注意しましょう。

より詳しい勘定科目については「貸借対照表でよく使われる勘定科目まとめ」にてご紹介しています。こちらもご確認ください。

貸借対照表の作り方は主に3種類

貸借対照表を作成する方法は、主に以下の3つがありますが、どれを選ぶかは企業や個人のニーズ、規模、予算、技術的な能力によって異なります。

エクセルで作成
  • メリット: カスタマイズが容易、多くのテンプレートが利用可能、比較的低コスト。
  • デメリット: 誤りが生じやすい、大規模なデータ処理には不向き、自動更新機能が限られる。
  • 適用例:中小企業やスタートアップ、個人事業主、会計基礎知識がある場合。
手書きで作成
  • メリット: 特別なソフトウェアが不要、小規模な事業やシンプルな財務で十分。
  • デメリット: 時間がかかる、誤りのリスク、データの更新や修正が困難。
  • 適用例:非常に小規模なビジネスや個人事業、会計が非常にシンプルな場合。
会計ソフトで作成
  • メリット:自動化されたデータ入力と計算、エラーのリスク低減、時間の節約、報告書の標準化。
  • デメリット: コストがかかる場合がある、最初は操作に慣れる必要がある。
  • 適用例:個人事業主から、中小企業、大規模の企業まで、幅広く活用可能。会計作業の効率化を求める場合など。

最終的には、企業や個人の特定の要件に最も適した方法を選択することが重要です。例えば、小規模なビジネスであれば手書きでも十分かもしれませんが、より複雑な財務を持つ企業や、時間の節約と正確性を重視する場合は、エクセルや会計ソフトの使用を検討すると良いでしょう。

会計ソフトは特に、データの整合性を保ちつつ効率的に作業を進めることができるため、多くの企業において好まれる選択肢となっています。

マネーフォワード クラウド会計

マネーフォワード クラウド会計は、簿記に詳しくない方もカンタンに、貸借対照表をはじめとした、決算に必要な書類を自動出力できます。ぜひお気軽にぉ試しください。

貸借対照表の作成は日々の仕訳から!

このように、会社の財政状態を表す貸借対照表は、各勘定科目を集計した試算表、または、精算表に決算整理仕訳を行うだけで作成することができます。書き方を学べば自分でも書くことができるようになりますから、国税庁のサイトに掲載されている手引きを確認しましょう。

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よくある質問

「貸借対照表」とは?

会社の財政状態を表す報告書です。詳しくはこちらをご覧ください。

決算整理仕訳とは?

そのときまで未処理であった取引の整理をまとめて行うことです。詳しくはこちらをご覧ください。

貸借対照表の書き方で注意するべきことは?

総勘定元帳での「繰越商品」は、貸借対照表では「商品」と記入することや、総勘定元帳での「当座借越」は、貸借対照表では「短期借入金」と記入することなどがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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