- 更新日 : 2021年7月1日
貸借対照表の書き方を具体例とともに解説

この「貸借対照表」にはその時点での会社の財政状態が表されており、記載事項には会社の純資産(資本)、そして、それを導き出すための資産や負債などがあります。一見すると、書き方が分からない人には煩雑に思えますが、実際にはそれほど書き方は難しくありません。
ここでは、貸借対照表の書き方について説明します。
貸借対照表とは
「貸借対照表」とは、会社の財政状態を表す報告書です。大まかに言うと、決算時点での各勘定科目の残高を集計した表です。勘定科目とは、「現金」や「当座預金」など、お金の動きを明白にするために記載する経理上の項目のことで、単に「勘定」と呼ばれることもあります。
貸借対照表においては、簿記などに記載している勘定科目を「資産」と「負債」に分類します。
書き方の基本として、まず、左側に「資産」に分類される科目がまとめられています。右側には「負債」、そして返済の必要のない資本である「純資産(資本)」がきます。純資産(資本)は資産と負債の差額で、最終的に左項の合計と右項の合計が一致していなければなりません。
下の記載例をご覧ください。
なお、サンプルに記載されている勘定科目は、会社の業種や状況によって異なります。
貸借対照表の書き方
貸借対照表の書き方を学ぶ前に、複式簿記を記帳する流れを説明します。
(参照:青色申告者のための貸借対照表作成の手引き)
ある取引が発生すると、勘定科目を決めて「仕訳帳」に記載します。その際、表面上のお金の動きだけでなく、その取引を「借方」と「貸方」の両面から記録しておくことが必要です。その後、「仕訳帳」の内容を「総勘定元帳」に記載し、勘定科目を種類別(例えば「現金」や「売上」など)に整理します。
決算の時期になると、貸借が一致しているかどうか確認するために、総勘定元帳の各勘定科目から残高を転記した「試算表」を作成します。この試算表から、資産、負債、純資産(資本)を抜き出して決算整理仕訳を行ったものが、貸借対照表となります。
一方で、収益、費用から作られるのが「損益計算書」で、こちらも確定申告のときには必要な書類です。
試算表から損益計算書や貸借対照表を作るまでに、決算整理仕訳による修正の過程を一覧にした「精算表」を作る書き方もあります。「精算表」を用いて貸借対照表を作成することも可能です。
損益計算書と貸借対照表を考える際に重要な発生主義については「現金主義と発生主義の違いを理解しよう」にてご確認いただけます。
決算整理仕訳とは何か
決算整理仕訳とは、そのときまで未処理であった取引の整理をまとめて行うことです。具体的には、以下のような点に注意しましょう。
貸借対照表の書き方で注意するべきこと
実際に試算表や精算表から貸借対照表を書くときは、いくつか注意するべき点があります。
・総勘定元帳での「当座借越」は、貸借対照表では「短期借入金」と記入する。
・「貸倒引当金」「減価償却累計額」は、資産に記載して、しかるべき控除を行う。
以下の図をご覧ください。
例えば、「貸倒引当金」-10万円は「売掛金」40万円の次の行に記載します。売掛金40万円-貸倒引当金10万円=30万円が、回収が期待できる売掛金となります。
また、「減価償却累計額」-3万円も同様に「建物」30万円の次の行に記載し、建物30万円-減価償却累計額3万円=7万円が、建物の本来の価値となります。書き方には注意しましょう。
より詳しい勘定科目については「貸借対照表でよく使われる勘定科目まとめ」にてご紹介しています。こちらもご確認ください。
まとめ
このように、会社の財政状態を表す貸借対照表は、各勘定科目を集計した試算表、または、精算表に決算整理仕訳を行うだけで作成することができます。書き方を学べば自分でも書くことができるようになりますから、国税庁のサイトに掲載されている手引きを確認しましょう。
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マネーフォワード クラウド会計の導入事例
金融口座の取引明細データが自動で取り込まれ、各取引の勘定科目も自動で仕訳される。以前はインストール型ソフトを利用していたので、それがクラウドに変わるとこれほど自動化されるものなのかと本当に驚きました。
株式会社久松農園 久松 達央 様
よくある質問
「貸借対照表」とは?
会社の財政状態を表す報告書です。詳しくはこちらをご覧ください。
決算整理仕訳とは?
そのときまで未処理であった取引の整理をまとめて行うことです。詳しくはこちらをご覧ください。
貸借対照表の書き方で注意するべきことは?
総勘定元帳での「繰越商品」は、貸借対照表では「商品」と記入することや、総勘定元帳での「当座借越」は、貸借対照表では「短期借入金」と記入することなどがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。