• 更新日 : 2023年7月31日

電子帳簿保存法の申請は不要?2022年改正についてまとめ

電子帳簿保存法の申請は不要?2022年改正についてまとめ

国税関連の帳簿書類は、原則、紙で保存することとされています。ただ、システム上、帳簿書類を作成することや、電子データでやり取りすることも近年では増えてきました。電子データを印刷して保存するのは、非効率的に感じる部分もあるでしょう。

国税関連の帳簿書類を、電子データで保存するための電子帳簿保存法は、改正により保存の要件が年々緩和されています。改正を機に、紙ではなく、電子データでの保存を検討しても良いかもしれません。この記事では、2022年改正の電子帳簿保存法で帳簿書類の電子データ化がどのように変わるのかを中心に解説します。

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは、国税関連の帳簿書類を電子データで保存する際のルールなどを定めた法律です。です。電子帳簿保存法では、電子計算機によって作成した帳簿の電子保存、関係書類のスキャナ保存、電子取引によるデータの保存について定めています。

電子帳簿保存法の創設以前は、紙による保存しか選択肢がなかったのですが、創設により、紙ではなく電子データでも保存が可能となりました。紙による保存が原則ではあるものの、紙による保存だけではなく、帳簿書類の大部分を電子データとして保存できるようになります。

なお、創設当初は、電子データとして保存するための要件が厳しく、導入には高いハードルがありました。しかし、近年続く改正により、電子保存はより多くの企業等に取り入れやすいものへと変化してきています。

改正でスキャナ保存の要件が緩和

電子帳簿保存法に関しては、制度創設以降、より利用しやすくするために、たびたび改正が行われてきました。2022年もスキャナ保存に関して大幅な要件緩和が行われています。

2020年10月に施行された制度の改正では、スキャナ保存の方法が、以下のいずれかを満たせば良いことになりました。

  • 発行者側でタイムスタンプの付与がなければ受領者が付与する
  • 改ざんを防止する事務処理の規定と社内での運用を行う
  • 発行者側でタイムスタンプの付与があれば、受領者側の付与はいらない
  • 受領者が改ざんできないシステム等を利用する

2022年の改正ではさらに、タイムスタンプの付与期間が2ヶ月プラス1週間以内とされ、受領者の自署が不要になるなど要件が大幅に緩和されています。

電子帳簿保存法に関してより詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。

電子帳簿保存法適用の流れについて解説

電子帳簿保存法が定める電子保存は、以前はすぐに適用できるものではありませんでした。

電子帳簿保存は大きく分けて3つの手続きに分類されます。

  • 電子帳簿等保存
  • スキャナ保存
  • 電子取引

このうち「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」については、保存を開始する3ヶ月前までに所轄税務署長の承認を受ける必要がありました。電子帳簿保存のポイントである「真実性の確保」「見読可能性の確保」などを満たすため、導入するシステム等について詳細に記載する必要があり、非常に高いハードルとなっていたのです。

しかし、この難しい申請手続きが電子帳簿保存の推進を妨げる一因となっていたこともあり、2022年の法改正で適用要件が大幅に緩和されることになります。

2021年12月まで2022年1月以降
電子帳簿等保存税務署長の承認が必要承認不要
スキャナ保存税務署長の承認が必要承認不要
電子取引承認不要承認不要

2022年1月以降は、以前より申請が不要であった「電子取引」に加え「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」についても、所轄税務署長の事前承認が不要になりました。

電子帳簿保存に必要な準備は適用を受けたい帳簿書類で変わってきますが、基本の流れは変わりません。以下が、電子帳簿保存法の定める電子保存を適用するまでの流れです。

  1. 電子保存のための要件を確認する
  2. 社内規定や運用方法を定める必要があれば作成する
  3. 電子帳簿保存法に対応したシステムを取り入れる
  4. 電子保存を開始する

電子取引の紙ベース保存はできない

書類は、書面で受け取るほか、メールやシステム上で受け取るケース(電子取引)もあります。電子取引に関しては、2024年1月以降、データを出力して作成した場合やCOMによる保存の場合を除き、電磁的記録で保存することと定められています。

例外を除き電磁的記録での保存が必要なため、要件を満たした保存ができているか、確認しておく必要があります。

電子帳簿保存の注意点

■電子帳簿保存法に対応しているか確認する

自社開発やカスタマイズのほか、市販のシステムを利用して電磁的記録を行いたい場合もあるでしょう。市販のシステムは、会社の規模にかかわらず、取り入れやすいのが利点です。ただし、導入の際は、システムが電子帳簿保存法に対応しているか、よく確認しておく必要があります。

基本的に、電子帳簿保存には、さまざまな要件や注意点があります。できるだけ工数を減らして作業を行うには、すでに電子帳簿保存法に対応しているようなシステムを利用することをおすすめします。

■「過少申告加算税の軽減措置」の適用を受ける場合には承認が必要

本来納めるべき税額より少ない税額で確定申告をしていたことが、税務調査などで判明するケースがあります。これを「過少申告」と呼びます。過少申告をした場合、本来ペナルティとして過少となった税額に対して10~15%の「過少申告加算税」を納めなければなりません。しかし、電子帳簿保存を行っている場合、電子帳簿保存の各要件のほか次に挙げる3つの要件を満たせば「過少申告加算税」が5%軽減される措置があります。

  • 訂正や削除の履歴が保存できること
  • 帳簿同士の相互関係があること
  • 日付や金額、取引先で検索することができること

電子帳簿保存を開始する際の申請手続きは全て不要になりましたが、過少申告加算税の軽減措置については事前に承認を受けなければなりませんので注意が必要です。

マネーフォワード クラウドでスムーズな電子帳簿保存法対応を

電子帳簿保存法の要件は、毎年緩和されています。マネーフォワード クラウドでは、『マネーフォワード クラウドBox』のリリースによって、従来の電子保存に必要だったタイムスタンプ不要で、電子帳簿保存法に対応したデータの保存ができるようになりました。

改正電帳法の保存要件を満たした新機能を2021年内に順次リリース

また、2022年1月の改正電子帳簿保存法施行にあわせ、、改正電帳法の要件を満たした新機能を2021年以降順次リリースします。

この機会に、簡単に電子帳簿保存法に対応したデータ保存ができるマネーフォワード クラウドの導入を検討してみませんか?

よくある質問

電子帳簿保存法とは?

国税関連の帳簿書類を電子データとして保存するためのルールなどを定めた法律です。詳しくはこちらをご覧ください。

承認申請が必要な手続きはなくなった?

「過少申告加算税の軽減措置」を受ける場合には、事前に承認申請が必要になります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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