• 作成日 : 2021年6月10日

パソコン購入時の勘定科目と仕訳例まとめ

パソコン購入時の勘定科目と仕訳例まとめ

IT関連の企業をはじめとして、事務処理などのためにパソコンを購入する会社や個人事業主は多いでしょう。パソコンの購入は金額によって勘定科目が異なり、その後の会計処理も変わってきますので、しっかりポイントを押さえておきたいところです。今回は、パソコンの購入に関連する仕訳と勘定科目の使い方を状況別に解説します。

パソコン購入時の勘定科目は金額や状況によって異なる

事業用にパソコンを購入したときの仕訳には、さまざまなパターンが考えられます。まず確認しておきたいのはパソコンの取得価額(購入金額)です。取得価額が一定の金額以上になるかどうかで、資産になるか、あるいは当期の費用になるかが異なります。

また、購入形態にも注意が必要です。現金一括で購入する以外にも、クレジットカードを利用して分割支払いで購入するパターンや、購入せずにリースを利用するパターンなども考えられるでしょう。このような方法でパソコンを取得した場合、勘定科目も変わってきます。

パソコンの購入金額が10万円未満の場合

事業で用いられる資産のうち、時間の経過により価値が減少するものを減価償却資産といいます。パソコンは使用することによって価値が減少していくため、減価償却資産の一つです。

パソコンは売却したときにお金になるという換金価値があり、収益の獲得に貢献することから「資産」になります。しかし、減価償却資産であっても以下に該当するものは資産に計上せず、全額を事業の用に供した年(パソコンの場合は一般的に取得したとき)に、必要経費に計上します。

(必要経費に計上する減価償却資産 ※いずれかに該当すること)

  • 使用可能期間が1年未満
  • 取得価額が10万円未満

使用可能期間については法定耐用年数ではなく、それぞれの事業者の使用状況などから計算します。一般的に、パソコンは1年以上継続使用して利用できるものです。通常は使用可能期間ではなく、取得価額で経費にするかどうかを判断します。購入金額が10万円未満のときは、全額を経費として仕訳します。

(仕訳例)8万円のパソコン1台を現金で購入した。

(単位:円)

借方
貸方
消耗品費
80,000
現金
80,000

パソコンを購入したときに使う費用の勘定科目は「消耗品費」です。または「事務用品費」でも計上できます。

パソコンの購入金額が10万円以上20万円未満の場合

購入金額10万円以上20万円未満のパソコンの仕訳としては、原則的な処理、一括償却資産での処理、少額減価償却制度を利用した処理の3パターンが考えられます。

1.原則的な処理

購入金額10万円以上20万円未満のパソコンは、使用可能期間1年未満、取得価額10万円未満という要件に該当しません。この場合、資産の勘定科目である「備品」または「工具器具備品」などで処理します。

(仕訳例)15万円のパソコン1台を現金で購入した。

(単位:円)

借方
貸方
備品
(工具器具備品)
150,000
現金
150,000

2.一括償却資産での処理

購入金額10万円以上20万円未満のパソコンは、一括償却資産として処理できます。一括償却資産とは、個別で管理するのではなく一括で管理する減価償却資産のことです。本来、資産は耐用年数に基づき減価償却していきますが、一括償却資産は本来の耐用年数にかかわらず、3年にわたって1年あたり3分の1ずつ減価償却(費用化)することが認められます。

(仕訳例)15万円のパソコン1台を現金で購入した。

(単位:円)

借方
貸方
一括償却資産
150,000
現金
150,000

取得時は資産科目である「一括償却資産」として処理します。会計上で調整する以外に、法人税確定申告書で減価償却費を調整する申告調整方式による場合は、一括償却資産ではなく、費用科目の「消耗品費(または事務用品費)」で処理します。

一括償却資産については以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもご覧ください。

3.少額減価償却制度を利用した処理

少額減価償却制度は中小企業者が利用できる制度で、取得価額30万円未満の減価償却資産を即時償却できます。詳細と仕訳は、以下の「パソコンの購入金額が30万円未満の場合」の項で解説します。

パソコンの購入金額が30万円未満の場合

取得価額30万円未満のパソコンは、原則的な処理のほか、中小企業者であれば少額減価償却資産の特例を利用した処理が認められます。

1.原則的な処理

以下に示す例以外に、少額減価償却資産の特例の適用対象外である1台30万円以上のパソコンを購入したときも、この原則的な方法で処理します。

(仕訳例)27万円のパソコン1台を現金で購入した。

(単位:円)

借方
貸方
備品
(工具器具備品)
270,000
現金
270,000

2. 少額減価償却資産の特例を利用する

購入金額30万円未満のパソコンについては、一定の中小企業者であれば少額減価償却資産の特例により全額を費用に計上できます。一定の中小企業者とは、青色申告書を提出し、常時使用する従業員が500人以下で、資本金(または出資金)が1億円以下の一定の法人です。法人ではない個人事業主も、青色申告を行い、かつ常時使用する従業員が1,000人以下であれば少額減価償却資産の特例を利用できます。一会計期間でこの特例を利用できる限度額は、合計で300万円です。

少額減価償却資産の特例を利用する場合は、一度資産として計上したあと即時償却(費用化)の処理を行います。

(仕訳例)27万円のパソコン1台を現金で購入した。

(単位:円)

借方
貸方
備品
(工具器具備品)
270,000
現金
270,000

(単位:円)

借方
貸方
減価償却費
270,000
備品
(工具器具備品)
270,000

パソコンを複数購入した場合

減価償却資産の取得価額については、通常1単位で取引されるその単位ごとに判定することとされています。パソコンのモニターと本体を同時に購入した場合、これらは組み合わせることではじめてパソコンとして使用できることから、モニターと本体をセットで1単位として扱います。たとえば、5万円のモニターと15万円の本体を同時に購入したときは、合計してパソコンの購入金額を20万円として考えるということです。

以上の1単位の概念は、パソコンを複数台購入したときにも適用されます。その単位ごとに取得価額を考えますので、1単位が10万円以上であれば原則は資産(勘定科目:備品など)、1単位が10万円未満であれば費用(勘定科目:消耗品費など)として扱います。

(仕訳例1)モニター1台5万円、本体1台15万円のパソコン5セットを現金で購入した。なお、少額減価償却制度や一括償却資産は適用しないものとする。

(単位:円)

借方
貸方
備品
(工具器具備品)
1,000,000
現金
1,000,000

このケースだと、1セット(1単位)あたりの取得価額は20万円です。これは10万円以上の減価償却資産になるため、原則的な方法による場合、資産で処理します。また、1セットあたりは30万円未満ですので少額減価償却資産の特例により、5セットを全て即時償却することもできます。

(仕訳例2)1台8万円のノートパソコンを5セット現金で購入した。

(単位:円)

借方
貸方
消耗品費
400,000
現金
400,000

この場合、支払額の合計は40万円ですが、減価償却資産は1セットの取得価額で見るため、1セット10万円未満のこのノートパソコンは費用として処理します。

パソコンを分割払いで購入した場合

クレジットカードなどを利用して分割払いでパソコンを購入したときも、備品や消耗品費などの借方の勘定科目は変わりません。分割払いで注意したいのは、貸方項目です。分割払いで購入したときは現金などの資産は出ませんし、取得後に支払いを実行する義務があることから、資産ではなく「負債」と捉えます。

固定資産を分割払いで取得したときの貸方の勘定科目は「未払金」です。分割払いでは、取得時に貸方を未払金で処理し、支払いが実行される度に未払金を取り消していく(借方に計上する)処理を行います。

(仕訳例)35万円のパソコン1台を分割払いで購入した。1回目の支払いは1ヶ月後である。

(単位:円)

借方
貸方
備品
(工具器具備品)
350,000
未払金
350,000

リース契約でパソコンを取得した場合

リース契約によりパソコンを取得した場合、3つの仕訳パターンが考えられます。

1.所有権移転のファイナンス・リース取引

ファイナンス・リース取引とは、リース契約のうち、リース期間中に解約不能かつフルペイアウトの取引のことをいいます。フルペイアウトとは、リース物件から利益を享受でき、かつ使用にともないコストを負担することで、実質として資産を取得したときと同等の効果を得られる取引のことです。

所有権移転のファイナンス・リース取引は、リース終了後に所有権がリースの借手に移るような取引を指し、リースを開始したときに、資産と負債の両建で処理します(実際に所有権が移らなくても特別仕様でほかにリースできないようなケースも含む)。

(仕訳例)年間20万円のリース料、3年のリース契約でパソコンをリースした。このリース契約は、リース終了後の譲渡条件が付いたファイナンス・リース取引である。リース物件の見積現金購入価格は50万円だった。なお、リース物件の経済的耐用年数は4年である。

(単位:円)

借方
貸方
リース資産
500,000
リース負債
500,000

借方・貸方に両建で計上する額は、リース会社のリース物件の購入価格がわかるときはその購入価格か、リース料総額現在価値のいずれか低い方です。わからないときは、現金購入価格かリース料総額現在価値の低い方を計上します。

以上は原則的な処理ですが、リース期間が1年以内のときや、少額資産、または1契約あたりのリース総額が300万円以下で事業内容上の重要性が乏しいときは、オペレーティング・リース取引の項で説明する賃貸借で処理できます。

2.所有権移転外のファイナンス・リース取引

所有権移転外ファイナンス・リース取引は、所有権移転に該当せず、リース後に使用できる権利がリース会社に戻るようなファイナンス・リース取引のことをいいます。取得時の処理は基本的に、所有権移転ファイナンス・リース取引と同じです。ただし、減価償却及びリース負債の償却時期が異なります。所有権移転の場合は実質資産をリース後に引き取るため経済的耐用年数で処理し、所有権移転外の場合はリース終了後に返還するためリース期間にわたって償却します。

(仕訳例)年間20万円のリース料、3年のリース契約でパソコンをリースした。このリース契約は、リース終了後の譲渡条件が付いたファイナンス・リース取引である。リース物件の見積現金購入価格は50万円だった。なお、リース物件の経済的耐用年数は4年である。

(単位:円)

借方
貸方
リース資産
500,000
リース負債
500,000

所有権移転のファイナンス・リースと同様に、事業上重要性の低いリース契約などは賃貸借での処理が可能です。中小企業については、条件にかかわらずオペレーティング・リース取引の項で説明する賃貸借処理を選択することが認められます。

3.オペレーティング・リース取引

オペレーティング・リース取引とは、ファイナンス・リース取引に該当しないリース取引のことです。ファイナンス・リース取引とは異なり、全て賃貸借により仕訳をします。

(仕訳例)リース料年間10万円、3年のリース契約でパソコンをリースし、1回目のリース料を現金で支払った。取引はオペレーティング・リース取引に該当する。

(単位:円)

借方
貸方
リース料
100,000
現金
100,000

消費税の取扱い

パソコンの購入価格(取得価額)別の仕訳は、10万円未満、10万円以上20万円未満、20万円以上30万円未満、30万円以上の4つのパターンがあるとご説明しました。ここで注意したいのは、消費税を含んだ価格か、消費税を除いた本体価格か、また取得価額をどのように捉えるかという点です。結論からいうと、事業者が採用している消費税の経理方式によって判定基準が変わります。以下の例について、それぞれの方式を当てはめてみましょう。

(例)本体価格9万5,000円(税込10万4,500円)のパソコン1台を現金で購入した。

税抜経理方式の場合

税抜経理方式を採用している場合は、消費税の支払いを「仮払消費税」、受入れを「仮受消費税」で処理しますので、パソコンの取得価額は消費税を差し引いた本体価格で計算します。この例の場合、本体価格は10万円未満のため経費で処理します。

(単位:円)

借方
貸方
消耗品費
95,000
現金
104,500
仮払消費税
9,500

税込経理方式の場合

税込経理方式では、消費税を含んだ額をパソコンの取得価額とします。例に挙げたパソコンは消費税込みで10万4,500円です。1単位の価格が10万円以上になるため、原則的な処理だと資産として処理しなければなりません。

(単位:円)

借方
貸方
備品
(工具器具備品)
104,500
現金
104,500

ただし、免税事業者の場合は法人も個人も税込経理方式で処理しなければならないため、税抜経理方式での仕訳はできません。税抜経理方式で処理できるのは課税事業者だけです。

保証料の勘定科目

パソコンを購入するときは、パソコンの延長保証料や支払い保証期間を延長することもあります。このとき保証料をどのように処理するのか、以下の仕訳例から見ていきましょう。

(仕訳例)9万5,000円のパソコンを1台購入し、延長保証料として1万5,000円を支払った。合計11万円を現金で支払った。

(単位:円)

借方
貸方
消耗品費
95,000
現金
110,000
修繕費
15,000

固定資産を取得したとき、事業の用に供するために直接要する費用は、取得代金に含めることとされています。パソコンの保証料に関しては、使用するために必ずしも必要ではないと考えられるため、パソコンの取得費用とは別に費用で処理することができます。

この仕訳例では修繕費を使っていますが、支払手数料などで処理することも可能です。保証期間が1年を超えるときは、修繕費ではなく前払費用として処理し、保証期間にわたって毎期末、前払費用から修繕費に振り替えます。

パソコン周辺機器の勘定科目

外付けハードディスクやWebカメラ、パソコン用マイクなどのパソコン周辺機器を単独で購入したときは、費用で処理します。パソコンとあわせて購入したときは、モニターなどパソコンの使用に必要なものはパソコンの取得価額に含み、パソコンの動作に必ずしも必要のないものはパソコンの取得価額とは分けて費用で処理します。勘定科目は、消耗品費のほか、事務用品費などを使っても良いでしょう。

(仕訳例)1万円の外付けハードディスクと2,000円のパソコン用マウスを1台ずつ現金で購入した。

(単位:円)

借方
貸方
消耗品費
12,000
現金
12,000

パソコン購入時の仕訳は取得価額や単位に注目しよう

パソコンを購入したときの仕訳について、さまざまなパターンを解説してきました。中でもしっかり押さえておきたいのが、取得価額によって異なる処理の方法と、パソコン1セットの単位の考え方です。同じ借方でも、計上の意味や扱いはケースごとに大きく変わってきますので、パターン別の仕訳方法をしっかり確認しておきましょう。

よくある質問

パソコンの購入代金は全額費用にできる?

10万円未満であれば費用ですが、原則として10万円以上は資産に計上するため、この場合は全額費用にできません。詳しくはこちらをご覧ください。

パソコンを複数購入したときは合計額で考える?

パソコンを複数購入したときは、合計額で判断するのではなく、1セットあたりの価格を取得価額として考えます。詳しくはこちらをご覧ください。

取得価額は消費税込みと消費税抜きのどちらの価格?

税抜経理方式であれば消費税抜きの本体価格、税込経理方式であれば税込みの価格を取得価額として考えます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

経理初心者も使いやすい会計ソフトなら

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。