- 更新日 : 2024年10月31日
割賦販売の会計処理と仕訳方法のまとめ
割賦販売は、主にパソコンや車などの高額な商品の代金を分割払いで契約する販売方法です。本記事では、割賦販売をしたときの仕訳の書き方やポイントを解説します。また、平成30年度の税制改正によって、割賦基準(回収基準)が廃止されました。経理・会計担当者や事業者は仕訳する際に注意しましょう。
割賦販売とは
割賦販売(かっぷはんばい)とは商品の代金を、購入者が分割して支払える販売方法のことです。例えば、高額なパソコンは24回や48回の分割払いで販売している場合がありますが、これは割賦販売が利用されています。
具体的には、代金の支払いを2ヶ月以上かつ3回以上に分割して受けることを条件として販売することが割賦販売です。商品引渡し後、定期的に分割で銀行振込などにより代金の回収をします。
以下で、割賦販売をした場合の仕訳、分割で商品代金を回収した際の仕訳のやり方などを解説していきます。
割賦販売の仕訳
割賦販売を仕訳する場合は原則、販売基準で仕訳します。販売基準は、商品の引き渡しとともに収益として認識する方法です。また、商品代金を回収するたびに仕訳をするので注意しましょう。
では、割賦販売により商品を引き渡した時の仕訳、購入者から商品代金を回収したときの仕訳をそれぞれ解説します。
割賦販売により商品を引き渡した時の仕訳
例えば、30万円の商品を24回払い(毎月均等額)の契約で販売して、商品を引き渡した場合は次のようになります。
商品を引き渡した時点で収益を認識し、売上を計上します。ただし、割賦販売の場合は一般の商品販売と区別するために、「売上」ではなく「割賦売上」を使って仕訳をすることが多いです。そのため、貸方は「割賦売上 300,000円」になります。
引き渡した段階では、まだ現金などを受け取っていないので、借方は売掛金です。こちらも同様に、割賦販売をした場合は、一般の売掛金と区別するために、「割賦売掛金」を使って仕訳をします。つまり、借方は「割賦売掛金 300,000円」です。
割賦売掛金の回収時の仕訳
次は商品・サービスの購入者から分割による代金を受け取った際の仕訳です。割賦売掛金を回収するたびに仕訳をします。
割賦売掛金のうち1回分12,500円(商品30万円を24回で分割払い)を銀行振込によって回収した場合の仕訳は次のとおりです。
複数の商品やサービスを割賦販売している場合は、誰からの振込なのか、そしてどの商品・サービスの支払いを回収したのか確認できるようにしておくと便利です。また、何回目の支払いを回収したのかを適用欄に記載しておくことで、残りの支払い(回収すべき)回数も把握できます。
銀行振込は、振込手数料(仮に500円とする)が差し引かれた状態で振り込まれることもあります。その場合、以下のように仕訳します。
割賦基準の廃止について
「収益認識に関する基準」が制定され、平成30年度の税制改正により割賦基準の廃止が決定されました。割賦基準は回収基準と呼ばれ、割賦販売で商品を引き渡した時点では売上(収益)を認識せずに、商品代金を回収した時点、または回収期限が到来した時点で売上(収益)を認識するというものでした。
そのため、商品を引き渡して数年後にようやく売上(収益)を計上するということが認められていましたが、その割賦基準が廃止されたので注意しましょう。
割賦販売をした際に利用できるのは販売基準のみです。商品を引き渡した時点で売上(収益)を計上します。そして、分割払いで商品代金を受け取るたびに、割賦売掛金の消込処理があるため忘れないようにしましょう。
これまで割賦基準で仕訳していた事業者かつ割賦販売による売上が多い場合は、仕訳ミスをしないように特に注意してください。
割賦販売をしたら代金回収のたびに仕訳しよう
割賦販売は、高額商品の代金を2年以上かつ3回以上の分割払いによって受け取る契約で販売するという取引です。割賦販売をして商品を引き渡した時点で、仕訳する際は「割賦売上」や「割賦売掛金」というように、通常の勘定科目と区別して分かりやすくしましょう。
また、複数の商品・サービスを割賦販売している場合は、ミスを防ぐために摘要欄を活用したり、商品・サービスごとの割賦販売記録を社内用として作成したりすることも有効的です。収益認識に関する会計基準の制定と税制改正により販売基準は廃止されたので、経理・会計担当者や事業者は売上の認識タイミングを間違えないように注意しましょう。
よくある質問
割賦販売とは?
消費者から商品の代金を2ヶ月以上かつ3回以上の分割払いで受ける方法によって販売する取引。例えば高額なパソコンを販売する際、2年間(24回)で分割払いを受ける取引は割賦販売です。詳しくはこちらをご覧ください。
割賦販売の仕訳のポイントは?
割賦販売は通常の売上ではなく「割賦売上」と区別することが多い。例えば、50万円の割賦販売をした場合、借方が割賦売掛金 500,000円となり、貸方は割賦売上 500,000円です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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