• 作成日 : 2022年2月4日

フルペイアウトの意味とは?リース取引の基本まで紹介

フルペイアウトの意味とは?リース取引の基本まで紹介

会計処理上、リース取引は主に「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」の2種類に分けられます。ファイナンス・リース取引に該当するには、「解約不能」と「フルペイアウト」の2つの要件を満たすことが必要です。今回はこの2つの要件のうちフルペイアウトについて、概要と該当するための条件について解説していきます。

フルペイアウトとは

「フルペイアウト」は、会計処理上、リース取引を区分するときの要件の1つです。リース物件の使用により実質的に利益を得ることができ、リース物件の使用にともなう実質的なコストを負担するリース取引を指します。フルペイアウトによるリース取引は、資産を取得した場合と同様の経済的効果や経済的負担が生じると考えられ、多くの場合会計上は売買処理として扱われます。

※フルペイアウトを判断基準とするリース取引については後述します。

フルペイアウトの要件

フルペイアウトに該当するかどうかは、一定の要件を満たすかどうかで判断します。会計上の要件と税務上の要件に分けて、フルペイアウトの要件を見ていきましょう。

会計上の要件

会計上、リース取引におけるフルペイアウトの判断基準は「現在価値基準」と「経済的耐用年数基準」の2つがあり、いずれか1つの基準を満たす場合は、フルペイアウトとして判断します。

現在価値基準は、解約不能期間のリース料総額の現在価値が、見積現金購入価額のおおむね90%以上であるとき、フルペイアウトと判断する基準です。現在価値とは、リース物件に対する貸手の利息を割引いたリース料総額(元本)をいい、貸手の利率が不明の場合は、借手の追加借入追加利子率を用いて、リース料総額を計算します。見積現金購入価額は、合理的に見積もられたリース物件の購入費用です。

現在価値基準: リース料総額の現在価値 ≧ 見積現金購入価額の90%

経済的耐用年数基準は、解約不能のリース期間が、経済的耐用年数のおおむね75%以上であるとき、フルペイアウトと判断する基準です(※ただし現在価値基準が90%を大きく下回る場合を除きます)。経済的耐用年数とは、税務上の法定耐用年数ではなく、利用実態に合わせた物件の耐用年数を指しますが、不合理でなければ税務上の法定耐用年数を用いることもできます。

経済的耐用年数基準: リース期間 ≧ 経済的耐用年数の75%

税務上の要件

法人税法上は、会計上の要件である現在価値基準や経済的耐用年数基準ではフルペイアウトを判断せず、税制上の90%基準に該当するかどうかで判断します。税制上の90%は、リース料総額の現在価値ではなく、解約不能期間に支払う利息を含めたリース料総額が判断の基準です。リース料総額が資産取得のために通常要する費用のおおむね90%を超えるときは、フルペイアウトと判断します。

法人税法上の基準: リース料総額 ≧ 資産取得のために通常要する費用の90%

そもそもリース取引とは

フルペイアウトに関連するリース取引とは、リース会社からリース物件を賃貸借する取引を指します。不特定多数への賃貸借を想定したレンタルとは異なり、リース取引は借手の要望に合わせてリース会社が代わりに物件を購入し、物件を貸し出す取引形態です。

リース取引は、契約上は賃貸借契約が結ばれますが、該当物件の購入と経済的実態がほとんど変わらない取引も行われるようになりました。そのため、取引の実態に合わせて、売買処理と賃貸借処理に区分して会計処理を行うこととされています。

売買処理と賃貸借処理を判断する基準が、この記事でも説明した「フルペイアウト」と「解約不能」の条件です。解約不能のリース取引、かつフルペイアウトの要件を満たすときは、「ファイナンス・リース取引」に区分して売買処理を行います。一方でファイナンス・リース取引の条件を満たさないリース取引は「オペレーティング・リース取引」に区分し、賃貸借契約として会計処理を行います。

リース取引の概要やメリット・デメリットについては以下の記事で詳細を説明していますので、こちらもご覧ください。

リース取引に関連して、リース期間終了後にリース会社へ支配権が戻る「リース投資資産」についての概要や会計処理は、以下の記事で詳しく説明しています。

フルペイアウトはリース取引を売買処理と賃貸借処理に分ける基準

リース取引の会計処理は、取引の実態に合わせてファイナンス・リース取引(売買処理)とオペレーティング・リース取引(賃貸借処理)に区分します。区分時の判断基準になるのが、解約不能とフルペイアウトです。フルペイアウトについては、この記事でも説明したように会計処理上と法人税法上でそれぞれ要件が定められていますので、よく確認しておきましょう。

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よくある質問

フルペイアウトとは?

リース物件を取得することで、資産を取得した場合と同様の経済的効果や経済的負担が生じるリース取引を指します。詳しくはこちらをご覧ください。

リース取引とは?

リース会社からリース物件を賃貸借する取引を指します。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:萱谷 有香(叶税理士法人 東京事務所代表)

叶税理士法人 東京事務所代表
不動産専門の税理士。

不動産投資に特化した税理士事務所で働きながら収益物件について税務と投資面で多くの知識を得られたことを活かし
自らも不動産投資を手掛ける。
大手管理会社、ハウスメーカーや賃貸フェアなどで講演実績があり、記事執筆も行う。
不動産投資の規模を拡大していくために、なくてはならない金融機関からの融資についても積極的に紹介やアドバイスを行う。
金融機関から融資を引きやすい、または金利交渉しやすい決算書の作成を得意とする。
物件購入前、物件保有中、物件売却時、相続時、どの時点で相談を受けても必ず投資家にプラスになるアドバイスを心掛けている。
著書に『減価償却節税バイブル』( 技術評論社)がある。

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