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  3. 建設業会計の特徴とは?仕訳の具体例や会計ソフトの選び方まで徹底解説!
  • 作成日 : 2020年6月23日
  • 更新日 : 2020年11月11日

建設業会計の特徴とは?仕訳の具体例や会計ソフトの選び方まで徹底解説!

建設業は、商品やサービスを提供する一般的な業種と異なり、特殊な受注形態を持っています。そのため、会計処理にも特殊な処理や判断が求められ、複数の工事を請け負っているとさらに処理が煩雑になってしまいます。複雑な処理に時間がかかりやすいからこそ、建設業の経理にはクラウド型の会計ソフトがおすすめです。
この記事では、特殊な建設業の会計処理とその具体例、建設業の経理におすすめのクラウド会計ソフトの特徴について紹介します。

建設業会計の特徴

建設業会計とは?

建設業は、「工事の着工から完成引渡しまで長い期間を要する」といった特殊性を持っています。売上高を計上するまでのサイクルが他の業種と比較して長く、完成した際には一度に多額の売上高が計上されることになります。

建設業であっても会計処理は一般的な企業と同じく「企業会計原則」がベースとなりますが、上記のような特殊性を勘案した独特な会計基準が設けられています。これを「建設業会計」といいます。

「建設業会計」は基本的に工業簿記に調整を加えたものと理解することができますが、勘定科目の表記が「売上高→完成工事高」「仕掛品→未成工事支出金」など変更されていたり、売上高の計上基準が「工事完成基準」と「工事進行基準」の2種類を選択適用可能であったりするなど、特殊な知識と仕訳が要求されます。

建設業の企業で正しい会計処理を行うために、国土交通大臣の登録経理試験として「建設業経理事務士」という資格が設けられるほどです。

次節では、建設業会計の特徴と会計処理の流れについて具体的に解説していきます。 

特殊な工事契約

建設業の多くは、基本的に完成と同時に対価を得る「請負契約」で営業しています。請負契約は建設業以外でも見られますが、工事開始から引き渡しまで長期間にわたることが、建設業とほかの請負契約との大きな違いです。
また、建設業は、注文を受けてから工事に着手する形が採られており、生産したものを販売する製造業と異なる点も特殊といえるでしょう。

会計基準に基づく特殊な会計処理が必要な場合も

このような契約形態の建設業では、企業会計基準「工事契約に関する会計基準」によって特殊な会計処理(工事契約の処理)をする部分があります。工事契約に関する会計基準において工事契約を適用する必要があるとされるのは、以下に該当する建設業、そして受注制作のソフトウェアです。同基準が適用される工事契約としては、ビルの建設など、大きな請負工事をイメージするとわかりやすいかもしれません。

・請負契約のうち、土木、建築、造船や一定の機械装置の製造等
・基本的な仕様や作業内容を顧客の指図に基づいて行うもの

【引用】企業会計基準委員会|工事契約に関する会計基準

建設業で特徴的な勘定科目

建設業を中心として「工事契約に関する会計基準」の対象となる契約では、通常の商業簿記とは異なる特殊な科目を使用します。以下が、工事契約で使われる特殊な科目です。

勘定内容
完成工事高工事契約の売上高(売上高と性格は同じ)
完成工事原価工事契約の原価(売上原価と性格は同じ)
完成工事未収入金引き渡し済みの工事で、現金として回収できていない額
(売掛金と性格は同じ)
未成工事支出金引き渡しまでに発生した工事原価
未引き渡しのうち、工事進行基準を採用するものに適用する。
(仕掛品と性格は同じ)
工事未払金未払いの材料費など(買掛金と性格は同じ)
未成工事受入金引き渡し前に顧客から受領した額(前受金と性格は同じ)

会計処理は工業簿記の原価計算に近い

工事契約に関わる分のうち、完成工事原価又は未成工事支出金の部分は原価計算によって金額を出します。原価計算に含めるのは、それぞれの工事に要した材料費労務費、経費、外注費です。
さらに決算時は、完成工事原価報告書としてそれぞれの項目(材料費、労務費、経費、外注費)ごとに集計します。完成工事原価報告書とは、製造業の製造原価報告書のようなものです。

工事進行基準と工事完成基準の2つの認識基準

通常の会計処理では売上は原則として実現時(商品を引き渡し売掛金としたときなど)、費用は発生時に認識することになっています。ただし、工事契約については、通常の収益や費用の認識と異なり、工事が長期にわたるという点で2つの認識基準が設けられているのがポイントです。
工事の進行途中でも毎期末ごとに収益と費用を認識して損益計算書に反映させる「工事進行基準」と、引き渡し時に収益と費用を認識して損益計算書に反映させる「工事完成基準」があります。
2つの基準のうち、工事収益総額、工事原価総額、決算日における進捗度を合理的に見積もることができる(完成時の原価の見積り額に対してどのくらいの原価が投入されたかなど)場合は工事進行基準を適用することができます。
なお、工事進行基準は

(1)工事単位で工事完成基準との選択適用が可能
(2)赤字工事においてもその適用が認められる

といった特徴もあります。

なお、請負金額が10億円を超えるなど一定の場合については工事進行基準が強制適用になります。
工事契約を結ぶ建設業では、このように工事ごとの原価計算だけでなく、収益と費用の認識にも注意して会計処理を行わなくてはなりません。

建設業会計の会計処理の具体例と注意点

次に、建設業でよくみられる仕訳の具体例を紹介します。

工事契約特有の勘定科目を使った仕訳

完成工事高との仕訳
50,000千円で工事契約していた建物の引き渡しが完了した。(売上はすべて後日入金される。)

借方勘定借方金額貸方科目貸方金額
完成工事未収入金50,000千円完成工事高50,000千円

完成工事原価の仕訳
工事進行基準を適用している工事契約で、引き渡しが完了したため、未成工事支出金30,000千円を完成工事原価に振り替えた。

借方勘定借方金額貸方科目貸方金額
完成工事原価30,000千円未成工事支出金30,000千円

完成工事未収入金の仕訳
完成工事未収入金のうち、10,000千円が当座預金に入金された。

借方勘定借方金額貸方科目貸方金額
現金預金10,000千円完成工事未収入金10,000千円

未成工事支出金の仕訳
工事進行基準を適用しているA工事に要した材料費3,000千円、労務費5,000千円、経費2,000千円を未成工事支出金に計上した。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
未成工事支出金10,000千円材料費3,000千円
労務費5,000千円
経費2,000千円

工事未払金の仕訳
進行中の工事において、材料費1,000千円、外注費1,000千円が発生した。いずれも後日支払う契約である。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
材料費1,000千円工事未払金2,000千円
外注費1,000千円

未成工事受入金の仕訳
工事進行中に、完成後の対価のうち10,000円が当座預金に入金された。

借方勘定借方金額貸方科目貸方金額
現金預金10,000千円未成工事受入金10,000千円

※長期にわたる工事契約の場合、完成前に分散して対価を受け取れるような契約を結ぶことがあります。

原価計算に関わる仕訳

材料費、労務費、経費、外注費の計上額は、工事ごとに未成工事支出金、または直接、完成工事原価に振り替えます。ここでは、振り替える前の各項目が発生したときの仕訳を見ていきましょう。

材料費の仕訳
工事で使用する材料5,000千円を仕入れ、代金は掛けとした。

借方勘定借方金額貸方科目貸方金額
材料費5,000千円工事未払金5,000千円

労務費の仕訳
工事に従事する従業員に給与2,000千円を現金で支払った。

借方勘定借方金額貸方科目貸方金額
労務費2,000千円現金預金2,000千円

経費の仕訳
工事で発生した水道光熱費等1,000千円を現金で支払った。

借方勘定借方金額貸方科目貸方金額
労務費1,000千円現金預金1,000千円

外注費の仕訳
工事の一部を下請け業者に依頼した。外注費は1,000千円で、代金は掛けとする。

借方勘定借方金額貸方科目貸方金額
外注費1,000千円工事未払金1,000千円

建設業でみられる引当金

勘定科目内容
完成工事補償引当金引き渡した目的物に契約の不適合があった場合の出費に備えるために計上する引当金。引き渡した目的物に責任を負うという意味では、製品保証引当金と同じようなイメージです。
完成工事補償引当金を計上する際は、ほかの引当金と同様、繰入額(費用)を貸方に計上します。
(仕訳例)
完成工事補償引当金繰入額 ××/完成工事補償引当金 ××
工事損失引当金工事にあたって、将来損失が見込まれる場合に計上する引当金です。
すでに計上されている損益の額を差し引いて原価に繰り入れます。
工事損失引当金は、金額を合理的に見積もることができ、発生の可能性が高い場合でないと計上できない点に注意が必要です。
(仕訳例)
 完成工事原価 ××/工事損失引当金 ××
環境対策引当金環境対策の支出に備える引当金です。
ポリ塩化ビフェニルの処分やアスベストの撤去などで使われます。
(仕訳例)
 環境対策引当金繰入額 ××/環境対策引当金 ××

※上記の各種引当金は、要件さえ満たせば建設業会計で計上することは認められていますが、法人税法上の損金にはなりません。(損金不算入)

そのほかの仕訳

勘定科目内容
通信費電話代やインターネット料金などにかかる費用
(仕訳例)通信費 ××/現金預金 ××
広告宣伝費広告掲載料など
(仕訳例)広告宣伝費 ××/現金預金 ××
消耗品費事務用品など金額の小さい消耗品の購入費
(仕訳例)消耗品費 ××/現金預金 ××

工事契約にかかわるものは、材料費、労務費、経費、外注費のいずれかに計上しますが、工事契約以外の費用は上記のように一般的な勘定科目に計上します。

建設業だからこそ会計ソフトはクラウド型がおすすめ

ここまで建設業で見られる特殊な会計処理、仕訳について説明してきましたが、複雑な処理が必要な建設業だからこそ、会計ソフトはクラウド型がおすすめです。クラウド型だと以下のようなメリットがあります。

自動取得に対応している

クラウド型の会計ソフトは、ほとんどがクレジットカードデータの自動取得、インターネットバンキング利用のある銀行口座データ自動取得に対応しています。自動取得したデータは金額をもとに簡単に仕訳登録ができますし、自動仕訳に対応しているものなら自動的に仕訳まで行ってくれるので後は確認するだけです。建設業は現金預金の取引も多いため、自動取得によるデータの取り込みは経理の工数削減に役立つでしょう。

資金繰りに活かせる

自動取得や自動仕訳など、クラウド型会計ソフトの機能で工数が減ることにより、リアルタイムに近い状態で会計処理が実行できるようになります。クラウド型会計ソフトの中にはキャッシュフローを可視化してくれるものもあるので、経営状況の確認や資金繰りが目で見て分かるようになります。特に、長期の請負契約が特徴でもある建設業で資金繰りをどうするかは重要なポイントです。

税理士とやりとりしやすい

クラウド型はインターネット環境とログイン情報があれば、会社にいなくても確認できます。そのため、データを税理士事務所に持っていかなくてもネットワーク上で顧問税理士と情報を共有できるようになります。

建設業におすすめのクラウド型会計ソフト

建設業で会計ソフトを使うならクラウド型がおすすめですが、クラウド型なら何でもよいわけではありません。建設業の会計処理を便利にしてくれるような会計ソフト選びが重要です。この項では、会計ソフト選びで見ておきたい2つのポイントを紹介します。

製造原価科目に対応している

材料費や労務費などの製造原価科目、また建設業で使う工事契約に関する科目があらかじめ設定されていると便利です。ただし建設業向けでなくても、勘定科目や補助科目の追加や削除ができる自由度の高い会計ソフトであれば問題ありません。建設業向けでない場合は、科目や税区分の設定がしやすいか確認しておきましょう。また、決算書まで会計ソフト上で作成することを考えると、完成工事原価報告書も作成できると便利です。

他システムと連携できる

請求書作成システムや勤怠管理システム、給与システムなど、ほかのシステムと連携できる会計ソフトなら、システムに入力されたデータが自動的に会計ソフトに反映されるようになります。事務的な処理を軽減できるだけでなく数字がそのまま反映されるため、数字的なミスを減らすのにも便利です。原価計算もしやすくなります。

建設業にあった会計ソフトを選びましょう

建設業の複雑な会計処理を行うなら、自動取得などの便利な機能がついたクラウド型の会計ソフトがおすすめです。クラウド型にもさまざまなものがありますので、ほかシステムとの連携も確認して、できるだけ経理処理の負担を軽減してくれるようなものを選ぶようにすると良いでしょう。

マネーフォワード クラウド会計が建設業におすすめの理由

数ある会計ソフトのなかでも、建設業会計に特化した会計ソフトとして特におすすめなのが「マネーフォワードクラウド会計」です。

経理ソフトで主流となりつつある外部データの自動取得はもちろんのこと、申告書や固定資産台帳など他システムとの連携機能も充実しています。

※ネットバンキングの自動取得イメージ
ネットバンキング連携

※他システムとの連携イメージ
他システム連携

また、建設業向けの機能として「工事原価科目」への対応も充実しており、自社独自の勘定科目への変更も簡単に行うことができます。

※工事原価科目のイメージ
工事原価科目

会計データがそのまま資金繰り管理に連動されるので、資金繰り表の作成が苦手な経営者の方にもおすすめです。

※資金繰り管理のイメージ
資金繰り管理

さらに「ネット環境さえあればどこからでも作業」できるというクラウド型会計のメリットを活かして、顧問税理士とのデータのやりとりもクラウド上で行うことが可能です。わざわざデータのやり取りをする必要がないので事務負担も軽減されます。

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