• 更新日 : 2026年7月23日

税務調査とは?対応の流れと必要書類をわかりやすく解説

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Point税務調査は何を調べ、どう備えればよいのでしょうか。

申告内容に誤りがないかを調べる手続きで、多くは事前の通知を受けてから進みます。

  • 国税庁や税務署が申告を確かめる
  • 連絡のあと訪問の日程を決める
  • 帳簿や領収書をそろえて臨む

ほとんどは任意の形で行われ、落ち着いて備えれば過度に恐れる必要はありません。

税務調査とは、国税庁や税務署などが申告内容に誤りがないかを確認し、必要に応じて是正を求める手続きです。「怖い」「重いペナルティがあるのでは」と不安に感じる経営者や個人事業主の方もいますが、その多くは納税者の同意のもとで行われる任意の調査です。

この記事では、税務調査の対応の流れや必要書類、誤りを指摘されたときの対応方法までをわかりやすく解説します。

税務調査とは?国税庁などが申告内容を確認する手続き

税務調査とは、国税庁や国税局、税務署などの徴税機関が、納税者の申告内容に誤りがないかを確認する手続きです。申告漏れや無申告、所得隠しなどが見つかった場合は、修正のうえ正しい納税を求められます。

国税庁が関わることから「国税調査」と呼ばれることもありますが、国の機関が申告内容を確かめるという点では同じものを指します。

参照:調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)|国税庁

会計監査との違い

会計監査は会計士などが財務諸表の適正性を確かめるもので、税金の申告を調べる税務調査とは目的が異なります。

会計監査は会社法や金融商品取引法にもとづき、主に投資家や株主に向けて決算の信頼性を示すために行われます。

一方の税務調査は、適正な納税が行われているかを確かめるために実施されます。読みが似ていて混同されやすいものの、根拠となる法律も実施する主体も別のものと考えておくとよいでしょう。

強制調査と任意調査の違い

税務調査は、令状にもとづく強制調査と、納税者の同意のもとで行われる任意調査の2種類に分けられます。

強制調査は、国税局査察部(通称「マルサ」)が裁判所の令状を得て行う調査で、多額かつ悪質な脱税が疑われる場合に限られます。国税通則法第131条1項の犯則事件の調査として実施されるため、対象者は調査を拒めません。

脱税が確認されれば検察庁に告発され、刑事罰につながることもあります。

一方、一般的な企業や個人に対して行われるのは、ほとんどが任意調査です。任意調査は国税通則法第74条の2に定められた質問検査権にもとづいて行われ、原則として事前の通知があります。

任意とはいえ、正当な理由なく質問に答えなかったり、帳簿書類の提示や検査を拒否したりした場合は、国税通則法に基づく罰則の対象となることがあります。 そのため、誠実に対応するのが基本です。

税務調査の対応の流れ

税務調査は、事前通知から結果の連絡まで、おおむね決まった流れで進みます。流れを先に押さえておけば、当日も落ち着いて対応しやすくなります。任意調査では、多くが事前の通知を受けてから実施されるといわれています。

参照:税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)|国税庁

事前通知から調査当日までの流れ

税務調査は、事前通知、日程調整、書類の準備、調査当日という順で進みます。

  1. 事前通知:税務署から電話や文書で連絡を受ける
  2. 日程調整:都合のよい日を選び、立ち会う税理士とも調整する
  3. 書類準備:必要書類をそろえ、想定される質問に備える
  4. 調査当日:調査官の質問に答え、求められた書類を提示する

まず税務署から電話や文書で実施の連絡があります。おおむね調査の2〜3週間前に通知されることが多く、顧問税理士が税務代理権限証書を提出している場合は、税理士に連絡が入ります。抜き打ちで行われるケースもありますが、多くは事前の通知を経てから実施されるとされています。

通知を受けたら、税務署の担当者と調査日を調整します。仕事や家事などの都合に合わせて日程を調整することができ、税理士に立ち会ってもらう場合は税理士とも相談しながら決めます。税務調査は丸1日から数日かけて行われるため、まとまった時間が取れる日を選びましょう。

当日までに、必要な書類や資料をそろえて内容を確認しておきます。調査官からはさまざまな質問があるため、回答を考えたりシミュレーションをしたりしておくことも大切です。当日は調査官が自宅や会社、店舗などを訪れ、書類の提示を求めたり聞き取りを行ったりします。1日で終わることもあれば、2〜3日かかる場合もあります。

調査結果の連絡(申告是認・修正申告・更正)

調査が終わると、申告是認、修正申告、更正のいずれかの形で結果が通知されます。

誤りがないと認められた場合は「申告是認」となり、申告是認通知書(正式名称は「更正決定等をすべきと認められない旨の通知書 」)が送られます。税務署の指摘を受けて自ら誤りを認めた場合は「修正申告」となり、申告をやり直して不足分の税金を納めます。指摘に納税者が応じず修正申告をしない場合は「更正」となり、税務署が内容を修正したうえで不足分の納税を求めます。

税務調査で確認される主なポイント

税務調査では、申告内容のうち誤りや不正が生じやすい項目が重点的に確かめられます。あらかじめ着眼点を知っておくと、説明できる準備が整います。前期から数字が大きく動いた項目は、その理由を尋ねられやすい傾向があります。

参照:令和5事務年度 法人税等の調査事績の概要|国税庁

売上の計上時期と在庫の確認

売上の計上時期のずれや、在庫の計上漏れは、税額に影響するため重点的に確かめられます。

本来は当期に計上すべき売上を翌期に回す「期ズレ」や、現金売上の計上漏れは、当期の税額が少なくなるため重点的に確認されます。在庫である期末の棚卸高に漏れがあると、売上原価が大きくなり、同じように税額が少なくなります。決算期の前後の取引は特に確かめられやすいため、計上時期を書類で説明できるようにしておきましょう。

経営者の公私混同とグループ間の取引

経営者個人の支出が経費に混ざっていないか、グループ間の取引が適正かも確かめられます。

私的に使う車の費用や、勤務実態のない家族への給与などが経費に含まれていないかは、見られやすいところです。グループ会社がある場合は、赤字の会社へ手数料を多く支払って利益を圧縮していないかなど、取引の目的が確かめられます。いずれも、正当な理由を説明できる状態にしておくことが大切です。

税務調査の必要書類

税務調査では、帳簿から取引の根拠資料、契約、人件費に関する書類まで幅広く確かめられます。用途ごとに整理しておくと、当日の確認がスムーズに進みます。税務署の指示に応じて、直近3〜5年分の資料を用意しておくとよいでしょう。

参照:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁

準備しておく主な書類

必要書類は、帳簿類、取引の根拠となる証憑、契約関係、人件費関係の4つに分けて準備すると整理しやすくなります。

区分 主な書類 確認される内容
帳簿類 総勘定元帳、現金預金出納帳、固定資産台帳、預金通帳 取引の記録が正しく残っているか
証憑類 領収書、請求書納品書 売上や経費の根拠と金額が合うか
契約関係 賃貸・リース契約書、生命保険証書 出金の理由が説明できるか
人件費関係 源泉徴収の記録(源泉徴収簿や源泉所得税納付書の領収書など)、雇用関係書類、社員名簿 給与の支払いが適正か

販売業では商品在庫とあわせて確認される場合があり、稟議書などの提示を求められることもあります。

書類を整理しておくときのポイント

書類は年度ごと・時系列に整理し、会計ソフトで管理している帳簿は、電子データで提示できるよう準備しておくか、必要に応じて印刷しておくとスムーズです。 申告関係の書類は年度ごとにまとめ、提出時期がわかるよう時系列に並べておくと、調査官が確認しやすくなります。会計ソフトで管理している総勘定元帳や仕訳帳などは、印刷しておきましょう。原本を預けると手元に残らない書類は、事前にコピーをとっておくと安心です。

税務調査の当日…気を付けるべき点は?

税務調査の当日は、いくつかの点を意識しておくと落ち着いて対応できます。質問の意図を理解し、必要な範囲で誠実に答える姿勢が基本になります。雑談のような質問にも調査官の狙いがあるため、余計な情報まで進んで話す必要はありません。

参照:税務調査手続に関する通達(質問検査権)|国税庁

一般的な質問から調査は始まっている

取引と直接関係のない雑談のような質問にも、調査官の確認の意図があります。

役員報酬を受け取る代表者の親族の暮らしぶりや、代表者が最近取得した不動産の有無など、一見すると雑談のような質問を受けることもあります。これは、不審な点がないか、対応している人物がどういう人柄かを確かめる狙いがあるためです。揚げ足を取られないよう、疑わしいと受け取られる回答や余計な情報は控えるのが安全です。

信頼できる税理士に立ち会いを依頼する

不安が大きい場合は、事業の状況をよく知る税理士に立ち会いを依頼すると安心です。

税務調査は税理士の立ち会いなしで受けても問題ありません。事前の打ち合わせで準備ができていれば、社内や個人だけで対応することもできます。一方で、調査官の指摘に的確に対処したい場合は、状況をよく知る顧問税理士に立ち会いを依頼するとよいでしょう。専門知識をふまえた助言や、調査官への回答を任せられます。顧問契約がない場合でも、当日までにスポットで対応してくれる税理士に相談する方法があります。

留め置きで困る書類はコピーしておく

原本を預けると手元に残らない書類は、事前にコピーをとっておくと安心です。

調査官に渡す資料は、指示されたものだけで問題ありません。必要な書類は調査官がコピーして持ち帰ることもありますが、状況によっては原本が税務署預かりになる場合もあります。会社にないと困る書類は、あらかじめコピーをとっておきましょう。書類を預ける際は、預かり証を受け取っておくと安心です。

あいまいな回答は避け、後日あらためて答える

その場で正確に答えられない事項は、後日調べてから回答する形でも問題ありません。

以前のことであいまいな場合でも、その場で答えようとしてしまいがちです。ある食事の領収書の同席者や、請求書の日付と帳簿の日付が違う理由など、明確でない事実を無理にその場で答える必要はありません。あいまいな回答はかえって指摘を招くことがあるため、後日調べて回答する対応でも差し支えありません。

税務調査が入りやすいケースはある?

税務調査の対象は、申告に誤りがありそうかどうかという観点で選ばれやすくなります。あくまで傾向であり、当てはまらなくても対象になることはあります。過去に指摘を受けた、数値に大きな変動がある、不正が生じやすい業種といった点が重なると、確かめられやすくなります。

参照:令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況|国税庁

法人の場合

法人では、過去の指摘歴、赤字への転換、数値の異常、不正が生じやすい業種などが重なると、対象になりやすくなります。

過去に修正申告や更正を受けた法人は、その後も確かめられやすい傾向があります。黒字から急に赤字へ転じた場合や、売上や経費が大きく変動した場合は、理由を尋ねられやすくなります。同業他社と比べて交際費が極端に多いなど、数値が乖離しているケースも目を向けられがちです。飲食業や建設業など現金取引の多い業種も、売上を確かめられやすいとされています。

個人事業主の場合

個人事業主では、法人と同様の傾向に加えて、消費税の基準に近い売上や経費の混同が確かめられやすくなります。

個人事業主も、過去の指摘歴や数値の異常、業種といった点は法人と共通します。加えて、前々年の売上が1,000万円をわずかに下回る場合は、消費税の負担を避けるために売上を抑えていないかという観点で確かめられやすくなります。私的な車の費用や家族との外食費などが経費に混ざり、利益が極端に少なくなっている場合も同様です。

税務調査で誤りを指摘されたときの対応方法

税務調査で誤りを指摘されたときは、内容に応じて修正申告か更正の請求で対応します。通常の調査で刑罰に至ることはまれで、多くは不足分の納税と加算税の負担で済みます。指摘に納得できない場合は、不服を申し立てる手続きも用意されています。

参照:No.2026 確定申告を間違えたとき|国税庁

修正申告と追徴課税

指摘を認める場合は修正申告で正しい税額に直し、不足分には加算税や延滞税が加わります。

税務調査で少なく申告していたことがわかった場合は、修正申告で正しい税額に直し、不足分を納めます。修正申告では、不足していた本税に加えて加算税や延滞税が上乗せされます。種類ごとの概要は次のとおりです。

種類 課される場面 税率の目安
過少申告加算税 申告額が少なかったとき 10%(一定額を超える部分は15%)
無申告加算税 申告がなかったとき 15%〜(金額に応じて20%・30%)
重加算税 仮装・隠蔽があったとき 過少申告35%・無申告40%
延滞税 納期限に遅れたとき 遅れた日数に応じて加算

(税務調査後に課される場合を前提とした目安です。)

再調査の請求と不服申立て

調査結果に納得できない場合は、再調査の請求や不服申立てで争う手続きがあります。

指摘に納得できない場合は、税務署へ不服を申し立て、再調査の請求や審査請求を行えます。請求があれば、税務署は処分が正しかったかどうかを審理します。納得のいかない更正がなされたときに争う方法ですが、結果が覆ることは多くないともいわれています。

通常の調査で刑罰に至ることはまれ

通常の税務調査で刑罰に至ることはまれで、多くは不足分の納税で対応できます。

申告に誤りがあっても、悪質でなければ罰せられることは基本的になく、修正申告で調査が終わるのが一般的です。滞納があれば財産の差し押さえにつながる場合はありますが、通常の調査でそこまで及ぶことはまれです。普段から正しい申告を心がけておくことが、いちばんの備えになります。

税務調査の時期と対象になる確率は?

税務調査は申告のピークを過ぎた時期に多く、対象になる割合はそれほど高くありません。ただし、いつ実施されても良いように書類を整えておくことが大切です。

参照:令和5事務年度 法人税等の調査事績の概要|国税庁

税務調査が入りやすい時期

税務調査は、申告のピークを過ぎた秋から年末にかけて多い傾向があります。

法人は3月決算が多いため、7月以降から年末にかけて調査が行われやすいとされています。ただし、1月から6月に実施されないわけではありません。いつ来ても良いように、書類を整えて保管しておきましょう。

税務調査の対象になる確率

国税庁が公表する調査実績をもとにすると、実地調査の対象となる割合は法人で数%程度、個人事業主で1%前後とされています。 正しく申告していても対象になることはあるため、確率の高低にかかわらず備えておくことが大切です。日頃から記帳と書類の保存を整えておけば、通知を受けても落ち着いて対応できます。

税務調査に落ち着いて対応するための備え

税務調査は、申告内容に誤りがないかを確認するための手続きで、多くは事前の通知を受けてから決まった流れで進みます。対象になったら、必要書類をそろえ、想定される質問への答えを準備しておくことで、当日も落ち着いて対応しやすくなります。

売上の計上時期や経費の中身など確かめられやすい項目は、根拠となる書類で説明できるようにしておくと安心です。

誤りを指摘された場合も、多くは修正申告と不足分の納税で対応できます。不安が大きいときは、状況をよく知る税理士に立ち会いを依頼することも、対応の流れをスムーズに進める助けになります。

【参考】
国税庁 税務調査手続に関するFAQ国税庁 相続税の申告と納税国税庁 帳簿書類等の保存期間及び保存方法国税庁 法人税等の調査実績の概要国税庁 申告が間違っていた場合国税庁 法人税の重加算税の取扱いについて財務省 納税環境整備に関する基本的な資料

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