• 更新日 : 2026年7月23日

税務調査の反面調査とは?事例・対応の流れと回避方法を解説

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Point反面調査を受けたら、何に気をつければよい?

取引先など第三者に確認が及ぶ調査で、日頃の備えと当日の対応で影響を抑えられます。

  • 取引先や銀行に確認が広がる
  • 資料不足や申告の矛盾が引き金となる
  • 帳簿を整理し誠実に対応する

拒否はできませんが、やむを得ない事情があれば日程の相談はできます。普段の記帳と保存が一番の備えとなります。

税務調査の中でも「反面調査」と呼ばれる調査は、取引先や顧客などの第三者にまで調査が及ぶケースです。また、必要に応じて金融機関への照会が行われることもあります。 突然おこなわれる場合もあり、取引先に迷惑をかけたり、信用低下につながる可能性があるため、とくに注意が必要です。

実施されるのは例外的な場面に限られますが、流れと対応を知っておくと落ち着いて向き合えます。本記事では、反面調査がおこなわれやすい場面と、受けたときの対応や日頃の備えをわかりやすく解説します。

反面調査とは何を調べる税務調査?

反面調査は、調査を受けている本人ではなく、その取引先や顧客、銀行など第三者に事実を確認する調査です。通常の税務調査だけでは取引の裏付けが取りきれないときに、本調査を補う形で実施されます。すべての税務調査でおこなわれるわけではありません。

反面調査は取引先や顧客、銀行など第三者に確認する調査

反面調査とは、納税者本人ではなく、取引先や顧客などの第三者に対して取引内容を確認する調査です。また、必要に応じて金融機関への照会が行われることもあります。 帳簿や領収書を本人に確認するだけでは取引の実態がつかめない場合に、相手先へ問い合わせる形で進みます。文書や電話で確かめることもあれば、相手先を訪ねることもあります。根拠となるのは国税通則法74条の2に定められた質問検査権で、取引関係者も対象に含まれます。

反面調査は税務調査の補完としておこなわれる

反面調査は単独で始まるのではなく、進行中の税務調査を補う位置づけでおこなわれます。

本調査で申告内容や帳簿に不自然な点が見つかり、本人の説明だけでは確認しきれないときに、裏付けとして第三者へ範囲が広がります。「反面調査から税務調査につながるのか」と心配する方もいます。

反面調査は通常、進行中の税務調査の一環として実施されますが、反面調査で得られた情報が参考となり、その後に別の納税者が税務調査の対象となることもあります。 反面調査と通常の税務調査の違いは「反面調査とは?税務調査との違い|マネーフォワード」もあわせてご覧ください。

参照:第1章 法第74条の2~法第74条の6関係(質問検査権)|国税庁

反面調査はどのくらいの確率で、どこまで調べられる?

反面調査は例外的にしか実施されず、調査がスムーズに進めば及ばないことも多いものです。さかのぼって確認される範囲は数年分が中心で、不正が疑われる場合は期間が長くなりやすい点をおさえておきましょう。

すべての税務調査で実施されるわけではない

反面調査は、税務調査のたびにおこなわれるものではありません。

本人の帳簿や説明で取引の実態が確認できれば、相手先まで確認が及ばずに終わることもあります。どのくらいの割合で実施されるかを示す公表データはなく、必要と判断された場合に限られると考えておくとよいでしょう。むやみに不安を抱くより、確認に応じられる状態を整えておくほうが落ち着いた対応につながります。

さかのぼって確認される期間

反面調査でさかのぼる期間は、数年分が中心です。

帳簿や書類に不備がなければ確認は短期間で済みますが、申告漏れや不正が疑われる場合は、確認の対象となる期間が長くなりやすくなります。日頃から取引の記録を残しておくと、過去分を求められても落ち着いて提示できます。

参照:調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)|国税庁

反面調査が行われやすいのはどんなとき?

反面調査は、本人の資料や説明だけでは取引の裏付けが取れないときに広がりやすくなります。代表的な場面を知っておくと、日頃の備えにいかせます。疑われる内容によって、確認が向かいやすい相手先も変わります。

疑われる内容 確認が向かいやすい相手先
売上の計上漏れ 売上先
仕入の過大計上 仕入先
架空の外注費・人件費 外注先・従業員など
説明のつかない入出金 取引銀行

帳簿や領収書など資料が足りないとき

反面調査が広がりやすいのは、取引を裏付ける資料が足りないときです。

帳簿や領収書を紛失していたり、保存はあっても不備が多かったりすると、本人の説明だけでは事実を確かめづらくなります。求められた書類を出さない、質問への回答を避けるといった対応が続いた場合も、相手先へ確認が向かいやすくなります。資料の整理と落ち着いた受け答えが、確認範囲を広げないための備えになります。

申告内容に矛盾や不自然さがあるとき

申告された内容につじつまの合わない点があると、裏付けを取るために相手先へ確認が及びやすくなります。

実態のない経費や仕入れが計上されていると、支出が増えて利益が減ったように見えても実態が伴わず、確認が必要と判断されます。売上や仕入の金額が取引先の把握している数字と大きく食い違う場合や、説明に一貫性がない場合も同じです。

所得隠しや脱税が疑われるとき

所得を意図的に隠した形跡や、不自然な資金の流れがあると、相手先への確認に発展しやすくなります。

親族や関連会社を経由して売上を分散させる動きや、説明のつかない高額な現金のやり取りは、確認の対象になりやすい例です。前年と比べて所得が急に大きく減っている場合も、理由を確かめるために第三者へ確認が及ぶことがあります。

参照:税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)|国税庁

取引先として反面調査を受けたらどう対応する?

反面調査の場面に直面したときは、その場の対応ひとつで調査の長さや今後の信用に影響します。適切な準備と誠実な姿勢を見せれば、疑念が解け、取引先に余計な迷惑をかけずに済みます。自社が反面調査を受ける側になっても落ち着いて向き合えるよう、押さえておきたい対応を確認しておきましょう。

顧問税理士に立ち会いを依頼する

反面調査を含む税務調査を受けるときは、まず顧問税理士へ速やかに連絡し、立ち会いを依頼しましょう。

税理士は税法や調査対応の知識を持つため、調査官とのやり取りをスムーズに進められます。経営者がうまく説明できなかった部分や、言葉の選び方で誤解を招きそうな場面でも、その都度フォローしてもらえます。専門家が同席することで、調査官とのやり取りが整理され、事実関係や法令上の見解を適切に説明しやすくなります。 結果として不利な発言を避けつつ、公平な調査環境を整えられます。顧問税理士がいない場合は、早めに契約しておくと安心です。

取引内容を正しく説明する

調査では取引の経緯や背景を正しく説明する姿勢が求められます。

請求書や契約書、振込明細などの証拠書類をあらかじめ整理しておきましょう。記憶だけで話すと細部が曖昧になり、確認が必要と判断されやすくなります。取引先や社内の関係者にも事前に内容を共有しておくと、回答の食い違いを防げます。

少しでも説明が食い違うと裏付けを取る必要が生じ、確認が広がりやすくなります。短期的にごまかしても、後から証拠が出ればかえって重い指摘につながるため、正しい事実を整理して伝えることが、調査を早く終える近道です。

説明に不安があるときは、税理士へ相談して話し方を準備しておくと安心です。

求められた資料を準備して提示できるようにする

調査では帳簿や領収書、契約書などの証憑を求められるため、すぐ提示できるよう日頃から整理しておきましょう。

求められた資料だけを出す意識も大切です。関係のない書類まで提出すると、調査官が余計な疑問を持ち、別の部分まで確認が広がるおそれがあります。逆に、必要な資料を隠したり渋ったりすると不信を招きやすくなります。普段から資料をデジタル化しておき、急な調査にも落ち着いて対応しましょう。

誠実に対応する姿勢を見せる

調査官が事実を隠していると感じると調査が長引くため、反面調査では誠実な姿勢を見せましょう。

質問に正直に答え、必要な資料を丁寧に提示すれば、協力的だと評価され、事実確認が円滑に進みやすくなるため、結果として調査が早く終わる可能性があります。誤りが見つかった場合に速やかに修正申告をおこなえば、正直に向き合う姿勢として信頼につながります。注意したいのは、取引先に虚偽や隠ぺいの協力を求めると、相手が罰則を受けるおそれがある点です。

調査を受けている側が虚偽申告や隠ぺいをしていれば、重加算税や追徴課税といった処分の対象になることもあります。税務署側に誠実さを示すことが、信用維持とトラブル回避の両方につながります。

やり取りを記録に残す

調査官とのやり取りや提示した資料の内容は、必ず記録に残しておきましょう。

記録がないと、後日「その説明は聞いていない」「その資料は出していない」といった食い違いが起きやすくなります。やり取りを日時ごとに記録し、提示した資料の控えを残しておくと、後日のトラブル防止に役立ちます。記録を税理士や反面調査が入った取引先と共有すれば、状況の把握や対応方針の調整もスムーズに進みます。

第三者を巻き込む調査だからこそ、関係者への説明責任を果たす意味でも記録が大切です。可能であればデジタルで時系列に整理しておくと、必要なときにすぐ確認できます。調査が長引いたり再度問い合わせが来た場合にも、記録があれば落ち着いて対応できます。

延期はできるが拒否はできない

反面調査そのものを拒むことはできませんが、やむを得ない事情があれば日程の相談はできます。

質問検査権にもとづく調査のため、正当な理由のない拒否や虚偽の回答には罰則が定められています。2025年6月の刑法改正で懲役と禁錮が拘禁刑に一本化されたため、現在は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される場合があります。出張や会議などで対応が難しいときは、理由を明確に伝えて日程を調整しましょう。

参照:第1章 法第74条の2~法第74条の6関係(質問検査権)|国税庁

自社の調査で反面調査を防ぐにはどうすればいい?

反面調査を防ぐ近道は、本人への調査だけで取引の裏付けが取れる状態をつくることです。日頃の保存と誠実な対応、専門家の関与が効いてきます。

取引内容を正しく説明できるよう備える

取引の経緯や背景を正しく説明できるよう、証拠書類を整理しておきましょう。

請求書や契約書、振込明細などをそろえ、記憶だけに頼らず資料で示せるようにしておくと、確認がスムーズに進みます。社内の関係者とも内容を共有しておくと、回答の食い違いを防げます。

会計データを保存期間に従って保管する

帳簿や請求書、領収書は、定められた保存期間に従って保管しておきましょう。

青色申告者は、所得税法上、帳簿や決算関係書類などは原則7年間、その他の書類は原則5年間保存します。ただし、消費税法やインボイス制度などにより請求書等は7年間の保存が必要となる場合もあります。

白色申告でも、収入金額や必要経費を記載する帳簿(法定帳簿)は7年、それ以外の任意帳簿や請求書・領収書などの書類は5年保存します。 法人は帳簿書類を7年保存します。保存が不十分で証拠がそろわないと、裏付けを取るために相手先への確認が広がりやすくなります。通帳やレシート、電子データも含めて整理しておきましょう。

参照:個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について|国税庁

反面調査が長引く・しつこいと感じたら?

反面調査が長引いたり、問い合わせが繰り返されたりすると、しつこく感じることもあります。背景には確認しきれない点が残っている場合が多く、記録と専門家の関与で落ち着いて対処できます。

問い合わせが続くのは、提示された資料だけでは事実が固まらず、追加の確認が必要と判断されている状況が考えられます。やり取りを時系列で記録し、求められた範囲に絞って正確に答えることで、確認は早く収まりやすくなります。

対応に不安があるときは、税理士に間に入ってもらうと、過不足のない受け答えがしやすくなります。再度の問い合わせが来ても、記録が残っていれば同じ説明を一から繰り返さずに済みます。

参照:税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)|国税庁

反面調査についてよくある質問

反面調査は耳慣れないため、対象や対応に不安を感じる方が多いものです。問い合わせの多い点をまとめました。

反面調査は個人事業主も対象になる?

反面調査は法人だけでなく、個人事業主も対象です。

事業の規模が小さくても、帳簿や領収書の不備、申告内容の不自然さが見られれば確認の対象になり得ます。取引先が限られる場合は影響が大きく出やすいため、規模にかかわらず誠実な申告と記録の保存を心がけましょう。

反面調査の有無は取引先に知られる?

反面調査は取引先など第三者へ直接確認するため、相手先には事実が伝わります。

相手先からは「なぜ自社に確認が来たのか」と受け止められ、信頼関係に影響することもあります。日頃から帳簿や領収書を整え、説明できる状態を保っておくと、確認が広がるリスクを抑えられます。

反面調査を拒否するとどうなる?

反面調査は質問検査権にもとづくため、正当な理由なく拒むことはできません。

応じない場合、本人だけでなく相手先にも厳しい確認が及ぶおそれがあります。やむを得ない事情があるときは日程の相談ができるので、無理に拒まず、理由を伝えて調整するほうが結果として早く収まりやすくなります。

参照:白色申告者の記帳・帳簿等保存制度(No.2080)|国税庁

反面調査への備えは日頃の帳簿管理と誠実な対応から

反面調査は、取引先や銀行など第三者にまで確認が広がる税務調査で、実施されるのは例外的な場面に限られます。広がりやすいのは、資料が足りないときや申告内容に不自然さがあるときです。受ける側になっても、求められた範囲に絞って正確に答え、やり取りを記録に残せば、影響は抑えられます。

反面調査を防ぐ近道は、本人への調査だけで取引の裏付けが取れる状態をつくることです。帳簿や書類を保存期間に従って整理し、誠実に対応する。迷う点は税理士に相談する。こうした日頃の積み重ねが、反面調査への一番の備えとなります。

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