• 作成日 : 2019年10月17日
  • 更新日 : 2019年10月29日

貸借対照表でよく使われる勘定科目まとめ

貸借対照表は財務三表の一つで、決済日現在の自社の財産や負債が分かる表です。その基本的な構造は、以下の3部で成り立っています。

資産の部:決算日現在の財産
負債の部:決算日現在の負債
純資産の部:決算日現在の資産と負債の差額(正味財産)

本記事では上記の3部ごとに、賃借対照表でよく使われる勘定科目について解説します。

資産の部でよく使われる勘定科目

資産の部は、流動資産、固定資産、繰延資産の3つから構成されます。うち、流動資産と固定資産は「正常営業循環基準」及び「ワンイヤールール(一年基準)」に基づき区別されます。
正常営業循環基準とは、通常の営業活動から生じるか否かという観点で、流動資産・固定資産に区別する考え方です。ワンイヤールールとは、決算日後1年以内に換金可能か否かという観点で、流動資産・固定資産に区分する考え方です。

(1)流動資産
通常の営業活動(売上取引)から生じる資産、または決算日後1年以内に換金可能な資産です。

<よく使われる勘定科目>

(2)固定資産
通常の営業活動から生じたものではなく、かつ1年以上の長期で使用する資産です。
固定資産は次の3つから構成されています。

<3つの構成とよく使われる勘定科目>

1.有形固定資産(形のある資産)

  • 建物:事務所の建物など
  • 建物附属設備:空調設備など
  • 器具備品:電気機器、ガス機器など
  • 構築物:看板、フェンスなど
  • 車輌:社用車など
  • 機械装置:発電設備、製造設備など
  • 土地:店舗用地、工場用地など

2.無形固定資産(形のない資産)

  • 借地権:土地を借りる権利
  • のれん:店舗などの営業権
  • ソフトウェア:業務用のソフトウェア

3.投資その他の資産(有形固定資産・無形固定資産以外の固定資産)

  • 関連会社株式:関連会社に対する投資株式
  • 子会社株式:子会社に対する投資株式
  • その他有価証券:長期保有目的の有価証券
  • 差入敷金:建物等の賃貸契約の担保となる敷金
  • 差入保証金:建物や賃貸リース契約時の保証金
  • 長期前払費用:契約期間が1年を超える費用の前払い分
  • 破産更生債権:経営破綻または実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権

(3)繰延資産(支払い・支払い義務が確定した費用の効果が1年以上に及ぶ資産)

<よく使われる勘定科目>

  • 創立費:会社設立費用
  • 開業費:会社設立から事業開始までにかかった費用
  • 開発費:新規営業先開拓や新製品の開発などの費用

負債の部でよく使われる勘定科目

負債の部は流動負債固定負債の2つに分かれており、先述の正常営業循環基準及びワンイヤールールが適用されます。

(1)流動負債

営業取引で発生した債務や、決算日後1年以内に返済が予定されている債務などを指します。

<よく使われる勘定科目>

  • 買掛金:仕入れ時の未払債務
  • 支払手形:仕入れ時に振出す約束手形などの債務
  • 短期借入金:金融機関などからの借入金のうち、1年以内に返済が予定される借入金
  • 未払配当金:株主に未払いの配当金
  • 未払消費税:国に未払いの消費税
  • 未払利息:借入金等に係る利息で決算日に未払いのもの
  • 未払法人税:国や地方に未払いの法人税
  • 預り金:取引先・従業員・役員などから一時的に預かる金銭等

(2)固定負債
決算日後1年を超えて返済が予定される債務などを指します。

<よく使われる勘定科目>

  • 長期借入金:返済期限が1年を超える借入金
  • 社債:会社が投資家に発行する借用証
  • 退職給付引当金:従業員の退職金支給に備えて計上するべきお金
  • 資産除去債務:店舗における将来の原状回復費用など

純資産の部でよく使われる勘定科目

(1)株主資本

株主資本は、次の5つの勘定科目から構成されています。

1.資本金
会社設立時や増資時の新株発行にあたり、会社が株主より受けた出資額。

2.資本準備金
1のうち、資本金として計上しない金額。会社法にもとづき、資本金の2分の1を超えない金額は資本準備金にできます。

3.その他資本剰余金
受けた出資を払い戻すような場合に、資本金の減少額と実際の支払額との差額を、その他資本剰余金として計上します。

4.利益準備金
利益剰余金(会社活動による利益のうち残ったお金)のうち、会社法により積み立てが義務付けられているお金。例えば、配当金の支払時に一定額の積み立てが求められます。

5.その他利益剰余金
利益剰余金のうち利益準備金を除いた分で、以下の勘定科目で細分化されています。

・任意積立金
利益準備金とは別に、予期せぬ損失に備えて自主的に積み立てるお金。

・繰越利益剰余金
過去及び当期利益の累積額であり、配当の原資となるお金。

(2)評価換算差額等
一定の資産・負債にかかる含み損益であり、損益計算書を通さずに純資産として計上された金額を指します。

<よく使われる勘定科目>
・その他有価証券評価差額金:長期保有目的の株式等にかかる評価差額

(3)新株予約権
会社が発行する株式を事前に決められた価格で取得する権利。ストックオプション等が該当します。

(4)非支配株主持分
子会社の資本のうち、親会社所有以外の部分を指します。

最後に

貸借対照表には企業の財産の状況が示され、決算日時点での支払能力など、企業の「安全性」を示す情報が提供されます。貸借対照表を正しく作成することで、銀行等の債権者に自社の安全性を正確に示すことが可能となり、自社内での安定性・将来性の分析にも活用することができます。業績分析の観点からは、損益計算書に比べると軽視されがちですが、貸借対照表についても正確に作成されることをおすすめします。

貸借対照表の書き方と注意点は「貸借対照表の書き方を具体例とともに解説」のページにて詳しく解説しております。※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:藤沼 寛夫(公認会計士)

ライター 兼 公認会計士
「会計」「税務」「財務分析」について、分かりやすい記事を提供します。
https://fujinuma-write.com/

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