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  • 作成日 : 2020年10月2日

売上原価とは?計算方法や業種ごとの違いを解説

売上原価

一般に「原価」と聞くとピンとくる人も、「売上原価」と聞くと原価との違いに考え込む場合があります。
損益計算書で売上の次に表示される売上原価は、財務情報として非常に重要性が高く、いわゆる「コスト」の代表格です。
ここでは、「売上原価」の求め方だけでなく、業種による範囲の違いや製造原価との違いについてもわかりやすく解説します。

売上原価とは

売上原価とは、売れた商品の仕入れや製造に直接的にかかった費用のことです。
小売業、製造業、サービス業などの業種によって、売上原価をとらえる範囲が違ってきますが、大元の考え方は同じです。
まず、ベーシックな物品販売業について理解しましょう。物品販売業とはモノを購入して、外部に販売する業態です。

次の図のように、損益計算書で売上原価は売上高のすぐ下に表示されます。
この例でいうと当期に売れた商品は、期首にあった20万円分の商品と当期に仕入れた商品のうち、期末に残ったもの以外です。そして、貸借対照表には当期に残った商品が計上されます。

損益計算書 貸借対照表

売上原価の計算方法

売上原価の計算方法は、損益計算書を見ると見当がつきますが以下のように求めます。

売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 - 期末商品棚卸高
80万円 = 20万円 +  90万円 - 30万円

売上総利益は売上に対して直接かかった費用である売上原価を求め、売上高から売上原価を差し引くことで求められます。
売上総利益は粗利(あらり)とも呼ばれ、損益計算書で計算する種々の利益のうち最初に計算される利益であり、会社の儲けの基本ともいえます。
売上原価が小さいほど売上総利益は大きくなり、会社の利益は大きくなります。

業種で変わる売上原価の考え方

最初に業種によって、売上原価をとらえる範囲が違うと説明しましたが、ここでいろいろな業種の売上原価を紹介します。

飲食業

飲食業に限りませんが、1つの売上を上げるためにかかる費用が複数ある場合について見ていきましょう。
例えば、うなぎ屋でうな丼を売り上げる際に、米、うなぎ、タレが直接の費用としてかかったとします。

一般には、うな丼を作ったり接客をしたりする人の給料や光熱費は売上原価には入れず、あくまでも材料のみで売上原価を考えます。しかし、もしうな丼の調理専門で雇っている人がいれば、その人に支払う給料は売上原価とみることができます。売上原価は売上に直接かかった費用であることがポイントです。

飲食業の場合の直接費用は、商品ではなく材料について計算します。
米、うなぎ、タレをそれぞれ、「期首材料棚卸高+当期材料仕入高-期末材料棚卸高」で計算して、米とうなぎとタレを合計したものが売上原価となります。

製造業

製造業とは、原料に手を加えてモノをつくり上げる産業で、必ず原料を加工する工程が入ります。
ここで、うなぎのタレ工場ではしょう油とみりんと調味料を加工して、タレを製品化しているとします。

工場では製造のみを行い、完成した製品は別の会社に卸している場合、売上原価でなく製造原価が損益計算書に表示されます。
製造原価 = 期首製品棚卸高+当期製品製造原価-期末製品棚卸高」となります。

そして、材料費だけでなく、直接的に加工に要した労務費や光熱費などの経費は製品に含まれます。
製造原価については次項で解説します。

工場で製造から小売りなどの販売まで行っている場合は、工場で完成したモノは「製品」ですが、販売される段階では「商品」になるところが要注意です。この場合にも売上原価を把握しますが、その前に製造原価を計算します。製品ができるまでにかかった原価と売り上げた商品にかかった原価については区別します。

製造業 売上原価

サービス業

サービス業などでは、売上原価が極端に低くなることがあります。
売上について直接かかった費用とは、提供したサービスと関連づいている費用ですので、サービス業の売上原価となるものは外注費ぐらいかもしれません。
例えば、広告宣伝業、コンサルタント業などは、労務、技術やノウハウなど情報の提供などで収入を得ているため、商品仕入も、材料仕入も加工過程もありません。
売上から差し引く売上原価が低いため、売上総利益は大きくなりますが、販売費一般管理費といった間接的な費用が大きくなる傾向にあります。
同じような傾向が見られるものに、不動産賃貸業などが挙げられます。

売上原価と製造原価の違い

売上原価と製造原価はどのように違うのでしょうか?
材料仕入をして加工を行い製品を出荷する製造業では、次の図のような製造原価報告書を作成します。

製造原価報告書

製造原価報告書では、材料仕入だけでなく、加工に携った人の給料や、加工するために必要な光熱費などを加え、まず「当期総製造費用」を算出します。

その年度で製品を製造するために発生したすべての費用の合計です。

さらに、期首時点ではまだ加工の途中であったもの(仕掛品や半製品)を加えます。
その上、期末時点でまだ加工中のものを除いて、最終的には当期製品製造原価を求めます。

次に損益計算書において、当期製品製造原価に期首にまだ未出荷で残っていた製品を加え、期末に在庫となっている製品を除けば製造原価が求まりま
す。

製造業 損益計算書

このように製造業でその製品を他の会社などに卸売りをしている場合には、売上原価=製造原価となります。

そして、この製造者から製品を仕入れた業者は、製品仕入ではなく、一番初めに掲載した損益計算書のように商品仕入として計上することになります。

企業会計原則によると、「売上原価は、売上高に対応する商品等の仕入原価又は製造原価である」として、「商業の場合には、期首商品たな卸高に当期商品仕入高を加え、これから期末商品たな卸高を控除する形式で表示し、製造工業の場合には、期首製品たな卸高に当期製品製造原価を加え、これから期末製品たな卸高を控除する形式で表示する。」と商業と製造業とに分けて説明されています。

しかし実際は、タレ工場の例で示したように製造し、店舗にて商品の販売も事業としている会社では、製品も商品も取り扱っていることになります。
その場合には損益計算書には、実態にあわせいろいろな表し方がありますが、製品とともに商品の棚卸高が記載されます。

売上原価 損益計算書

売上原価は粗利の決め手となる

売上原価は、売上を得るために直接要した費用ですが、商品や製品・サービスの販売にかかる間接的な費用も事業にとっては重要な要素です。間接的に要した費用には、社長の給料や広告宣伝費、保険料、交際費等売上原価より多くの項目があります。
損益計算書で、まず直接的に要した費用を差し引いて粗利を求めるのは、その商品や製品のもつ力「商品力・製品力」を見極めているといえます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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