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  • 更新日 : 2021年1月21日

キャッシュフローとは何?目的は?キャッシュフロー計算書(C/F)の読み方をわかりやすく解説

企業にとって資金の状況を把握するのは非常に重要です。適切に資金の状況が把握できていなければ、場合によっては経営が困難になる可能性もあります。
この記事では、資金状況の把握に役立つキャッシュフローとは何かをはじめ、キャッシュフローの目的、キャッシュフロー計算書とは何か、キャッシュフロー計算書と財務三表の関係性、キャッシュフロー計算書の読み方や作り方について解説します。

キャッシュフロー(C/F)とは何?

キャッシュフローは、その文字通りお金(キャッシュ)の流れ(フロー)のことです。例えば「1年間」など一会計期間に区切ってキャッシュの動きを示します。

企業会計では企業にお金が入ってくることをキャッシュイン、お金が出ていくことをキャッシュアウトというため、キャッシュフローは以下のような概念で表現できます。

キャッシュフロー = キャッシュイン(入ってきた現金) – キャッシュアウト(出ていった現金)

財務諸表のひとつに、企業のキャッシュフローを示した「キャッシュフロー計算書」があります。キャッシュフロー計算書は営業活動など企業の活動を3つに分けてキャッシュの出入りを示したものです。金融商品取引法が適用される上場企業などに作成義務があります。一方、中小企業含めすべての会社に適用される会社法での作成義務の規定はありませんし、個人事業主にも作成義務はありません

しかしながら、キャッシュフローの把握は資金不足になっていないか的確に把握できること。そして、キャッシュフロー計算書の作成は粉飾が難しく資金調達の評価に活用できることから、義務はなくても作成することにメリットがあります。

キャッシュフローを把握しないことにより企業活動がうまくいかないこともありますので、作成義務の有無にかかわらずキャッシュフローは把握しておいたほうが良いでしょう。

キャッシュフローを把握する目的は?

上場企業を中心に作成義務がある「キャッシュフロー計算書」は、会計基準により、作成基準が設けられています。これは、キャッシュフロー計算書によって投資家が有用な情報を得られるようにするためです。しかし、このような投資家を中心とした作成目的は、あくまで株式が公開されているような企業を対象としています。

企業の規模、法人や個人を問わず、キャッシュフローを把握することの意義は、時間差などによる利益と現金・預金等のズレを把握し、経営に生かすことです。

目的から導き出したキャッシュフローを把握する必要性は、作成したキャッシュフロー計算書をもとに、将来の資金計画を策定することにあります。
例えば、黒字倒産で典型的なのは「売上債権の回収が遅れて、過去の大型投資に対する借入金を返済できなくなる」というケースです。これを予防するためには、借入金の返済スケジュール、利息の支払いスケジュール、投資のスケジュール、未払金支払いのスケジュールなど、詳細な計画を定める必要があります。

また、「キャッシュフロー計算書」をもとに自社のキャッシュフロー(現預金の収支)に着目しながら経営状況を分析する「キャッシュフロー経営」という経営管理の方法もあります。

キャッシュフロー経営のメリット

  • 資金ショートを防止する
  • 手持ちの現金である手許現金を増やす
  • 金融機関等からの資金調達を円滑にする
  • 資金ショートを防止する
  • 資金ショートとは、手許の現金が不足することです。経費の増加や売掛金などの売上債権未回収の増加、などが原因で資金ショートが発生します。キャッシュフローを把握することは、資金繰りを予測し、資金ショートを防ぐのに有効です。

  • 手持ちの現金である手許現金を増やす
  • キャッシュフローの把握は、売上に対する売上債権回収の回収率、売上債権の貸倒(回収できない可能性が高いもの)を早い段階で把握することに役立ちます。早めに現金化する対策などを取ることで、手許現金を増やし健全な資金繰りに活かすことも可能です。

  • 金融機関等からの資金調達を円滑にする
  • 資金繰りが悪化すると、金融機関等から思うように融資を受けられなくなる可能性もあります。資金繰りを把握して、必要な対策を取ることは、設備投資や事業拡大のための資金調達を円滑にするのにも役立ちます。

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    キャッシュフロー計算書とは?

    キャッシュフロー計算書とは、期首からどのようにキャッシュが出入りしたのか、期末の残高はいくらか、を計算するための会計書類です。

    キャッシュフロー計算書では、キャッシュの変動要因がわかるように、年度単位など、ある一会計期間におけるキャッシュの変動を、営業取引・投資取引・財務取引に区分して表示します。3つの構造に分けてキャッシュの流れを把握することで、キャッシュの増減理由を明らかにすることが可能です。

    なお、キャッシュフロー計算書で把握するキャッシュとは、現金あるいは、ほとんど現金として扱うものを指します。現金はもちろん、現金化が容易な普通預金や当座預金、流動性の高い3カ月以内に満期日が到来する定期預金や3カ月以内に償還日が来る公社債投資信託などです。原則、換金が難しく、価値の変動の激しいもの、繰延税金資産のような換金価値のないものはキャッシュに含まれません

    また、キャッシュフロー計算書に関連して、「フリーキャッシュフロー」という言葉がありますが、これは会社が自由に使えるキャッシュを指します。

    キャッシュフロー計算書の構造
    営業活動によるキャッシュフロー本業の営業活動によるもの
    投資活動によるキャッシュフロー投資(固定資産の取得や有価証券の購入)によるもの
    財務活動によるキャッシュフロー資金調達(借入金の調達や社債の発行)など
    フリーキャッシュフロー会社が自由に使えるキャッシュ

    1:営業活動によるキャッシュフロー

    営業活動によるキャッシュフローとは、主に本業の営業活動によって生じたキャッシュの増減を示します。

    本業の営業活動によって生じたキャッシュの増減とは、例えば以下のような取引によるものです。

    営業活動によるキャッシュフローの取引例

  • 現金での売上取引(プラス)
  • 売掛金を現金で回収した場合の収入(プラス)
  • 現金での仕入取引(マイナス)
  • 買掛金を現金で支払った場合の支出(マイナス)
  • 給料や賃金のうち現金で支払った支出(マイナス)
  • 経費のうち現金で支払った場合の支出(マイナス)
  • クレジットカードで決済した経費のうち未払金増加分(プラス)
  • 経費のうち支払期日が到来していない未払金増加分(プラス)
  • 売掛金や受取手形のような売上債権は現金で回収した分をプラス、買掛金や支払手形のような仕入債務は現金で支払った分をマイナスします。給料や経費などの支出も、現金で支払ったかどうかが判断基準です。

    このほか、営業活動によるキャッシュフローでは、投資活動や財務活動に含まれない受取利息の受取額(プラス)、支払利息の支払額(マイナス)、法人税等の支払額(マイナス)などを加減し、最終的な合計を出します。

    営業活動によるキャッシュフローについては、営業キャッシュフローとは?見るべきポイントは?マイナスでも大丈夫?の記事で詳しく説明していますので、そちらもご覧ください。

    2:投資活動によるキャッシュフロー

    投資活動によるキャッシュフローとは、企業の将来の利益獲得目的や資産運用を目的とした、投資活動におけるキャッシュの増減のことです。

    具体的には、次のような取引が対象です。

    投資活動によるキャッシュフローの取引例

  • 有価証券を売却したことによる現金収入(プラス)
  • 有形固定資産を売却したことによる現金収入(プラス)
  • 貸付金回収による現金収入(プラス)
  • 有価証券を取得したことによる現金支出(マイナス)
  • 有形固定資産を取得したことによる現金支出(マイナス)
  • 貸付金の実行による現金支出(マイナス)
  • 投資活動において特に重要なのが、有形固定資産の取得や売却による設備投資です。事業に必要な固定資産の取得や売却は、「企業のキャッシュフロー」の図でも示したように、企業の営業活動の維持や活性化につながっています。

    有形固定資産の取得や売却のほかには、投資目的で所有する有形固定資産の売買、貸付金による資産運用なども、投資活動の一部です。流動性の低い定期預金など、現金同等物であるもののキャッシュには含まれない預金のキャッシュの出入りも投資活動に含まれます。

    3:財務活動によるキャッシュフロー

    財務活動によるキャッシュフローとは、事業のための資金調達、融資を受けた分の返済、配当金の支出など、営業活動や投資活動を維持するための財務活動におけるキャッシュの増減です。

    具体的には、次のような取引が対象です。

    財務活動によるキャッシュフローの取引例

  • 借入金による現金収入(プラス)
  • 社債発行による現金収入(プラス)
  • 株式発行による現金収入(プラス)
  • 借入金返済による現金支出(マイナス)
  • 社債償還による現金支出(マイナス)
  • 自己株式取得による現金支出(マイナス)
  • 配当金の支払による現金支出(マイナス)
  • 事業のためにどれくらいの資金を調達して、どのくらい返済したか、あるいは投資の還元としてどれくらい配当金として支出したかを表します。自己株式の取得とは、自社の株式を買い取ることです。自己株式を取得すると、対価として現金が出ていき、自己資本が減少します。

    4:フリーキャッシュフロー

    フリーキャッシュフローとは、事業活動や設備投資など、事業の運営に必要な額から解放された、いわば企業が自由に使えるキャッシュのことです。

    フリーキャッシュフローは、どの程度詳細に計算するかで、以下のように複数の計算式が存在します。

    フリーキャッシュフローの計算式

  • フリーキャッシュフロー = 営業活動によるキャッシュフロー - 投資活動によるキャッシュフロー
  • フリーキャッシュフロー = 営業活動によるキャッシュフロー - 設備投資額
  • フリーキャッシュフロー = 税引後営業利益 + 減価償却費等償却額 - 設備投資額 ± 運転資本増減額
  • フリーキャッシュフローの計算式の中でも代表的なのが、営業活動によるキャッシュフローから投資活動によるキャッシュフローを差し引いて結果を導く方法です。営業活動によるキャッシュフローも、投資活動によるキャッシュフローも、キャッシュフロー計算書の値を使えば容易に結果がわかります。

    このようなフリーキャッシュフローからわかることは、投下資金が本業によりうまく回収できているか、投資余力があり事業成長の可能性があるかなど、企業の価値です。

    キャッシュフロー・損益計算書・貸借対照表の関係性

    企業の決算書のうち、上場企業などに作成義務がある財務諸表のうち、貸借対照表損益計算書、キャッシュフロー計算書を財務三表といいます。それぞれ、以下のように役割が異なります。

    財務三表貸借対照表(B/S)損益計算書(P/L)キャッシュフロー計算書(C/F)
    作成する目的資産と負債を管理収益と費用を管理お金の出入りを管理
    わかること財政状態経営成績現金の流れ
    何を表しているか資産-負債=純資産収益-費用=利益期首のキャッシュ残高±期中のキャッシュ増減額=期末のキャッシュ残高
    期間年度(四半期)年度(四半期累計)年度

    ※期間は、金融商品取引法が適用される会社の開示対象の期間です。

  • 貸借対照表:企業が保有する財産状況を示す
  • 損益計算書:一会計期間の損益を示す
  • キャッシュフロー計算書:一会計期間のキャッシュ(現預金)の動きを示す
  • 上の図からもわかるように、貸借対照表と損益期計算書、キャッシュフロー計算書には、それぞれつながりがあります。まず、貸借対照表と損益計算書については、同じ会計期間の当期純利益(当期純損失)が貸借対照表の純資産の部の「繰越利益剰余金」に加減される仕組みです。

    貸借対照表とキャッシュフロー計算書については、キャッシュフロー計算書で使用する現金及び現金同等物の期首残高は前期の貸借対照表と、期末残高は当期の貸借対照表の現金及び預金と結びついています。

    キャッシュフロー計算書と損益計算書については、キャッシュフロー計算書で間接法を採用する場合に結びつきがあります。間接法では、損益計算書の税引前当期純利益を基準に、損益計算書の項目を加減する形で営業活動によるキャッシュフローを計算するためです。

    このように、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の財務三表は、それぞれ関係してくることがわかります。

    また、損益計算書における「営業利益」と、キャッシュフロー計算書における「営業活動によるキャッシュフロー」は、似た概念です。
    しかし、損益計算書における営業利益が「一会計期間の営業損益」を示すのに対し、キャッシュフロー計算書における営業活動によるキャッシュフローは、「一会計期間の本業からの現金収支」を示すという違いがあります。損益計算書は発生主義(収益は実現主義)、キャッシュフロー計算書は原則として現金主義で作成するためです。
    仮に、営業利益が増加しているにもかかわらず営業活動によるキャッシュフローが減少していた場合は、売上債権の回収サイクルに問題があると分析できます。

    キャッシュフロー計算書の読み方とポイント

    キャッシュフロー計算書を活用し、資金繰りを重視して経営を行うことを、キャッシュフロー経営といいます。無理なく事業活動を行っていくうえで、キャッシュの流れを意識するのは、重要な経営手法のひとつとなるでしょう。

    具体的に、キャッシュフロー計算書を読むことで何がわかるのでしょうか。営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフロー、それぞれのプラス、マイナスの値が示す意味を、企業の成長と関連させて見ていきましょう。

    上の図は、企業の成長期の推移とキャッシュフロー計算書の各構成との関連を示したものです。例えば、創業期については、営業活動による成果が出にくく、設備投資も必要になることから、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローはマイナス、資金を必要とすることから財務キャッシュフローはプラスになることが多いです。衰退期のうち、返済窮地期は、営業活動がうまくいかず、金融機関等への返済に追われている状況を表しています。(※ただし、プラス・マイナスの符号は、企業の成長の推移で予測される値で、必ずしも符号のとおりに推移するとは限りません。)

    このように、キャッシュフロー計算書のそれぞれの値は、企業の安定性を評価するのに役立ちます。

    キャッシュフロー計算書の詳しい分析の仕方は、キャッシュフロー計算書の分析方法を参考ください。

    キャッシュフローを改善したい場合は、キャッシュフローを改善するためのポイントが参考になります。

    キャッシュフロー計算書の作り方

    キャッシュフロー計算書を作る基本のステップ

    1. 貸借対照表など必要な書類を用意する
    2. キャッシュの増減が発生した取引を確認する
    3. 営業、投資、財務に分けて作成する

    キャッシュフロー計算書の営業活動におけるキャッシュフローには、直接法と間接法があります。間接法は損益計算書や前期と当期の貸借対照表があれば作成可能です。直接法は間接法と違い、各項目のキャッシュの出入りを確認する必要がありますので、総勘定元帳など別途キャッシュの流れが確認できる資料が必要になります。

    資料がそろったら、キャッシュの増減が発生した取引を確認し、項目ごとに分けて増減を記入していきます。キャッシュフロー計算書の例や様式を参考にすると、どのような科目でキャッシュの増減があるか把握しやすいでしょう。集計は、エクセルやソフトウェアなどを活用すると良いです。

    詳しい作り方は、キャッシュフロー計算書は、直説法と間接法どちらが良いか?で説明しています。

    キャッシュフロー計算書の直接法・関接法とは?どちらがいいの?

    キャッシュフロー計算書の営業活動によるキャッシュフローの部分は、直接法と間接法の、2つの作成方法があります。直接法は主要な取引ごとに総額を示す方法間接法は税引前当期純利益から加減する形で営業キャッシュフローを求める方法です。

    直接法は詳細を把握できる点にメリットがあり、国際会計基準で推奨されています。しかし、取引ごとにデータが必要になり作成に手間がかかるのがデメリットです。

    間接法は、直接法のように詳細は把握できません。しかし、減価償却費など項目は直接法より増えるものの、損益計算書から容易に作成できるメリットがあります。実務では、間接法が採用されていることが多いです。

    間接法と直接法の違いについては、キャッシュフロー計算書は、直説法と間接法どちらが良いか?を参考にしてみてください。

    ツールでキャッシュフロー計算書を簡単に作る方法

    キャッシュフロー計算書は上場企業などを中心に作成が義務付けられている計算書ですが、作成義務のない中小企業や個人事業主においても作成する意味があります。事業の状況を貸借対照表や損益計算書とは違う、資金繰りの面で分析できるためです。

    しかし、一から作ろうとすると資料集めなどもあり手間がかかります。そんな時は、マネーフォワードの「キャッシュフローレポート」が便利です。マネーフォワードでは、クラウド会計クラウド確定申告でキャッシュフローレポートが自動作成でき、リアルタイムで資金繰りを把握できます。

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    まとめ

    キャッシュフローとは、現金や預金の流れのことで、一会計期間などでまとめたものを「キャッシュフロー計算書」といいます。キャッシュフロー計算書は、営業活動、投資活動、財務活動の3つの構造から成る計算書で、それぞれの活動のキャッシュの出入りを把握し、資金繰りの改善に活かすことが可能です。財務三表のひとつで、貸借対照表や損益計算書とも関係が深い決算書になります。

    投資家だけでなく、経営陣においてもキャッシュフローの把握は重要な経営状態の把握になるため、簡単に作成できるツールで定期的に確認することをおすすめします。
    ※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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    監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

    並木一真税理士事務所所長
    会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。

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