• 更新日 : 2023年8月17日

ペーパーレス化とは?導入方法のポイントやメリットを解説

ペーパーレス化とは?導入方法のポイントやメリットを解説

近年は多くの企業でペーパーレス化の動きが加速しています。そもそもペーパーレス化がどういったものなのか、その意味や目的を理解していない方も多いでしょう。

そこで、本記事ではペーパーレス化の概要を解説するとともに、導入する効果やメリット、今後の課題などを紹介します。ペーパーレス化の進め方やおすすめのサービスなども紹介するので、参考にしてみてください。

ペーパーレス化とはなにか?意味から解説

ペーパーレス化とは、ビジネスで生じるさまざまな書類を電子化する取り組みのことです。近年はビジネスにおける業務効率の改善だけでなく、地球温暖化などの環境保全の2つの観点からペーパーレス化の需要が高まっています。

日本では政府主導のもと、国家単位でペーパーレス化が推進されています。1998年に国税関係の帳簿類等の電子データ保存を認める「電子帳簿保存法」が施行されて以降、2004年には商法や税法、会社法、保険業法などにおいて保存が義務付けられた書類について電子データ保存を認める「e-文書法」が施行されました。

これまで経理業務では、法律が妨げとなってペーパーレス化を推進しにくい状況にありました。しかし「電子帳簿保存法」は度重なる改正が行われたことによって、ペーパーレス化できる対象書類の範囲が幅広くなり、現在は経理業務のペーパーレス化が進めやすい状況にあります。

従来は電子データ化した書類を原則7年間は原本保管しておく必要がありましたが、現行のスキャナ保存では電子データにした後に原本が破棄できるようになりました。さらに、スキャナ保存においては、スマートフォンやデジタルカメラでも要件を満たせば利用できるようになっています。

そのほか、2019年から順次施行が始まった「働き方改革」の重要施策のひとつに「ペーパーレス化」が含まれています。今後はテレワークの普及とともに、企業のペーパーレス化がさらに加速していくでしょう。

参考:電子帳簿保存法の概要|国税庁

ペーパーレスにできる書類・できない書類

e-文書法により、電子化できる文書とできない文書があります。電子化できる書類は多岐にわたりますが、少なからず電子化できない書類もあるため注意が必要です。

ペーパーレスにできる書類

ビジネスに関わる多くの書類がペーパーレス化できます。具体的には、会計帳簿や財産目録などの決算、財務や税金に関する文書(国税関係帳簿書類)、定款や株主総会議事録などの会社経営に関連する文書などです。

そのほか、会社のパンフレットや商品・サービスのカタログ、チラシやポスターなどもペーパーレス化できます。

ペーパーレスにできない書類

e-文書法では、免許証や各種許可証などの現物性の高い文書のペーパーレス化を対象外としています。これらの文書は現物保有によって効力を発揮するため、電子化はできません。

また、電子化してしまうと、緊急時にネットワーク接続ができなかったり、端末がバッテリー切れになったりした場合に事故などにつながるもののほか、法律によって書面にて作成することが要請されるものはデータ化の対象外となります。

例えば、事業用借地権設定契約書などは借地借家法により「公正証書によってしなければならない」とされるため、電子データ化はできません。

ペーパーレス化のメリットや効果

ビジネス文書を電子化すると、企業に多くのメリットをもたらします。これまでペーパーレス化していなかった企業も、紙書類の電子化を検討してみましょう。

コストを削減できる

紙の文書を電子化することによって、紙代やインクなどの印刷代、文書廃棄費用などを削減できます。課税文書に該当する書類を電子化すれば、印紙税を削減することも可能です。

紙を1枚印刷するだけでも数円かかるため、従来印刷していた紙をすべてペーパーレス化すれば印刷コストを大幅にカットできます。

保管スペースを削減できる

ビジネス文書のペーパーレス化により、紙文書を保管するスペースが必要なくなります。文書の保管に欠かせない棚や箱、ファイルなどのコストはすべて不要です。

文書を保管するために、わざわざ倉庫を借りる必要もありません。保管スペースを縮小すれば、オフィスの賃料も抑えられます。

業務効率を改善できる

ペーパーレスで電子化された文書は、ネットワークを介してどこからでも閲覧することが可能なため、手渡しや郵送などの手間を省けます。社員一人一人の作業効率が向上して、企業全体の生産性もアップします。

ペーパーレス化すれば、紙の文書を種類ごとに分類して保管場所へ収納する面倒な手間もかかりません。保管された書類から必要な文書を見つけるのは大変ですが、電子化すればファイルを検索しやすくなるため、業務効率は自ずとアップします。

バックアップを保存できる

紙の書類は紛失リスクが常に存在します。紛失や災害などの理由で失ってしまった紙の書類を取り戻すことはほぼ不可能です。

しかし、電子化したデータはバックアップを保存できるため、サーバーやパソコンが故障ししたときでもデータを復元できます。書類紛失リスクを極限まで減少できるため、企業の信頼性向上にもつながるでしょう。

クラウドサービスを利用すれば、バックアップの保存も簡単にできます。

セキュリティを強化できる

データ化したファイルは、アクセス制限や閲覧制限などを設定できます。特定の人しか閲覧できないため、情報流出などのリスクを軽減できます。また、誰がいつデータを閲覧したのか、ログ管理をすることも可能です。

ペーパーレス化によりセキュリティの向上だけでなく、書類自体が消失するリスクも減らせます。不正持ち出しや不正アクセスなどのリスクコントロールがしやすくなるため、企業全体のセキュリティ対策を強化できるでしょう。

ペーパーレス化導入でぶつかりやすい課題

ペーパーレス化が進まない背景には、初期費用などコスト面の問題があります。書類の電子化にはIT関連機器やソフトウェアなどの環境整備が必要です。資金の乏しい企業にとって決して安い費用ではないので、導入コストに経営陣が難色を示すケースもあります。

また、電子機器に慣れていない社員もいるため、経費処理のペーパーレス化に対応できるように社員教育を実施しなければなりません。ITツールの使い方に慣れてない人には、かえって不便に感じてしまうこともあるでしょう。ITに不慣れな社員は「紙のほうが読みやすい」とする傾向が強く、導入が進まないケースもあり得ます。よって、電子化に対する抵抗感や不安を解消し、ITリテラシーの底上げをすることが大切です。

電子データをクラウド上に保存すると、情報漏洩対策が必須となります。ほかにもシステム障害やデータ紛失などへの不安から、ペーパーレス化に踏み切れない企業は少なくありません。セキュリティ対策については、部署を超えて企業全体で話し合う必要があります。

ペーパーレス化導入のポイント

ペーパーレス化には多くのメリットがある一方で、導入には多くの課題があるのも事実です。ペーパーレス化のポイントとして次の事項を押さえておきましょう。

ペーパーレスの理解を深める

社員の理解と協力が得られれば、ペーパーレス化をスムーズに進められます。ペーパーレス化について、業務を担当する社員の十分な理解を得る必要があります。ペーパーレス化によってコストがどの程度減るのか、会社にとってどのような利点があるのかをよく説明した上で、少しずつペーパーレス化を進めていきましょう。

最初から一気に導入しない

最初から企業全体で書類の電子化の導入がうまくいかないことももちろんあります。場合によっては、ペーパーレス化になじまない部分もあります。そんなときは一気に導入するよりも、部署や業務単位などで部分的・段階的にペーパーレスを導入する進め方がベターです。

繁忙期の導入は避ける

決算業務や確定申告の時期などの繁忙期に導入すると社員に負荷がかかり、通常業務が滞る恐れがあります。繁忙期に導入するのは避けて、社員の業務にゆとりがある時期に導入を進めていきましょう。

操作しやすいITツールを導入する

導入にかかる社員のストレスを軽減するために、最初は操作が簡単なITツールを導入しましょう。複数のソフトを試用してみて、操作がわかりやすいものを選ぶことが大切です。ITツールを扱えるようになり、ペーパーレス化のメリットに社員が気づけば、導入が加速化します。

担当者を決める

操作法や運用方法に疑問が出たときに対応できる担当者を、あらかじめ社内に配置しておきましょう。社員がそれぞれ自己解決していると時間がかかるだけでなく、間違った方法を覚えてしまう可能性もあります。適切なアドバイスができる担当者がいれば、導入がスムーズに進むでしょう。

マネーフォワード クラウドなら企業のペーパーレス化を促進

マネーフォワードクラウドは、バックオフィスのさまざまなデータを連携して業務を自動化し、 経理や人事労務の面倒な作業を効率化するクラウドサービスです。パソコン・スマートフォン・タブレットなど、場面に応じて活用できるマルチデバイスに対応できます。

また、データはクラウドに自動保存されるため、パソコンが故障・紛失したときも大切なデータが消えてしまう心配はありません。法令改正や消費税増税への対応など、日々のサービス改善は無料でアップデートできるため、業務の効率化にも役立ちます。

会計・確定申告・請求書・経費・給与・マイナンバー等の充実したサービスを提供しているので、企業のペーパーレス化を推進するとともに、バックオフィスの業務負担を軽減できます。ペーパーレス化が進まず悩んでいる方は、マネーフォワードクラウドの利用を検討してみてください。

ペーパーレス化して会計業務の効率を改善しよう

日本では法整備が進み、さまざまな文書をペーパーレス化できる環境が整備されています。ペーパーレス化によって印刷代などのコストを削減できるとともに、業務効率改善などの多くのメリットが得られます。

ペーパーレス化導入は会社の意思決定であり重要な改革であるので、会社の状況をみながら、長期戦で挑む覚悟が必要です。

よくある質問

ペーパーレス化とは?

ペーパーレス化とは、ビジネスで生じるさまざまな書類を電子化する取り組みのことです。詳しくはこちらをご覧ください。

ペーパーレス化のメリットは?

コスト削減、保管スペースの削減、業務効率の改善、セキュリティの強化、バックアップの保存などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


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