• 作成日 : 2016年9月21日
  • 更新日 : 2020年9月17日

原材料に関する意外と知らない簿記のルール3選

原材料は仕入れて加工し、製品となったものを販売することによって初めて利益を上げることができます。

そのため原材料を仕入れただけでは利益を上げることができず、原材料ならではの簿記のルールに従って資産計上していくことになります。

ここでは原材料に関する簿記のルールを3つ紹介したいと思います。

原材料は2種類に分ける

原材料そのものは、
・原料は素材の原形をとどめていないもの
・材料は素材の原形をとどめているもの
という内容で原料と材料に分けることができます。

これらを総括したものが原材料となりますが、原材料を簿記で取り扱う場合は以下の基準に従って「直接材料費」と「間接材料費」に分ける必要があります。

・直接材料費:主要材料費であり、どの製品に使用するのかが定かである
・間接材料費:補助材料費であり、どの製品に使用するのか明確に区別することができない

たとえば、自動車を製造する上で仕入れた鋼板は、自動車を製造するための主要原材料となるため直接材料費となります。

また自動車の製造するために必要なドライバーやペンチといった消耗工具機具備品は、どの製品に使用するのか明確に区別することができないため間接材料費となります。

原材料は直接材料費と間接材料費の2種類に分けることによって、製品原価を正しく計算することができます。

製造途中の原材料は「仕掛品」勘定を使用する

原材料はさまざまな製造工程を経て製品となりますが、製造過程にある原材料は原材料や製品と明確に区別するために「仕掛品」勘定を使用します。

原材料は加工状態によって、以下の表のように使用する勘定科目が変化します。

勘定科目加工状態販売可能可否
原材料製造前である販売不可
仕掛品製造途中である販売不可
製品製造が完了している販売可能

それではそれぞれの勘定科目を使用して、実際に仕訳を起こしてみましょう。

原材料10kgを現金10万円で購入した場合の仕訳は、

借方科目金額貸方科目金額
原材料100,000現金100,000

となります。

仕入れた原材料のうち5kgを投入し製造過程に入った場合の仕訳は、以下の通りです。

借方科目金額貸方科目金額
仕掛品50,000原材料50,000

仕掛品が製品として完成した場合の仕訳は、以下の通りです。

借方科目金額貸方科目金額
製品50,000仕掛品50,000

次の製造を行なうために原材料10kgを現金7万円で購入した場合の仕訳は、以下の通りです。

借方科目金額貸方科目金額
原材料70,000現金70,000

原材料は常に同じ価格で購入できるとは限らず、仕入先や社会情勢によって変動します。そのため在庫として残っている原材料の単価は、先入先出法や総平均法といった計算方法によって異なります。

現在は先に購入した5万円(=10,000円/kg×5kg)と、後に購入した7万円(=7,000円/kg×10kg)の、合わせて12万円が残っています。

先入先出法によって原材料10kgを製造過程に入れた場合は、在庫として残っている5kg分の5万円と、後から仕入れた3万5千円(=7,000円/kg×5kg)を合わせて8万5千円となります。

総平均法によって原材料10kgを製造過程に入れた場合は、在庫として残っている5万円と仕入れた7万円を合わせた12万円を、在庫として残っている5kgと仕入れた10kgの合計15kgで割ることによって平均単価を算出します。

これまでに仕入れた原材料の平均単価は1kgあたり8千円(=12万円÷15kg)となるため、10kg分の8万円が仕掛品となります。

法人税の計算上、原材料の単価計算に「最終仕入原価法」以外の計算方法を適用させる場合には「棚卸資産の評価方法の届出書」を所轄の税務署長へ提出します。

一度決定した評価方法を継続することが原則となりますが、変更する場合には「変更承認申請書」を事業年度開始日前日までに所轄の税務署へ提出する必要があります。

棚卸資産の評価方法の届出書

(出典:棚卸資産の評価方法の届出書|国税庁HP)

所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の変更承認申請書

(出典:所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の変更承認申請書|国税庁HP)

仕掛品勘定を使用する原材料は、主要材料となる「直接材料費」のみです。

「間接材料費」は仕掛品とはならずに「製造間接費」となり、一定基準に従って各製品へ配賦されることになります。

製造間接費を製品に配賦する基準として、
・各製品の生産量
・作業に要した時間
・機械を稼働した時間
などがあります。

原材料は販売しないと売上原価(費用)にならない

原材料は製造工程を経て製品としたものを販売しない限り、売上原価(費用)として計上することができません。

原材料や仕掛品、販売前の製品は、貸借対照表流動資産に「棚卸資産」として計上されます。

棚卸資産

また販売した製品は、損益計算書の売上原価(費用)として計上されます。

売上原価(費用)

従って原材料を購入し仕入れただけでは費用として計上することはできず、仕掛品や販売前の製品を売上原価に計上すると、費用が多く見積もられることになってしまいます。

まとめ

原材料に関する簿記のルールの代表的なものを3つ紹介しました。

原材料は加工工程を経ることによって製品として出荷販売することが可能となるため、特殊な簿記のルールの適用が必要不可欠となります。特に「仕掛品」という製造過程の勘定科目は、原材料と切っても切れない関係にあります。

また原材料は仕入れただけでは費用として計上することはできず、棚卸資産となる点で注意が必要です。

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