• 作成日 : 2022年8月5日

値引を受けた場合の仕訳や経費精算はどうすればいい?

値引を受けた場合の仕訳や経費精算はどうすればいい?

商取引において値引の処理はつきものです。同時に経理業務においても、値引された支払いの仕訳や従業員が値引された商品を立て替え購入した際の経費精算といった処理が発生します。通常の仕訳や経費精算とは異なる対応が必要な値引の処理は、どのように行えばよいのでしょうか。

この記事では、値引された品物を会社で購入した場合、および従業員が立て替えて値引き商品を購入した場合の経費精算についてご紹介します。

値引を受けた場合の経費の仕訳

一口に値引といっても、自社が販売した商品を値引する場合と、購入した商品代金を値引してもらうケースがあります。それぞれにおける仕訳処理の方法についてご紹介します。

売上値引の場合

売上値引とは、一度計上した売上から値引分を差し引く行為を指します。売上値引は主に販売した商品に以下のような問題が発生した際の対応として用いられており、売上値引勘定で売掛金を減らす仕訳が行われます。

  • 販売した品が破損していた
  • 販売した品に品質不良があった
  • 売り上げた品に量目不足が発生していたなど

以下の条件で売上の計上、そして後日値引を行った場合の仕訳は次の通りです。

(例)10万円の商品を販売し、代金は掛けとした。後日商品の一部に破損が確認されたため、1万円分の値引を行った。

 

【売上】

借方
貸方
売掛金
100,000円
売上
100,000円

【値引】

借方
貸方
売上値引
10,000円
売掛金
10,000円

仕入値引の場合

仕入値引とは、購入(仕入)した品物に対し値引を受けた場合に使う勘定科目です。仕入値引は、初めから値引されている商品を購入する際の処理ではなく、定価で購入した商品の代金を、破損等の理由で後日値引してもらった際の仕訳で使用します。

以下の条件で値引があった場合の仕訳について見てみましょう。

(例)10万円分の商品を仕入れ、代金は掛けとした。その後商品の一部に個数の不足が確認されたため、1万円の値引を受けた。

 

【仕入】

借方
貸方
仕入
100,000円
買掛金
100,000円

【値引】

借方
貸方
買掛金
10,000円
仕入値引
10,000円

値引と割戻、割引の違い

仕訳での「値引」とは、一旦「売上」「仕入」として仕訳したものを後ほど値引した場合に使うということをご紹介しました。では、似たような意味と思われがちな「割戻」「割引」についても押さえておきましょう。

【割戻】

割戻には「売上割戻」と「仕入割戻」があります。それぞれの意味をご紹介します。

売上割戻:多くの取引をした取引先に対して、代金を安くした場合に使う勘定科目。「リベート」「キックバック」とも呼ばれるもの。販売側が使う勘定科目となる。

仕入割戻:多くの品を仕入れ、代金を安くしてもらった場合に使う勘定科目。仕入側が使う勘定科目。

割戻も値引同様に、一度売上(もしくは仕入)の仕訳を行った後に使う勘定科目です。一旦は売上(もしくは仕入)を計上し、その後、割戻の仕訳を行います。

では、割引についてもご紹介します。

【割引】

割引とは、支払期限前の支払いに対する代金の減額です。売掛金・買掛金に含まれる取引から支払いまでの期間の利息分を差し引く処理を指します。

割引も「売上割引」と「仕入割引」に分かれます。

売上割引の場合の仕訳は次の通りとなります。

(例)取引先から掛代金10万円の支払いを支払期限前に受けたため、1万円の割引を行った。

 

借方
貸方
売上割引
10,000円
売掛金
100,000円
現金
90,000円

仕入割引の仕訳も確認してみましょう。

(例)仕入れ先へ掛代金10万円を支払期限前に現金で支払い、1万円の割引を受けた。

 

借方
貸方
買掛金
100,000円
現金
90,000円
仕入割引
10,000円

個人の立替で値引が発生した場合の経費精算

割引や値引は、仕入以外の支出においても発生します。従業員が経費を立て替えた際にクーポンを利用したケース、会社が保有する商品券で支払いを行ったケースにおける処理方法を見てみましょう。

従業員がクーポンを使って立て替えを行った場合

従業員が自分の持っていたクーポンを使って立て替えた場合の精算は、一般的に次の2通りのいずれかで行われます。

  • クーポン分も含めて購入した品物の代金で精算する
  • 従業員が支払った金額を精算する

どちらが正解とは決まっていませんので、各企業で運用ルールを定めた社内規定を定めるとよいでしょう。ただし、購入した品物の代金で精算するという場合、クーポン分の金額は従業員の「貰い得」になり、クーポンを使わない従業員と差が生じてしまうという点に留意して規定を定めることをおすすめします。

貰った商品券で会社の物品を購入した場合

会社が貰った商品券で会社の物品を購入することもあるでしょう。まずは貰った時点で原則として、以下の会計処理を行う必要があります。

(例)取引先より5万円分の商品券の贈答を受けた。

 

借方
貸方
商品券
50,000円
雑収入
50,000円

その後、この商品券を使って会社の物品を購入した時は以下の会計処理を行います。

(例)消耗品を5万円分購入した。代金は会社保有の商品券で支払った。

 

借方
貸方
消耗品費
50,000円
商品券
50,000円

商品券を貰った時に会計処理が必要な点を忘れないようにしてください。

値引・割戻・割引の違いを把握して会計処理を行おう

「値引」「割戻」「割引」はどれも品物の値段を一部分引く(引かれる)処理です。用語は似ていますが、使い方が全く異なりますので、会計処理の際は気を付けてください。

また、値引や割戻の場合は一旦売上や仕入で会計処理を行った後に、値段を引いた(引いてもらった)分の会計処理が必要です。この点は値段を引いた分と合わせて会計処理を行う割引とは異なります。

それぞれの言葉の意味だけでなく、会計処理の方法についてもきちんと把握しておきましょう

よくある質問

仕入値引を受けた場合の経費の仕訳はどうすればいい?

まずは定価で購入したという形で会計処理、後日値引してもらった旨の会計処理が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。

個人の立替で値引を受けた場合の経費精算はどうすればいい?

会社の規定により処理が異なります。クーポン分で値引してもらった分を差し引いて精算するか、もしくは実際に現金等を支払った分のみで精算するかは会社ごとに定めて問題ありません。詳しくはこちらをご覧ください。


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