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  • 更新日 : 2021年6月10日

出資金はどんな勘定科目?組合や信用金庫へ出資した場合の仕訳例まで解説!

出資金はどんな勘定科目?組合や信用金庫へ出資した場合の仕訳例まで解説!

「出資金」という勘定科目を使用するケースは、法人、個人事業主を問わず発生します。この勘定科目が使われるのは、信用金庫から融資を受けるとき、株式会社以外の会社や組合に加入するとき、ゴルフ会員権を取得するときなどです。

しかし、これらの取引は頻繁に発生するものではないため、いざというときに適切な仕訳方法がわからず、困惑してしまうケースも少なくありません。そこでこの記事では、「出資を行った場合」と「出資を受けた場合」の処理の違いのほか、出資金の返還を受けた場合や譲渡した場合の具体的な仕訳処理、税務上の取扱いについて解説します。

出資金はどんな勘定科目?

会社が事業を営む上で必要な資金を提供する人物や会社のことを「出資者」、提供されるお金のことを「出資金」といいます。株式会社の場合は、自社株式の発行と引き換えに出資者から調達した出資金を「資本金」として計上し、その資本金を元手にさまざまな事業活動を行うこととなります。

「出資金」という用語の意義に関しては以下の記事で詳しく解説していますので、こちらをご参照ください。
出資金とは

勘定科目としての「出資金」は、出資を受ける側ではなく、出資者として他社に出資を行った際に使用します。貸借対照表上では「投資その他の資産」として固定資産に分類されるものです。「出資金」の勘定科目は、具体的には以下のような支出を行った場合に使用します。

  • 信用金庫や信用組合、協同組合などへの出資
  • 合名会社や合資会社、合同会社などの持分会社への出資
  • 商工会議所への出資
  • 匿名組合そのほか民法上の法人への出資
  • ゴルフ会員権や各種クラブへの入会金の支払い

なお多くの場合、一度支払った出資金はその会や組合を退会・脱退する際に返還されます。

株式との違いは?

株式会社の場合には、出資した金額に応じてその会社の株式を保有することとなるため、「出資金」ではなく「投資有価証券」などの勘定科目にて計上します。このような株式会社の株主の場合、経営には直接的に関与せず、単に短期的な配当や利益のために出資し、株式を保有するケースも多いでしょう。

それに対し、株式会社以外の会社や信用金庫などへの出資の場合、株式会社のように株式が発行されることはありません。出資者は、配当や売買による短期的な利益を追求するのではなく、長期的な視点で事業活動における必要性から出資を行うことが一般的です。

たとえば、株式会社の形態をとっている銀行の場合、配当や値上がり益を期待する株主から集めた資金を元手に経営を行うため、「出資者である株主」と、その銀行の「利用者」は異なる可能性があります。

一方で信用金庫の場合は、「利用者」である会員から出資を受けた資金によって運営されるため、「出資者=利用者」という構図が成り立ち、会員同士が互いに支え合う相互扶助の観点に基づいていることがわかるでしょう。このような背景から、株式会社へ出資した場合の「投資有価証券」とは区分して資産計上することとしています。

資本金との違いは?

勘定科目としての「出資金」は出資をする側が使用するのに対し、「資本金」は出資を受ける側が使用する科目です。つまり「出資」というひとつの事象に対し、対照的な立場で用いる勘定科目となります。

また出資を受けた場合において、その出資金額のすべてが「資本金」として計上されるとは限りません。これは現行の会社法においては、出資を受けた金額のうち2分の1までは「資本準備金」として計上することが認められているためです。

したがって出資を受けた場合、その金額は資本金か資本準備金のいずれかに計上することとなります。たとえば1,000万円の出資を受けた場合、500万円を資本金、残りの500万円は資本準備金として計上することが可能です。

出資金の資本金との違い

出資金の具体例

実務上、決算書に「出資金」として計上される代表例には以下の4つが挙げられます。

信用金庫などへの出資

信用金庫は会員の出資によって経営を行っているため、融資など信用金庫を利用する場合には、出資金を支払って会員となる必要があります。会員になるための最低口数は信用金庫によって異なりますが、出資金額は5,000円~1万円程度であることが一般的です。また、出資金額に応じて出資配当金が支払われることとなります。

生活協同組合への出資

信用金庫と同様に、生協(コープ)のも組合員からの出資金によって成り立っています。したがって生協を利用する場合には、出資金を支払って組合に加入する必要があるのです。

出資金額は生協によって異なりますが、一般的には500円~1,000円程度で、生協を脱退・退会する際には原則として返還されます。

株式会社以外の会社への出資

株式会社以外の合名会社や合資会社、合同会社などに出資を行った場合にも、「出資金」として計上されることとなります。先述のとおり、株式会社に対して出資を行った場合は「出資金」ではなく、「投資有価証券」や「関係会社株式」などの勘定科目を用いましょう。

ゴルフ会員権などの支払い

ゴルフ場やレジャー施設など、特定の施設や設備を優先的に使用する権利を有するためのゴルフ会員権の購入や各種クラブの入会金は、名義書換料や仲介料などの付随費用も含めて「出資金」として資産計上することが一般的です。

このような出資金については、原則として譲渡するまでは償却せず、当初の取得価額のまま資産計上されます。ただし時価が著しく下落し回復の見込みがないと認められる場合には、簿価を切り下げる減損処理を行います。

出資金の仕訳

実際に出資金に関する取引を行った場合には、以下のように仕訳を計上します。

信用金庫などへの出資

  • 信用金庫に対し、出資金として現金1万円を支払った場合
  • 借方
    貸方
    出資金
    10,000円
    現金
    10,000円

    出資を行った場合、その出資金額は「出資金」として固定資産へ計上されることとなります。

  • 信用金庫の会員を脱退し、出資金10,000円の返金を受けた場合
  • 借方
    貸方
    現金
    10,000円
    出資金
    10,000円

    上記のとおり、元々支払っていた金額が全額返還される場合には、出資金勘定の消し込みで仕訳処理が完了するため、損益に影響を及ぼすことはありません。

ゴルフ会員権の購入

  • ゴルフ会員権を120万円(名義書換料、仲介料込み)で購入した場合
  • 借方
    貸方
    出資金
    1,200,000円
    普通預金
    1,200,000円

    ゴルフ会員権の取得時の処理は、先述した信用金庫の仕訳処理と同様となります。ただし、出資金の取得価額に名義書換料や仲介料を含んだ金額を計上する必要がありますので、ご注意ください。

  • 簿価120万円のゴルフ会員権を70万円で譲渡した場合
  • 借方
    貸方
    普通預金
    700,000円
    出資金
    1,200,000円
    固定資産売却損
    500,000円

    資産計上されているゴルフ会員権を譲渡した場合には、その簿価と譲渡対価の差額が売却損益として損益計算書へ反映されます。

出資金の税務上の取扱い

出資した側の取扱い

  • 出資金を支払った場合
  • 法人や個人が信用金庫などへ出資を行った場合、先述のとおり「出資金」として固定資産へ計上されます。そのため損益に与える影響はなく、法人税や所得税が変動することはありません。

    また出資金の支払いに関しては、消費税法上、不課税取引に該当します。ただしゴルフ会員権の場合、年会費・プレー代・名義書換料・仲介料等については消費税課税取引に該当します。

  • 出資金の返還を受けた場合
  • 信用金庫などへ出資した金額について、その後脱退や退会などによって返還を受けた場合、その入金は出資金勘定のマイナスとして処理することとなります。そのため返還された出資金が収益計上されることはなく、法人税や所得税にも影響しません。また、返還された金額は消費税の不課税取引に該当します。

  • ゴルフ会員権を譲渡した場合
    1. 法人の場合
    2. 保有するゴルフ会員権を譲渡した場合には、簿価と譲渡価額の差額が売却損益として、会社の利益に加減算されることとなります。したがって売却益が発生する場合は、その分の法人税等が増加し、反対に売却損が出る場合は減少します。なお、ゴルフ会員権の譲渡については消費税課税取引に該当します。

    3. 個人の場合
    4. 個人がゴルフ会員権を譲渡した場合には、所得税法上、譲渡所得として以下の算式によって計算を行います。

      譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費用)-50万円(特別控除)

      ゴルフ会員権の所有期間が5年を超える場合には、上記の算式によって計算した譲渡所得に対し、さらに2分の1を乗ずることができます。

      このように算出した譲渡所得は、給与所得などのほかの所得と合算され、超過累進税率によって課税されることとなります。なお、ゴルフ会員権の譲渡によって損失が発生した場合においては、平成26年3月31日までの譲渡であれば他の所得との相殺(=損益通算)が可能でしたが、同年4月1日以後の譲渡において損益通算は不可となりましたので、ご注意ください。

出資を受けた側の取扱い

株式会社が株式を発行することによって出資を受けた場合、その金額は資本金などの純資産として計上することとなります。先述のとおり、出資を受けた金額の2分の1までであれば、資本金ではなく資本準備金として計上することが可能です。

いずれにしても、出資を受けた金額は「収益」ではなく、貸借対照表における純資産の部に計上されるため、その会社の損益には影響しません。消費税に関しても不課税取引に該当します。ただし出資を受けて資本金が増加することによって、税務上の優遇措置の適用が受けられなくなり、結果として税負担が増す可能性があります。

たとえば、消費税における「資本金が1,000万円未満である場合の納税義務の免除」や、法人税における「資本金が1億円以下の場合の軽減税率」などの制度については、それぞれの要件となる資本金額を超えると適用されません。出資を受ける際には、資本金として計上する金額にも注意しましょう。

具体例をもとに仕訳方法を正しく理解しましょう

信用金庫への出資やゴルフ会員権の購入など、出資金に関する仕訳処理は決して珍しいものではありませんが、日々の記帳において頻繁に発生するものではないため、いざというときに戸惑いがちです。会社や個人事業主として出資金に関する仕訳を行う際には、当記事で解説した内容をもとに、正しい会計処理を行うようにしてください。

よくある質問

出資金とはどんな勘定科目?

信用金庫や協同組合、株式会社以外の会社などに出資をした際に使用する勘定科目で、貸借対照表上は「投資その他の資産」として固定資産に分類されます。詳しくはこちらをご覧ください。

資本金との違いは?

出資金は自らが出資を行った際に使用する勘定科目であるのに対し、資本金は自社が出資を受けた際に使用する純資産としての勘定科目です。詳しくはこちらをご覧ください。

出資金の返還を受けたら課税される?

信用金庫の会員などを脱退する際に出資金の返還を受ける場合には、出資金勘定のマイナスとして処理するため、原則として課税されることはありません。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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監修:服部 大(中小企業診断士/税理士)

服部大税理士事務所
2020年2月30歳のときに名古屋市内で税理士事務所を開業。平均年齢が60歳を超える税理士業界では数少ない若手税理士。単発の税務相談や執筆活動なども行い「わかりにくい税金の世界」をわかりやすく伝えられる専門家を志している。同年代の経営者やフリーランス、副業に取り組む方々の良き相談相手となれるよう日々奮闘中。