• 作成日 : 2022年7月22日

中古トラックの減価償却はどうする?耐用年数や仕訳を解説

中古トラックの減価償却はどうする?耐用年数や仕訳を解説

中古トラックを購入したときは、法定耐用年数に従って減価償却します。国税庁で紹介されている法定耐用年数と中古資産の計算方法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。また、実際に減価償却する場合の仕訳例も紹介します。ぜひ正しい会計処理に活用してください。

中古トラックを減価償却する際に知っておきたいこと

トラックの法定耐用年数は、運送事業に用いるかどうかや、積載量・排気量などによって異なります。また、一般的にトラックと呼ばれる車両であっても、人や運搬を目的としない車両に関しては機械装置に分類され、法定耐用年数も異なる点に注意が必要です。国税庁の別表から耐用年数について紹介します。

トラックの耐用年数

トラックの耐用年数は、トラックを運送事業用の車両として用いるか、運送事業用以外に用いるかによって異なります。

運送事業用に用いる場合は、以下のとおりです。

  • 積載量2トン以下、総排気量2リットル以下の車両:3年
  • 総排気量3リットル以上の車両:5年
  • その他の車両:4年

運送事業用以外に用いるトラックに関しては、法定耐用年数は以下のとおりです。

  • 総排気量0.66リットル以下:4年
  • ダンプ式の貨物自動車:4年
  • その他の貨物自動車:5年
  • 報道通信用の車両:5年
  • その他の車両:6年

例えば、運送事業に用いないダンプ式の貨物自動車を購入したときには、法定耐用年数は4年となり、購入費用を4年間で減価償却します。

ただし、トラッククレーン、ブルドーザー、ショベルローダー、ロードローラー、コンクリートポンプ車などのように人の運送やものの運搬を目的としない車両で、主に作業場での作業を目的としたものは、機械及び装置として扱います。これらの車両はいずれも「総合工事業用設備」に分類され、法定耐用年数は6年です。

参考:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁

中古トラックの耐用年数の計算方法

先ほどリストアップした法定耐用年数は、新車として購入したときに適用される年数です。

しかし、中古トラックとして購入した場合は、法定耐用年数では減価償却しません。

次のいずれかの方法で耐用年数を計算します。

法定耐用年数の全部を経過した資産

耐用年数 = 法定耐用年数 × 0.2

 

法定耐用年数の一部を経過した資産

耐用年数 = (法定耐用年数-経過年数) + 経過年数 × 0.2

 

上記の計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨てて調整します。また、調整した年数が2年に満たない場合には耐用年数を2年として減価償却をします。

例えば、運送事業に用いる総排気量が3リットル以上の中古トラック(新車の場合の法定耐用年数:5年)を購入したとしましょう。製造から7年目の中古トラックを購入した場合は、すでに法定耐用年数をすべて経過しているため、法定耐用年数の20%に相当する年数は5年×0.2=1年ですが、計算した年数が2年未満のため、減価償却の際に用いる耐用年数は2年となります。

一方、2年目の中古トラックを購入した場合は、法定耐用年数の一部を経過しているため、元々の法定耐用年数は5年、経過した年数は2年なので、先ほどの計算式に当てはめると下記のようになります。

(5年-2年)+2年×0.2=3.4年

端数を切り捨てると3年になるため、減価償却の際に用いる耐用年数は3年となります。

中古トラックの耐用年数は必ず2年以上になる

中古トラックの耐用年数は、元々の法定耐用年数を超えているかどうかで計算方法が異なります。しかし、いずれの方法で計算する場合でも、最終的に求めた年数が2年未満のときは「耐用年数は2年」とするため、すべての中古トラックの耐用年数は2年以上です。購入した費用を耐用年数で減価償却し、適切に仕訳をするようにしましょう。

中古トラックを減価償却する際の仕訳

中古トラックを減価償却する方法には、定額法と定率法の2つの方法があり、原則、個人事業主が定額法、法人が定率法となります。

ただし、法人設立したときに減価償却の方法について別途届出を提出することで、変更することが可能です。また、定額法・定率法のいずれの方法でも、減価償却した費用の合計は変わりません。

それぞれの方法の使い分けと具体的な仕訳例を紹介します。

毎年同額を償却する定額法

定額法とは、毎年同額を償却する方法です。例えば、100万円で購入した中古トラック(運送事業用、総排気量3リットル、7年経過)であれば耐用年数は2年となるため、1年ごとに50万円ずつ減価償却費として計上します。

なお、減価償却費の仕訳に関しては直接法と間接法があるので注意が必要です。間接法では貸方の勘定科目を「減価償却累計額」とし、毎年の減価償却費を累計していきます。定額法による1年目の仕訳は以下のとおりです。

直接法

借方
貸方
摘要
減価償却費
500,000円
車両運搬費
500,000円
トラック
減価償却 1年目/2年

間接法

借方
貸方
摘要
減価償却費
500,000円
減価償却累計額
500,000円
トラック
減価償却 1年目/2年

初年度に多めに計上する定率法

定率法とは、初年度に減価償却費を多めに計上し、徐々に減らす減価償却の方法です。

例えば、1年経過した中古のショベルローダー(耐用年数6年)を200万円で購入したとしましょう。調整した耐用年数は5年となります。この場合、定率法による5年間の減価償却費は以下のようになります。

  • 1年目:800,000円
  • 2年目:480,000円
  • 3年目:288,000円
  • 4年目:216,000円
  • 5年目:216,000円

定率法による1年目の仕訳は以下のとおりです。

直接法

借方
貸方
摘要
減価償却費
800,000円
車両運搬費計額
800,000円
トラック
減価償却 1年目/5年

間接法

借方
貸方
摘要
減価償却費
800,000円
減価償却累計額
800,000円
トラック
減価償却 1年目/5年

減価償却とその計算方法についてより詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。

法定耐用年数に応じて正しく減価償却しよう

法定耐用年数を正確に把握することで、正しく減価償却できるようになります。中古の資産に関しては法定耐用年数を用いて調整した耐用年数で減価償却するため、正確に計算することも必要です。

また、トラックは用途や総排気量、設備として扱うかによっても法定耐用年数が異なります。購入したトラックがどの区分に属し、法定耐用年数が何年になるのか正しく理解しておくことも必要です。

減価償却の方法には定額法と定率法があり、原則として個人は定額法、法人は定率法を用います。また、直接法と間接法の違いにも注意が必要です。貸方の勘定科目に「減価償却累計額」を記載するかどうかによって方法が分かれるため、正確に理解しておきましょう。

よくある質問

中古トラックの耐用年数は何年ですか?

運送事業用に関しては総排気量により3~5年、その他の用途に関しては総排気量や種類により4~6年、作業場で作業する用途の中古トラックは機械設備に分類するため6年です。詳しくはこちらをご覧ください。

減価償却の際に、耐用年数を過ぎた中古車を購入した場合はどうすればいい?

元々の法定耐用年数の20%の年数を耐用年数とします。ただし、2年未満のときは2年とカウントします。詳しくはこちらをご覧ください。


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