- 更新日 : 2024年8月21日
月次推移表とは?見方や書き方、活用方法を紹介
月次推移表とは、月ごとの業績や資産の状況について、他の月と比較して傾向や変化を把握できるものです。うまく活用することで将来に活かせるでしょう。
本記事では月次推移表の作り方や読み方を解説します。月次推移表について理解し、さっそく活用しましょう。
目次
月次推移表(貸借対照表・損益計算書)とは?
月次推移表とは、会社の資産の状況や業績の推移を月ごとに確認するための表です。会社の経営に役立てるためには、貸借対照表や損益計算書の月次推移表がよく使われます。
貸借対照表では資産や負債の残高、損益計算書では売上高や利益・費用の金額の推移がわかります。それぞれの勘定科目について、月別の金額を確認することもできるでしょう。
月次推移表を作成するメリット
月次推移表を作成することで、あるひと月の数値を他の月と比較できます。違いや特異な点を見つけたり、傾向を見つけたりできるでしょう。
月次推移表からわかったことは経営判断に活かせます。事業の方向性や変化の理由、数値をもとにした今後の見通しなど、さまざまな方向に分析を発展させられるでしょう。
さらに、他の月と大きく異なる数値はミスの可能性もあります。月ごとの数値を並べることで、正確な会計処理にもつなげられるでしょう。
数字の変化をとらえやすい
同じ項目や勘定科目について他の月と比較することで、ひと月ごとの数字を見るだけではわからなかった変化がわかります。ひと月の数字を見るだけでは、多いのか少ないのかわからない場合もあるでしょう。
「先月に比べて費用がかかっている」「この数ヶ月、売上が上昇傾向にある」など、月ごとのデータを比較することで事実を見つけやすくなります。
変化や傾向を経営判断に活かせる
月次推移表でわかった数字の変化や傾向は、今後の経営判断に活かせます。
たとえば、ある部門の売上が落ちているというデータがある場合を考えましょう。それをもとに、売上を改善するために施策を行ったり部門を縮小させたりするなど、今後の方向性を考えやすくなります。
「なぜ売上が落ちたのか」「どのような背景があったのか」と、売上減少の要因を特定することにも役立つでしょう。
「どうすれば改善できるのか」と、今後すべきことを考えるきっかけにもなります。
このように、月次推移表から読み取れた数字の流れはよりよい経営判断につながります。毎月チェックすることで、問題が起きている場合にも早めに対処できるでしょう。
ミスを見つけやすい
月次推移表で月ごとの数字を比較してみると、ミスに気付くこともあります。以下のような変わったことがないか確認してみましょう。
- 他の月と比べて突出した金額がある
- 毎月かかるはずの費用がゼロになっている
- 固定費であるはずなのに変動がある
- 資産や負債がマイナス残高になっている
このような箇所があれば理由を調べることで、数字に対する理解が深まります。単なる入力ミスの可能性もあるため、なぜこの数値が出たのかを確認することは正確な管理にもつながるでしょう。
月次推移表の見方や活用方法
月次推移表を有効に活用するには、読み方を押さえておくといいでしょう。月ごとの数値がわかる月次推移表では、以下の見方を試してみるのがオススメです。
- 前月と比べる
- 数か月間の推移を見る
- 前年の同月と比べる
一つだけでなく複数の見方をしてみると、同じ数値も違った方向から分析できるでしょう。3つの見方をベースにして月次推移表を活用してみてください。
前月と比べる
前月と比べることで、ひと月で数字がどう変化したかがわかります。何が要因となって変化したのかを考えることで、今月以降の方針や予算に活かせるでしょう。
短期間の比較であるため、前月に比べて数字が大きく変わったからといって、今後も同様の傾向が続くとは限りません。季節による変化である可能性も大きいため、月ごとにばらつきのある項目については安易に傾向を判断せず、長い目で見て判断することをおすすめします。
数ヶ月間の推移を見る
前月だけでなく数ヶ月間の数字の流れを見ることで、傾向や大まかな変化がわかります。参照するデータが多くなるため、前月のみとの比較ではわからなかった傾向をつかめるでしょう。
施策を行い効果が出始めた、新商品の発売後少しずつ売上げが伸び始めたなど、やや長いスパンで見る必要のあるデータについて有効です。単純に比較して違いを見つけるだけでなく「今後こうなりそうだ」という傾向も見つけやすいでしょう。
前年の同月と比べる
前年の同じ月と比べることで、季節によって変わる条件をそろえた上でのデータを採れます。1年の中で繁閑の差が大きい場合や、季節によって業績などが大きく変化する場合には、同様の条件下での過去のデータを見ることは参考になるでしょう。
1年ごとの大きな変化をとらえやすい点が特徴です。ただし、前年の同月のデータに特殊な要因があった場合は、単純に比較して考察すると判断を誤る可能性もあります。
月次推移表の書き方
月次推移表では、ひと月のさまざまな数値を縦1列に記載していきます。試算表や貸借対照表・損益計算書から、正確に転記していきましょう。
月次推移表を作ること自体が大切なのではなく、変化や傾向を読み取って今後に生かしていくことが大切です。そのためには、現状を正確にとらえなければなりません。よりよい経営判断をするために、月次推移表を活用して将来のビジョンや方策を考えていきましょう。
月次推移表を活用して将来に生かそう
月次推移表を作成して他の月の数値と比較することで、変化を捉えて経営判断につなげられます。前月や前年と比べたり、数か月間の推移を見たりと、さまざまな方法で数値を分析しましょう。
月次推移表は作成するだけでなく、変化や傾向をつかんで将来に生かすことが大切です。得られたデータを活用してよりよい経営判断をしていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
損益計算書の借方と貸方の違いや減価償却費の扱いを解説!
簿記について勉強する時に、ごく初歩的な借方と貸方の違いがわからないことが理由で挫折してしまうことがあります。ですが、借方と貸方のルールさえ理解してしまえば、あとは少しずつ学んでいけば必ず簿記はマスターできます。 簿記をマスターすると、決算書…
詳しくみる年次決算とは?月次決算との違いや業務内容、効率化のポイントについて解説
年次決算とは、決算書(決算報告書)を作成する業務のことです。会社法により、すべての会社に義務付けられています。どのような業務をするのか、また、流れや月次決算との違いについてまとめました。手間がかかる作業を効率良く、なおかつ正確に実施するため…
詳しくみるキャッシュフロー計算書の作り方!直接法と間接法どちらが良い?
キャッシュフロー計算書(C/F)を作成するには、財務諸表の収集・営業活動によるキャッシュフローの計算・ 投資活動によるキャッシュフローの計算・財務活動によるキャッシュフローの計算などが必要であり、会計ソフトやエクセルなどを使用することが一般…
詳しくみる流動性配列法と固定性配列法とは?
貸借対照表には資産や負債、資本金が勘定科目としてよく使用されます。その科目を配列する方法が、流動性配列法と固定性配列法です。 2つの配列法は上に来る項目が反対になっており、流動性が高いものか低いものかという点に大きな違いがあります。今回は流…
詳しくみるROEとROAとは?違いや目安、分析方法の解説
財務指標の中で、似ているものにROEとROAがあります。どちらも投資家が注目する指標で、企業分析に役立ちます。しかし、計算方法や分析の方法は異なるため、両者の概要と違いを理解しておくといいでしょう。この記事では、ROEとROAの概要や目安と…
詳しくみる財務分析の方法・やり方を解説!必要指標とそれぞれの計算方法
財務分析とは、決算書などを見ながら、企業の現状や問題点を把握することです。企業の現状や問題点を把握することで、改善点がわかり、今後の経営戦略を立てるのに役立ちます。 財務分析は、企業の成長のために欠かせない重要な指標であるため、経営者は必ず…
詳しくみる