• 更新日 : 2021年8月27日

のれん償却とは?

のれん償却

「のれん」や「のれん償却」は企業の連結決算書などで目にする勘定科目です。

ここではよく知られていない、
・のれんとは何か
・のれん償却とは何か
・のれん償却の具体的な仕訳例
の3つのポイントについて解説していきます。

そもそも「のれん」とは何か

「のれん」とは企業間における買収や合併時に出てくる概念であり、「超過収益力」や「営業権」など解釈されています。

企業同士が合併したり株式取得によって子会社にしたりすることがありますが、このような組織再編が行われた場合に「購入した価格」と「被承継会社の資産-負債」から生じた差額を上回った部分を「のれん」として計上することになります。

被承継会社の持つ価値とは、単純に保有している土地や製品などの資産だけでなく、
・信用力
・ブランド
・販売ルート
・顧客情報
・人的資源
といった目に見えない資産をも引き継ぐことになります。

のれんがあることによって新たな事業展開を行なうことが可能となるため、のれんは将来に向けた超過収益力を帳簿上に反映したものであるということができます。

のれんの法的根拠は法務省令の会社計算規則第11条にあり、

「会社は、吸収型再編、新設型再編又は事業の譲受けをする場合において、適正な額ののれんを資産又は負債として計上することができる。」

と規定しています。

また法務省令の会社計算規則第74条第3項にて、のれんは「無形固定資産」として経理処理することが求められています。

のれん以外の無形固定資産には、
・ソフトウェア
・特許権
・意匠権
などがあります。

無形の固定資産であったとしても、機械や建物などの固定資産同様に減価償却を行ない、一定額を費用として計上しなければならないことが法務省令の会社計算規則第81条(無形固定資産の表示)にて

「各無形固定資産に対する減価償却累計額及び減損損失累計額は、当該各無形固定資産の金額から直接控除し、その控除残高を当該各無形固定資産の金額として表示しなければならない。」

と定められています。

のれんは、連結貸借対照表上で無形固定資産に以下のような形式で計上されます。

連結貸借対照表上ののれん

のれん償却とは何か

では「のれん」を「減価償却する」とは、一体どういうことなのでしょうか。まずは「減価償却する」という概念を確認していきましょう。

「減価償却する」とは、計上した固定資産を費用化することで、資産を適正に評価することをいいます。資産を適正評価するということは、計上した固定資産の価値を消費する作業であると考えることができます。

「のれん」という資産が持つ付加価値(信用力やブランド力、技術やノウハウ)は、資することで初めて会社利益に貢献するという使命を果たすことにつながります。

したがって「のれん償却」の本質とは、『「のれん」の持つ付加価値を消費することによって事業展開した結果』であるということが言えます。

のれん償却の具体的な仕訳例

それでは実際にのれんやのれん償却に関する仕訳を起こしていきましょう。

まず仕訳を起こす前に確認すべきことは、のれんに関する仕訳を起こすのは存続する会社であるということです。「存続会社(A社)が被承継会社(B社)の資産価値よりも高い金額で買収した」というのが「のれん」の仕訳が意味するところです。

たとえば、B社から承継した資産や負債が、
・現金:5,000,000円
・貸付金:3,000,000円
買掛金:2,000,000円
であったとき、B社の資産価値は資産(現金:5,000,000円+貸付金:3,000,000円)から負債(買掛金:2,000,000円)を差し引き、6,000,000円であることがわかります。

そしてB社を10,000,000円で購入したとすると4,000,000円の差額が生じます。この差額を「のれん」として資産計上することになります。

借方
貸方
現金5,000,000円買掛金2,000,000円
貸付金3,000,000円当座預金10,000,000円
のれん4,000,000円

そして存続会社の資産に計上されたのれん4,000,000円は少なくとも20年以内に償却を終えなければなりません。

償却期間20年で償却を行なう場合に、初年度の決算期に起こす仕訳は、

借方
貸方
のれん償却200,000円のれん200,000円

となり、以降20年間毎年20万円ずつのれんを償却することになります。

償却されたのれんは、以下のような形式で連結損益計算書の特別損失に計上されます。
連結損益計算書ののれん償却

のれん償却はB社の資産価値よりも高く評価した場合に処理する方法ですが、B社の資産価値よりも安く手に入れることができた場合は、「負ののれん発生益」という科目を使用して仕訳を起こします。

先ほどは4,000,000円のB社を10,000,000円で購入しましたが、2,000,000円で購入したとします。

借方
貸方
現金5,000,000円買掛金2,000,000円
貸付金3,000,000円当座預金2,000,000円
???2,000,000円

貸方に2,000,000円である何かを入れないと、借方貸方のバランスがとれません。そこで登場するのが先ほど紹介した「負ののれん発生益」という科目となります。

借方
貸方
現金5,000,000円買掛金2,000,000円
貸付金3,000,000円当座預金2,000,000円
負ののれん発生益2,000,000円

負ののれん発生益は、以下のような形式で連結損益計算書の特別利益に計上されます。

連結損益計算書の負ののれん発生益

まとめ

のれんとは買収時や合併時に計上するものであるため、組織再編や事業譲渡が行われない限り表面化することはありません。

また日本の現行基準ではのれん償却を行ないますが、国際会計基準を採用した場合はのれん償却を行なわない点で注意が必要です。

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よくある質問

「のれん」とは?

企業間における買収や合併時に出てくる概念であり、「超過収益力」や「営業権」など解釈されています。詳しくはこちらをご覧ください。

「のれん償却」の本質とは?

『「のれん」の持つ付加価値を消費することによって事業展開した結果』であるということが言えます。詳しくはこちらをご覧ください。

のれん償却の仕訳を起こす前に確認すべきことは?

のれんに関する仕訳を起こすのは存続する会社であるということです。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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