• 更新日 : 2022年6月8日

定額法と旧定額法の違いを理解しよう

定額法と旧定額法の違いを理解しよう

定額法による減価償却方法は、税制改正前の「旧定額法」と、税制改正後の「定額法」の2種類があります。税制改正の影響を受けて、それぞれ償却率や計算方法が変更しています。

今回は定額法と旧定額法の違いについて解説するとともに、実際に償却額を計算した結果を旧定額法と定額法で比較してみました。また、旧定額法で減価償却していた資産を相続によって取得した場合における減価償却方法も紹介します。

広告
広告

旧定額法による減価償却方法

平成19年度に行なわれた税制改正によって、それまでの定額法は改正後の定額法と区別するために「旧定額法」と呼ばれるようになりました。

償却額を計算する上で償却率が必要となりますが、償却率は耐用年数省令別表7の平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産の償却率表で確認します。

取得価額500万円耐用年数5年の減価償却資産を旧定額法により償却額を求める場合、耐用年数省令別表7から旧定額法の償却率0.200を使用します。

さらに旧定額法では残存価額を差し引いた額に対して償却率を掛けることになるため計算式は、

旧定額法による償却額=(取得価額-残存価額)×償却率

となります。

残存価額は耐用年数省令別表11の平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産の残存割合表を参照し、上記の減価償却資産が別表第1に該当するとして残存割合10/100を使用して計算するため、

旧定額法による償却額=取得価額×90%×償却率

によって求めることができます。

 償却額償却累計額
1年目900,000円900,000円
2年目900,000円1,800,000円
3年目900,000円2,700,000円
4年目900,000円3,600,000円
5年目900,000円4,500,000円
6年目250,000円4,750,000円
7年目50,000円4,800,000円
8年目50,000円4,850,000円
9年目50,000円4,900,000円
10年目50,000円4,950,000円
11年目49,999円4,999,999円

(参考:旧定額法と旧定率法による減価償却(平成19年3月31日以前に取得した場合)|国税庁HP

6年目で取得価額全体の95%が償却されたことになるため償却額の計算式が変わり、

6年目の償却額=期首帳簿価額-取得価額×5%
  =(500万円-450万円)-500万円×5%
  =50万円-25万円
  =25万円
となります。

7年目以降の償却額は、(期首帳簿価額-1円)÷5に計算式が変わるため、
=(500万円-475万円-1円)÷5
=49,999.8≒50,000円
となります。

広告

定額法による減価償却方法

平成19年税制改正後の定額法による計算方法は、それまで使用していた残存価額が廃止されることになりました。

計算する上で必要な償却率は、耐用年数省令別表8の平成19年4月1日以前に取得をされた減価償却資産の定額法の償却率表で確認します。

旧定額法と同じ減価償却資産を改正後の定額法によって計算する場合、
・取得価額500万円
・耐用年数5年
・償却率0.200
を使用します。

定額法による償却額を求める計算式は、
定額法による償却額=取得価額×定額法の償却率
となります。

 償却額償却累計額
1年目1,000,000円1,000,000円
2年目1,000,000円2,000,000円
3年目1,000,000円3,000,000円
4年目1,000,000円4,000,000円
5年目999,999円4,999,999円

(参考:定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)|国税庁HP

耐用年数の最後の年は、減価償却資産価額が1円となる額になるように償却します。

旧定額法と定額法の償却額を比較してみましょう。

 旧定額法による償却額償却割合定額法による償却額償却割合
1年目900,000円18%1,000,000円20%
2年目900,000円36%1,000,000円40%
3年目900,000円54%1,000,000円60%
4年目900,000円72%1,000,000円80%
5年目900,000円90%999,999円99%
6年目250,000円95%--
7年目50,000円96%--
8年目50,000円97%--
9年目50,000円98%--
10年目50,000円99%--
11年目49,999円99%--

どちらも5年目で90%以上の償却が完了している状態となりますが、改正後の定額法のほうは残存価額を差し引かない分だけ、償却するスピードが上がっていることがわかります。

広告

広告

相続で取得した資産の償却方法はどうなる?

相続した資産が旧定額法によって減価償却が行われていたとしても、取得日が平成19年4月以降であれば税制改正後の定額法が採用されることになります。

たとえば平成27年5月に遺産相続した取得価額500万円、耐用年数12年の旧定額法によって減価償却している資産がある場合、取得年月日が平成19年4月1日以降であるため、定額法によって償却額を計算します。

したがって旧定額法の別表7の償却率(0.083)ではなく、定額法の別表第8の償却率(0.084)を参照します。

また上記例の場合は、年度の途中で相続しているため、使用した月数分を乗じて償却額を求めます。

定額法による償却額を求める計算式に上記の数値を代入して相続した年の償却額を求めます。

相続初年度の償却額 =取得価額×償却率×8か月/12か月
=500万円×0.084×8/12
=42万円×8/12
=28万円

翌年からは使用月数8/12を乗じる必要はなくなるため、42万円が償却額となります。

また、相続前に所有していた持ち主が償却してきた償却累計額も相続されるため、取得価額500万円すべてを償却することはできません。

たとえば、相続開始前の持ち主によって減価償却された償却累計額300万円があった場合、未償却残高は200万円となります。新たに相続することになった持ち主は、この未償却残高200万円に対して減価償却をすることになります。

まとめ

平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産は旧定額法、平成19年4月1日以降に取得した減価償却資産は定額法によって償却額を計算します。定額法による減価償却は原則として毎年同額を費用化するため、それほど難しいものではありません。

しかし相続によって資産を取得した場合は、被相続人が平成19年3月31日以後に取得した資産であったとしても、平成19年4月1日以降に取得したものとして定額法により償却することになる点で注意が必要です。

関連記事

減価償却費の計算に必要な3つのポイント
未償却残高はどのように算出するのか
固定資産税の減価償却を正しく理解していますか?減価償却の国税と地方税の違いとは

広告
プラスオートメーション株式会社 小坂 洋平 様

マネーフォワード クラウドERPの導入事例

コストは以前の会計ソフトに比べて4分の1程度になりました。自動仕訳機能が便利で、作業の効率化につながっています。また、経営陣とデータを共有しながらのディスカッションもスムーズになりました。

プラスオートメーション株式会社 小坂 洋平 様

右矢印アイコン もっと読む

よくある質問

旧定額法とは?

平成19年度に行なわれた税制改正によって、それまでの定額法は改正後の定額法と区別するために「旧定額法」と呼ばれるようになりました。詳しくはこちらをご覧ください。

定額法で減価償却方法償却額を求める計算式は?

以下の計算式で示します。「定額法による償却額=取得価額×定額法の償却率」詳しくはこちらをご覧ください。

改正後と改正前で償却するスピードは違う?

違います。改正後の定額法のほうは残存価額を差し引かない分だけ、償却するスピードが上がります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:加地 延行 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
創業は70年を超え、税務・会計はもちろんのこと経営コンサルティングや法務、労務、ITにいたるまで、多岐にわたる事業を展開し今では4500件を超えるお客様と関与させて頂いております。
「顧問先さまと共に繁栄するゆびすいグループ」をモットーとして、お客さまの繁栄があってこそ、ゆびすいの繁栄があることを肝に銘じお客さまのために最善を尽くします。
お客様第一主義に徹し、グループネットワークを活用することにより、時代の変化に即応した新たなサービスを創造し、お客様にご満足をご提供します。

関連記事