• 作成日 : 2022年1月14日

短期前払費用の特例とは?仕訳や要件を具体例から解説

仕訳や要件を具体例から解説

短期前払費用の特例を詳しく知らなくても、前払いしている費用を即座に費用計上しているという経理担当者は多いのではないでしょうか。実は、この会計処理は「短期前払費用の特例」という特例を適用したものです。短期前払費用の特例は国税庁によって要件が定められていますので、この機会にルールをしっかり理解しておきましょう。本記事では、仕訳例も交えながら短期前払費用の特例について解説していきます。

短期前払費用とは

短期前払費用を理解するためには、まず前払費用とは何かを知っておきましょう。

前払費用とは、契約にもとづいて継続的な役務(サービス)を受けるために支払った費用のうち、事業年度内にサービスの提供をまだ受けていないものに相当する部分です。具体的には家賃の前払い、火災保険料の前払い、最近ではサブスク型のサービスの前払いなども前払費用だと考えらえます。

参考:No.5380 短期前払費用として損金算入ができる場合(国税庁)

会計における前払費用の扱い方は、前払いした費用のうち、翌期以降に受ける予定のサービスにかかる部分を「前払費用」としていったん資産計上するのが原則です。

ただし、一定の条件下で前払費用を資産計上しない例外が認められています。支払日から1年以内に役務が提供されると分かっている前払費用については、支払時に損金計上することが可能です。この例外を「短期前払費用の特例」と呼びます。短期前払費用の特例は日常的に使われる便利なルールなので、ぜひ理解しておいてください。

短期前払費用の特例とは

前払費用は基本的に支払時に資産計上し、役務の提供を受けた時点で費用配分するのが原則です。ただし、家賃やサブスク型サービスのように継続した役務であること、金額的重要性の低いもの(経営に与える影響が小さいもの)などの条件を満たせば、資産計上を行わず支払時に損金算入することが認められています。

短期前払費用の特例は、活用すれば実務にかかる工数や時間の削減になります。しかし、「利益が出た年だけ特例を使って前払費用を損金算入するといったやり方は利益操作とみなされ税務調査で指摘される可能性があるので注意してください。

適用される費用の範囲

短期前払費用の特例の適用が認められているのは、「役務の提供を受けるために支出した費用」に限定されています。サービスを受けるためではなく、資産(モノ)の引き渡しを前提とするものは短期前払費用の特例を適用できません。

具体的には以下のような分類になります。

短期前払費用の特例を適用できるものの例

  • 土地や建物の賃料
  • システムのリース料
  • サービス使用料
  • 火災保険料
  • 雑誌や新聞の年間購読料(電子版に限る)

短期前払費用の特例を適用できないものの例
雑誌や新聞の年間購読料(電子版でない場合)

役務の提供を受ける時期

短期前払費用の特例は、役務の提供を受ける時期についても決まりがあります。「支払日から1年以内に提供を受ける役務」かどうかが判断基準になるので、1年以上先に受けるサービスを前提に前払いしても特例は適用できません。

また、役務の提供開始時期が事業年度内でない場合も特例を適用できません。例えば、3月決算の企業が、事業年度内に翌年度6月にサービス開始する契約代金を前払いしたとしても、決算時点で短期前払費用とすることはできません。このような場合は、「前払費用」として資産計上する必要があります(少し紛らわしいですが、代金の支払いとサービス提供が開始された時期が同じ事業年度内であれば問題ありません)。

短期前払費用の仕訳

短期前払費用の特例を使うと仕訳がどのように変化するのか、「特例を使わない場合」と「特例を使う場合」の2パターンで比較してみましょう。

短期前払費用の特例を使わない場合

仕訳例:3月決算の企業が、10月に1年分のサーバー使用料として12万円を前払いした。

サーバー使用料支払時

借方
貸方
通信費
120,000円
普通預金
120,000円

決算時 翌年度4~9月の6ヶ月分を前払費用に振替

借方
貸方
前払費用
60,000円
通信費
60,000円

前払いした6ヶ月分は翌期分に相当するため、前払費用に振り替えて期をまたぎます。

翌期首 前払費用を当期の費用に振替

借方
貸方
通信費
60,000円
前払費用
60,000円

決算時に前払費用に振り替えた分を、改めて当期分の通信費に振り替えます。

短期前払費用の特例を使う場合

仕訳例:3月決算の企業が、10月に1年分のサーバー使用料として12万円を前払いした。

サーバー使用料支払時

借方
貸方
通信費
120,000円
普通預金
120,000円

ルールをしっかり守って特例を活用しよう

家賃やリース料などの前払いだけでなく、最近では企業でもサブスク型のウェブサービスを利用することが珍しくありません。日常の取引の中でも短期前払費用の特例が適用できるものは多数ありますので、特例を活用する場合はルールをしっかり理解して適切な会計処理につとめましょう。

事業年度や担当者によって前払費用の取り扱いが異なるのは企業会計の一貫性という面で問題がありますので、一度決めた前払費用の取り扱い方法(短期前払費用の特例を採用するかどうかなど)は継続させることが重要です。

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よくある質問

短期前払費用とは?

すでに支払った前払費用のうち、支払日から1年以内に役務を受けることが分かっているものを指す。詳しくはこちらをご覧ください。

短期前払費用の特例とは?

前払費用は支払時に資産計上するのが原則だが、一定の条件を満たす短期前払費用については支払時に費用計上することが認められている。これを「短期前払費用の特例」という。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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