- 更新日 : 2026年7月24日
事務用品を購入した場合の勘定科目と仕訳例
品目の金額と用途、取得価額、使用可能期間に応じて、事務用品費、消耗品費、工具器具備品などに区分します。
- 10万円未満は事務用品費または消耗品費で処理する
- 10万円以上の物品は、通常の減価償却、一括償却資産、少額減価償却資産の特例などを検討する
- 雑費との区別をふまえて社内ルールを統一する
購入したら、品目ごとの分類を継続して運用しましょう。
コピー用紙や文房具など、事務用品の購入は日常的に発生する経費です。しかし金額や使用期間によって適切な勘定科目が異なり、判断に迷う場面も少なくありません。本記事では、事務用品の勘定科目の使い分けから、品目別の整理、仕訳例、判定基準までを解説します。
目次
事務用品の勘定科目は「消耗品費」「事務用品費」が基本
事務用品の購入費は、消耗品費もしくは事務用品費として経費計上するのが基本です。どちらを使用するかは会社の勘定科目体系によって異なり、税務上、特定の科目名を使用することが義務付けられているわけではありません。社内で運用ルールを定めて、継続的に同じ勘定科目を使うとよいでしょう。
事務用品費(事務用消耗品費)の範囲
事務用品費は、事務作業に関わる物品を経費計上するための勘定科目です。
事務用品費の対象となるのは、文房具やコピー用紙、伝票類など、日常の事務作業に使う物品です。事務用消耗品費とも呼ばれます。たとえばペン・鉛筆・消しゴムなどの文房具、のり・はさみ・クリップなどの事務小物、コピー用紙やトナーなどのOA消耗品、領収書や請求書などの伝票類、封筒・ファイル・印鑑なども該当します。
消耗品費との違いと使い分け
消耗品費は事務用品費を含む、より広い範囲の物品に使う勘定科目です。
消耗品費は、使用可能期間が1年未満または取得価額が10万円未満の物品を経費計上する勘定科目です。事務用品も含まれますが、ティッシュや電池、清掃用品など、事務作業に直接関わらない物品も対象になります。
事務用品費と消耗品費は税法上の要件が同じため、どちらで計上しても税務上の問題は生じません。ただし、勘定科目ごとに費用を把握したい場合や、消耗品費の総額が大きくなりすぎる場合には、事務用品費を独立させて管理する方法が向いています。
参照:No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示|国税庁
個人事業主が確定申告で使う場合
個人事業主も、事務用品費または消耗品費で経費計上できます。
個人事業主が確定申告で青色申告決算書や収支内訳書を作成する際は、事務用品費の科目欄がない様式もあります。その場合は消耗品費にまとめて記載しても差し支えありません。なお、青色申告を行う中小企業者等には、10万円以上の事務用品に対する特例制度も用意されています。
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品目別に見る事務用品の勘定科目一覧
事務用品の代表的な品目を勘定科目別に整理すると、判断に迷う場面で参考にしやすくなります。基本となる目安は、10万円未満なら消耗品費・事務用品費、10万円以上なら原則として、備品として計上することが多いです。
| 品目 | 想定金額 | 勘定科目の例 |
|---|---|---|
| コピー用紙 | 10万円未満 | 事務用品費/消耗品費 |
| 文房具(ペン・ノート等) | 10万円未満 | 事務用品費/消耗品費 |
| 文具・電卓 | 10万円未満 | 事務用品費/消耗品費 |
| 電池 | 10万円未満 | 消耗品費 |
| インク・トナー | 10万円未満 | 事務用品費/消耗品費 |
| 封筒・ファイル | 10万円未満 | 事務用品費/消耗品費 |
| 印鑑・名刺 | 10万円未満 | 事務用品費/消耗品費 |
| 事務机・椅子 | 10万円以上 | 備品 |
| 応接セット | 10万円以上 | 備品 |
| カーテン(1部屋分) | 10万円以上 | 備品 |
電卓や電池は単価が低く、消耗品費や事務用品費に含めて処理するのが一般的です。一方、応接セットやカーテンは、複数点を1組として扱うため、合計金額で備品判定するケースが多くなります。
参照:No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示|国税庁
備品と雑費との違い、判定基準は?
事務用品費や消耗品費か、それとも備品や雑費か。区分の判定は「取得価額」「使用可能期間」「単位の考え方」を押さえると整理しやすくなります。ここで事務用品を購入したときは、まず、購入時に費用計上する物品か、固定資産に計上する物品かを判定します。そのうえで、費用処理する場合は事務用品費・消耗品費・雑費のうち、どの科目が適切かを判断することを勧めます。
備品(工具器具備品)に該当する基準
備品は取得価額10万円以上かつ使用可能期間1年以上の物品が対象です。
備品に該当する物品は、原則として固定資産として計上し、減価償却で費用化します。例としては、事務机や椅子、応接セット、複合機、業務用パソコン、看板、時計など、長期間使用される事務関連の資産が挙げられます。
なお、税法上は「器具備品」や「工具器具備品」と呼ばれる勘定科目で処理するのが一般的です。会社によっては「備品費」という経費科目を設けているケースもあります。
雑費に該当するケース
雑費は他のどの経費区分にもあてはまらない、補助的な勘定科目です。
事務用品のなかでも、少額で単発的に発生する支出のうち、消耗品費や事務用品費に明確に分類しづらいものを雑費として処理することがあります。ただし、雑費が膨らみすぎると税務調査で内容を問われやすくなる傾向があるため、原則は消耗品費や事務用品費、備品費への区分を優先しましょう。
取得価額は「1単位ごとに判定」する
10万円の判定は、通常1単位として取引されるその単位ごとに行います。
取得価額の判定は、1単位ごとに行うのが原則です。たとえば1つの会議室で使うカーテンを1枚2万円で6枚購入した場合、1枚だけでは機能しません。1つの部屋で必要枚数がそろって機能するため、6枚の合計額12万円で判定します。応接セットも同様に、テーブルと椅子を1組で取引するため、組単位で合計額を見ます。
10万円以上の事務用品はどう処理する?特例制度の活用
10万円以上の事務用品は原則として減価償却の対象になりますが、一定の条件を満たせば一括償却資産や少額減価償却資産の特例として処理できます。主に、中小企業の設備投資負担を軽くする制度なので、要件を確認のうえ活用しましょう。
一括償却資産(10万円以上20万円未満)
取得価額20万円未満の事務用品は、3年間で均等に償却できます。
取得価額が10万円以上20万円未満の事務用品は、一括償却資産として3年間にわたって均等償却することが認められています。法定耐用年数によらず一律3年で費用化できるため、減価償却の計算が簡素になるのが特徴です。法人税の確定申告で適用を選択します。
少額減価償却資産の特例(40万円未満・中小企業者等)
令和8年度税制改正により、特例の対象が40万円未満まで拡大しました。
中小企業者等が取得価額40万円未満の減価償却資産を取得した場合、要件を満たせば取得価額の全額を取得年度の損金に算入できます。年間合計300万円が上限です。令和8年4月1日以後に取得した資産から、対象金額が30万円未満から40万円未満に引き上げられました。適用期限は令和11年3月31日までです。
対象は青色申告法人で、常時使用する従業員数400人以下の中小企業者等となります。
参照:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁
事務用品の仕訳例|購入・決算・処分の場面別
事務用品は購入時だけでなく、決算時の在庫処理や処分時にも仕訳が必要です。代表的な場面ごとに、消費税込みの金額で整理します。
事務用品を購入した場合(現金/カード/振込)
購入時の仕訳は、決済方法によって貸方の科目が変わります。
事務室のストック用に電池を50本(合計1,200円)購入した場合の仕訳例です。
現金で支払った場合
| 借方 | 貸方 | 摘要例 |
|---|---|---|
| 消耗品費 1,200円 | 現金 1,200円 | 事務室ストック用電池 単三50本 |
クレジットカードで支払った場合
| 借方 | 貸方 | 摘要例 |
|---|---|---|
| 消耗品費 1,200円 | 未払金 1,200円 | 事務室ストック用電池 単三50本 |
請求書で後日振込の場合
| 借方 | 貸方 | 摘要例 |
|---|---|---|
| 消耗品費 1,200円 | 預金 1,200円 | 事務室ストック用電池 単三50本 |
事務用品費や事務消耗品費の科目を社内で使い分けている場合は、そちらに置き換えてください。
決算時に未使用の事務用品を貯蔵品へ振り替える場合
まとめ買いした事務用品の未使用分は、決算時に貯蔵品へ振り替えます。
一度に大量購入した事務用品が決算時点で残っている場合、未使用分は貯蔵品(資産)に振り替えるのが原則です。例として、1冊200円のノートを50冊購入し、決算時に20冊が未使用だった場合の仕訳を見てみましょう。
購入時
| 借方 | 貸方 | 摘要例 |
|---|---|---|
| 消耗品費 10,000円 | 現金 10,000円 | ノート50冊 |
決算時(未使用20冊・4,000円を振替)
| 借方 | 貸方 | 摘要例 |
|---|---|---|
| 貯蔵品 4,000円 | 消耗品費 4,000円 | 未使用ノート20冊 |
なお、毎年度継続して一定量を消費している事務用品は、貯蔵品への振替を省略してもよいとされています。
不要になった事務用品を処分した場合
処分費用が発生した場合は、雑費などの経費科目で計上します。
不要になった事務用品の処分を業者に依頼し、3,000円を現金で支払った場合の仕訳例です。
処分時
| 借方 | 貸方 | 摘要例 |
|---|---|---|
| 雑費 3,000円 | 現金 3,000円 | 旧型キャビネット処分費 |
事務用品費の勘定科目や税区分の判定は経理の負担にも
事務用品を購入した際の勘定科目は、金額や使用期間によって事務用品費、消耗品費、備品費など様々な選択肢があります。日々の経理業務において、これらの勘定科目や税区分を正しく判定することは容易ではありません。
実際にマネーフォワードが実施した調査において、仕訳作業の工程で最も工数がかかっている作業について尋ねたところ、最も多かったのは「適切な勘定科目や消費税区分(課税・非課税等)の判定」で、36.8%でした。次いで多かったのは「銀行明細やクレジットカード明細と帳簿の突合作業」で、34.5%となっています。
仕訳作業で最も工数がかかるのは勘定科目と税区分の判定
事務用品ひとつをとっても適切な勘定科目を判断する工程は、多くの経理担当者にとって共通のボトルネックとなっています。勘定科目に迷う時間を削減するためには、社内で一定のルールを定めておくことや、過去のデータを参考に勘定科目を推測する会計ソフトなどを活用して、業務の効率化を図りましょう。
事務用品は現物管理も忘れずに
事務用品費や消耗品費については、まとめて購入することが多いかと思います。
領収書の合計金額で仕訳をしたとしても、摘要欄には購入品の概要をきちんと書き入れ、帳簿を見ただけでおおよその消耗品の購入状況がわかるようにしておきましょう。
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よくある質問
事務用品を事務用品費で仕訳するケースは?
主に文房具など机上で利用するもので、10万円未満又は使用可能期間が1年未満のものを購入した場合です。詳しくはこちらをご覧ください。
事務用品を消耗品費で仕訳するケースは?
事務用品と同様に10万円未満又は使用可能期間が1年未満のものを購入した場合です。事務用品費と使い分けて利用する場合は、ディッシュ、タオル、灯油などがあげられます。 詳しくはこちらをご覧ください。
事務用品を備品で仕訳するケースは?
「取得価額が10万円以上、かつ、使用可能期間が1年以上」となるものを購入した場合です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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