• 作成日 : 2019年12月24日

会計とファイナンスの違い

「会計」と「ファイナンス」は会社経営を行う上で極めて重要な要素ですが、両者の違いを明確にわかっていない人も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では会計とファイナンスの違いについて詳しく解説。加えて、会社の経営を左右するファイナンスで重要なポイントについても説明します。

会計とはなにか?

会計(Accounting)とは、端的に言えば「会社に関連する取引・事象を数値化して記録すること」を意味します。

たとえば、企業や個人などに自社商品を1,000円で販売する「取引」を行った場合、その取引で発生した数値情報を、会計上では「売上1,000円」と記録します。

また、消耗品を2,000円分使用したという「事象」が起こった場合は、会計上では「消耗品費2,000円」と記録します。

このように、会社に関連するお金の動きについて逐一数値化し、そのつど記録していくことを会計と呼びます。
会計は、作成目的により財務会計管理会計の2種類に分類されます。

財務会計

決算書財務諸表)を作成する目的で行われるのが「財務会計」です。

財務会計では、1つの取引を「借方」と「貸方」に分けて記録する「複式簿記」という手法で、日々の取引・事象を記録し、最終的に決算書を作成します。
それにより会社の財政状態・経営成績を明らかにでき、銀行や投資家から資金を調達しやすくなるメリットがあります。

管理会計

一方、会社の業務管理および投資意思決定の目的で行われるのが「管理会計」です。財務会計によって作成された情報は、管理会計でも利用されます。

業務管理目的で管理会計を行う場合、財務会計情報を「商品別」「事業部別」等に集計することで、責任範囲を明確化することが重要となります。

また、投資意思決定目的で管理会計を行う場合には、将来の投資計画から生じるリターンとコストが、「いつ」「現金としていくら」発生するのかを予測して数値化することも重要です。

具体的なリターンについては、予測した売上高にかかる売上債権の回転率から資金回収日を明らかにすることなどが挙げられます。また、追加投資にかかるコストは、他の類似投資を参考に支払いサイクルを明らかにするなどの方法で算出します。

ファイナンスとはなにか?

「ファイナンス」という言葉は、直訳すると「調達」「原資」という意味です。

しかし、企業経営を考えた上でのファイナンスは、「お金の流れの管理」という広い意味で扱われます。
具体的に言えば、「どのようにお金を調達・運用するのか」などの一連の意思決定を行うことを、企業経営では「ファイナンス」と呼びます。
ファイナンスの概念は、「お金の運用」という点では管理会計と類似しています。しかし、ファイナンスは「お金の調達」も含めたより広い概念となるため、管理会計とは分けて考えます。

会計とファイナンスの違い

会計とファイナンスには、お金を扱うという点で共通点がある反面、次のような違いもあります。

収益の捉え方の違い

財務会計では、発生主義実現主義にもとづいて収益を捉えます。

つまり、「実際に現金を受け取っていない取引でも、収益(企業活動におけるプラスの要因)として捉える」ということです。

一方、管理会計およびファイナンスでは、「結局現金としていくら増えるのか」という点を重要視するため、現金の流入を収益として捉えます。

時間軸の違い

財務会計により得られた情報は企業活動の成果(実績)を表すため、「過去の情報」を示します。また管理会計により得られた情報は、財務会計の情報をベースに過去を分析した「将来に役立つ情報」を示します。

一方、ファイナンスから得られる情報は、将来時点の資金調達・投資運用方法を示します。

このように、財務会計からは「過去の情報」が提供され、管理会計およびファイナンスでは「将来の情報」が提供されるという違いがあります。

ファイナンスの重要なポイント

ファイナンスの目的は、企業価値の最大化です。

企業価値を最大化するためには、大きく分けて3つの意思決定が重要と言われます。

1.投資の意思決定
2.資金調達の意思決定
3.分配に関する意思決定

以上の3点について詳しく説明します。

1.投資の意思決定

将来に向けた設備投資などは一般的に金額が大きいため、意思決定の結果が企業に与える影響も大きくなります。

また、投資期間と回収期間も長期に渡るので、貨幣の時間価値を考慮した意思決定が重要となります。

そのため、意思決定の際は投資を行った場合とそうでない場合のリターンやコストについて詳細に洗い出し、それをもとにできるだけ多くの情報を数値化する必要があります。

2.資金調達の意思決定

資金調達には、「株主からの調達(エクイティ調達)」と「負債による調達」の2種類があります。

株主からの出資には返済義務がないのがメリットですが、毎年支払う配当金には税金がかからず、節税効果がないデメリットがあります。

一方、負債による調達には、元本の返済義務や履行がストップした場合の倒産リスクがあります。その反面、毎年支払う利息には税金がかかるため、節税効果が得られるメリットがあります。

それに加え、業種や業態により最適な資本構成(資本金と負債の割合)があることも考慮に入れなければなりません。

以上について、それぞれのバランスをよく考えた上で意思決定を行うことが求められます。

3.分配に関する意思決定

「分配」とは、企業が活動によって得られた利益を「配当」という形で株主に還元することです。

しかし、株主への配当を行うと企業の内部留保が減ってしまうため、新規に投下できる資本は少なくなり、将来の収益性が低下する恐れもあります。

したがって、株主に還元することと当該資金を投資に回すことをよく比較した上で、企業価値を最大化にするための意思決定を行うことが重要です。
    

最善のファイナンスには正確な会計記録が必要

企業価値を最大限に高める最善のファイナンスを行うためには、まずその基礎となる会計についてよく理解し、会計記録を正確に行うことが必要です。

日々の財務会計を正確に行い、管理会計、ファイナンスに役立てましょう。
    

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:藤沼 寛夫(公認会計士)

ライター 兼 公認会計士
「会計」「税務」「財務分析」について、分かりやすい記事を提供します。
https://fujinuma-write.com/

関連記事