• 作成日 : 2022年6月17日

トラクターの減価償却の計算方法は?中古の場合まで解説

トラクターの減価償却の計算方法は?中古の場合まで解説

トラクターは農業者に欠かせない機械ですが、金額が大きいだけに会計上の取り扱いに困る人も多いかもしれません。この記事では、トラクターの減価償却方法について詳しく解説します。耐用年数や中古の場合の取り扱い、国税庁による法定耐用年数、一括償却扱いにする方法などを、具体的な計算式を交えて解説していきます。

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トラクターの耐用年数は何年?

トラクターの減価償却を正しく行うためには、正確な耐用年数を知っておく必要があります。

固定資産は、時間が経つと老朽化やモデルチェンジなどでその価値や生産性が下がっていきます。そのため、固定資産が業務上の利益を得るために何年間使えるかあらかじめ定めたものを「耐用年数」と呼びます。減価償却費の基本的な考え方では、固定資産の取得価額を耐用年数で割ったものを計上していきます。

減価償却の対象となる固定資産には、その資産の種類ごとに耐用年数が法律で定められています。これを「法定耐用年数」といい、自己判断で法定耐用年数でない年限で償却することは認められません。

トラクターの法定耐用年数は7年です。これは法律により定められたもので、これ以外の年数で償却することはできません(中古で購入した場合は別の計算式あり)。

トラクターだけでなく、草刈り機、運搬車といった農機具は、平成20年度の税制改正により一律7年となっています。税制改正前はトラクター8年、田植機5年など機械の種類によりバラつきがありましたが、農機具は原則的に一律7年に変更となっていることに注意しましょう。

減価償却について詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。

参考:国税庁 No.2100 減価償却のあらまし

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トラクターの減価償却の仕訳例

トラクターを減価償却する際の仕訳例を見ていきましょう。トラクターをはじめとする農機具は10万円未満の場合、10万円以上の場合、中古で購入した場合で減価償却費の計上方法が異なるため、3パターンの仕訳例を紹介します。

なお、農機具の償却方法は定額法が法定の償却方法です。そのため、ここで紹介する仕訳例はすべて定額法を採用しています。

10万円未満の場合

固定資産であっても、購入金額が10万円に満たないものは「少額の減価償却資産」と呼ばれ、全額を即時損金算入できます。少額の減価償却資産の条件としては、「使用期間が1年未満であるもの」「取得価額が10万円未満であるもの」のいずれかを満たしている必要があります。

よって、トラクターの相場からするとあまりない事例かもしれませんが、中古などの手段でトラクターを10万円未満で購入できれば購入時に一括して費用計上が可能です。この場合、購入時に一括して費用計上するため、減価償却は不要となります。

(仕訳例)中古のトラクターを9万円で購入し、代金は現金で支払った。

借方
貸方
摘要
農具費
90,000円
現金
90,000円
中古トラクター購入

10万円以上の場合

10万円以上の農機具はいったん資産計上し、期間に応じて減価償却していく必要があります。新品の農機具は耐用年数が一律7年と定められているため、7年かけて減価償却を行います。

20万円未満の場合は、一括償却資産としての取り扱いも選択可能です。一括償却資産を適用した場合は、月割計算は行わずにどのタイミングで購入しても1年分、全体の1/3の減価償却費を計上します。ただし、ここで紹介する事例では購入金額が70万円のため、一括償却資産とすることはできません。

(仕訳例)期首にトラクターを70万円で購入し、代金は現金で支払った。

借方
貸方
摘要
機械装置
700,000円
現金
700,000円
トラクター購入

購入時は全額資産に計上します。資産科目の「機械装置」を使用。

(仕訳例)期末にトラクターの減価償却を実施する。7年で償却するため、減価償却費は70万円/7年=10万円。

借方
貸方
摘要
減価償却費
100,000円
機械装置
100,000円
トラクター減価償却

中古で購入した場合

新品のトラクターは法定償却年数の7年で償却しますが、中古の場合は法定耐用年数と経過年数から耐用年数を算出しなければなりません。新品よりも耐用年数が短くなることは感覚的に分かりますが、具体的な計算方法となるとピンと来ないのではないでしょうか。しかし、簡単な計算式があるので安心してください。具体的には以下の式にあてはめて計算します。

中古の耐用年数=(法定耐用年数ー中古の固定資産の経過年数)+(中古の固定資産の経過年数×20%)

※計算結果が2年未満になった場合は、耐用年数は2年として取り扱う。

ここからは上記の式を使って耐用年数を算出した事例を紹介しますので、理解に役立ててください。

(仕訳例)期首に2年使用したトラクターを中古で購入した。金額は50万円で、現金で支払った。

借方
貸方
摘要
機械装置
500,000円
現金
500,000円
中古トラクター購入

購入時には固定資産科目「機械装置」を使って資産計上し、期末に減価償却を実施していきます。

(仕訳例)期末に中古トラクターの減価償却を実施する。

まずは耐用年数を計算していきます。先ほど紹介した次の式を使って、このトラクターの耐用年数を計算しましょう。

中古の耐用年数=(法定耐用年数ー中古の固定資産の経過年数)+(中古の固定資産の経過年数×20%)

 

耐用年数=(7年-2年)+(2年×20%)=5+0.4=5.4

耐用年数の計算においては小数点以下が切り捨てとなるため、このトラクターの耐用年数は5年です。よって、減価償却費は50万円/5年=10万円となります。

借方
貸方
摘要
減価償却費
100,000円
機械装置
100,000円
中古トラクター減価償却

トラクターは即時償却できる?

トラクターを購入する際にぜひ役立てたい制度に、「中小企業経営強化税制(A類型)」というものがあります。これは、トラクターをはじめとする農機具を購入した際に一括で償却できるという制度です。

諸条件はありますが、適用対象となれば購入した初年度にトラクターを即時償却できます。農機具の購入は高額になりやすいため、利益が出ている事業年度で活用すれば、大きな節税効果が得られるでしょう。

中小企業経営強化税制(A類型)の適用対象となるには、「経営力向上計画」を事前に作成して認定機関の認定を取っておく必要があります。万が一トラクターを先に購入した場合は、購入から60日以内に認定を受けなければならないため注意してください。また、申請には工業会が発行する証明書も必要です。

中小企業経営強化税制の対象となるのは、青色申告している法人と個人です。期間は2023年(令和5年)3月31日までと定められているため、検討中の方は早めに導入準備を進めておきましょう。

この他にも注意が必要な条件があるため、詳しくは中小企業庁公式ウェブサイトを参照してください。

参考:中小企業庁 経営サポート「経営強化法による支援」

トラクターは即時償却の特例をうまく活用しよう

トラクターには通常の減価償却と即時償却の方法があることを説明してきました。トラクターは高価な農機具であるため、利益が出ているタイミングに合わせて即時償却すれば節税効果が大きくなります。即時償却が有利になりそうな場合は、ぜひ利用を検討しましょう。

ただし、即時償却には事前申請や計画書の作成が必要となり、利用には手間がかかります。順番を間違えると特例を使えなくなる可能性もあるため、購入する前に注意点を確認し、確実な手続きを行ってください。

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よくある質問

トラクターの耐用年数は何年?

トラクターをはじめとする農機具の償却年数は一律7年と法律で定められています。詳しくはこちらをご覧ください。

トラクターは即時償却できる?

中小企業経営強化制度を活用すれば、購入時に即時償却が可能です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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