• 作成日 : 2016年6月30日
  • 更新日 : 2020年9月17日

修繕費の経理処理には要注意

事業のために使っている資産の修繕費は毎期の費用で計上します。しかし、修繕の内容によっては、税金を計算するうえで、一時の費用にならないものがあります。一般に修繕費は高額であることから、税金を計算するうえで、一時の費用になるかならないかによって、税金の額に影響します。

ここでは、修繕費が税金計算上の費用と認められるためのポイントについてご紹介します。

修繕費が税金計算上の費用になると税金が少なくなる

法人税(個人事業の場合は所得税)は、収益から費用を引いた残りの部分に対して課税されるものです。つまり、収益が同じであれば、費用が多ければ多いほど税金が少なくなります。

ただし、税金を計算するうえでの収益や費用は、実際の収入や支出とは必ずしも一致しません。修繕費を支払ったという事実は同じであっても、修繕費を税金計算上の費用として計上できるかできないかによって、税金の額は大きく左右されます。

なお、税金計算上の費用として計上することを、法人税では「損金に算入する」、所得税では「必要経費に算入する」といいます。しかし、ここでは両方の場合を区別せず「税金計算上の費用として計上する」と表記します。

修繕費が資産として扱われる場合も

事業用資産の維持管理や修理のために支出される修繕費は、税金計算上の費用として計上することができます。しかし、一定の要件に当てはまる場合は、資産と同じように取り扱うこととされています。

資本的支出とは

修繕費のうち、資産の使用期間を延長させたり、資産の価値を増加させたりするための支出を「資本的支出」といいます。税金計算上、資本的支出はその年度の費用とするのではなく、減価償却によって複数年にわたって費用に計上します。資産を追加購入した場合と同じように処理すると考えることができます。

具体的には次のような場合が資本的支出となります。

・建物に非常階段を取り付けた。
・建物の用途を変更するために模様替えを行った。
・機械の部品を特に高性能のものに取り換えた場合の通常の部品の差額。

資本的支出の例外

資本的支出であっても、次のようなものは支出した年度の経費にすることができます。

・20万円未満のもの。
・おおむね3年以内の周期で支出するもの。
・一つの修理・改良の金額に、資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合、支出した金額が60万円未満またはその資産の前期末の取得価額の10%以下であるとき。
・(法人の場合)一つの修理、改良の金額に、資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合、支出した金額の30%の額とその資産の前期末の取得価額の10%の額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする処理を継続して行っている場合の、その修繕費部分。

修繕費として特に認められるもの

維持管理や修理以外の支出であっても、次のような場合は修繕費とすることができます。

・建物を移動または解体移築した場合の費用。ただし、解体移築は旧資材の70%以上をそのまま利用して同一の規模・同一構造の建物を再建築する場合に限ります。
・機械装置を移設するための費用。
・地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りの費用。ただし、取得後すぐの地盛りや土地利用の目的を変更した場合、土地の評価損を計上した場合などは除きます。
・地盤沈下により、建物、機械装置等が浸水することとなったために行う床上げ、地上げまたは移設の費用。ただし、明らかに改良工事である場合を除きます。
・使用している土地の水はけを良くするために行う砂利、砕石等の敷設の費用、および砂利道または砂利路面に砂利、砕石等を補充するための費用。

修繕費を税金計算上の費用とするための要件

資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合、次の着眼点によっておおよその判定ができます。

・20万円未満かどうか。
・おおむね3年以内の周期で支出しているかどうか。
・資産の価値を高めるものまたは耐久性を増すものかどうか。
・通常の維持管理のためのものか。
・60万円未満または修理した資産の前期末の取得価額の10%以下であるか。
・(法人の場合)継続して資本的支出と修繕費を7:3の比で計上しているか。
・実質的に判断して資本的支出にあたるかどうか。

資本的支出と支出修繕費の区別は、修繕や改良という名目によるのではなく、実質で判定します。一つの修理の中に、修繕費にあたる部分と資本的支出にあたる部分が混在している場合など高度な判断が必要になる場合は、税理士の助言を得たほうがよいでしょう。

資本的支出か修繕費かチェックポイント

まとめ

以上お伝えしてきたとおり、資産の修繕費は、必ずしもすべてが税金計算上の費用として計上できるわけではありません。

資産の価値を向上させたり、使用年数を伸ばしたりするための支出は、資産の追加とみなされ、一部しか費用に計上できません。資本的支出にあたるかどうかの判定には高度な判断が必要となるので、税理士の助言を得ることをおすすめします。

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