1. クラウド会計ソフト「マネーフォワード クラウド会計」
  2. 会計の基礎知識
  3. 修繕費とは?勘定科目や経費にならない資本的支出の判定方法
  • 更新日 : 2020年12月15日

修繕費とは?勘定科目や経費にならない資本的支出の判定方法

事業のために使っている資産の修繕費は毎期の費用で計上します。しかし、修繕の内容によっては、税金を計算するうえで、一時の費用にならないものがあります。一般に修繕費は高額であることから、税金を計算するうえで、一時の費用になるかならないかによって、税金の額に影響します。

ここでは、修繕費が税金計算上の費用と認められるためのポイントについてご紹介します。

修繕費とは?

修繕費とは、会社が経営に必要とする有形固定資産などを修理・改修するために支払った費用のことです。

修繕費には通常の経営に必要な機能維持や現状の回復も含まれます。

会社の経営に必要とされる固定資産の修繕のために支払う金額を指しますが、その費用には部品交換や維持費なども含まれ、自然災害などにより営業に必要な固定資産が毀損した場合、その状況を回復するために必要となった金額も修繕費として管理されます。

また、有形固定資産が物的な損傷を受け、継続して利用できなくなった場合の復旧費用も含めることができます。

ちなみに、修繕費は資本的支出と収益的支出に分けて管理することができるが、修繕に費用をかけることで耐用年数が延びたり、性能が上がることになると資本的支出として分類されます。

なお修繕費には、外壁の塗り替えやガラスの入れ替え、給水や排水設備の修繕などの費用を含めることができ、経営に必要な機器の保守点検やメンテナンス費用も修繕費の一部です。

修繕費の仕訳を行う際の勘定科目

修繕費の仕訳を行う際の勘定科目には「修繕費」を用います。修繕費は、法人の場合は「販売費及び一般管理費」区分、個人事業主の場合は「(必要)経費」区分の勘定科目になります。具体例を見ていきましょう。

例)工場で使っている機械が故障したので修理業者に修理してもらい、修理代50,000円を現金で支払った。

借方貸方
修繕費50,000円現金50,000円

例)外壁の塗り替え工事を行い、塗装業者に150,000円を普通預金から振込で支払った。

借方貸方
修繕費150,000円普通預金150,000円

修繕費と消耗品費のちがい

消耗品費とは、消耗品を購入した場合に使用する勘定科目です。消耗品とは、使用すると消耗する事務用品や備品、工具などのことをいいます。具体的には、数万円程度のイスや机、パソコンなど、耐用年数が1年未満、取得価額が10万円未満の備品などが消耗品になります。

修繕費と消耗品費の違いは、以前に購入したものを修理したか、新しく購入したかという点です。消耗品の机であっても、以前購入した机を修理した場合は「修繕費」、新しく机を購入した場合は「消耗品費」で処理します。

会計ソフトによっても表記が異なることもあり、たとえば「マネーフォワード クラウド会計」では「備品・消耗品費」、「マネーフォワード クラウド確定申告」では「消耗品費」の名称で初期設定されています。

勘定科目名やその設定を確認してから、正しく会計処理を行うよう注意しましょう。

修繕費以前に購入したものを修理した場合に使う勘定科目
消耗品費新しく消耗品を購入した場合に使う勘定科目
自動化で、会計業務をもっとラクに

修繕費が税金計算上の費用になると税金が少なくなる

法人税(個人事業の場合は所得税)は、収益から費用を引いた残りの部分に対して課税されるものです。つまり、収益が同じであれば、費用が多ければ多いほど税金が少なくなります。
ただし、税金を計算するうえでの収益や費用は、実際の収入や支出とは必ずしも一致しません。修繕費を支払ったという事実は同じであっても、修繕費を税金計算上の費用として計上できるかできないかによって、税金の額は大きく左右されます。
なお、税金計算上の費用として計上することを、法人税では「損金に算入する」、所得税では「必要経費に算入する」といいます。しかし、ここでは両方の場合を区別せず「税金計算上の費用として計上する」と表記します。

修繕費が資産として扱われる場合も

事業用資産の維持管理や修理のために支出される修繕費は、税金計算上の費用として計上することができます。しかし、一定の要件に当てはまる場合は、資産と同じように取り扱うこととされています。

資本的支出とは

修繕費のうち、資産の使用期間を延長させたり、資産の価値を増加させたりするための支出を「資本的支出」といいます。税金計算上、資本的支出はその年度の費用とするのではなく、減価償却によって複数年にわたって費用に計上します。資産を追加購入した場合と同じように処理すると考えることができます。

修繕費はマイナスからゼロにするためにかかった費用、資本的支出はゼロまたはマイナスからプラスにするためにかかった費用と考えると、わかりやすいのではないかと思います。

工事発注書の件名が「補修工事」や「改修工事」であったとしても、

  • 工事することによって価値が増加している
  • 工事することによって使用できる期間が延長している

という内容であれば修繕費ではなく固定資産の資本的支出と判断されます。
具体的には次のような場合が資本的支出となります。

  • 建物に非常階段を取り付けた。
  • 建物の用途を変更するために模様替えを行った。
  • 機械の部品を特に高性能のものに取り換えた場合の通常の部品の差額。

資本的支出の例外

資本的支出であっても、次のようなものは支出した年度の経費にすることができます。

  • 20万円未満のもの。
  • おおむね3年以内の周期で支出するもの。
  • 一つの修理・改良の金額に、資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合、支出した金額が60万円未満またはその資産の前期末の取得価額の10%以下であるとき。
  • (法人の場合)一つの修理、改良の金額に、資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合、支出した金額の30%の額とその資産の前期末の取得価額の10%の額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする処理を継続して行っている場合の、その修繕費部分。

修繕費として特に認められるもの

維持管理や修理以外の支出であっても、次のような場合は修繕費とすることができます。

  • 建物を移動または解体移築した場合の費用。ただし、解体移築は旧資材の70%以上をそのまま利用して同一の規模・同一構造の建物を再建築する場合に限ります。
  • 機械装置を移設するための費用。
  • 地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りの費用。ただし、取得後すぐの地盛りや土地利用の目的を変更した場合、土地の評価損を計上した場合などは除きます。
  • 地盤沈下により、建物、機械装置等が浸水することとなったために行う床上げ、地上げまたは移設の費用。ただし、明らかに改良工事である場合を除きます。
  • 使用している土地の水はけを良くするために行う砂利、砕石等の敷設の費用、および砂利道または砂利路面に砂利、砕石等を補充するための費用。

修繕費が資本的支出と判定される条件を税金計算上の費用とするための要件

資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合、次の着眼点によっておおよその判定ができます。

  • 20万円未満かどうか。
  • おおむね3年以内の周期で支出しているかどうか。
  • 資産の価値を高めるものまたは耐久性を増すものかどうか。
  • 通常の維持管理のためのものか。
  • 60万円未満または修理した資産の前期末の取得価額の10%以下であるか。
  • (法人の場合)継続して資本的支出と修繕費を7:3の比で計上しているか。
  • 実質的に判断して資本的支出にあたるかどうか。

資本的支出と支出修繕費の区別は、修繕や改良という名目によるのではなく、実質で判定します。一つの修理の中に、修繕費にあたる部分と資本的支出にあたる部分が混在している場合など高度な判断が必要になる場合は、税理士の助言を得たほうがよいでしょう。

資本的支出か修繕費かチェックポイント

修繕費と資本的支出の判定の具体的な事例集

それでは実際にどのような場合が修繕費となり、どのような場合が資本的支出になるのかを見ていきましょう。

case1:ソフトウェアを法改正アップデートした場合
法改正に対応した内容にしなければ、ソフトウェアとしての機能を果たすことにはならないため、ソフトウェアやプログラムを法改正に応じた機能にアップデートするための費用は、資本的支出ではなく修繕費として判断します。

法改正に対応する以外の拡張機能を追加した場合は修繕費とはならず資本的支出となる点で注意が必要です。

case2:災害の場合
災害によって修理が必要になった場合、原状回復をするために支出した費用は修繕費となるのはもちろんですが、二次災害を回避するなどの目的で耐震性を高めるために行った補強工事は、被災前の効用を維持するために行われるものであると判断されるため、資本的支出には該当せず、修繕費として処理することが認められています。

しかし、被災前の効用を維持しない補強工事等は、資産価値を高めることになり、資本的支出に該当します。

case3:蛍光灯をLEDランプに取り換えた場合
従来使用していたものよりも高性能のものに取り換えて資産価値が高まったり耐久性を増したりした場合は、修繕費ではなく資本的支出に該当するというガイドラインがありました。

しかし、LEDランプに替えただけでは建物という固定資産そのものの資産価値が高まったとは言い切れないことから、蛍光灯をLEDランプに替えた場合は資本的支出ではなく修繕費となります。

case4:そもそも少額減価償却資産に該当する場合は消耗品
減価償却資産の中でも10万円未満の資産や使用可能期間が1年未満の資産は「少額減価償却資産」に該当するため、修繕内容が資本的支出に該当したとしても消耗品として経理処理することができます。

たとえばマンションのカーテン取り換え費用が1室あたり4万円としたときに、そのカーテンが従来よりも遮光性が高くなり価値が増加したと考えられる場合であったとしても、少額減価償却資産の10万円未満に該当するため、消耗品費として処理することができます。

また、そのマンション1室だけでなく200室すべて取り換える場合は800万円の支出となり、少額減価償却資産の10万円未満を軽々と超えてしまいます。しかしそのような場合であったとしても1室あたりの取得価額で判断するため、800万円の支出は消耗品費とすることができます。

修繕費と資本的支出の判定は慎重に

以上お伝えしてきたとおり、資産の修繕費は、必ずしもすべてが税金計算上の費用として計上できるわけではありません。
資産の価値を向上させたり、使用年数を伸ばしたりするための支出は、資産の追加とみなされ、一部しか費用に計上できません。資本的支出にあたるかどうかの判定には高度な判断が必要となるので、税理士の助言を得ることをおすすめします。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

【監修】マネーフォワード クラウド会計

会計・経理業務に関するお役立ち情報をマネーフォワード クラウド会計が提供します。
取引入力と仕訳の作業時間を削減、中小企業・法人の帳簿作成や決算書を自動化できる会計ソフトならマネーフォワード クラウド会計。経営者から経理担当者まで、会計業務にかかわる全ての人の強い味方です。

関連記事