• 更新日 : 2026年11月6日

一般会計と特別会計の違いとは?仕組み・一覧・使い道・予算規模をわかりやすく解説

Point一般会計と特別会計の違いとは?

一般会計は国の基本的な行政経費を扱う会計、特別会計は特定の事業・資金を区分して経理する会計です。

  • 特別会計は現在14種類が存在する
  • 用途は国債償還・社会保障が中心
  • 規模は総額でなく純計で把握する

Q. 特別会計の歳出規模はどれくらい?

A. 令和8年度当初予算の純計は216,2兆円で、国債償還費・社会保障給付費・地方交付税の3つが大半を占めます。

国の予算は、一般会計と特別会計という2つの枠組みで管理されています。この記事では、両者の違い、特別会計の種類と使い道、規模の見方を財務省の公表資料に基づいて整理します。国の会計や国家予算の全体像を、バックオフィス担当者が最短で把握できる内容です。

一般会計と特別会計の違いとは?

一般会計は国の基本的な行政経費を経理する会計で、特別会計は特定の事業や資金運用を区分して経理する会計です。法律上は、国の会計を一般会計と特別会計に分けると定められています。

一般会計

一般会計とは、社会保障、公共事業、教育、防衛など、国の一般的な行政活動に必要な経費を幅広く扱う会計です。税収を中心とした歳入で、使い道が特定の事業に限定されないのが特徴です。

財政法第13条第1項は、国の会計を一般会計と特別会計に分けると規定しています。財務省の資料でも、一般会計は歳入歳出の範囲が限定されない会計と整理されています。ニュースで報じられる国家予算の総額は、通常この一般会計予算を指します。

参考:令和7年版 特別会計ガイドブック|財務省

特別会計

特別会計(略称は特会)とは、特定の事業や資金運用について、特定の歳入で特定の歳出をまかない、一般会計と区分して経理する会計です。事業の収支や資金の状況を明確にする目的があります。

財政法第13条第2項は、設置できる場合を限定しています。具体的には、国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有して運用する場合、その他特定の歳入で特定の歳出に充て、区分経理が必要な場合の3つです。設置には法律が必要です。

参考:令和7年版 特別会計ガイドブック|財務省

一般会計と特別会計の比較表

両者の主な違いは、歳入歳出の範囲、資金の調達方法、剰余金の扱いにあります。

比較項目 一般会計 特別会計
位置づけ 国の一般的な行政経費を扱う基本の会計 特定の事業・資金運用を区分して経理する会計
歳入歳出の範囲 限定されない 法律で一定の範囲に限定される
設置の根拠 財政法 財政法に基づき個別の法律で設置
国会での審議 予算として審議・議決 一般会計と同様に審議・議決
剰余金の扱い 財政法に基づき、一定割合を公債等の償還財源に充当 原則として当該会計の翌年度以降の歳出に充当。一般会計への繰入れは可能
借入金・公債 公債発行は財政法の定めによる 特別会計法で定める場合に借入金や公債を計上

参考:令和7年版 特別会計ガイドブック|財務省

なぜ国の会計を一般会計と特別会計に分けるのか?

国の会計は本来ひとつにまとめるのが望ましいとされていますが、事業や資金運用の状況を明確にするため、例外的に区分経理が認められています。

予算単一の原則

予算単一の原則(単一会計主義)とは、国の施策をひとつの会計で一体として経理する考え方です。財政の健全性を確保する観点から望ましいとされています。

ただし、国の行政が広範で複雑になると、単一の会計では個別事業の状況や資金の運用実績が不明確になることがあります。そこで一般会計とは別に特別会計を設け、特定の歳入と歳出を区分して経理しています。この考え方は区分経理と呼ばれます。

参考:令和7年版 特別会計ガイドブック|財務省

特別会計の設置が認められる3つの場合

設置が認められるのは、特定の事業を行う場合、特定の資金を保有して運用する場合、特定の歳入で特定の歳出に充てる必要がある場合の3つです。これ以外の理由では設置できません。

特別会計法の基本理念では、区分経理の必要性を不断に見直し、存続の必要がなければ一般会計へ統合することが定められています。租税収入が特別会計の財源となる場合も、いったん一般会計の歳入に計上し、国全体の財政状況を総覧できるようにする方針です。

参考:令和7年版 特別会計ガイドブック|財務省

予算編成や国会審議の扱いに違いはある?

予算編成や国会審議の扱いに、基本的な違いはありません。特別会計も一般会計と同様に、各省庁の概算要求を財務省が査定し、国会に提出して議決を経ます。

執行、決算の提出、会計検査院の検査も、基本的に一般会計と同じ手続きです。違いが出るのは、歳入歳出の範囲、借入れや公債の扱い、剰余金の処理といった財務会計処理の部分です。

参考:令和7年版 特別会計ガイドブック|財務省

特別会計にはどんな種類がある?

現在の国の特別会計は14あり、令和8年度予算でも同じ14会計が掲載されています。省庁ごとに所管が分かれ、それぞれ役割が異なります。

現在の特別会計14会計の一覧表

14会計の名称と主な役割は次のとおりです。

特別会計名 主な役割
交付税及び譲与税配付金特別会計 地方交付税、地方譲与税などを地方公共団体へ配付する経理
地震再保険特別会計 民間損害保険会社の地震保険責任を国が再保険する経理
国債整理基金特別会計 国債や借入金の償還・利払いを一元的に経理
外国為替資金特別会計(外為特会) 為替介入など外国為替等の売買の経理
財政投融資特別会計(財投特会) 財政融資資金の運用と産業投資の経理
エネルギー対策特別会計 燃料安定供給、電源立地、原子力損害賠償支援、先端半導体・AI関連などの経理
労働保険特別会計 労災保険と雇用保険の経理、労働保険料の徴収
年金特別会計 基礎年金、国民年金、厚生年金、健康保険等の経理
子ども・子育て支援特別会計 児童手当、教育・保育給付、育児休業給付等の経理
食料安定供給特別会計 食糧管理、農業経営安定、農業再保険などの経理
国有林野事業債務管理特別会計 旧国有林野事業の借入金残高の管理(経過的な会計)
特許特別会計 特許関係の事業の経理
自動車安全特別会計 自動車事故対策、自動車検査登録などの経理
東日本大震災復興特別会計 東日本大震災からの復興に関する経理

参考:令和7年版 特別会計ガイドブック|財務省、令和8年度予算の説明|財務省

特別会計の数はどう変化してきた?

特別会計の数は、改革によって大きく減ってきました。平成18年度時点で31あった特別会計は、統廃合を経て令和7年度までに14になっています。

古い解説記事には、すでに廃止された会計が載っていることがあります。たとえば貿易再保険特別会計は平成28年度末に廃止され、資産と負債は株式会社日本貿易保険に承継されました。

逆に新しい動きとして、令和7年度に子ども・子育て支援特別会計が創設されています。これは年金特別会計の子ども・子育て支援勘定と、労働保険特別会計の雇用勘定(育児休業給付関係)を統合したものです。同年度にはエネルギー対策特別会計に、先端半導体・人工知能関連技術勘定も設置されました。

参考:令和7年版 特別会計ガイドブック|財務省

特別会計は何に使われている?

特別会計は、国債の償還や利払い、社会保障給付、地方交付税など、特定の目的のために使われています。会計ごとに使い道が法律で決まっています。

使い道の中心は国債償還・社会保障・地方交付税

令和7年度当初予算の特別会計の歳出純計額は204.1兆円で、内訳は国債償還費等が85.9兆円、社会保障給付費が78.9兆円、地方交付税交付金等が21.6兆円などです。この3つで大半を占めています。

その他の内訳は、財政融資資金への繰入れが10.0兆円、復興経費が0.6兆円、残りの7.2兆円がその他です。国債整理基金特別会計、年金特別会計、交付税及び譲与税配付金特別会計といった大型の会計が、全体の規模を押し上げています。

参考:令和7年版 特別会計ガイドブック|財務省

一般会計から特別会計へはどれくらい繰り入れられる?

令和7年度当初予算では、一般会計から特別会計への繰入額は64.4兆円です。主な繰入先は、国債整理基金特別会計が28.2兆円、交付税及び譲与税配付金特別会計が18.9兆円、年金特別会計が13.3兆円です。

一般会計からの繰入れは、無条件には認められません。特別会計の趣旨を保つため、繰入れの対象となる経費は特別会計法の各章で定められています。

参考:令和7年版 特別会計ガイドブック|財務省

特別会計は用途を自由に変えられない?

特別会計の歳入歳出は、法律で一定の範囲に限定されています。そのため、一般会計のように年ごとの状況で予算配分を柔軟に動かすことはできません。

たとえば食料安定供給特別会計の食糧管理勘定は、主要食糧などの売渡代金を主な歳入、買入代金や食糧管理費を主な歳出とすることが特別会計法に定められています。自動車安全特別会計も、道路整備の会計ではなく、自動車事故対策や自動車検査登録などを経理する会計です。会計の名称だけで使い道を推測せず、所管省庁の公表資料で確認することをおすすめします。

参考:令和7年版 特別会計ガイドブック|財務省

一般会計と特別会計の規模は?合算するとどう見える?

国全体の財政規模を見るときは、単純な合計の総額ではなく、重複分を除いた純計で見るのが基本です。会計間のやり取りが二重に計上されているためです。

総額と純計の違い

総額は各会計の数字を単純に足したもので、純計は会計間の重複計上額や国債の借換額を除いたものです。実質的な財政規模は純計で把握します。

令和7年度当初予算では、一般会計の総額は115.2兆円、特別会計の歳出総額は429.5兆円で、合算した歳出総額は544.7兆円です。一方、重複分を除いた純計では、一般会計が50.8兆円、特別会計が204.1兆円で、合わせて254.9兆円になります。

区分 歳出総額 歳出純計額
一般会計 115.2兆円 50.8兆円
特別会計 429.5兆円 204.1兆円
合計 544.7兆円 254.9兆円

参考:令和7年版 特別会計ガイドブック|財務省

国全体の歳出で大きな割合を占める経費

国債費と社会保障関係費が大きな割合を占めています。令和7年度当初予算の純計254.9兆円のうち、国債費と社会保障関係費はそれぞれ3割を超え、2つで7割以上を占めます。

金額では、国債費が85.5兆円、社会保障関係費が103.2兆円です。令和8年度についても、財務省所管の一般会計予算概算で国債費は31兆2,758億円とされ、前年度当初予算より3兆579億円増えています。

参考:令和7年版 特別会計ガイドブック|財務省、令和8年度財務省所管予算概算が決まりました|財務省

特別会計の剰余金や積立金はどう扱われている?

特別会計の剰余金は、使途が自由な余剰資金ではなく、法律のルールに沿って積立てや翌年度の歳入などに処理されます。一部は一般会計の財源にも活用されています。

剰余金はどう処理されるか

剰余金とは、決算で歳入額が歳出額を上回った差額です。特別会計では、原則として国債償還や年金給付など、その会計の翌年度以降の特定の歳出に充てられます。

令和6年度決算では、国債整理基金特別会計を除いた特別会計の剰余金の合計は15.2兆円でした。処理の内訳は、積立金への積立てや資金への組入れが6.0兆円、翌年度の特別会計歳入への繰入れが5.9兆円、一般会計への繰入れが3.2兆円です。

一般会計の剰余金は、財政法第6条により、2分の1を下らない金額を翌々年度までに公債等の償還財源に充てるルールがあります。

参考:令和7年版 特別会計ガイドブック|財務省

積立金はどれくらいあり、何のためにある?

令和6年度の決算処理後で、積立金等の合計は147.9兆円です。このうち保険事業に関する積立金が143.9兆円で、9割以上が将来の保険給付などに備えるものです。

外国為替資金特別会計では、令和6年度決算の剰余金5.4兆円のうち3.2兆円が令和7年度の一般会計歳入に繰り入れられました。このように、一般会計の財源として活用できるものは活用する運用がされています。ただし、特別会計の資産には見合いの負債があり、換金して他の財源に充てられないものも含まれています。

参考:令和7年版 特別会計ガイドブック|財務省

情報開示や透明性の確保はどうなっている?

特別会計は、企業会計の考え方を参考にした財務書類を作成し、会計検査院の検査を経て国会に提出されています。財務書類は貸借対照表や業務費用計算書などで構成されます。

あわせて、所管省庁がインターネットで予算決算や剰余金、積立金の情報を公開しています。国の財務書類をまとめて見られるダッシュボードも公開されています。

参考:令和7年版 特別会計ガイドブック|財務省

実務で一般会計・特別会計の情報を調べるには?

最新の数値は、財務省が公表する特別会計ガイドブックと予算書で確認するのが確実です。古い解説記事をそのまま引用すると、廃止された会計や古い数値を載せてしまうおそれがあります。

一次情報を確認する手順

資料作成や社内報告で国の予算を扱うときは、次の順で確認すると効率的です。

  1. 財務省の特別会計ガイドブックで、制度の全体像と最新年度の数値を確認する
  2. 令和8年度予算の説明で、一般会計と各特別会計の最新の予算額を確認する
  3. 令和8年度特別会計予算(予算書)で、会計・勘定ごとの詳細を確認する
  4. 引用する数値は、当初予算額か補正後の数値か、総額か純計かを明記する

数値の前提を明記することが、誤解を防ぐポイントです。

参考:令和7年版特別会計ガイドブック|財務省、令和8年度特別会計予算|財務省

一般会計と特別会計の違いを押さえて、国の予算を正しく読み解くために

一般会計は国の基本的な行政経費を扱い、特別会計は特定の事業や資金を区分して経理する会計です。特別会計は現在14あり、国債償還、社会保障、地方交付税などを担っています。規模を見るときは総額ではなく純計に着目し、数値は財務省の最新資料で確認しましょう。両者を正しく区別することが、国の財政を理解する第一歩です。

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