- 更新日 : 2025年4月23日
会計初心者に捧ぐ!基礎から学べる目的別「会計本」まとめ
書店に行くと会計コーナーや税務コーナーにはたくさんの関連書籍が並んでいます。
とりあえず手に取ってみますが、
「なにを説明しているのかさっぱりわからない…」
「こういう内容の本は持っていた気がする…」
「POPに騙された!」
というのはよくある話です。そこで今回は、目的別に編集部おすすめの「押さえておくべき会計関連書籍の基本セット」をご紹介します。
目次
経理に配属された人向けの押さえておくべき基礎知識が得られる2冊
会計の知識がゼロの状態で会社の経理部などに配属された際に、まずは読んでおくべき2冊を紹介します。この2冊でとにかく「経理とは何をする部署なのか」を把握しましょう。
1.『とある会社の経理さんが教える 楽しくわかる! 簿記入門』
出版社日本実業出版社(2012/7/26)
著者 | 東山 穣 |
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税理士でも公認会計士でもない、とある企業の経理部社員が書いた本です。現場目線で書かれているので、とても実践的な知識が手に入ります。配属されてすぐの新人はデータ入力がメインとなりますが、この本を読むことで「なんとなく入力」するのではなく、「目的をもって入力」することができるようになります。
2.『3年後に必ず差が出る 20代から知っておきたい経理の教科書』
出版社翔泳社 (2014/3/7)
著者 | 小島 孝子 |
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経理に関するアウトラインをイメージするだけでなく、もう少し深く理解したい人におススメの1冊です。
対話形式で書かれている本書の特徴は何よりも著者のプロフィールです。多くの経理関係の書籍は資格学校の先生や税理士が書いていますが、この本は実務経理と税理士の両方の経験を持つ著者が書いています。そのため、実用的な知識からいざと言う時の辞書的な役割での利用まで、幅広くカバーしてくれる良書です。
独立したい・フリーで働きたい人向けの3冊
次に、これから独立してフリーランスで働くことを考えている人向けに最低限知っておくべき知識が書かれた本を3冊紹介します。
1.『開業から1年目までの 個人事業・フリーランスの始め方と手続き・税金』
出版社日本実業出版社 (2013/1/31)
著者 | 望月 重樹 |
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この本はタイトルの通り開業に向けた内容、ネットショップの作り方、屋号と商標権に関することなどが幅広く網羅されています。
特に1年目は事業を軌道に乗せることと、事務手続きを平行して行わなければならず本業がおろそかになってしまうことが考えられます。事務作業に時間をとられて事業拡大のチャンスを逃すことのないように、この1冊で事前にシミュレーションしておきましょう。
2.『フリーランス、個人事業、副業を持っている会社員のための 「個人か? 会社か?」から申告・節税まで、「ソン・トク」の本音ぶっちゃけます。』
出版社ダイヤモンド社 新版 (2012/11/16)
著者 | 岩松 正記 |
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これから独立をもくろんでいる方向けに、副業とフリーランスの申告から節税までを解説してくれます。
その中でも、特にどの選択が「ソン」で何をすると「トク」なのかを税理士の著者が解説しています。会社員からフリーランスになる前に本当に自分の将来像にとって「トク」になるのかを確認できる1冊です。
3.『一日も早く起業したい人が「やっておくべきこと・知っておくべきこと」』
出版社明日香出版社 (2013/2/14)
著者 | 中野 裕哲 |
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起業すると会社員の時と何が変わるのかが解説されています。勢いで起業を決める前に一度、会社員のまま実現しようとするのと起業するのではどの様なメリットデメリットがあるのか確認できます。さらに、どうやってビジネスプランを立てればいいのかなどの経営的な情報も書かれています。
独立した!フリーで働いている人向け3冊
続いては、すでにフリーランスで働いている人が会計関連の業務をより効率的にしたい時に役立つ本を3冊紹介します。
1.『フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。』
出版社日本実業出版社 (2005/12/8)
著者 | きたみ りゅうじ |
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すでに独立してフリーランスで働いている人がしなければならないことと、その方法がわかりやすく解説されている本です。まずはこの本を読んで「なにがわからないのかがわからない」という状態を脱しましょう。
2.『最新 知りたいことがパッとわかる勘定科目と仕訳が見つかる本』
出版社ソーテック社 (2010/12/18)
著者 | 北川 真貴 |
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例えばPASMOやSuicaチャージ、イベント機材レンタル、ドメイン使用料などの個人事業主にはあって法人が使うことのない「事業主借」「事業主貸」という科目をどう仕訳すればいいかが解説されています。つい感覚で処理しがちな仕訳をこの本ではっきりさせましょう。
3.『個人事業主・フリーランスのための 得する! 法人成り』
出版社中央経済社 (2014/3/12)
著者 | 田川 裕一 |
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このままフリーで続けるべきか、法人化した方がいいのか、悩んでいる方にオススメの1冊です。「1円会社」という言葉があるように、会社法の改正により資本金1円から会社設立ができるようになりました。
会社設立のハードルは下がったとはいえ、実際に設立するとどうなるのかが、この1冊で明らかになります。持分会社(合同会社や合名会社)といった会社法に関する情報も網羅されているお得な1冊です。
経営者向けの4冊
ここではすでに起業をしており事業が軌道に乗ってきた経営者向けの本を紹介します。無駄なく、間違いなく会社を経営するための知識が書かれています。
1.『プロコンサルタントの計数力―新発想による社長のための経営力会計』
出版社同友館 (2010/09)
著者 | 石 光仁 |
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起業して数年経過し、改めて自身の会社の会計や税務を客観的に評価したい方にはプロのコンサルタントの目線から解説された書籍が最適です。
管理会計と財務会計および税効果会計など理論的に理解して実践していたとしても、まだまだ有効活用すべき分析事項や新たな発見があるかもしれません。この1冊を通じて今までの会計本とは異なるレベルの知識を得ることができます。基本を理解し今度はワンランク上の本を読みたいあなたにオススメの1冊です。
2.『新版 会計法規集<第7版>』
出版社中央経済社 新版 第7版 (2014/9/13)
著者 | 中央経済社 |
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会計や税務に関するある程度の知識がある場合、法規に関する書籍を一度お読みになるとマクロ的な視点から会社を眺められるようになります。会社法、監査基準、四半期会計基準の改正に関する内容や、会計関連法規について深い知識を得ることができます。会計処理の基となる法律を確認することで新たな発見があるかもしれません。
3.『合格テキスト 日商簿記1級 商業簿記・会計学 (1) Ver.11.0 (よくわかる簿記シリーズ)』
出版社TAC出版 Ver.11.0版 (2014/11/19)
著者 | TAC簿記検定講座 |
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会計の知識を本気で身につけたいのなら、実は日商簿記試験のテキストを読んで、問題を解くことが一番確実な方法です。実際に自分の頭で考えてアウトプットできるようになって初めてできるようになったと言えます。
なぜここで1級を紹介しているかと言うと、まずは1級のレベルがどの程度か把握し、わからない箇所を理解するために2級3級とトップダウンしていく方が無駄なく知識を吸収できるからです。ご自身の会計知識が1級とどのくらい差があるのか試しに読んでみてはいかがでしょうか。
4.『ユニクロ監査役が書いた 強い会社をつくる会計の教科書』
出版社ダイヤモンド社 (2012/5/18)
著者 | 安本 隆晴 |
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いつでも初心に帰ることは大切です。この本は会計に関する細かい知識やテクニックというより、成功者としての数字の使い方が書かれています。
「節税」や「経費削減」といった目先の効果に疲れてしまった方が、奇をてらった戦術ではなく当たり前のことを愚直に実践することの重要性や、さまざまな情報をインプットしてからこそのシンプルなアウトプットなどもう一度初心に帰るために役立つ1冊です。
鉄板の節税本2冊
ここで紹介するのは全ての人に関わる「節税」に関する本です。払わなくていい税金をどう見つけるかを知ることで家計を楽にする方法が書かれています。
1.『経費で落ちるレシート・落ちないレシート』
出版社日本実業出版社 (2013/12/21)
著者 | 梅田 泰宏 |
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事業のことが手一杯で、税務に関する基礎的なことを勉強する時間を割けない!とにかく新鮮な情報をわかりやすく理解したい!というフリーランスや個人事業主、経営者のあなたにオススメの節税本です。
領収書とレシートの違い、領収書には何が書いてあればいいのか、1枚の領収書を2枚にわけることはできるのかなどといった素朴な疑問から、キャバクラ代やマンガ代はどうなるか、植毛は経費で落とせるかなどといった一風変わったな案件まで幅広く解説されています。
2.『ちょっと待った!!社長!御社の税務調査ココが狙われます!!』
出版社すばる舎 (2013/10/2)
著者 | 見田村元宣 |
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税務調査は突然やってきます。不注意や勘違いでうっかり法律違反をしてしまわないように、どういった点を注意すべきかを実践的に解説してくれているのがこの本です。いざというときにパニックにならないためにも、この1冊で備えておきましょう。
これから税理士を目指したいと考えている人向けの1冊
最後に紹介するのは、これから税理士を目指すことを考えている方におススメの1冊です。
『働きながら3年で!税理士 最短合格の時間術・勉強術』
出版社インデックスコミュニケーションズ (2005/08)
著者 | 山本 憲明 |
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社会人になってからも税理士を目指す道をあきらめる必要はありません。この本は税理士試験のためにどのようなことをすべきかが書かれている本です。これから税理士を目指したい方や、税理士に興味がある方は一度読んでみると大変参考になります。
まとめ
税法は毎年といっていいほど改正が行われます。出版年度によっては、現在は実施されていない計算方法が出てくるかもしれないため今回は比較的新しいものを選書しました。
会計や経理を面白いと思えるかどうかは、「1冊の出会いがすべてである」といっても過言ではありません。1冊の本の出会いで知ってはいたけれど説明できなかった知識の理解が一気に深まることがあります。ぜひあなただけの運命の1冊を探してみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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