• 更新日 : 2024年8月8日

税理士がすすめる「究極の会計本」 経理マンはこの3冊を読め!

「経理」とネットで検索すると、「つまらない」という関連キーワードが候補にあがります。経理といえば、どこか裏方と思われがちで、一日中デスクに張り付いて作業に追われる、ちょっと退屈な仕事というイメージがあるのかもしれません。とはいえ、経理担当者であれば嫌々ではなく、ポジティブに取り組みたいですよね。

今回は、経理や会計をつまらなく感じていたり苦手意識があったりする人でも、「ちょっと経理が好きになる」「経理の面白さに気付ける」本を、税理士の末松和真先生に紹介してもらいました。

会計本で挫折した人へ! 今度こそ最後まで読める“小説風”の会計本

【1】本の内容

「会計の知識を身に付けたい!」 そう思って「優しい」「簡単」「入門」という枕言葉が添えられたハウツー本を手に取るも、本を開けば小難しい専門用語や横文字のオンパレードで、結局途中で挫折した。そんな経験はありませんか?

そんな悩みを解決する一冊が『会計天国 今度こそ最後まで読める、会社で使える会計ノウハウ 』(PHP研究所、竹内謙礼・青木寿幸共著)です。小説形式で物語が展開していくので、飽きることなく楽しんで読み進めることができます。

物語は、経営コンサルタントの主人公が事故死するところから始まります。人生どん底の人々を「会計の力」によって救うことができれば、現世に生き返るチャンスを与えられた主人公。その主人公が行き詰った社長や実業家を次々と救う展開の中で、読者は会社が傾くような危険な状況を生み出すのも「会計」であり、またその逆境から立て直すのも「会計」であることに気付くはずです。

先の展開が気になってページをめくる手が止まらないのに、気が付けば会計を体系的に学べているという理想的な一冊です。

【2】こんな人にオススメ

会計の本を何冊か購入して、挫折した経験ある人
起業したての人

【3】読了時間(目安)

2時間弱

【4】末松税理士の選書理由

専門的な知識が全くない人でも、ストーリーを楽しみながら会計と決算書の理解を深められるというのがこの本を選んだ理由です。たしかに、会計はたくさんの専門的知識を覚えなければいけません。だからといって、「=難しい」という訳ではないのです。
この本ではストーリーに合わせて、ざっくりと「会計とは何か?」が理解できます。それだけでも会計は小難しいというイメージが払拭できるので、とくに起業したての経営者にオススメしています。

学んだ知識で思わず決算書が読みたくなる!? 累計60万部のベストセラー

【1】本の内容

ご存知の方も多いであろう、シリーズ累計60万部を誇るベストセラー『【増補改訂】 財務3表一体理解法』(朝日新聞出版、國貞克則著)。経営判断をするために必要な財務諸表の基本である貸借対照表損益計算書キャッシュフロー計算書の「財務3表」について、図表をふんだんに用いて、プロじゃない人にもわかりやすく説明している本です。
この財務3表、会計の入門書では章ごとにわけて説明されていることが一般的です。そうすると初心者の人などは、3表を一つひとつ理解しようとしてしまい、会計の全体像が見えづらくなる可能性があります。
財務3表を理解するためには、まず3表には「つながりがある」と知ることが重要です。本書はこの「つながり」をわかりやすく説明しているので、3表の大枠を掴み、会計の全体像を見通すことができるようになります。今まで専門用語と複雑な数字で、決算書にアレルギー反応を起こしていた人も、この本を読むだけで「決算書は何か?」が直感的に理解できるようになるはずです。

【2】こんな人にオススメ

もっと決算書について学びたい人
自社の決算情報をまとめたい人

【3】読了時間(目安)

3時間

【4】末松税理士の選書理由

本書では、財務3表の見方だけでなく作られ方の手順まで詳細に学ぶことができます。財務3表の全体の「つながり」を理解すると、他社の決算状況や自社の過去の情報などを学ぶことに活かせます。

とくに、同業他社の財務3表が読めるか否かで、経営戦略も大きく変わってきます。きっと、学んだ知識を使って決算書が読みたくなるはずです。

日本を代表するカリスマ実業家が「会計」の重要性を説いた一冊

【1】本の内容

「会計がわからんで経営ができるか!」という帯が目を引く、稲盛和夫氏による著書『稲盛和夫の実学―経営と会計』(日本経済新聞社、稲盛和夫著)。稲盛氏といえば、京セラや第二電電(現KDDI)の創業者で、日本を代表するカリスマ実業家のひとりです。

経営者から軽視されがちな会計ですが、稲盛氏曰く「経営に対して真摯に向き合うのであれば、『経営に関する数字』は、脚色も誇張もあってはいけない」と重要度を説いています。

実際の取引と勘定を合わせなければならならないという原理原則を、シンプルにわかりやすく説明している本で、経営者本にありがちな成功体験や属人的なエピソードの紹介ではありません。ユーモア溢れる話し口で、会場を楽しませてくれる講演会を聞いている気分になる本です。

稲盛氏の経理担当者とのエピソードや、企業の成長過程で編み出した「屋台一台を貸し出し夜なきうどんの屋台をひかせ、仕入れや値付けなどを実地で学ぶ研修技法」や「たくさん購入して割引を得るのではなく、都度必要な分のみを購入し、正しいコスト設計を行う一升買いの法則」など、経営に結びつく「会計」要素が所狭しと紹介されています。

【2】こんな人にオススメ

経営者
経営的視点を知りたい会計担当者
起業家

【3】読了時間(目安)

2時間

【4】末松税理士の選書理由

経理業務が経営に不可欠だということを痛感でき、日々の経理業務の大切さがわかる本です。会計担当者だけでなく、会計は任せればいいと思い込んでいる経営者や、ビジネス全体を知りたいと考える人なども得るものが大きい本だと思います。

また、経理担当者であれば、自社の経営のためになくてはならない仕事をしているのだということを実感でき、仕事に活力が出るはずです。

会計ってやっぱり面白い!

書店の経理コーナーには大量の会計本が並び、どれを購入すればいいかと目移りしてしまうことが多いはずです。今回ご紹介した3冊を読むだけで、会計に対する「知識」だけでなく、経理の仕事への「モチベーション」が高まったり、退屈に感じていた作業に「面白さ」を感じたりできるはずです。

どの書籍も電子書籍版も販売されていますので、ぜひ手に取ってみてください。


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