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  • 作成日 : 2019年10月25日

「ROE」「ROA」からわかる決算書の読み方と分析方法

ROEとROAは、企業の投資効率を示す経営指標の一種です。これらの経営指標は、自社の収益性分析を行うためには欠かせません。

今回は、ROEとROAの概念と計算方法について説明した後、収益性分析に必要な他の重要指標の計算方法や他社情報の入手方法などについて解説します。

ROE、ROAとは?

企業の決算書を調査していると、ROEやROAといった単語をよく目にするのではないでしょうか。よく似た略語ですが、両者の示す意味には違いがあります。

ROE(Return on Equity)とは、自己資本利益率といい、自己資本からどれだけの利益を生み出したのかを示す経営指標です。

ROA(Return on Assets)とは、総資産利益率といい、総資産からどれだけの利益を生み出したのかを示す経営指標です。

いずれも企業の投資効率を示し、効率的な投資ができているかを判断することができます。次に、ROEとROAは、具体的にどのようにして算出するのかについて見ていきましょう。

ROE、ROAの計算方法

(1)ROEの計算方法

ROEは、決算書の数値を次の公式に代入することで算出できます。

ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

ROEは、株主(投資家)が投資効率を判断する際に用いる指標です。企業は自己資本(株主から得た資本金等)を元手に純利益を稼ぎ、稼ぎだした純利益を「配当」という形で株主に還元します。株主から見れば、自分たちの投下資本がどの程度の利益を生み出すのか、判別することができます。

(2)ROAの計算方法

ROAは、決算書の数値を次の公式に代入することで算出できます。

ROA(%) = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100

ROAは、自己資本だけでなく金融機関から借り入れた負債(他人資本)も含めた調達金額(総資産)を、どの程度効率的に運用できたかを示す指標です。株主目線ではなく、「会社全体としての」投資効率を示す指標であるとも言われます。

ROE、ROAの良し悪しの判断基準

一般的に、ROEは10%以上、ROAは5%以上あれば良いと言われています。しかしROE・ROAの基準は、企業の業種によって大きく異なります。また、同業種であったとしても、ビジネスモデルによって投資効率は異なります。

そのため、できる限り自社と類似したビジネスモデルを採用している企業のデータを集計し、他社比較を行いましょう。

安全性分析の重要な指標

ROE、ROAは投資効率・収益性を判断する上では重要な指標です。しかし投資効率のみを追求していると、資金繰りなどに困窮し、安全性を損なう危険性があります。

安全な組織運営を行う上では、安全性分析も重要になります。安全性分析の代表的な指標は、次の通りです。

・流動比率
 流動比率(%) = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100

当座比率
 当座比率(%) = 当座資産 ÷ 流動負債 × 100

自己資本比率
 自己資本比率(%) = 自己資本 ÷ 総資本 × 100

(1)流動比率

企業の安全性を、流動性の観点から分析する指標です。流動負債と流動資産を比較することで、手元の資金繰りが正常かどうかを判断することができます。流動比率は、一般的に200%以上あれば問題ないと言われています。

(2)当座比率

当座比率は、流動比率よりも厳密な安全性分析の指標です。「当座資産」は「流動資産」に近い概念ですが、流動資産から棚卸資産などの現金化できない流動資産を控除しています。

これは万が一「今」現金を用意する必要に迫られた場合に、棚卸資産等は即現金化することができず、緊急時の支払が困難となるケースを想定しているためです。一般的に、当座比率は100%以上あれば問題ないと言われています。

(3)自己資本比率

自己資本比率は、総資産における自己資本の割合を示します。自己資本比率が低ければ、負債の割合が少ないことを意味するため、倒産リスクは減少し、安全性があると考えられます。

しかし自己資本比率があまりにも低すぎる場合、敵対的買収を受けるリスクが増加するため、留意が必要です。

分析のための情報の入手経路

投資効率を分析するためには、他社の指標を確認する必要があります。そのために用いる資料が決算書です。他社の決算書は、たとえば次の経路で入手することができます。

EDINET(上場企業の有価証券報告書四半期報告書)
・各企業のIRページ(決算単信等)
・その他、マーケットデータベース

EDINETでは、上場企業の決算書を入手することができます。上場企業の場合には公認会計士または監査法人の会計監査を受けているため、開示されている決算書の信頼性は非常に高いです。

また、非上場企業の決算情報を閲覧したい場合は、各企業のIRページから閲覧すると良いでしょう。ただし、1企業1企業ごとに決算書を入手する手間がかかります。

「同業種」の決算書をまとめて多く入手したい場合は、マーケットデータベースを提供しているサービスを利用すると良いでしょう。業種ごとに出力できるなど、他社比較に有用な情報が入手できるほか、データベース上で比較を行うことができるサービスもあります。

他社情報を入手し、正しい収益性分析を

ROEとROAによる投資効率・収益性の分析および、安全性分析に関わる重要指標の計算方法について紹介しました。収益性分析の基本は、「他社比較」です。比較対象としてマッチした情報を入手し、他社比較を行うことで、自社の収益性分析に役立てましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:藤沼 寛夫(公認会計士)

ライター 兼 公認会計士
「会計」「税務」「財務分析」について、分かりやすい記事を提供します。
https://fujinuma-write.com/

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