• 作成日 : 2019年10月25日
  • 更新日 : 2020年10月2日

ROEとは?ROAとの違いと目安・計算式を解説

企業の決算書からは、数値を使ってさまざまなことを読み取れます。たとえば、決算書を使ったROEやROAといった分析です。いずれも、利益に関わる指標で、企業の投資効率を評価するのに使われます。この記事では、ROEやROAは何か、計算方法や判断基準の目安も含め解説します。

ROEの意味とは?

ROE(Return on Equity)は、自己資本利益率を意味します。以前は、株主資本利益率と言われていました。株主の投資額に対して、利益をどれだけ上げたかを意味していたためです。

2006年の会社法施行などで、「自己資本」と「株主資本」は異なる意味をもつ、と定義づけられたことにより、現在の「自己資本利益率」と訳されるようになりました。

ちなみに株主資本とは、資本金資本準備金資本剰余金、利益準備金、利益剰余金の合計額のことです。自己資本は、株主資本に投資有価証券の評価差額金などの資産の部のうち「評価・換算差額」の項目を加えたものを言います。

つまり自己資本利益率、ROEは、自己資本からどれだけの利益を生み出したのかを示す経営指標を表します。

ROAの意味とは?

ROA(Return on Assets)は、総資産利益率といい、総資産からどれだけの利益を生み出したのかを示す経営指標です。

ROEとROAの違いは?

ROEとROA、どちらも、「何かに対してどれだけ利益を生み出したか」という点は共通していますが、利益と比較する範囲が異なります。ROEは自己資本、ROAは自己資本よりも範囲の広い総資産です。ROEは自己資本に限った経営効率の良さ、ROAは会社全体の資産に対する経営効率の良さを見るのに適しています。

ROE、ROAの計算方法

(1)ROEの計算方法

ROEは、貸借対照表損益計算書の数値を次の公式に代入することで算出できます。

ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

さらに細かく分解すると、以下の計算式でROEは求められます。

ROE = 当期純利益 / 売上高 × 売上高 / 総資産 × 総資産 / 自己資本

つまり、収益性に関する計数(売上高利益率:当期純利益÷売上高)に効率性に関する計数(総資産回転率:売上高÷総資産)、そして財務安全性に関する計数(自己資本比率の逆数:総資産÷自己資本)をかけた値がROEなのです。

このように、財務安全を含めた計算を行う指標であることから、ROEは、株主(投資家)が投資効率を判断する際に用いられます。

企業は自己資本(株主から得た資本金等)を元手に純利益を稼ぎ、稼ぎだした純利益を「配当」という形で株主に還元します。株主から見れば、自分たちの投下資本がどの程度の利益を生み出すのかROEによって測れるのです。

(2)ROAの計算方法

ROAは、貸借対照表と損益計算書の数値を次の公式に代入することで算出できます。

ROA(%) = 事業利益(営業利益受取利息 + 配当金 + 持分法による投資損益) ÷ 総資産 × 100

本来なら、ROAの計算では経常利益ではなく、事業利益を用いますが、国内では経常利益を用いて計算することも多いです。

ROEとは違い、自己資本に対する財務安全性は考慮されません。ROAは、自己資本だけでなく金融機関から借り入れた負債(他人資本)も含めた調達金額(総資産)を、どの程度効率的に運用できたかを示す指標です。株主目線ではなく、「会社全体としての」投資効率を示す指標であると言えます。

ROEとROAの判断基準と目安

一般的に、ROEは10%以上、ROAは5%以上あれば良いと言われています。株式市場においては、ROEが評価されはじめるのはPBR(株価純資産倍率)との相関が強まる8%以上が目安です。

ただし、ROE・ROAの基準は、企業の業種によって大きく異なりますし、経済状況などにも左右されます。また、同業種であったとしても、ビジネスモデルによって投資効率は異なります。必ずしも、ROEやROAが高いから良いとも限りません。その時その時、また企業活動もよく見て判断する必要があります。

なお、日本の上場企業のROEの平均は2018年で9.4%、ROAは3.9%でした。アメリカは、同年のROEが18.4%、ROAが6.2%、ヨーロッパはROEが11.9%、ROAが4.2%ですので、日本は欧米に比べROEやROAの平均水準が低いことが分かります。

2013年あたりから国内のROE、ROAは上昇傾向には転じていますが、まだまだ日本企業の収益性は高くないのが現状です。国際比較で日本企業のROEやROAが高くないのには、収益率の低い事業への投資、高コスト、ビジネスの効率化、リスクテイクに消極的なことが理由として挙げられます。

ROEとROAの影響

財務指標として活用されるROE、ROAは、一般的に値が高いほど企業の評価も高いと説明しました。つまり、逆に考えれば、ROEやROAの評価が低いと企業が十分に収益を上げていないと考えられ、企業価値の低下が予想されるということです。

投資家が利用するROEが低いと株価が下がり、ROEが高いと株価も上がりやすいと言われるのはこのためです。一時的な株価の下落は企業にとって大きな影響にはなりませんが、長期的な下落は、新株発行時の資金調達を困難にします。

新株発行で十分に資金を調達できないと、本来コストをかけて成長させたかった分野に十分な投資ができないなど、経営にも影響してくるでしょう。

ROAについても同様です。マイナスや低い値ばかりが続くと、企業の存続にも影響が出てきます。

ROEとROAの改善方法

ROEの計算式は分解すると、収益性に関する計数、効率性に関する計数、財務安全性に関する計数に分けられると前述しました。これらは財務指標で表すと、収益性:売上高利益率、効率性:総資産回転率、財務安全性:自己資本比率の逆数です。このうち、自己資本比率は財務レバレッジ(負債の利用度)が増大すれば減少しますので、自己資本比率の逆数は、財務レバレッジが増えれば増大することになります。

つまり、ROEを改善したいなら、売上高利益率、総資産回転率、財務レバレッジ、の3つの側面で考える必要があるのです。

もう少し詳しく説明すると、以下について考えるということです。

  • 売上高利益率を高めるために売上を伸ばす
  • 売上高利益率を高めるためにコストを抑える
  • 総資産回転率を上げるために投資事業や投資設備を見直す
  • 財務レバレッジ増加のために借入金や社債の割合を増やす

上記はいずれもROE改善につながる方法ですが、財務レバレッジの増加は負債を増やすため、事業がうまくいかなくなった時のリスク増大にもつながります。

ROAは、財務レバレッジ以外を評価する指標ですので、ROE改善を重視するのではなく、ROA改善を主眼に、経営の見直しを図るのが良いでしょう。

分析のための情報の入手経路

投資効率を分析するためには、他社の指標を確認する必要があります。そのために用いる資料が決算書です。他社の決算書は、たとえば次の経路で入手することができます。

EDINETでは、上場企業の決算書を入手することができます。上場企業の場合には公認会計士または監査法人の会計監査を受けているため、開示されている決算書の信頼性は非常に高いです。

また、各企業のIRページから閲覧する方法もあります。なお、非上場企業の決算情報収集の場合は、必ずしも企業ページから入手できるとは限りません。そもそも決算書を広く開示する義務がない企業もあります。企業ページにない場合は、官報などを活用して非上場企業の決算書を探す方法もひとつです。

「同業種」の決算書をまとめて多く入手したい場合は、マーケットデータベースを提供しているサービスを利用すると良いでしょう。業種ごとに出力できるなど、他社比較に有用な情報が入手できるほか、データベース上で比較を行うことができるサービスもあります。

他社情報を入手し、正しい収益性分析を

ROEとROAの概要や計算方法、目安や活用方法について紹介しました。収益性分析を行い改善していくには、正しく分析を行い、同業他社の情報を入手して比較することが重要です。適切な情報を入手し、自社の収益性分析に役立てましょう。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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