- 更新日 : 2024年11月21日
ICカードで簡単!交通費精算のペーパーレス化でコスパ・タイパの実現
交通費精算のペーパーレス化を実現するなら、交通系ICカードに注目するのもおすすめです。公共交通機関の移動が多い場合は、ICカード利用によるシステムへの自動入力で、交通費精算の負担を軽減できる可能性があります。交通費精算の紙ベースでの課題やペーパーレス化の手順などについて解説していきます。
目次
交通費精算のペーパーレス化とは?
交通費精算とは、これまで書面で行っていた交通費精算の申請や承認、精算までの手続きを電子化することです。交通費精算のペーパーレス化は、交通費精算に対応している経費精算システムの導入によって実現できます。
近年、働き方改革により多様な働き方が促進されています。働き方改革に対応するために、従来の働き方を見直して、新しい勤務形態を導入している企業もあるのではないでしょうか。交通費精算のペーパーレス化は、多様な働き方の対応にも適しています。例えば、リモートワークなどによる複雑な交通費精算の問題も、システム上で対応できるようにすることで、経理担当者に大きな負荷をかけずに解決できます。
また、ペーパーレス化を実現できれば、申請や承認などの手続きがオンラインで行えるようになります。交通費精算のペーパーレス化は、業務効率化や人手不足の対応にも役立つでしょう。
交通費精算の流れ(一例)
交通費精算の流れは組織によって異なります。ここでは、一般的な交通費精算の流れを紹介します。
①交通費の立替え
基本的に、取引先への移動や出張で生じる交通費は、会社から仮払いをする場合を除き、社員の立替金とします。料金立替えの事実を証明するために、社員には領収書を取得してもらい、紛失しないように保管してもらいます。領収書がない場合は、料金や利用日がわかる明細書などを用意してもらいましょう。
②交通費申請書の作成
会社の様式に従って、交通費の立替えをした社員に交通費申請書を作成してもらいます。交通費申請書はその都度作成する場合もありますが、月末にまとめて記載して作成することもあります。利用日時や利用した交通機関、行き先やルート、金額が明確にわかるようにフォーマットを作成しておきましょう。交通費申請書提出の際に、利用時の領収書や明細書も添付してもらいます。
③上司による承認・押印
交通費申請書は、行き先や移動の日時が妥当かチェックしてもらうために、まずは上司に確認してもらうのが一般的です。交通費申請書の提出を受けた上司は、内容を確認して、問題がない場合は承認印を押印します。
④経理担当による確認と出金(問題があれば差し戻し)
上司から承認を受けた交通費申請書は経理担当者に提出され、経理部門で確認が行われます。経理部でチェックするのは、利用日時や利用区間の料金、最短ルートが選択されているかなどです。添付された領収書と申請書の内容を比較して、申請内容に不備がないかも確認します。申請のあった内容に問題があれば書類の差し戻しが行われ、問題がない場合は出金が行われます。
⑤精算金の受け取り・受領印
申請者は交通費の申請額を受領したら、交通費申請書に受領印を押印して書類を提出します。経理部門は、提出を受けた受領印押印後の申請書を保管します。
交通費精算の経費処理で起こりがちなミスや課題
紙ベースの交通費精算で起こりやすいミスや問題を取り上げます。
手作業による記載ミス
紙ベースの交通費精算は、記載が必要な部分のほとんどを手作業で行います。人為的なミスが生じやすく、記載ミスや記載漏れが発生することがあります。
差し戻しによる手間の増加
交通費申請書に記載漏れや記載ミス、あるいは書類の添付漏れなどがあった場合は、書類の差し戻しが発生します。差し戻しが起きると、該当箇所を修正してもらい、再度提出してもらわなければなりません。差し戻しにより確認作業が二重に生じることから、経理担当者の負担が増加する問題があります。
承認プロセスのタイムラグ
本業が忙しいと、交通費精算の承認プロセスが後回しになることがあります。また、紙ベースの申請書は原本を確認した後の承認が必要です。承認するまでに時間がかかり、入金までにタイムラグが生じることがあります。
エクセルと会計システムとの二重入力
交通費精算について、会計システムとは別に交通費を管理しているケースもあります。交通費を分けて管理している場合に発生するのが二重入力の問題です。交通費精算を管理しているエクセルのシートと会計システムのどちらにも情報を入力しなければならない場合、入力の手間がかかります。
ICカードで簡単!交通費精算のペーパーレス化
交通費精算をペーパーレス化することで何ができるのでしょうか。交通費精算システムに備わっている代表的な機能を紹介します。
ICカードから交通費の自動入力
交通費精算システムの中には、SuicaやPASMO、SUGOCAなどの交通系ICカードに対応しているものもあります。交通系ICカードを利用した交通費精算の特徴は、ICカードを読み取るだけで、自動でデータを取得できることです。ICカードリーダーやアプリで読み取るだけで、利用日時、金額、出発地、到着地などのデータが自動取得されるため、人為的なミスを防止できます。
経路検索から運賃の自動計算
交通費精算システムには、乗車駅と降車駅を入力することで経路検索を行い、選択した経路から運賃を自動で計算できる機能があります。金額は自動で入力されることから入力ミスが生じません。交通費の最短経路や運賃を検索する手間も省けます。
定期区間の自動控除
交通費精算システムを利用すれば、定期区間を登録しておくことで、自動で定期区間の運賃が控除されます。通勤のために購入している定期区間については、別途交通費が発生しません。そのため、乗車駅から降車駅までの経路から定期区間を控除して計算する必要があります。
外出先から経費の申請と承認
交通費精算システムの多くは、パソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンなどの複数の端末に対応しています。アプリをインストールしていれば、外出先など会社以外からも経費の申請や承認ができます。
ICカードを使ったペーパーレス交通費精算のメリット
ICカードを使った交通費精算のペーパーレス化には、以下のようなメリットがあります。
- 申請ミスを減らせる
- 確認や承認の負担を減らせる
- 承認プロセスのタイムラグを改善できる
- コピー代などのコストを削減できる
- データを一元管理できる
申請ミスを減らせる
ICカードを利用した交通費精算のメリットは、カードリーダーやアプリで読み込むことで、自動で必要なデータを取得できることです。読み取ったデータが自動で入力されるため、入力の必要がほとんどありません。入力ミスによる交通費申請の差し戻しを防止できます。また、カードから読み取ったデータが反映されるため、不正防止にも役立つでしょう。
確認や承認の負担を減らせる
スマートフォンなどの手持ちの端末で交通費申請や承認ができるのも交通費精算をペーパーレス化するメリットです。交通費精算のために、出社したり、帰社したりする必要がなくなります。また、必要なときに社外から申請や承認ができるため、多様な働き方にも対応できます。
承認プロセスの時間を減らせる
交通費申請書は原本を確認してからの承認になるため、申請しても承認までに時間がかかることがあります。特に、出張の多い部署の場合、紙ベースだと出社しなければ確認できないため、承認作業が滞ってしまうこともあるでしょう。ペーパーレス化すれば手持ちの端末上で確認できるため、承認プロセスのタイムラグを改善できます。
ペーパーレス化によるコスト削減
紙ベースでの交通費精算では、申請書の印刷費やコピー用紙代、申請が受理された交通費申請書の物理的な保管スペースが必要になります。保管スペースについては、社内に保管しきれない場合、別途保管場所のコストがかかることもあるでしょう。ペーパーレス化を実現することで、申請書の印刷コストや管理コストの削減ができます。
データの一元管理
交通費の申請から承認、出金までデータを一元管理できるのもペーパーレス化のメリットです。データがまとまっているため、必要なときに必要なデータを取り出しやすくなります。
ICカードを使ったペーパーレス交通費精算の事例
ICカードを使ったペーパーレス化でどのような変化が起きたのか、交通費精算システム導入の事例を紹介します。
経費精算処理にかかる時間が半減|株式会社ビューカード
毎月120件ほどの交通費精算を経理担当者3人で行なっており、確認作業に時間がかかる問題を抱えていました。表計算ソフトを利用するなど工夫は行なっていたものの、業務効率化は思うように進まず、人的ミスが多く差し戻しが多いなどの問題もありました。
ICカードを利用した交通費精算システムを導入したことにより得られたのは、交通費精算にかかる作業時間の大幅な削減です。導入により、確認にかかる時間は半分程度に減りました。ICカードで交通費の自動入力できるようになり、再チェックなどが不要になったことが理由です。経理担当者からの通知もアプリで簡単に確認できるため、申請者と担当者のコミュニケーションの円滑化にも役立っています。
交通費精算はICカードの読み取りで申請完了|Amazia
紙ベースで交通費精算を行っていたため、人的ミスや承認プロセスのタイムラグ、担当者や申請者などの負担に課題を抱えていました。また、営業と経理担当者が二重に入力している問題も抱えていました。
交通費精算システムの導入にあたり重視したのは、会計ソフトとの連携による二重入力の解消と、申請者・承認者の負担軽減です。ICカードを使用した交通費精算により簡単に申請ができるようになり、交通費の精算漏れが解消されました。また、取引先から申請を行なったり、場所にとらわれず承認できるようになったりしたことで、社員からも喜びの声があがりました。会計ソフトとの連携により、二重入力の問題も解消されています。
交通費精算のペーパーレス化を進める手順
交通費精算システムでペーパーレス化するための手順を紹介します。
ペーパーレス化の目標設定
- 記載ミスが多い
- 承認フローが複雑
- 承認作業にタイムラグが生じている
- 確認作業に時間がかかる
- 二重入力が生じている
など、企業ごとに交通費精算で抱えている主な課題は異なるのではないでしょうか。交通費精算システムもそれぞれ特徴があるため、適切なシステムを導入するためにも、ペーパーレス化で何を実現したいのか目標を明確にしておく必要があります。複数の課題を抱えている場合は順位付けを行い、最も解決したい課題は何か整理しましょう。
システムの選定とトライアルの実施
目標を設定したら、ペーパーレス化の目標を達成できるシステム選定を行います。目標の達成につながる機能が備わっていることが重要です。ICカードで効率のよい交通費精算を実現したい場合は、ICカードの自動入力に対応したシステムを選ぶようにします。
また、必要な機能が備わっていても使い勝手まではわかりません。トライアルでシステムの利用に問題がないか確認することをおすすめします。
社員への周知
紙ベースの交通費精算からペーパーレス化は大幅な変更になるため、社内で不安の声があがることも珍しくありません。交通費精算システムを利用する社員に対して丁寧に説明していくことも重要です。
社員にペーパーレス化を周知させる方法として、説明会の実施などがあります。ペーパーレス化の説明では、社員にどのようなメリットがあるのかも十分に説明することが重要です。実際にシステムを操作する機会を設ければ、使用感や利便性などを実感してもらいやすくなります。
全社への展開と評価
交通費精算システムの導入は、一気にペーパーレスに変更する方法と、紙ベースと併用しながら徐々にペーパーレス化していく方法があります。社内の状況や社員の声にも耳を傾けながら、自社に適した方法で導入を進めていくのが望ましいでしょう。
ペーパーレス化の直後は、さまざまな問題が生じることもあります。1カ月後などの評価期間を設けて、導入がうまくいっているか、問題が生じていないか、定期的に評価を行いましょう。
交通費精算のペーパーレス化はマネーフォワードがサポート
交通費精算の申請や承認は、「マネーフォワード クラウド経費精算」がサポートしています。交通系ICカードのほか、クレジットカードなど2500を超えるサービスと連携でき、データの自動取得ができます。ICカードはスマートフォンにタッチするだけでデータを自動取得できるため、入力の手間がかかりません。ほかにも、下記のような機能が備わっています。
- 領収書画像データの自動取得
- OCR入力
- アプリで申請
- アプリで承認
- 定期区間の控除
- チャット機能
など
交通費精算のひな形、テンプレート
表計算ソフトを利用して交通費精算を行う企業向けに、交通費申請書のテンプレートも用意しています。
▼交通費申請書のテンプレート一覧はこちら
交通費申請書の書き方は、こちらの記事を参照ください。
交通費精算はペーパーレス化で効率化を目指そう
交通費精算のための確認作業などに時間がかかっている場合は、ペーパーレス化で作業効率が上がり、作業時間の軽減が実現できる可能性があります。自社にとって最適な方法を選択するなら、自社が抱える交通費精算のボトルネックとなっている課題を解決できるシステムを導入することが重要です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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