- 更新日 : 2024年11月1日
出金伝票とは?領収書なしでの経費処理の仕方や書き方・使い方を解説
出金伝票とは「出金」の名前のとおり、企業から現金が出ていく取引を記録するための書類です。経理作業の効率化につながったり、税務署から調査が入ったときの対応用に使えたりと、非常に役立ちます。
本記事では出金伝票の概要や記載事項、使い方、書き方などについて見本を確認しながら解説します。また、領収書や入金伝票、振替伝票との違いについても併せてみていきましょう。
目次
出金伝票とは
出金伝票は、個々の取引内容をその場で記録するために使う「伝票」の1種です。伝票は帳票書類のうちの1つで、お金の動きに関わる流れを記録します。
勘定科目や取引内容といった会計上の取引実態がわかるようにすると、仕訳帳の代わりにすることも可能です。この特性は出金伝票も該当します。詳細をみていきましょう。
出金伝票の概要と主な記載内容
出金伝票とは、主に「企業から現金(紙幣等)を直接支出する取引」を記録する伝票です。消耗品や備品を店舗で購入する場合や、飲食店での接待交際費を支払った場合などの取引が該当します。
出金伝票の書式に関する法的な決まりや企業会計原則はありません。自由に決められます。ただし「伝票式会計」による会計処理で使うときは、取引実態がわかるように以下の項目を記載しましょう。
- 日付
- 支払先(出金先)
- 勘定科目
- 摘要
- 金額
電子保存とする場合は、国税関連書類として伝票を作成しているケースのみ認められます。企業取引の整理や企業内決裁を目的とした作成の場合は電子保存不可です。
出金伝票と、領収書・入金伝票・振替伝票の違いは?
領収書と出金伝票の違いは書類の発行元です。出金伝票は自分で発行しますが、領収書は取引先が発行します。
入金伝票と出金伝票の違いは「企業に現金が入ってくるか出ていくか」です。入金伝票は「企業に現金が直接入ってくる取引」で使用します。飲食店が顧客から代金をもらったり、小売店が商品を販売して現金を受け取ったりする取引などが当てはまります。
振替伝票と出金伝票の違いは「企業から直接現金が出ていくかどうか」です。振替伝票を使うのは、現金以外を用いた取引を行うときが一般的です。例えば、クレジットカードで支払う場合や、銀行口座からの引き落とし対応などが当てはまります。
ちなみに、振替伝票は「現金以外の収入が発生する取引」でも使用します。
出金伝票はいつ使う?
企業から現金が出ていく取引を記録するのが出金伝票ですが、具体的にはどのような場面が当てはまるのでしょうか。
よくあるケースが、領収書が発行されない取引を行ったときです。領収書の代わりに出金伝票を作成することで、その取引で支出した金額を経費として計上できます。領収書が発行されない取引の具体例は、次のとおりです。
- 電車やタクシー代などの交通費
- 冠婚葬祭の慶弔費
- 割り勘を行った接待交際費
- 自動販売機の飲み物代
など
出金伝票を残していないと、税務署から「経費を架空計上していないか?」と疑われるリスクが発生します。しっかりした書式と記載がある出金伝票で記録しているほうが、メモ書きや保管していない場合に比べて、信頼されやすくなるでしょう。
また、保管していた領収書に問題が発生したときに、代わりとして出金伝票を使うケースが考えられます。紛失や書類の破れ、文字のかすれ、貰い忘れなどです。
出金伝票のひな形・テンプレート-無料ダウンロード
出金伝票を作成する際は、エクセル形式のテンプレートなどの利用が便利です。以下のリンクから出金伝票のエクセルテンプレートを無料でダウンロードできますので、ご活用ください。
経理処理に使える出金伝票の書き方
出金伝票作成のポイントは、日付や出金先、勘定科目、摘要、金額を正確に書くことです。日々の経理作業や確定申告書作成のときに「どんな取引なのか」「どこに支出したのか」「いくら出ていったのか」「どこに仕訳を行えばよいか」がわかるようにしましょう。
摘要には購入した物品名や飲食代などを具体的に、勘定科目は後で総勘定元帳へ転記する際にわかりやすいように、金額は8%税率と10%税率が区別できるようになどです。
記載例を以下でご紹介します。
出金伝票を使用する上での注意点や保管期間は?
出金伝票を使用・管理する上では、消費税法上の注意点や保管期間についても知っておきましょう。以下で解説します。
出金伝票使用の際の注意点
出金伝票を使用するときは、消費税法にもとづいた区分を行うことをおすすめします。具体的には軽減税率への対応です。飲食店経営で店内とテイクアウトを使い分けているときや、小売店経営で商品によって税率が違っているときなど、8%と10%の税率が混在する事業では重要になります。
とくにインボイスを発行する課税事業者は、不要な混乱を避ける意味でも出金伝票の作成時点で税率ごとに整理しておくとよいでしょう。
ただし原則として、出金伝票はインボイスとして発行できません。インボイスとして認められるには一定の事項を記載した上で、取引先(売手)の確認を受ける必要があります。
出金伝票の保管期間は領収書やレシートと同じ
法人税法上の出金伝票の保管期間は、領収書やレシートと同じ7年間です。会社法上の保管期間は10年間になります。
例えば、確定申告にて経費計上した消耗品費や交通費などの根拠として保管する場合は7年間です。伝票式会計上で仕訳帳の代わりに発行して保管する場合は10年間になります。
電子データとして保存する場合も保管期間は同じです。
出金伝票について正しく理解しよう!
出金伝票は、主に企業から現金として直接支出する取引を記録する伝票です。取引実態を正確に残せる点や、仕訳帳の代わりになるといったメリットがあります。また、税務署からの信頼性が上がるため、リスク回避にもつながるでしょう。
記載する内容もそれほど難しくありません。日付・出金先・勘定科目・摘要・金額を具体的に記入し「どのような取引だったのか」がひと目でわかるようにしておきましょう。
よくある質問
出金伝票とは?
主に企業から現金(紙幣等)を直接支出する取引を記録する伝票です。詳しくはこちらをご覧ください。
出金伝票作成のポイントは?
日々の経理作業や確定申告書作成のときに、日付や出金先、勘定科目、摘要、金額を正確に書くことです。詳しくはこちらをご覧ください。
出金伝票の保管期間は?
法人税法上の出金伝票の保管期間は、領収書やレシートと同じ7年間です。会社法上の保管期間は10年間になります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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