- 更新日 : 2026年1月27日
決算時に在庫を減らした方が良い理由とは?在庫と決算書の関係性
製品の加工や販売をするために、必要な商品を仕入れて在庫の確保を行う企業も多いでしょう。適正な在庫を保有しておくことで、品切れ防止や大量購入による単価コストの削減といったメリットが得られます。
一方で、在庫を抱えるリスクや貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書などの決算書との関係もあわせて理解しておくことが大切です。そこで本記事では、在庫と決算書の関係性や決算時に減らす理由、過剰在庫による影響などについて解説します。
目次
在庫と決算書の関係性とは
企業が加工や販売をするために保有している原材料や仕掛品、製品、商品などを在庫と呼びます。会社の財産に該当する在庫ですが、決算書である「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」や「キャッシュフロー計算書」にはどのような影響を与えるのでしょうか。在庫とそれぞれの決算書の関係性を解説します。
貸借対照表と在庫の関係

貸借対照表とは、決算日時点の財政状態を表す書類です。最終的に売上に貢献する在庫の存在は、貸借対照表の借方(左側)の「棚卸資産」に計上されます。
会社に必要な原材料などの商品は資産に該当しますが、在庫の時点では経費計上できません。つまり、原材料などを多く購入しても、節税にはつながりません。
在庫を多く抱える場合は、仕入れの支払時期と経費計上となる期のずれ、保管する倉庫の維持費などにも注意して現金管理を行うことが重要になります。なお、何年も倉庫保管されたままの在庫は、本来の価値が低下している場合が多く、現金化することが難しい状況から資産とは呼べないものもあるでしょう。
キャッシュフロー計算書と在庫の関係
キャッシュフロー計算書とは、損益と収支のずれを補正しながら、会計期間における現金の流れを示す書類です。営業・投資・財務の3つの活動区分に分かれており、在庫に関わる金額は、営業活動の「棚卸資産の増減額」に計上されます。
キャッシュフロー計算書に残る在庫金額の増加は、キャッシュフロー上ではマイナス扱いとなってしまいます。商品の収支など、企業本来の活動が区分されている営業活動のキャッシュフローがマイナスであることは好ましくありません。
在庫は会社の現金の流れを悪化させる原因です。また、在庫分を顧客に販売していたとしても、実際に入金されていなければキャッシュフロー上は依然としてマイナスになります。
決算時には在庫を減らした方が良い理由
在庫は重要でありながらも「決算時には減らした方が良い」といわれますが、それは何故でしょうか。ここでは、決算時に在庫を減らした方が良い理由を2つ紹介します。
売上総利益が減り税金面でメリットがある
決算時に在庫を減らした場合の1つ目のメリットが、税金面の負担軽減です。税金は売上総利益に対して金額変動します。
売上総利益は、次の計算方法で表すことが可能です。
売上原価とは、売れた商品にかかった仕入れや製造費用のことです。売上原価は次のように求められます。
売上に関わった分を売上原価として計上するため、売上総利益に在庫分は含まれません。つまり、決算時期に在庫を減らしておくことが、売上総利益の減少につながり、税負担の軽減にもつながるわけです。
キャッシュフローの悪化を防げる
決算時に在庫を減らしておくことで、キャッシュフローの悪化を防ぐ効果も期待できるでしょう。在庫は期末に会社の棚卸資産となり、貸借対照表上では資産として計上されます。
しかし、販売できない在庫が増加すれば、キャッシュフローは悪化していきます。在庫は売れない限り、現金化されないからです。
仕入れた商品が在庫として残り続ければ、在庫が現金の流れを悪くする原因になる可能性もあります。よって、キャッシュフローを安定させるためには、販売不能な在庫を減らすことが重要です。
決算時に在庫が多いとどうなる?
今後の利益をつくる在庫の確保は、経営において不可欠です。しかし、適切な管理が行き届いていない在庫は、会社に不利益となるリスクを含みます。そこで、決算時に在庫が多いとどのような影響があるのか見ていきましょう。
売上総利益が大きくなる
前述の通り、期末在庫は仕入れと同じく売上原価から引かれるため、在庫が多い場合はその分売上総利益も大きくなります。売上総利益が大きくなることで税金が加算され、自由資金は減少します。
また過剰在庫によって、本来必要のないコストの発生や在庫購入のために、銀行からの借入を続けなくてはいけない悪循環も起こりうるでしょう。決算時の売上総利益を意識し、どれくらい在庫を持つべきかあらかじめ方針を定めることで、適切な在庫管理を行うことが大切です。
粉飾決算のリスクが高まる
粉飾決算とは、不正な会計処理によって故意に決算書を操作して虚偽の報告をすることです。実際は廃棄していないのに、在庫廃棄したように見せかけて利益を減少させることは、粉飾決済に該当し罰則も設けられています。
しかし、過剰在庫によって増えた利益に対して課せられる税金を支払いたくない思いから、不正を行ってしまうケースも散見されるのです。また、利害関係者との信用をつなぎとめるために、赤字決算を恐れて架空の売上を報告する粉飾も少なくありません。
決算前に在庫をどのように処分しておく必要があるか調整することは、会社の状態を把握するためにも大切な作業ですが、不正行為に手を出すのはNGです。過剰在庫は正常な判断を鈍らせ、粉飾決算のリスクを高めてしまう要因になり得ることを認識しておきましょう。
在庫と決算書の関係性を正しく理解しよう
ここまで在庫と決算書の関係性や決算時に在庫を減らした方が良い理由、過剰在庫による影響について解説しました。ある程度の在庫を確保しておくことは、経営戦略としても必要でしょう。
しかし、価値のない在庫や販売できない在庫が増えると、会社の財務に悪影響を及ぼしかねません。現場ではリスクを感じづらく見過ごしやすいポイントのため、事実に基づいた販売予測や方針をしっかり立てて事業を進めていくことが重要です。
本記事を参考に、在庫と決算書の関係性を正しく理解して、適切な在庫管理を行うようにしましょう。
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よくある質問
決算時に在庫を減らした方が良いのはなぜ?
売上総利益が減り税金面でメリットがあるから、キャッシュフローの悪化を防げるからです。詳しくはこちらをご覧ください。
貸借対照表と在庫の関係は?
最終的に売上に貢献する在庫の存在は、貸借対照表の借方(左側)の「棚卸資産」に計上されます。詳しくはこちらをご覧ください。
キャッシュフロー計算書と在庫の関係は?
キャッシュフロー計算書において、在庫に関わる金額は、営業活動の「棚卸資産の増減額」に計上されます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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