• 更新日 : 2021年7月9日

投資有価証券は保有目的で仕訳が変わる?

投資有価証券は保有目的で仕訳が変わる?

一般的に「投資有価証券」と呼ばれる金融機関が提供する商品には、社債や国債、株式などさまざまな性質の商品がありますが、「保有目的」によって「有価証券」か「投資有価証券」に区別され、起こすべき仕訳も変わってきます。

ここでは、有価証券の保有目的にはどういった種類があるのか、投資有価証券の仕訳の起こし方という点について説示していきます。

有価証券の保有目的の種類

有価証券は大きく、下記の4つに大別されます。

売買目的有価証券
・満期保有目的債券
・子会社株式や関連会社株式
・その他有価証券

売買目的有価証券以外の3つは「投資有価証券」ですが、満期保有目的債券の満期日が1年以内に到来するものは「有価証券」と類別します。

目的別有価証券類別内容勘定科目
売買目的有価証券売買を企図している債権有価証券
満期保有目的債券・満期日の到来が1年を超過する
投資有価証券
・満期日が1年以内に到来する有価証券
子会社株式・関連会社株式子会社や関連会社の所有を目的とした債権投資有価証券   
その他有価証券その他有価証券投資有価証券   

満期保有目的債券だけが、満期日の到来が1年以内か1年を超過するかによって、「投資有価証券」と「有価証券」に区別されていることがわかります。

同じ満期保有目的債券であったとしても、「投資有価証券」は1年以内に満期日が到来する有価証券と比べて長期保有することが目的であるため、短期保有の有価証券とは起こすべき仕訳が異なってきます。

今回は「満期保有目的債券」に類別されている投資有価証券の仕訳の起こし方を解説していきます。

投資有価証券(満期保有目的債券/1年を超える保有)|仕訳の起こし方

満期保有目的債券に分類されている投資有価証券は、購入した投資有価証券を売却せずに満期日まで保有することを目的とした投資有価証券であるため、

(1)満期保有が目的の投資有価証券を購入する
(2)利払日に利息を受け取る
(3)満期日に償還する

という3つの仕訳が原則となります。

また満期保有目的債券を決算日に時価で評価替えすることはありませんが、
・投資有価証券を額面とは異なる価額で取得した
・額面の価額と取得した価額の差異が金利調整差額という性質を持つ
という2つの要件に当てはまる場合は、決算時に償却原価法によって評価替えを行なう必要があります。

したがって投資有価証券によっては、④決算日に評価替えをするという仕訳が加わります。

今回は、

・満期保有の社債100千円分を額面100円あたり98円で取得
・社債の利払日は9月末日と3月末日の年2回
・社債の取得日は6月6日
・年利率は1.46%
・償還期間2年
・購入した会社の事業年度終了日は3月末日

という内容で仕訳を起こしていきます。

まず①の「満期保有が目的の投資有価証券を購入する」という仕訳を起こしていきます。

投資有価証券という資産が増分するため、「投資有価証券」を借方に配します。今回は100千円分の社債を額面100円あたり98円で取得し、普通預金から証券会社の指定する口座へ振り込んだため、

借方
貸方
投資有価証券98,000円普通預金98,000円

という仕訳になります。

さらに購入時には「端数利息」を代金と合わせて支払います。端数利息とは取得する以前に発生した利息であり、利払日や発行日から購入日までの利息を指します。

9月末日に受け取る利息は4月1日からの6か月間でカウントされますが、4月1日から6月6日までの67日間は購入前の期間であるため、端数利息への支払いを容認しなければなりません。

端数利息:100千円×1.46%×67日/365日=268円

先ほどの仕訳と合わせると、

借方
貸方
投資有価証券98,000円普通預金98,268円
有価証券利息268円

となり、これが購入日である6月6日に起こす仕訳となります。

次に1回目の利払日(9月30日)に起こす仕訳を見ていきましょう。

受け取ることのできる利息は、

100千円×1.46%×半年分=730円

となり、現金で受け取ったため、

借方
貸方
現金730円有価証券利息730円

という仕訳を起こします。

2回目の利払日(3月31日)に起こす仕訳は、1回目の利払日と同じ仕訳を起こします。

借方
貸方
現金730円有価証券利息730円

さらに3月31日は決算日であるため、投資有価証券を評価する仕訳を起こします。

投資有価証券を評価する方法(償却原価法)には、利息法と定額法の2種類がありますが、今回は定額法で投資有価証券の評価を行ないます。

満期保有の社債100千円分を額面100円あたり98円(98千円)で取得したため、2千円という差額が発生しています。

発生した差額を満期までの金利調整額として投資有価証券を評価するため、

2千円×10か月(初年度保有期間)/24か月(償還期間)=833円

を加算額とします。

借方
貸方
投資有価証券833円有価証券利息833円

3回目の利払日(翌年の9月30日)に起こす仕訳は、以下になります。

借方
貸方
現金730円有価証券利息730円

4日目の利払日(翌年3月31日)は決算日と満期日も同日であるため、
・利息を受け取る仕訳
・投資有価証券を評価する仕訳
・満額償還する仕訳
の3つを起こします。

利息を受け取る仕訳は1回目から3回目同様に、

借方
貸方
現金730円有価証券利息730円

となります。

投資有価証券の評価額は、以下の通りです。

2千円×12か月(2年目保有期間)/24か月(償還期間)=1千円

借方
貸方
投資有価証券1,000円有価証券利息1,000円

最後に満期償還の仕訳を起こします。

現在までに評価されている社債は、
98千円+833円+1千円=99,833円

であるため、額面価額(100千円)と一致させる仕訳を起こします。

借方
貸方
投資有価証券167円有価証券利息167円

そして現金で償還金額の受領を完了したため、下記の仕訳を起こします。

借方
貸方
現金1,000,000円投資有価証券1,000,000円

まとめ

投資有価証券に関する一連の流れを、仕訳に起こしてみました。

社債などの投資有価証券を額面金額よりも低い金額で取得し金利調整額であると認識される場合においては、決算日に償却原価法によって評価替えを行なう仕訳を起こす点で注意するようにしましょう。

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よくある質問

有価証券の種類は?

「売買目的有価証券」「満期保有目的債券」「子会社株式や関連会社株式」「その他有価証券」の4つがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

売買目的有価証券の勘定科目は?

有価証券です。詳しくはこちらをご覧ください。

決算時に償却原価法によって評価替えを行なう必要がある場合とは?

投資有価証券を額面とは異なる価額で取得した場合と、額面の価額と取得した価額の差異が金利調整差額という性質を持つ場合は評価替えが必要です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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