• 作成日 : 2024年11月5日

クレジットカードを経費精算に利用するには?仕訳や法人カードのメリットも解説

事業に関連する支出のクレジットカード払いは、経費精算が可能です。ただし、個人用クレジットカードで支払う場合、従業員が費用を立て替える必要があります。従業員と経理担当者の負担を減らすには、法人カードの利用がおすすめです。

本記事では、個人用クレジットカードの仕訳方法や法人カードのメリットを解説します。

個人用クレジットカードを経費精算に利用できる?

事業に関連する支出であれば、個人用クレジットカードの支払いでも経費精算が可能です。

ただし、一括払いと分割払いでは仕訳方法が異なります。ここでは、個人用クレジットカード払いの仕訳方法を確認していきましょう。

事業関連の出費なら経費計上できる

事業に関連する支出の場合、個人用クレジットカードの支払いでも経費精算が可能です。

ただし、プライベートと兼用する場合は、利用明細書を確認して支出を分ける必要があります。従業員が多い企業の場合、処理作業に毎月多くの時間と労力がかかり、帳簿の入力ミスや記載漏れが発生する恐れがあります。

経理担当者の作業負担を減らすためには、個人用とは別にビジネス専用のクレジットカードを用意して適宜使い分けるのが得策です。

一括払いの仕訳

個人用クレジットカードの一括払いで使用する勘定科目は「事業主借」です。

事業主借は、個人のお金を事業関連の支出に充当した場合に使用されます。個人用クレジットカードで決済した日付が取引日となるため、引き落とし日の仕訳は必要ありません。

【仕訳例】

10月8日に個人用クレジットカードで事業用プリンターを8万円で購入。11月10日に個人名義の銀行口座から引き落とされた

借方貸方摘要
消耗品費80,000円事業主借80,000円プリンター

分割払いの仕訳

クレジットカードで分割払いを選択した場合、金利手数料(利息)が発生します。

利息分は、「支払利息」という勘定科目での処理が必要です。支払利息には、他社や金融機関からの借入金に対する金利手数料が含まれます。

分割払いでは、引き落とし日ごとの仕訳が必要です。

【仕訳例】

10月8日に個人用クレジットカードで8万円の事業用プリンターを10回払いで購入。11月10日に元金8,000円と金利手数料800円が引き落とされた

  • 決済日の仕訳
借方貸方摘要
消耗品費80,000円事業主借80,000円プリンター
  • 初回引き落とし日の仕訳
借方貸方摘要
支払利息800円事業主借800円金利手数料

ポイントを利用した場合の仕訳

個人用クレジットカードのポイントで支払う場合、会計処理は必要ありません。

ただし、クレジットカードで得たポイントをキャッシュバックして支払いに充当した場合は、「雑収入」の勘定科目で処理します。雑収入とは、本来の事業とは関連しない取引で生まれる収益のうち、ほかの勘定科目に分類されない収入を指します。

【仕訳例】

経費支払で貯まった3,000円分のポイントがキャッシュバックされた

借方貸方摘要
事業主貸3,000円雑収入3,000円ポイントキャッシュバック

クレジットカードの経費精算には何が必要?

原則として、経費精算には証明書となる領収書が必要です。ただし、クレジットカードの領収書は税法上認められていないため、利用明細書を利用します。

クレジットカードの経費精算に必要な利用明細書について確認していきましょう。

クレジットカードの経費精算には「利用明細」が必要

クレジットカードの経費精算では、利用明細書を領収書の代わりに利用します。

利用明細書とは、取引内容や購入金額、支払い方法等が記載されている書類です。クレジットカードで購入した際に、カード会社から発行されます。オンラインショップで購入した場合、利用明細書は商品と一緒に梱包されていることが多いです。

クレジットカードの「領収書」では税法上認められない

クレジットカードの領収書は、税法上で証明書として認められていません。ただし、以下の5つの項目が記載されている場合は証明書として使用できます。

  • 発行者
  • 宛名
  • 金額
  • 年月日
  • 購入内容

なお、利用明細書はインボイス記載事項を満たす書類に該当しません。

利用明細書の保存だけで仕入税額控除はできないため、クレジットカード払いの際は領収書やレシートを必ず受け取りましょう。

クレジットカードの利用明細書が領収書の代わりに認められるためには

クレジットカードの利用明細書は、領収書代わりの証明書として認められています。ただし、領収書代わりに使用するには、以下の情報が記載されている必要があります。

  • 発行者(発行元の住所や店舗名など)
  • 宛名(書類交付者の氏名または名称)
  • 金額(消費税率ごとに区分した合計金額)
  • 年月日(カード決済した日付)
  • 購入内容(決済対象の商品またはサービス)

小売業や飲食店業、旅客運送業、旅行業、駐車場業の場合は、宛名が省略されていても問題ありません。

なお、利用明細書は、インボイス記載事項を満たす書類に該当しません。利用明細書だけでは仕入税額控除できないため、領収書やレシートを必ず受け取りましょう。

クレジットカードでの立替費用を経費精算する注意点

クレジットカードで経費を立て替えると、毎月のカード明細書で支出を確認できます。領収書やレシートを見ながらの手作業が不要になり、経理担当者の作業負担を軽減可能です。

支払い時にポイントも付与されるため、利用額に応じてさまざまな特典を受けられます。ただし、クレジットカードで立て替える際はいくつか注意点があります。

ここからは、クレジットカードで立て替えた費用を経費精算する際の注意点を確認していきましょう。

記載内容と支払い金額によっては収入印紙が必要

領収書は印紙税の課税対象となるため、購入金額が5万円を超える場合は収入印紙が必要です。

印紙代は、受取金額に応じて変わります。

記載金額税額
5万円未満

非課税

5万円以上~100万円以下200円
100万円以上~200万円以下400円
200万円以上~300万円以下600円
300万円以上~500万円以下1,000円
500万円以上~1,000万円以下2,000円

クレジットカードの領収書は支払いが未完了の段階で発行されるため、印紙税の対象になりません。

ただし、領収書に「クレジットカードでの支払い」の記載がない場合、現金払いとみなされるため、現金と同様に収入印紙が必要です。

参考:国税庁 No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書

提出書類は一定期間保存する

クレジットカードで経費精算して確定申告した場合、利用明細書は7年間の保存が必要です。

利用明細書の保管が必要なのは、申告内容に不審な点がある等の理由で税務調査の対象になった場合、7年分の書類が検査対象になるためです。保存期間は、利用明細書の発行日ではなく、確定申告の期限締切日の翌日から7年間となります。

電子帳簿保存法の改正により、電子取引データをそのまま保存できるようになりました。紛失のリスクに備えて、電子データと印刷した書類の両方を保管する企業も存在します。

参考:国税庁 電子帳簿保存法が改正されました

法人カードの利用で業務は効率化できる

個人カードでも経費精算は可能ですが、法人カードを利用すると精算業務の効率化が期待できます。煩雑な経理業務を効率化できれば、経理担当者の業務負担も軽減可能です。

ここからは、法人カードで経費精算業務を効率化できる理由を確認していきましょう。

経費処理がスピードアップする

法人カードを利用すれば、個人で経費を立て替える必要はありません。従業員は経費とプライベートの支出を明確に分けられるうえに、会社に経費を請書する手間が省けます。

経理担当者においても、従業員一人ひとりの申請状況を管理する必要はありません。法人カードの利用明細をもとに経費を処理できるため、業務効率化につながります。

クレジットカードの利用明細を取り込む機能を備えた経費精算システムを導入すれば、手作業による入力が必要なくなり、経理担当者の業務負担を大幅に軽減できます。

計上漏れや経費の不正利用を防止できる

クレジットカードごとに明細が発行される法人カードは、カード番号と従業員の紐づけが可能です。毎月発行される利用明細書からも、購入日時や使用者、内容、利用金額等を把握できるため、従業員が私的に法人カードを利用することを防げます。

また、クレジットカードごとに利用明細書を確認できるため、計上漏れも防止可能です。計上漏れが起きる原因はさまざまですが、従業員が申請を忘れる事例も少なくありません。

法人カードがあれば、個人で経費を立て替える必要がないため、申請忘れを防げます。

付帯サービスを利用できる

法人カードは、特典やポイントを受け取れる付帯サービスが利用可能です。

海外出張が多い企業の場合、海外旅行傷害保険付帯のクレジットカードを利用すれば、滞在中の怪我や病気、盗難、破損、損害賠償等のトラブルに備えられます。

なお、クレジットカードのポイントは購入金額に応じて付与されます。光熱費や通信費等の固定費や消耗品の購入を法人カードで支払えば、年間を通して大量のポイントを貯められます。貯めたポイントを支払いに充当できるキャッシュバックがあるのも利点です。

経費精算システムとクレジットカードを連動させるなら、マネーフォワード クラウド経費がおすすめ!

経費精算業務を効率化したいなら、法人用カードと連携できる経費精算システム「マネーフォワード クラウド経費」の導入を検討しましょう。

導入するメリットは、以下のとおりです。

  • 明細データ&領収書画像の自動取得可能
  • スマホから日付・金額・支払先をデータ化できる
  • スマホアプリで申請・承認が可能

マネーフォワード クラウド経費はクレジットカードと連携可能で、明細データを自動取得できます。一部サービスでは領収書画像も取得できるため、書類の管理にも役立ちます。

また、お手持ちのスマホで領収書やレシートを撮影すると画像から日付・金額・支払先のデータ化が可能です。手入力によるミスを削減できるため、修正や差し戻し等の回数を減らせます。

なお、スマホアプリからいつでも申請や承認が可能で、隙間時間に対応できるのも特徴です。働き方が多様化するなか、効率的なペーパーレス運用を実現できます。

マネーフォワード クラウド経費の詳細はこちら

クレジットカードの経費精算には利用明細書が必要!

クレジットカードを経費精算に利用するには、利用明細書が必要です。領収書は証明書として税法上認められていませんが、発行者や購入金額等の記載があれば使用できます。

経費精算業務を効率化したい場合は、法人カードの利用を検討しましょう。経費とプライベートの支出を明確に分けられるため、経費処理がスピードアップします。

法人用カードと連携できる経費精算システムを導入すれば、無駄な作業が削減され、さらなる業務効率化が期待できます。経理担当者の作業負担を減らすためにも、「マネーフォワード クラウド経費」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。


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